慶應義塾大学×川崎市の「健康長寿」新プロジェクト始動! “79歳の若手ピン芸人”おばあちゃんが市民講座で「健康長寿の秘訣は“好きなことをする”」

慶應義塾大学と川崎市がタッグを組んだ市民公開講座『人もまちも元気に~高齢者の暮らし方と健康に関する学術調査の新展開~』が、6月29日(月)に川崎市産業振興会館で開催されました。当日は新プロジェクトの発表や、健康長寿についての講座、個別の健康相談、健康測定会などが行われたほか、スペシャルゲストとしてピン芸人・おばあちゃんが登場。おばあちゃんは、シルバー川柳を交えたネタを披露したり、来場者と一緒に体操に参加したりして会場を盛り上げました。

出典: FANY マガジン
©慶應義塾 広報室

K-MAPで「人もまちも元気になれるサービスにつなげたい」

慶應義塾大学と川崎市はこれまで、超高齢社会を迎える日本で「健康長寿」の実現を目指し、「高齢者の暮らし方と健康に関する学術調査」を実施してきました。この日の公開講座は、これまでの調査結果から見えてきた健康長寿のヒントを伝えると同時に、市民約1000人を対象として新たにスタートする調査研究「川崎みらいアクティブ・プロジェクト(K-MAP)」を紹介します。

最初の公開講座は、慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科・スポーツ医学研究センターの小熊祐子教授による「始まる!K-MAP研究」です。「川崎みらいアクティブ・プロジェクト」の頭文字をとって名づけられた「K-MAP」。そのうえで小熊教授は、「MAPは街作りという意味も込められている」と説明しました。

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プロジェクトは、75〜79歳の市民約1000人を対象に調査を実施します。食事・運動と健康との関係に加え、日常生活や人とのつながりに関する情報、医療保険・介護保険の情報、血液検査データなどを組み合わせて統合的に分析。どのような生活習慣や地域とのかかわりが健康の維持につながるのか、を明らかにしていきます。

小熊教授は「今回の研究の特徴は、研究の結果を川崎市に還元していくこと。調査参加者の健康づくりに役立つことはもちろん、人もまちも元気になれるサービスにつなげたいと思っています」と意気込みました。

おばあちゃんが「シルバー川柳」ネタ披露!

“79歳の超若手ピン芸人”おばあちゃんが登場したのは、「笑いと運動で心もからだもアクティブに!」と題されたコーナー。おばあちゃんはスタンドマイクの高さを調節しながら、「私が触ると点滴に見えますが……ヨイショと」と、つかみのひとボケでしっかり笑わせます。

そこから漫談がスタート! 「朝から掃除、洗濯、買い物とバタバタして、やっと一区切りついて茶の間で横になり、くつろいでいると突然のチャイムが。歳を重ねますと、すぐには立ち上がれず……」と話して、ここで一句。

「チャイム鳴り やっと出たのに 不在票」

“シルバー川柳”を披露すると、会場から共感が混ざった笑いと大きな拍手が起こりました。

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おばあちゃんは、「健康のために、テレビ体操をしたり、好き嫌いせず何でも食べています」と自己紹介。そして「毎年、健康診断も受けているんですが、70歳を過ぎたころから、先生に細かいことをいっさい言われなくなりました」と話したあと、「大丈夫 順調ですよ 老化です」と一句詠んで拍手喝采を浴びました。

おばあちゃんは、71歳で養成所のNSC(吉本総合芸能学院)に入学、2023年に76歳という史上最高齢で神保町よしもと漫才劇場の所属メンバーになったという、異色の経歴の持ち主。38歳のときには乳がんのステージ4を経験したほか、これまでに膝の手術やリハビリも乗り越えていて、小熊教授は「健康長寿の生きたお手本」だと紹介します。

参加者と一緒に体操にチャレンジ

64歳まで仕事を続けたおばあちゃんは定年後、昔から好きだった「人を笑顔にする仕事」に挑戦しようと高齢者の劇団に入ったものの右も左もわからず、まずは基礎の勉強をしたいとNSCの扉を叩きました。おばあちゃんは「いろんなところに電話してみたんですけど、どこも年齢制限があって入れてもらえなくて。NSCだけが『いいですよ』と言ってくださったんです」と笑顔で振り返ります。

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健康長寿の秘訣を聞かれたおばあちゃんは、「自分の好きなことをするってことなんですよね。だからみなさんも、できる限り自分のしたいことをしていくといいと思います」とニッコリ。また、普段から出かける用事をたくさん作って、「とにかく家にいないこと」を心がけていると明かしました。

続いて、川崎市が取り組んでいる「介護予防いきいき大作戦」で作られた「介護♡予防かわさき体操〜上を向いて歩こう〜」という3分程度の簡単な体操にチャレンジ。イスに座ったままできるこの体操に、おばあちゃんも一緒に取り組みます。

体操をリードしたのは、理学療法士で慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科博士課程の学生でもある中村学さん。名曲『上を向いて歩こう』に乗せて、深呼吸からスタートし、腕と指の曲げ伸ばしや、首を回すなどの簡単な体操を行います。

偶然にも、『上を向いて歩こう』はおばあちゃんのステージでの出囃子です。おばあちゃんは要所要所で「よいしょ!」などと合いの手を入れ、「私も普段から体操はしてますけど、これからはこの体操もやるようにします。でもみなさん、上手ですね! 私は腕が上がらなくて……(笑)」と、お客さんを盛り上げました。

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おばあちゃんはさらに、吉本興業が現在、「健康」の分野にも取り組んでいて、企業や自治体、大学などの研究機関とタッグを組んで「笑いと健康プロジェクト(ワラケン)」を進めていることを紹介。「私も最近、知ったんですけど、このような取り組みはとても嬉しいです」とにこやかに話しました。

会場内にはさまざまなブース出展も

その後も市民講座は続き、慶應義塾大学医学部百寿総合研究センター長の新井康通・看護医療学部教授による「川崎元気高齢者コホート研究からわかったこと」では、「日本全国の百寿者(100歳以上)」や「大都市圏(川崎市)に暮らす高齢者(85歳~89歳)」に焦点を当てたユニークな健康長寿に関する研究の結果を報告しました。

さらに、慶應義塾大学スポーツ医学研究センターの原藤健吾准教授による講座「いつまでも自分の足で歩くために~転ばぬ先の運動器ケア~」では、要支援・要介護の原因の4分の1が運動器の障害であることから、健康寿命を延ばすためには運動器(全身の骨格、関節、筋、腱、靭帯)のケアが大事であることについて説明されました。

出典: FANY マガジン
©慶應義塾 広報室
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イベントの後半では、医師(整形外科、老年内科、総合診療科)による個別健康相談、川崎フロンターレ「ウェルネスサポートミュージアム」による健康長寿に関する展示や健康測定会(糖化度、握力)、第一興商による生活総合機能改善機器『DK ELDER SYSTEM』のコンテンツ(カラオケ、健康維持、趣味・生きがいなど)紹介などが行われ、参加者たちは各ブースで医師に相談したり、測定や運動を楽しみながら行ったりと、思い思いにイベントに参加しました。