ガリットチュウ福島“凱旋”インタビュー! ヨーロッパ柔術選手権で「1ポイントもとられず優勝しました」

ガリットチュウ・福島善成が、ポルトガル・リスボンで1月24日(金、日本時間)に開催された『IBJJFヨーロッパ柔術選手権 2025』のマスター4紫帯ライト級で優勝を果たしました! 2023年9月にアメリカ・ラスベガスで開催された『ワールドマスター柔術選手権2023』でのマスター4青帯ライト級優勝に続く大快挙。帰国翌日、時差ボケでボーっとしている福島に、優勝記念インタビューを行いました。

出典: FANY マガジン
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飛行機トラブルで「スーパーバッドコンディション」

今回出場した『IBJJFヨーロッパ柔術選手権 2025』は、6000人もの選手が参加し、9日間かけて行われるヨーロッパ最大規模の大会です。福島は2023年の『ワールドマスター柔術選手権』には青帯で出場していましたが、それから1つクラスを上げて今回は紫帯で出場。5試合を勝ち抜き、世界一の座に輝きました。

──優勝おめでとうございます! 『IBJJFヨーロッパ柔術選手権 2025』はトーナメント方式で、5回戦って5連勝。3試合で1本勝ちしたそうですね。

はい。第1試合は27秒で勝ったんですよ。相手の立場だったら、何時間もかけてポルトガルまで来て、27秒で試合が終わっちゃったら悲しいですよね。もちろんそれが僕になっていた可能性もあったのですが、1ポイントも取られずに優勝しました。

──ほかの仲間と一緒に参加したんですか?

「トライフォース」というチームで参加しました。

──何日間くらい滞在したんですか?

全部で7泊です。でも、出発時に大トラブルがあって……。通常は最低でも試合の2日前くらいには現地入りして、調整してから試合に臨むんですよ。でも今回、初めての経験なんですけど、成田空港で飛行機に乗って、滑走路の直線に入って、さぁ飛び立つぞっていうときに急にストップしてしまったんです! 僕たち乗客が「えっ? えっ?」ってなるなかで駐機場に戻って、そこから3時間缶詰めです。

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それで、ひとまず1回、再入国してほしいと言われて、荷物を降ろして日本への入国手続きをしたんですよ。その時点で予定していたアムステルダムでの乗り継ぎができないから、ホテルで1泊もできなくなっちゃって、これは相当ヤバいなと。

ほかの便を取るために長蛇の列ができてしまっていたので、そこで2時間半くらい並んで、粘りに粘ってとれた便がドバイ経由しかなかった。成田からドバイまで約12時間、トランジットが2時間あって、さらにポルトガルまで8時間以上かかりました。結局、空港と飛行機の中だけで35時間くらいいたんですよ。

──原因は何だったんですか?

いや、もう飛行機のエンジントラブルです。

それで結局、ポルトガルに着いたのが試合前日の14時くらいでしたね。本来は、到着日に時差ボケを解消するために運動して汗を流すんですけど、肩も腰も首もガッチガチだし、もうそんな体力は残っていなかったですね。体重も2キロくらい落ちていて。

──かなりのバッドコンディションですね。

スーパーバッドコンディションでした。でも、これもいいハンデかなと。もう、そう思うしかなかったですね。

今回の大会は幸いケガをせずに済みましたが、試合で足を折ったりする可能性も十分にあるので、そうするとその後はずっと松葉杖生活になるわけで、怖いですよね。向こうで松葉杖を用意してもらえるのかとかもよくわからないですし。海外の試合は恐怖でしかないんですよ。

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2023年のワールドマスターのときは、(俳優の)岡田(准一)さんも試合に出られていましたけど、岡田さんは茶帯で僕より位が上なので、試合で使うことが許されている関節技の数が多くて、とくに足関節の技が増えるんですよ。僕は岡田さんが試合に出ること自体が本当にすごいと思っていて、もしも試合で足をケガしたりしたら、大河ドラマどうするんだろうとか、そんな心配ばっかりしていました。

柔術のおかげで夫婦ゲンカも回避

──福島さんは柔道経験者で2段の腕前ですが、柔術を始めたのは2020年12月とのこと。きっかけはあったんですか?

