正月恒例の特別番組『さんまのまんま 42年目もあの頃のまんまSP』(関西テレビ・フジテレビ系、1月2日放送)でお笑い好き注目のコーナーが、今田耕司の「おすすめ芸人コーナー」です。今年は大阪・よしもと漫才劇場(マンゲキ)で活躍するピン芸人のグレン世紀と、コンビ結成3年目の愛凛冴(横山、玲二)が選ばれ、明石家さんまやアーティストのちゃんみなの前でネタを披露。初めての全国放送出演で緊張しながら番組収録に臨んだ2組に感想やウラ話を聞きました。

本番で“201通り目”が飛んできて撃沈?
――2組は、2025年9月にマンゲキで開催された『大阪芸人掘り出しライブ13~今田耕司さん、大阪にはまだまだ面白い芸人がいます!~』というライブで、今田さんに見出されたわけですが、今回の収録の率直な感想を聞かせてください。
グレン ふだんはあまり緊張しないし、スベッたらどうしようと思うタイプではないのですが、やっぱり全国で流れるとなると……。僕、お客さんとめっちゃ会話するタイプのカウンターだけの飲食店でバイトしているんです。
(お店の)お客さんは僕が芸人と知っているので、全国放送でスベッているのを観られたら、僕のバイト人生が終わってしまうので……。“こう言われたらこう返す”というシミュレーションも200通りくらい考えて、自分の中で完璧だから何を言われても返せると臨みましたが、(本番で)201通り目が来てしまって、全然思っていた感じにはならず……気がついたら終わっていました。
玲二 ネタは思っていたよりやりやすかったですね。位置的にお客さんからは僕らの漫才コントが見えにくかったこともあって、あんまりウケてない? と心配したけれど、正面にいたさんまさん、ちゃんみなさん、今田さんはめっちゃ笑ってくれていました。グレンくんもちゃんとウケていましたよ。
グレン いや、ネタはめっちゃお客さんに引かれています。まずこんなヤツが出てきて、まったく自分の説明もせずにネタに入ったので、戸惑いもあったかもしれない。
横山 まあ、確かにそうか。東京のお客さんはまったく知らん状態やし、びっくりしていました。だって、田中将大投手と里田まいさん、爆笑問題さんとか見て、最後の最後にオレらが出てきたんやから、そら怖いわ。

――ナマで見る明石家さんまさんの印象はどうでしたか?
玲二 「誰やお前ら?」みたいな感じで接してくるのかなと勝手に怖がっていたんですが、ちゃんと僕らに興味持ってくださって、話もちゃんと聞いてくれて。
グレン (さんまさんは)「目の奥が笑っていない」ってよく聞くじゃないですか。でも、目の奥もちゃんと笑ってくれて、優しかった。
横山 僕は現実離れしすぎて、目の前にいるのにテレビを見ている感覚になりました。さんまさん、ちゃんみなさん、今田さんが僕ひとりの話を聞いてくれるなんて、そんなことあるわけ? ウソつけや! と、思いながら。
ちゃんみなさんも、収録後に芸人の大楽屋を訪れて1人ずつ握手してくださって、びっくりしました。めちゃめちゃ優しかったですし、オッサンみたいな感想ですけど、すごく良いニオイがしました。
グレン ちゃんみなさん、僕が登場したときにクスッと笑いはったんですよ。ヒップホップ業界とか、こういうヘアスタイルの人も普通にいそうなのに、ちゃんみなさんでも僕を見て笑うのかと驚きました。

