観客が号泣するほど胸に突き刺さるパフォーマンス! ガベジが語るこれまでの歩みと東京五輪“開会式”秘話「本当にしんどかったんだよ…」

こんにちは。FANYマガジン芸人ライターの5GAP・クボケンです。
強烈な体験があります。僕は数々の芸人さんのライブを見てきましたが、まわりも驚くほどの大号泣をした経験がたった一度だけあるのです。そのライブの主催者はMASAさんとhitoshiさんの2人組パフォーマー、ガベジさん。そんなガベジさんが6月28日(日)にライブ『タイムラグ♡ラブ』を東京・高円寺の座・高円寺2で開催するので、さっそくお話を聞いてきました。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

■ガベジプロフィール
MASA(マサ)
秋田県北秋田市出身。立ち位置左。
hitoshi(ヒトシ)
静岡県静岡市出身。立ち位置右。

ダンスやパントマイムを融合したパフォーマンスで海外でも多くの賞を受賞。東京オリンピック開会式のピクトグラムでは世界中の人に感動を与えた。

師匠“が〜まるちょば”との出会いと試練

――ガベジさんが吉本興業に入るまでの経緯を教えてもらえますか?

MASA 僕は母の知人がやっていた美容院でバイトをするため秋田から上京しました。高校卒業して3日後には東京いたよ(笑)。でも実は役者になるって決めてて、しばらくして俳優事務所に入ったんです。もちろん美容師のバイトもやってましたよ。ちゃんとシャンプーも磨いてたし。

――シャンプー磨いてたんですか? シャンプーの技術ではなく?(※クボケン注・MASAさんは行動力と天然ボケの超人です)

MASA アハハ! 間違えた(笑)。それで事務所にいる役者5、6人で路上パフォーマンスするグループを組むことになって、それで“劇団ガベジ”という名で活動してたんです。でも次第に人数が減って来たので、新メンバーオーディションをしたんです。その応募の中にいたのがhitoshiなんですよ。

hitoshi 応募雑誌に「君も漢にならないか?」ってキャッチコピーが書いてあってね(笑)。学生のときからダンスもやってたし、オレも漢になれるかもと思って、学生を卒業した3日後には東京行ってた(笑)。

――いや、2人とも3日で上京!? (※クボケン注・hitoshiさんは行動力と健康マニアの超人です)

hitoshi 僕は漠然とですがタレント志望で、そのときに劇団ガベジのオーディションを見つけたんです。見事合格して、メンバー13人で活動しました。そのときにやってたのが、代々木公園の路上でダンスと寸劇。

MASA その寸劇も、まわりにバンドがいたりとかで全然声が通らないから、もう聞こえないなら、”声をはずそう”と。そこでパントマイムっぽいことをやってたんです。

出典: FANY マガジン
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――いわばそこが原点なんですね。

hitoshi そうですね。でも次第にメンバーも減り、いよいよクビというときに僕は「いらないならガベジの全権利をくれ」と事務所に直談判して、もらいました。それで僕は才能のある人とやりたいと思って、「ガベジを続けませんか? 誰の助けも借りず、毎週1回を1年間だけ、あの代々木公園でやりませんか?」ってこのMASAさんに伝えたんです。

――いい話ですね。

hitosh それから2人で必死に作り続けたのですが、「何もなかったけど、ちょうど今日で1年かぁ」なんて話してたときに、突然、NHKの人から名刺を渡されて「番組に出ませんか?」と言われて。

MASA その番組の審査員の1組が“が〜まるちょば”だったんです。そして後日、その事務所から連絡が来て『弟子にならないか?』と言われたんです。

――すごい奇跡の出会いですね!

MASA そんなキッカケで師匠とともにすると、僕らがもともと路上でやっていたパフォーマンスに対していろんなお題がくるんですよ。“いっさい喋らないでやって”とか、“小道具使うのやめよう”とか、“効果音もなしで”とか。

hitoshi いったん、ゼロにされるんです。僕らは路上でやってた自信もあるので、こう(天狗に)なってた。それが師匠には見えたんですって。それで師匠に「1回、投げ銭を取ってみ」と言われて初めてやってみたら、盛り上がったのに1円ももらえなかった。僕らの天狗の鼻はフニャフニャ〜って。

出典: FANY マガジン
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――芯からなくなっちゃった。

MASA そこから、いろいろなことをやってやってやって、沖縄での演劇祭でパフォーマンスをやったことをキッカケに僕らの海外案件が始まるんですよ。

hitoshi 海外へ行ったのは13カ国・40カ所ですかね。向こうはパフォーマーに対してもリスペクトがあるので、よく盛り上がりますね。いちばんは韓国かな。会場がすごく広くて僕らが米粒サイズにしか見えなくても、なぜか「ウワーーッ!!」って盛り上がりで(笑)。

――日本のお客さんとはまた楽しみ方が違いますよね。その後に吉本に入るんですか?

hitoshi 当時の事務所がダメになり、師匠がもともと仲の良かった吉本さんに師弟でそのまま移籍を。まぁ、1年後になぜか師匠だけ吉本を飛び出していくのですが(笑)。いまでも師弟関係は変わらないですよ。

開会式“ピクトグラム”5分間に詰められた真実と涙

――東京オリンピック開会式でのあのピクトグラムはどのような経緯で?