クインテッド(寝技格闘技のイベント)の試合を見て、これは一生続けられるなと思ったのが最初のきっかけだったんですが、コロナ禍に入って柔術にグッとハマっていきました。

いまアメリカでは柔術がめちゃくちゃ流行っていて、300万人くらい競技者がいるんです。Facebook(現・Meta)創業者のザッカーバーグとか、テスラ創業者のイーロン・マスクもやっているんですよ。僕、マーク・ザッカーバーグと考え方がまったく同じだったんですけど、「こんなに効率のいいスポーツはない」って。短時間で集中して全身運動で汗をかけるって、脳のデトックスになるらしいです。

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僕もまさに同じ考えで、コロナ禍で家にいる時間が増えて、夫婦喧嘩が多くなったんですけど、そんなときに柔術をやると、集中するからケンカのことを忘れるんです。それで疲れて帰ってくるとケンカをする気も起きなくなっているし、ストレスも発散できる。ザッカーバーグも柔術に出会って走るのをやめたらしいです。走っていると、仕事のことを考えちゃうんですって。

っていうことを、ファミリーマートの店内放送用トークで話したら、それを聞いた吉本の社員が「僕も始めます!」って本当に始めて、この間、白帯の大会で優勝していました。

──それでも、ほんの少しの気の緩みが身の危険につながる、すごい世界ですから、そんな簡単には始められないイメージです。

でも、すごく楽しいですよ。柔術を身近に感じている人ってほとんどいないと思うんですけど、休日に親子が体をこちょこちょくすぐりあう、そんな感覚で始めていいんです。どう効率よく相手を抑え込むかとか、つながるものはあります。日本古来の競技ですけど、海外のほうが流行っているみたいです。

──聞いていると、柔術の魅力は勝敗というより、自身に返ってくる精神的な好影響みたいなところにあるのでしょうか。

そうですね。もう3日練習しないだけで、「早くやりたい」ってそわそわする体になりました。

3年前の自分に勝てる自信がある

──福島さんは、これまで大きなケガはなかったんですか?

大ケガはないですけど、指にけっこうコブができました。これは、ただのやり過ぎです。

──どれくらい練習しているんですか?

週に4~5回くらいいきますね。ルミネtheよしもとの出番の合間とかに練習に行くこともあります。それで足を痛めて、コントから漫才に変えることもあります(笑)。

──福島さんは現在47歳ですが、年齢がハンデになることはないですか?

年を重ねるほどいろいろな技を覚えるので、強くなる人が多いです。僕も3年前の自分と対戦したら、圧倒的に勝つ自信がありますね。それにいま、「コンペティションクラス」っていう若い選手が参加する特訓にも参加しているんですよ。かなり厳しい訓練で、先生の許可が必要なので、47歳で参加できるのはかなり稀なんですけど。

──もともと怪力は有名でしたし、それに加えて柔術に対する抜群の勘があったんでしょうね。

そうかもしれません。それがお笑いにほしかったなっていう。

──フフフ……。

なに笑ってんすか。そこは「そんなことないですよ」じゃないですか。待ってたのに(笑)。

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──そんなに強ければ、それは楽しそうですよね。

自分で思い描く技を実現できるって、けっこうスゴイことだって言われます。

──ちなみに福島さんがあるときからキュッとシャープな体型になったのは、柔術のおかげなんですよね?

MAXで108キロあって、柔術を始めたころは95、6キロだったかな。それが75キロまで落ちました。痩せようという気はまったくなくて、食事制限とかもしなかったんですけど。

1カ月ガマンすればいいんです。始めた初日は筋肉痛で手足の指先まで全身が痛くなって、そこから1カ月間は朝起きるときに「イタタタ……」ってなりますけど、1カ月後からは楽しいです。50代から始める人もいますよ。

僕はバキバキの競技をやりますけど、護身術を覚えたいとか、体を動かす目的で始める人もいます。

──これまでで、いちばんツラかった経験は?

