年越し恒例『おもしろ荘』で会場「フゥーッ!」 DOG FOOD PARTYに異色のラップスタイルコント誕生秘話を独占直撃

年末年始に年をまたいで放送された「ぐるぐるナインティナイン」(日本テレビ系)の年末年始恒例企画『おもしろ荘』。若手芸人の登竜門であるこの番組で3位に輝いたのが、DOG FOOD PARTY(ちょふ、Tatsumaki boy)です。自分の顔にコンプレックスを持つ男の前に「昆布男」が現れるコントを披露した彼らは、Tatsumaki boyが自作したビートに乗せてラップを歌う独特なスタイルで、スタジオに一体感を生み出しました。ボケとツッコミではなく、トラックメイカーとパフォーマー。「笑いのレール」に乗らない2人に話を聞きました。

出典: FANY マガジン
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流れ星目撃で優勝を確信

──収録を振り返ってどうでしたか?

Tatsumaki boy(以下、Tatsumaki) 大きな番組に出るのが初めてで、まず「朝から夜までこんなに拘束されるんだ!」と思いました。

ちょふ 僕、全身緑の衣装を着ていたんですけど、その恰好でいなきゃいけないから、局内のコンビニに入ったときも「なにあの人?」みたいな目で見られて……。恥ずかしかったです。

Tatsumaki スタジオには、ナインティナインさん、出川(哲朗)さん、あのちゃん……と、緊張するメンツばかりのなか、コーナーMCとして、エルフの荒川さんがいらっしゃったんですよ。知っている先輩がいたのは、めっちゃ心強かったっすね。

──ネタ以外のトークゾーンはいかがでしたか?

Tatsumaki 事前に打ち合わせをしたんですけど、ちょふがダンスができるので、ラテンダンスをやることになったんです。でも、本番前に「スベるかもしれない!」と思って、やりたくなくなっちゃって(笑)。

ちょふ カメリハ(カメラリハーサル)で何度もやったのにうまくいかなくて。「これヤバそうだな」と。

Tatsumaki でも本番では、ふだん劇場でやってる「喧嘩のくだり」があって……。ちょっと1回やってみますね!

(実際にくだりを披露)

──(笑)

Tatsumaki このくだりを連続でやってたら時間切れになり、結局、ダンスを披露することはありませんでした。安心しましたね。

ちょふ 逆にお気に入りのくだりを見せられたのでよかったです。ウケるというよりは、出川さんやお客さんが「フゥーッ!」って盛り上げてくれたんで、めっちゃうれしかったですね。

出典: FANY マガジン
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──今回3位となりました。もちろん優勝を狙っていたと思いますが……。

Tatsumaki  1位になれると思ったんですけどね~。

ちょふ 本当に優勝すると思っていました。近年、こんなにも『おもしろ荘』っぽいヤツらは出てきてなかったと思うんですよ。

──確かに(笑)

Tatsumaki 「優勝する」と思ったのには理由があって。収録の前日にちょふの実家の車で一緒にサウナに行ったんです。めっちゃととのったし、「明日頑張ろう!」と思って夜の高速道路を走って帰ってたら、流れ星が見えて!

ちょふ 前日に2人で流れ星を見るなんて、めったにないじゃないですか。「オレら絶対優勝するじゃん!」って(笑)。

Tatsumaki でも、1位も2位もめっちゃウケてたんで、やっぱ難しいんだなって思いましたね。

ちょふ ただ、こいつ優勝してないくせに、マインドはめっちゃ売れてるヤツで、最近、急にトガり始めたんですよ。

Tatsumaki よしもと自体が「ネタ至上主義」みたいな空気じゃないですか。僕らは頭がいいんで(笑)、アジャストして劇場に入れたものの、つぶされたヤツも見てきたわけです。やっぱりレール敷かれてる系のヤツは全員ムカつくというか。僕らがこれで売れたら「正しかった」って言えるんで、まだまだがんばりたい。そういうのもあって、ここ最近でめっちゃトガり始めました。

出典: FANY マガジン
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ちょふ 『おもしろ荘』の収録前後くらいで急にトガり始めてね(笑)。僕ら高校の同級生なんですけど、確かに高校のときからトガッてはいたんです。Tatsumaki boyがネタを書いているんですが、最近、ネタが受け入れられてきたこともあり、トガりが表に出てきただけなのかなって思います。

Tatsumaki だってめっちゃ不安だったもん。箸にも棒にもかからなかったころって、僕らみたいに変なことをやってると、めっちゃ不安なんですよ。ちょふは、僕が誘って就職も諦めてついてきてくれているから、そのぶん「めっちゃ間違えてたらどうしよう!」って。それがだんだん評価されるようになってきて、少しずつ「間違いじゃないんだな」とトガりも出てきました(笑)。

自分たちのネタで「アガる」

──来年で芸歴5年目です。漫才やコントとはひと味違う音楽を取り入れたネタで頭角を現していますが、お笑いの世界に入ったきっかけは?