愛凛冴・玲二「コワモテの僕よりヤバいのは横山です」
――『さんまのまんま』を見て興味を持った人に「愛凛冴はこんな芸人です」説明したいのですが、自分たちのことをどう思っていますか?
横山 愛凛冴の場合は、インパクトも面白さもある玲二にスポットライト当たることが多いがもちろん多い。ただ、先ほどグレンが言っていたみたいに、本番では201通り目が来る。
『さんまのまんま』でも、僕にボールが来たときに「このまま帰ったらアカン!」と思っちゃったんですよ。で、いままで劇場ライブの平場でもやったことがない、僕がめっちゃ前に出るという暴挙に出てしまって……。
――確かに横山さんはグイグイ出るタイプの人じゃないですよね。そんな横山さんを見て、玲二さんはどう思いました?
玲二 愛凛冴はもう一段階、上に行けるなと思いました。やっぱり僕に振られても手数も限界があるし、ボケは横山なので。パッと見てヤバいのは僕だと思わせつつ、ホンマにヤバいのが横から出てくるのがいいなと。爆発力のある笑いが起きるし、今後、何かのネタにも生かせそうですし。
横山は、まず、とてもいい人なんです。感情で思ったことを言うタイプで、言ってしまったあとに「いまの言わないほうがよかったよな」と反省するし、アカンときはちゃんと謝れる人。なんか、まっすぐ生きているのが面白いんですよね。
横山 突然変異人間やと思っておいてください。

――愛凛冴は結成当時から、いまのようなキャラクターだったんですか?
横山 玲二はもう出会ったときから仕上がっていましたね。ずっとこの感じです。宣材写真も何度か撮影し直していますが、変遷を見ても、玲二はずっとこのままで、僕だけ変わっていっています。コンビとしてどうなっていくかは、僕がどう生きるかで変わってきそうです。同期なのでパワーバランスもないですしね。
グレン おふたりはめちゃ仲が良いですよね。収録の日、急遽、東京で泊まりになって2部屋取ってもらったんですが、2人で同じ部屋に泊まっていて。ふつう、コンビで同じ部屋って嫌がるから、どちらかと部屋を交換すると思っていたのに。
横山 あの日は楽しかったよな。収録スタジオでは芸能人に会いたいと思って、(3人で)ずっと喫煙所にいて、収録終わりはホテルの近くにある新大久保の居酒屋に行って飲んで、翌日は朝からラーメンを食べに行って、宝くじも一緒に買って。
グレン 『さんまのまんま』で一緒に戦った仲というのもありますし、絆が生まれましたね。
玲二 ふだん、劇場でも一緒になる機会もほとんどなかったから、ちゃんと喋ったことがなかったもんね。

グレン世紀「見た目と反してめちゃめちゃ暗い性格です」
――『さんまのまんま』で生まれた新しい友情、いいですね。今回の番組でグレン世紀のことが気になった人に、どんな芸人かを説明してください。
グレン 見た目で判断すると、めっちゃ明るいヤツやと思われるのですが、とても暗いので、くれぐれもがっかりしないでくださいというのはありますね。家族のことをネタに、特にやんちゃなアメリカ人の父のことをよく話していますが、父は日本語がわからないのでバレる心配はありません。
――暗い性格は、もともとですか? それとも紆余曲折があって暗くなったんでしょうか?
グレン 僕、小さいときに新聞を読むのが好きだったんです。祖父母と一緒に住んでいたんですが、祖父が読んでいた新聞を僕も隣で読んでいて。で、小学1年生のときに、新聞に書いてあった「経済」という漢字を声に出して読んだら、家族が大爆笑して。
たぶん、この見た目で「経済」なんて言葉を発したのが面白かったと思うんですが、流暢に日本語を喋るだけで笑いが起きるのは恥ずかしいなと思ってしまって。そこからあまり喋らなくなるんですよね。
学生時代は野球部だったんですが、声を全然出さないからよく怒られていました。チームメイトのお母さんに「グレン君はクールな感じだね」と言われたのをきっかけに、開き直って声も出さなくなり、もうこの暗いキャラでいこうってなりました。