僕が出ている「マスター」(30代以上の部門)っておじさんの大会なんですけど、愛知県で開催された大会に出たときに、その中でもいちばん若くて強いとされる「マスター1」(30~35歳のクラス)のブラジル人選手3人と闘って勝ったんですよ。だけど、その帰りのタクシーで、急に腹筋あたりがパンッってつって、僕、「ウワァ~!」ってすごい叫び方したんです。運転手さんがめちゃくちゃ驚いて、「病院に行きますか!?」と言ってくれたんですけど、とにかく「ウェルビー栄(名古屋のサウナ店)!」って伝えて、サウナで直しました。

野性爆弾くっきー!やカラテカ矢部も応援

──帰国したばかりですが、これからいろいろな反響がありそうですね。

前回のワールドマスターのときはすごくて、コンビニ店員さんに声をかけられたり、パトカーが急に止まっておまわりさんが「おめでとうございます」って言ってくれたり、LINEも何百件もきました。熊本出身だから、熊本県庁も表敬訪問させてもらいましたね。

今回の大会では、野性爆弾のくっきー!師匠やカラテカの矢部(太郎)くんがスポンサーになってくれました。もう、感謝感謝です。

出典: FANY マガジン
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──ご家族の反応は?

何もないです。本当に何もない。今日も出がけにメダルを忘れちゃったから、妻に持ってきてってお願いしたんですけど、「そういえば、いままでメダル見てなかったわ」って。

──お子さんは「お父さんすごい!」ってなったんじゃないですか?

1ミリもないです。優勝直後に電話もしたんですけど、「は? あぁ、おめでとう」みたいな感じで。この瞬間のために頑張ってきたのに、何だそれは! と思いました(笑)。

前の大会(『ワールドマスター柔術選手権 2023』)はラスベガスだったので、その後にアメリカ在住のたむけん(たむらけんじ)さんが祝勝会をしてくれて、ロサンゼルスのチームでプレーしているサッカーの吉田麻也選手も来てくれたんですよ。そのときに麻也さんに家族の反応を話したら、「それはいい奥さんですよ。たぶん負けたときも同じリアクションだから、冷たいとかじゃなくてフラットな方なんです。だから、そんなに考えることはないですよ」って言ってくれました。

いつか「護身術新喜劇」ができたら

──相方の熊谷茶さんからの反応は?

帰国したときに空港まで来てくれました。

──そうですか! それは、お祝いとお迎えに?

いや、お祝いとかカネも何も用意してないし、車も持っていないですし、原チャリの試験に2回落ちた最低のヤツです。

出典: FANY マガジン
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──(笑)。ちなみにどんな言葉をかけてくれましたか?

「俺のパワースポット巡りのおかげで優勝できたんだろう」って。あいつ、パワースポット巡りがめちゃくちゃ好きなんで。

──熊谷さんの御利益が、福島さんの優勝につながったと(笑)。

俺が(パワースポットに)行かなかったら、おまえは負けてたって言ってました。

──今後の目標は

2026年に行われる『IBJJF ブラジル柔術選手権』での優勝ですね。日本の裏側なので、日本人の参加がけっこう少ないんですけど。

──今回の優勝を経て、シード権が得られるようなことはあるんですか?

今回と同じクラスだったらそれもあるかもしれないですけど、おそらくこれからクラスがひとつ上がるので、試合はまたイチからですね。

──今回の功績が芸人のお仕事にもつながりそうです。

僕らと同世代の40代、50代の皆さんに、これだけ体が動くんだから、もっと健康でいなよってアピールできたらと思います。「メタボリックなお腹はもういいじゃん、柔術やりなよ」と。

それと、柔術は女性ももちろんできるので、危険な目にあったときに自分で逃げられるように、護身術として広めたいなと思っています。そういうのを織り交ぜた「護身術新喜劇」とかできたら面白いですよね。

出典: FANY マガジン
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最後に吉本興業東京本部の中庭で撮影中、偶然通りかかった椿鬼奴が福島を見つけると、「おめでとうございます! 一緒に写真撮りたい」と声がかかり、一緒に記念撮影! さっそく“スター選手”ぶりが伺えました。

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