上方漫才協会が主催する『第十一回 上方漫才協会大賞』が1月12日(月・祝)、大阪・なんばグランド花月で開催されました。当日のネタバトルで決定する新人賞のほか、話題賞、劇場賞、文芸部門賞、そして1年を通じてめざましい活躍を見せた若手芸人に贈られる大賞などを一挙に発表! その注目の「大賞」受賞者には、『第46回ABCお笑いグランプリ2025』で優勝し、『M-1グランプリ』で2年連続ファイナリストとなったエバース(佐々木隆史、町田和樹)が選ばれました。

レインボーのネタが、なんばグランド花月で完成
上方漫才協会の中田カウス会長と、MCを務めるアインシュタイン(稲田直樹、河井ゆずる)が、冒頭からフルスロットルでさまざまな賞を発表していきます。受賞芸人、ノミネート芸人たちが集まる楽屋の様子は、トット・桑原雅人がレポート。舞台上も裏側も、2026年の始まりを告げる晴れ舞台に沸き立ちます。

まずは、メディアを賑わし、上方漫才の発展にも貢献した芸人に贈られる「話題賞」から。選ばれたのは、ダイタク(吉本大、吉本拓)でした。昨年、活動休止もあった大は「謹慎中は迷惑をかけたので、また頑張っていきたい」とコメントします。一方の拓は「二度と(謹慎になるようなことを)やってほしくないなと思います」と相方に喝を入れました。

劇場を支え続けた芸人を称える「劇場賞」は、『THE SECOND〜漫才トーナメント〜2024』のチャンピオンであるガクテンソク(よじょう、奥田修二)に決定。舞台に立ち続け、新ネタライブも定期的に開催するなど、劇場で漫才を磨き続ける姿勢が評価されました。奥田は「今日もこれで9回目の漫才。(1日)14回まではいける」と胸を張ります。

今回新設された、しっかりとした世界観を持ち、次世代を見据えた新しいコントの可能性を見せた芸人を讃える賞「THE NEXT CONTE賞」は、レインボー(ジャンボたかお、池田直人)が受賞。この日は『キングオブコント2025』でも見せたネタを披露しましたが、終盤に2人が漫才をやるくだりでサンパチマイクがせり上がるのは、テレビではできなかった演出だったそう。レインボーの2人は「NGK(なんばグランド花月)だから実現した。これでネタが完成した。ありがとうございました」と大喜びでした。

特別賞はタカアンドトシに決定!
芸歴8年目以下の芸人を対象とする「新人賞」には、東西の劇場で行われたネタバトルなどの成績をもとに、三遊間(稲継諒、さくらい)、ぐろう(家村涼太、高松巧)、例えば炎(タキノルイ、田上)、イチゴ(イクト、木原優一)、ゼロカラン(ワキユウタ、たいが)、家族チャーハン(大石、江頭)がノミネート。ネタ披露後の審査の結果、家族チャーハンが新人賞に選ばれました。
家族チャーハン・大石は「昨日は(埼玉県の)大宮(ラクーンよしもと劇場)でライブをやって、そこから新幹線を乗り継いで大阪に来たので、賞が獲れてめっちゃうれしい」と語ります。
江頭は大阪出身で、以前はなんばグランド花月のイベントに大阪代表として出演したことも。その際、『たこやきとお好み焼きに割って入れ! 家族チャーハン』というキャッチフレーズをつけられたことから、今回の受賞を機に「これからは、大阪名物はたこやき・お好み焼き・家族チャーハンでよろしくお願いします!」と呼びかけました。

ネタの台本や表現方法などの視点で特に優れている芸人に贈られる「文芸部門賞」には、シカノシンプ(北川、ゆのき)、滝音(さすけ、秋定遼太郎)、ドンデコルテ(小橋共作、渡辺銀次)、ミカボ(土屋翼、山田裕磨)の4組が選ばれました。
『M-1グランプリ2025』の決勝で大きな話題を呼んだドンデコルテの2人は、ネタ披露後のインタビューで「M-1以降、全然違う。気づいたら、いまになっていた」と多忙ぶりを明かしました。

各賞とはひと味違うのが、舞台衣装にフォーカスした企画「トータルコーディネート部門〜イメージチェンジ〜」です。タイムキーパー(まついあきら、ひでき)、ナイチンゲールダンス(中野なかるてぃん、ヤス)、ヨネダ2000(誠、愛)、ダブルヒガシ(大東翔生、東良介)という4組がふだんの衣装から大変身し、観客は大喜びでした。