Tatsumaki 高校時代に「2人で何かやりたいね」という話はしていて、お互い大学に通い始めてからもちょくちょく会っていたんです。でも、僕がすげえ落ちちゃって、全然やる気もでなくて、大学2年で中退しちゃったんですよ。「どうしようかな」と思っていたときに、お笑いだったら難しいこと考えずに楽しくやれそうだなと思って、ちょふを誘いました。だから実はそんなにお笑いを見てきてないんです。

──ちょふさんは誘われたとき、どんな気持ちだったんですか?

ちょふ 僕たち高校では演劇科だったんですよ。僕は小さいころにミュージカルをやっていたし、いろいろ諦めて就職するのもな……と思っていたときに、Tatsumaki boyから誘ってもらって。内定はいただいたんですけど、「そっちのほうが楽しいか」と思ったし、親友からの誘いだったんで、やろうと決めました。

出典: FANY マガジン
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──ネタにラップや音楽を取り入れ始めたきっかけは?

ちょふ 演劇科出身ということもあって、最初はしっかりめのコントをしていたんです。でも、1年くらい経って「どうにもなんねえな」ってときに、こいつがいきなり曲を持ってきて。

Tatsumaki たぶん、行き詰まっていたんだと思います。コントをやっても上には強い人がいるし、脳みそ的にも「オレらってそんなに面白い人じゃないぞ」って気づいて。「あとは見せ方だよな」と思っていたタイミングで、趣味で作っていた曲でめっちゃいいのができたんです。ちょっとネタっぽいし、「お笑いでもいけるんじゃないか」と思って、ちょふに聴かせたら「これでいこう!」という話になりました。

ちょふ 「リズムネタをやろう!」と思って作るんじゃなくて、自然発生的にリズムネタができるって珍しいですよね。自分たちの好きなこと、やりたいことをしていたら、自然とコントからリズムネタになったって感じです。

出典: FANY マガジン
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──もともと曲作りが好きだったら、ネタも作りやすそうですね。

Tatsumaki マジでそうかもしれないです。作っていて楽しいし、聴いてるとハンズアップしちゃいそうになるし、自分たちの作ったネタで「アガる」ことってないと思うんですよね。曲を作ってちょふに聴かせるとき、いつも「ヤバいね」って、めっちゃいい反応をしてくれるんです。それがネタづくりのモチベーションにつながっていますね。

──ネタの中で特に皆さんに見てほしいポイントを教えてください。

Tatsumaki ラップのところですね。ネタのなかに僕のラップが必ず入るんですが、お笑いの脳みそになっている人からは「ここのラップ部分ってひとつも笑いがないから、絶対に削ったほうがいい」って言われるんです。でも僕は絶対に入れたいと思っていて。

ちょふ コントの状況説明やツッコミをラップにしているんですが、見たことないかたちすぎて、最初はウケていました。でも、だんだん「なんでラップしてんの?」みたいな空気になっちゃって。でも楽曲として聴くと、韻の踏み方やリズムの取り方など、めっちゃいいラップなんですよね。

目標は『M-1』じゃなく『Mステ』!?

──コンビの目標を教えてください。

Tatsumaki 僕はコンビで『ミュージックステーション(Mステ)』(テレビ朝日系)に出たいです。あと、音楽系のフェスにも出まくりたい。

──芸人さんがフェスに出演することも珍しくないですもんね。

Tatsumaki あれも「オレらでいいだろ」って思っていますね。最近、「芸人×音楽」ってありますけど、トラックもしょうもないのに、音楽を名乗って「芸人」と「音楽」の融合みたいな……いやいや、オレらオレら! オレらしかできてないもん!

ちょふ 本当にこんなに音楽にこだわってやってるリズムネタの人って、マジでいないと思います。あと、僕らサブスクでファニーなテーマで曲を出しているんですよ。たぶん、この記事が出るころには新曲も配信されていると思います。

Tatsumaki 『おもしろ荘』オンエアのタイミングで、ネタじゃなくて、新曲を出すっていう。

──(笑)

出典: FANY マガジン
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ちょふ 『Mステ』やフェスもそうですけど、電気グルーヴをロールモデルとしているところがあって。Tatsumaki boyが石野卓球で、僕は俳優とかもやりたいんでピエール瀧みたいな。そこを目指しています。

あとは、歌が好きなんでいろいろなアーティストと共演したい。大好きな椎名林檎が男性アーティストとコラボして曲を出しているんですが、いつか一緒にやりたいです。その楽曲をこいつにも携わってほしいなって思います。

Tatsumaki:いいね。やりたい。

写真・文:浜瀬将樹

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