こんにちは、芸人ライターのあわよくば・ファビアンです。
吉本興業とブックオリティが手を組み始まった『作家育成プロジェクト』。
第1回 4月14日(水)
第2回 5月12日(水)
第3回 6月2日(水)
今回も、全3回にわたって開催されたセミナーの第三弾の記事をお送りします。
これまで、本を出すことの意義のほか、『はじめに』の大切さ・文体について・章の立て方など、様々なことを学びました。
今回は最終回の講義。
6月30日(水)のプレゼン大会に向けて高橋先生はどんな授業を行ったのか——、まとめてレポートしたいと思います。
プレゼン大会の様子も追ってレポートをお届けします。
編集者・高橋朋宏とは?
まずはじめに、高橋先生のプロフィールを紹介したいと思います。
高橋朋宏(Takahashi Tomohiro)
通称『タカトモ』先生。
ベストセラー編集者として、吉本興業に文化人として所属。
ブックオリティ代表取締役学長。元サンマーク出版常務取締役編集長。
【過去に担当した本】
- 『病気にならない生き方』/新谷弘実(140万部)
- 『体温を上げると健康になる』/齋藤真嗣(70万部)
- 『なぜ、「これ」は健康にいいのか?』/小林弘幸(52万部)
- 『人生がときめく片づけの魔法』/近藤麻理恵(159万部)
そうなんです、ベストセラー連発の、第一線で活躍し続けてきた編集者なのです!
とくに『人生がときめく片づけの魔法』は、2014年10月、米国でも刊行されて400万部を超え、日米両国でミリオンセラーという、日本の出版史上初の快挙となりました。
書籍の編集者はどうやって企画を決めるのか
「今日は現実的な話をします」
そんな言葉で、授業は始まりました。
本を出すにあたって、編集者という生き物の習性を知ることが大事だそうです。
一般的なイメージだと、
著者=本を書く人
編集者=文章の間違いを発見したり、整えたり、要らないところを削ったり、アドバイスをしてくれる人
といった感じですが、全く違うらしいのです。
高橋先生曰く、
著者=原稿を書く人
編集者=原稿を商品にする人
編集者の仕事は、営業マンと同じく数字で判断されると言います。
そのためには、常に売れる本(ヒット)を狙って仕事をしないといけません。
つまり、本を作るのが仕事じゃなくて『売れる本を作るのが仕事』だと言い切ります。
具体的な仕事の内容は
- 企画や構成案を考える
- 著者にこういう原稿を書いてほしいと依頼する
- 原稿をチェック・ダメ出しをする
- タイトルや見出しを考える
- 装丁家にデザインコンセプトを伝える
- マーケティングプランを考える
- 帯のキャッチコピーを考える
- 著者をプロデュースする
などなど、多岐に渡ります。
要は、編集者は一冊の本のプロデューサーで、売るために全てのことをする人。
僕は小説を書いていますが、誤字脱字はもちろん、よく文の語尾がずっと同じものが続いていたり、もっと短くかけるのに長くダラダラと描写をしていたり……。
ダメだとわかっていても、どうしていいか分からず放置している文章がたくさんあります。
その先に進むため、編集者さんについてもらうことが出来たら、たくさん相談したいと思います。
「ベストセラー小説の作家でも、本人の執筆だけで出版までたどり着くほど文章力がある人は稀だ」と言っていたので、聞くことは恥ではないはずです。
編集者は、企画のどこを見ているのか
プレゼン大会には、たくさんの編集者が見にきます。
僕たちはその中で、「これは売れる本になる可能性がある!」と思ってもらわなくてはいけません。
高橋先生は、そんな僕たちに編集者の視点を教えてくれました。
それは「企画書の良し悪しなんて見ていない」ということ。
企画書はただの紙切れで、そこに書かれてある素材(言葉)が面白いかどうかに注目しているのだと言うのです。
それは、今回のゴールが、「自分が立てた企画書どおりの本を出す」ことではなく、そこに編集者の視点やアドバイスを加え、「より良い形でベストの出版を決める」ことにあるからです。
そのためには自分の企画にこだわりすぎず、「この人と一緒に本を作りたい」と編集者に思ってもらわなければいけません。
また編集者がプレゼンで注目している具体的なポイントは
- この人はどんな結果を出してきたか
- どんな人生を歩んできたか
- どんなノウハウを語れるのか
だと言います。
そのなかに尖った言葉や斬新なアイデア、驚くべきノウハウがあれば、企画は編集者が考えてくれる、とも。
自分と同じようなことをやってる人が世の中にたくさんいる中で、自分という商品が埋没しないためには、奇抜なアイデアに走るのではなく、言葉で自分を再定義して、差別化していくことが大事だと。
これからプレゼンまでの4週間で、頭の中をとにかくアウトプットして、物語に落とし込み、原稿の執筆を一歩でも二歩でも前に進めたいと思います。
類書との差別化のために
最後に教えてくれたのは、同じジャンルの中で売れている本と、自分の本との差別化を考えようということでした。
類書の中で「一番好きな本」を読み、「自分が共感するポイント」と「自分との違い」を見つける。
類書の中で「一番売れている本」を読み、「世の中が求めているもの」と「その本に書かれていない自分のオリジナル」を見つける。
これを明確にしないと二番煎じになり、本を出す意味がなくなり、企画も通らないと言います。
『人生がときめく片づけの魔法』の著者・近藤麻理恵さんは、あらゆる片付けの本を読み、自分を差別化したそうです。
例えば肩書きを「片付けコンサルタント」とし、「捨てるものじゃなくて、残すものを決める」という本の根幹をなす考え方も、差別化から生まれ、研ぎ澄ませていったことから生まれたと言います。
また肩書き、ジャンル、本の背骨、読者層、売り、部数などを横軸に、縦に本のタイトルを書いて分析していくやり方まで教えてくれました。
僕は分析に関しては、奇跡的に同じ作業をしていました。
星新一や小松左京、田丸雅智、五分後シリーズといったショートショートを読み、話のジャンルやオチの種類など、自分なりにまとめていました。
高橋先生の話を聞いて、その作業が無駄じゃなかったと確信を持てました。
これから自分の考えているものが書店でどんなコーナーに置かれるだろうか、どんなポップをつけて紹介されるだろうか、とイメージしながら執筆を続けたいと思います。
そして6月30日(水)のプレゼン大会では、熱意を持って自分の本を語り、編集者を必ずその気にさせてみせます。
僕のほかの30数名のメンバーも全身全霊でプレゼンに臨むので、皆さん期待して待っていてください!
プロジェクト概要
作家育成プロジェクト
吉本興業が本気で「本を書く才能」を見つけたいという思いから生まれたプロジェクト。
応募者総勢220名の中から審査を通過した、芸人、文化人、アスリート、アーティスト、アイドルなど吉本興業所属のタレント33名が参加中。
ブックオリティの出版セミナーでプロット作成や執筆の指導を受けたあと、複数の出版社が参加するオーディション方式の「出版プレゼン大会」(6月30日(水)開催予定)に参加し、出版のチャンスを広げていく。
さらに、『板尾日記』(リトルモア)などの著書があり、『火花』(文藝春秋)など書籍を原作とした映画作品の監督経験もある板尾創路が、オブザーバーとして携わることも決定。
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