そしていよいよ「大賞」の発表へ。ノミネートされた全47組の中から最終ノミネートに残ったのは、エバース(佐々木隆史、町田和樹)、豪快キャプテン(べーやん、山下ギャンブルゴリラ)、例えば炎、ツートライブ(たかのり、周平魂)、バッテリィズ(エース、寺家)、フースーヤ(田中ショータイム、谷口理)、ロングコートダディ(堂前透、兎)です。
いずれ劣らぬ7組の実力派が並ぶなか、大賞に輝いたのはエバースでした! 上方漫才協会のカウス会長はエバースについて、こう語ります。
「作るネタ1本1本が素晴らしい。町田くんの返しのツッコミもうまくなってきている。M-1が終わったあと、すぐ新ネタを下ろしていたし、本当に力をつけてきている」
受賞したエバース・佐々木が「僕はまだしも、町田までもらえるとは」とコメントして笑いを誘うと、町田は「今年のM-1もやってやりますよ!」と堂々のリベンジ宣言で沸かせました。

そして、「特別賞」はタカアンドトシ(タカ、トシ)に決定。カウス会長は受賞理由について、「いつも舞台袖から見ていたが、1回1回、手を抜かず爆笑をとっていた。見事な漫才を見せてくれました」と説明します。
タカは「まさか、北海道出身の我々が上方漫才の賞をもらえるなんて……30年やってきて本当によかった」と喜びを噛み締めました。

若手芸人の成長ぶりにカウス会長「将来は安心」
終演後の囲み会見にはカウス会長、大賞のエバース、特別賞のタカアンドトシ、THE NEXT CONTE賞のレインボー、新人賞の家族チャーハンが出席。カウス会長は「特に新人賞のレベルが高かった。ということは、将来は安心。ホッとするというか、そういう感じですね」と、若手芸人たちの成長ぶりに目を細めます。

大賞に輝いたエバース・町田は「日ごろから漫才に向き合ってきたのが伝わって、大賞が獲れました」とコメント。佐々木も「去年1年、漫才を頑張った“ご褒美”と言ったら失礼かもしれないですけど、本当にうれしかったです」と笑顔を見せます。
また昨年は3位に終わったM-1について、佐々木は「あんまり賞レースを意識することなく、1年間、寄席を頑張って、その結果として『M-1』に持っていければ」と目標を掲げました。

新人賞の家族チャーハン・江頭は「賞をいただいたことがなかったので光栄です。いままでやってきたことが少しでも評価されたということで、非常にうれしく思っています」とコメント。大石も「感無量です」としみじみ語り、「(ノミネートされたのが)その場でネタをやるバトル形式で、いつも負けている面々だったりしたので、その人たちに勝てたというのも含めてめちゃくちゃうれしかった」と振り返ります。
大石はさらに、「この賞をいただいたことに恥じないように日々、漫才に打ち込んで、各賞レースで結果を出し、『やっぱり上方漫才協会大賞の新人賞を取ったコンビはすごかった』というふうになったら」と気合を入れ直しました。

タカアンドトシは、賞を受賞するのが芸歴30年にして初めてだそう。そのぶん喜びもひとしおで、タカは「我々は劇場で毎回、全力でやらせてもらってるんですが、そこをちゃんと評価していただいたのはものすごくうれしかった」と語ります。
トシも「去年1年ということではなく、1個1個の積み重ねでしかなかったので、こういう素晴らしい賞をいただいて青天の霹靂。本当にありがたい限りです」と話しました。

今回新設された「THE NEXT CONTE賞」を受賞したレインボーは感謝の言葉に加えて、よしもと福岡 大和証券劇場でのカウス会長とのエピソードを披露。池田が「我々のネタを客席で3公演も見てくれて、『新しいね』って声を掛けてもらったんです」と明かすと、ジャンボは「スッと我々のところに来て、腕をグッとつかんで『新しい!』と言ってくれた。それが強くて長かったです」と語ります。
そんなレインボーについて、カウス会長は「(福岡で)3回ともネタをちゃんと変えて、3回とも爆笑を取っていた。(昨年、審査員特別コント作家賞・審査員特別コント演技賞を受賞した)コットンという素晴らしいコント師もいますが、また全然違う味でいいと思う」と賛辞を送りました。

NSC(吉本総合芸能学院)東京校出身で、結成当初から東京を拠点に活動してきたコンビが大賞を受賞するのは、エバースが初めてのこと。カウス会長は、その成長ぶりについてこう語りました。
「名前には“上方”とついていますが、協会は東京も一体のもの。エバースも、エンタツ・アチャコ師匠がお作りになったしゃべくり漫才、掛け合い漫才がきちっとできている。大阪は漫才が生まれた土地で、漫才を生み出す土壌みたいなものがある。その漫才の呼吸を、東京の若い子たちも受け継いで腕を磨いてくれている」