――暗かったグレン少年が、お笑いの道に飛び込むきっかけは?
グレン ずっとテレビっ子で、気がついたらお笑いが好きになっていたんですよね。芸人になったら、笑われるのもウケたからだと転換できるし。いまはもう全然恥ずかしさはないですね。
――愛凛冴のおふたりが、お笑いの道に進んだきっかけを教えてください。
横山 僕はbaseよしもと(かつて大阪・難波にあった吉本興業の若手中心の劇場)が好きだったお姉ちゃんの影響ですね。雑誌の『マンスリーよしもと』も家にあったので、チュートリアルさんがパスタを作るコーナーを読んでいましたもん。
お笑い好きだし、学生時代はお笑い担当みたいな感じだったので、芸人やりたいなとひとりでNSC(吉本総合芸能学院)に入りました。
玲二 僕は子どものころ、しっかりしていると言われる反面、めっちゃどんくさいところもあって。なんにもない場所でコケたり、誰もしないミスをしたりしてアワアワしているのをずっと大人にイジられていて。その様子をみて、まわりが「そんなんやったら吉本に入らなアカンで」と。
僕も真に受けて「オレ、吉本か……」と思ったんですよね。高校3年生で進路を決めるとき、「吉本に入ります」と親に伝えたら、「言われてホンマに入るヤツはおらんで」と呆れられましたけど。でも、いまのコンビを結成するまでは地獄を見ましたね。
――地獄を抜け出せたのは、相方の横山さんのおかげですか? 転機はなんだったんでしょう?
玲二 人の目を気にしなくなりましたね。それまでは、めっちゃ気を使うタイプで。疑り深いし、他人のことを頼るより自分でやったらいいわと思っていたんです。期待して裏切られたくもないし。でも、人の目を気にするのはやめて、ネタや返しでスベっても「次にウケたらいいわ」とパッと気持ちを切り替えるようにしたんです。
愛凛冴・横山「僕らを受け入れてくれた素敵な番組です!」
――2026年は正月早々、全国放送に出演して運気も上がりそうですね。今年の目標を聞かせてください。
グレン 僕はバイトをやめたいですね。お笑いだけで食えるようになるっていうのが、いちばん近い目標というか。週3~4日バイトしているのですが、全然慣れないし、しんどい。基本ワンオペで、朝までやっているお店なんですが、明け方4時くらいになったら酔っ払いの人に「芸人なんやから面白いことやれや」って言われるので、売れたらそういう人を見返したいですね。
――売れるために「これは努力しなければ」ということはありますか?
グレン 今年の夏に、芸歴7年以下の劇場所属のメンバー(マンゲキの翔メンバー)の人気投票があったのですが、僕、95人中95位で最下位でした。劇場に入りたてで、お客さんが知らないとかならわかるけど、僕、以前はエナマキシマというコンビを組んでいたし、たまに『千原ジュニアの座王』(関西テレビ)などテレビに出してもらっているので、知られていないことはないと思うんです。知っているうえで好きじゃないって、だいぶ危機感を覚えました。
玲二 ピン芸人でこんだけ面白いんだから、絶対いつかは評価されると思う。グレンの魅力が伝わるいい媒体がないだけ!

――愛凛冴のおふたりの2026年の目標は?
横山 やっぱり『M-1グランプリ』ですかね。2025年に優勝したたくろうさんは、ほんまに近くで見ていた人で、一緒のライブに出たこともある。すごい近い距離にいた人が優勝したというのは嬉しいし、がんばらないとダメだなという気持ちにさせてくれます。勇気や元気ももらった気がします。
玲二 このビジュアルをいつまで続けていいのかは考えますね。見た目が怖いと「朝や昼の番組に出られなかったりするかも?」と。だからなのか、大阪・関西万博は、僕ら1回も呼んでもらえなかったし。でも、もっと中身を知ってもらえたらと思いますね。こいつなんやねんと思われて、フタを開けたらいいヤツ、というギャップもいいですけどね。
横山 確かに大阪・関西万博は、明るくて楽しい兄さん姉さんが行っていた気がするな。だからよく考えてみてください。この3人が東京に乗り込めるって『さんまのまんま』って本当に素敵な番組なんですよ。