hitoshi オリンピックの組織から師匠のHIRO-PONさんにオファーがあり、あれを表現をするにために師匠が僕らの名前を出すと、組織側も「ガベジを知っている」となって話が進みました。

そこから半年間、稽古をするんですけど、表現方法や小道具などすべてゼロから。さらにはコロナでロックダウンになるし、「いったいどうなるの?」と。

MASA それで稽古を再開して、衣装(フルフェイスヘルメットのような青い球体)を頭にかぶってみるんですけど、あれまったく見えてないの。

――は? ウソですよね??

hitoshi MASAの青い衣装は、本番までに調整してギリギリ見えるか見えないか。僕の衣装は真っ白で、会場の照明が入るとハレーションして、まわりは何も見えないの。自分の手元だけがやっと見える感じ。でも、見えなくても自分がやるしかないんで、(唯一見える)手元の道具位置だけしっかり準備して。

MASA ただこれ、なんでオレらができたかというと、パントマイムなんです。パントマイムって空間認識能力が高くなるんで、ここに道具があれば少し右に別の道具がある、何歩進めば誰がいる、ってのが感覚でわかるんです。

これは僕らがパントマイムを始めたときに“小道具使うのやめよう”と師匠に削ぎ落とされたことにより、逆に研ぎ澄まされた能力なんです。

出典: FANY マガジン
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――そこが繋がってくるんですね!

hitoshi しかし本番で僕はラケットを落としちゃうんですよ。バトミントンとテニスのラケットがあるんですけど、なぜかそのときだけ位置が逆になってて。僕はいつも目視で道具位置のチェックしてたんですが、本番の日だけ初めて触って持って、フーッと一呼吸したんです。

恐らくそのときに、こう(逆に)しちゃったのかもしれないですね。でも、MASAが落ちたラケットを拾い直してポーズしてくれたんです。あれは素晴らしかったね。

MASA 僕はね、人生で100点を取ったことがないんですよ。必ずミスをする。だから最悪な状況を予測してそれに応じるように心掛けてたの。そして……あの……。

(※クボケン注・MASAさんはここで突然涙を流したのでした)

MASA 本当にしんどかったんだよ……。

(※クボケン注・オリンピックという超大舞台、失敗できないプレッシャー。理由はそれだけではなく、コロナ禍で関東郊外で行われたという日々の稽古の移動費の工面。そして理由はまだ他にも)

MASA 当時、練習会場に着くと必ずPCR検査があったの。コロナに罹ったら、すべてが終わりになっちゃうから、最後のPCR検査で陰性がわかったときに「よかったぁ……」って、ひざから崩れ落ちて泣きました。お母さんにも電話したもん。

だから本番のその一瞬のミスの話の中にいろんなことを思い出しちゃって……涙しちゃいました。

「お客さんが舞台を完成させてくれる」

――さて、今回のライブ『タイムラグ♡ラブ』なのですが、過去最高傑作との呼び声もあるみたいですが?

MASA 実はこれ10年前に沖縄の演劇祭でやった作品で、hitoshiがこの台本を書いてきたときに、もうビックリしたんです。「よくこれを作ったな、これは絶対面白い舞台になる」と。実際にまわりの評価もすごく高くて、僕はこの作品をいつかまたやらなきゃと思ってました。

hitoshi 演劇とかお笑いって音楽みたいに残らないじゃないですか。新しいのも大切だけど、作った作品も財産として一生残していきたいんです。だから僕らにオファーがきても、この作品しかやりませんとか。

そうしたら逆にオファーが増えて、今年で3年目の全国ツアーをできるようになりました。そして、この『タイムラグ♡ラブ』は、いま僕らを見に来てくれるお客さんにはまだ見せたことのない作品ですね。

――内容的にはどのような感じでしょうか?

Hitoshi それはパントマイムの難しいところで、僕らが言葉で内容を言ってしまうと、セリフがないことの素晴らしさが削がれちゃうんですよ。せっかくお客さんがその場で意味を考えたり、気づけたりするところが言葉で先に伝わっちゃうので。

出典: FANY マガジン
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―なるほど、僕も以前、ガベジさんのあのライブを予備知識なしに見たときの没入感。そして「これはこういうことかな?」と自分で考え出すと、最後のメッセージがしっかりと受け取れたんですよ。で、大号泣したんです!

hitoshi それです! いやぁ、あれは本当に嬉しかったですよ! いい舞台には“穴”(考える余地)があるんですよ。「ん? いまのは?」って思わせることによって、お客さんがこう(前のめりに)なる。

そして演者とお客さんがお互いこう(前のめりに)寄り添ったときに、いいものがあるんだと思います。僕らもみなさんの心をグーッと動かせるように作っていくので、ぜひみなさんも自分を解放して、あの楽しさを体験してほしいですね。

MASA 僕たちの舞台は完成されてないんだよね、お客さんが完成させてくれるの。

hitoshi &クボケン そう! 素晴らしい!!

公演概要

ガベジシアター『タイムラグ♡ラブ』
日時:6月28日(日)14:30開場/15:00開演
会場:座・高円寺2(東京都杉並区高円寺北2-1-2)
料金:大人・前売3,500円/当日4,000円/こども(中学生以下)2,000円

ガベジシアター『アフタートーク』
日時:6月28日(日)16:30開場/17:00開演
会場:座・高円寺2(東京都杉並区高円寺北2-1-2)
料金:前売1,000円/当日1,500円

FANYチケット:https://ticket.fany.lol/

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