天才ピアニストがYouTubeで登録者数“爆増”させた戦略とは!? YCAで実践講義「テロップで”おもろさの見え方”が全然違う」

いまや芸人にとって活動の幅を広げる“もう一つの舞台”となった動画配信。エンタメのスタッフを養成する「よしもとクリエイティブアカデミー(YCA)」大阪校が、8月1日(土)、2日(日)に短期集中で動画制作のノウハウを学ぶ「動画編集夏季講習」を開催しました。特別ゲストはYouTubeチャンネル登録者数19万人を誇る天才ピアニスト(竹内知咲・ますみ)。未来のエンタメ業界を担う受講生に何を伝えたのか、気になりますよね? ということで、わたくし芸人ライター・茜250ccの善家カズマサが、その講義の模様をお伝えします!

出典: FANY マガジン
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ますみの「恋愛格言」時代は登録者50人ほどだった

YCA大坂校の「動画編集夏季講習」は、ふだん生徒たちが学んでいる難波千日前のYCA校舎を飛び出し、たくさんのパソコンや編集機器がずらりと並んだ大阪スクールオブミュージック専門学校(OSM)で開催されました。ゲストとして、1日目は例えば炎(タキノルイ、田上)、2日目は天才ピアニストが登壇しました。

私が訪れたのは2日目。午前は実践を交えながら編集技術を学び、午後の最初の講義で、天才ピアニストによる特別講習と質疑応答が行われました。MCに仲西ンとこ・じゅんぺぇを迎え、インタビュー形式で講習は進みます。

まずは、受講者たちに将来就きたい業種について聞くと、構成作家志望や編集者希望、吉本興業の社員志望など、ジャンルはさまざま!

これを受けて、ますみは「社員さんでもマネージャーさんでも、動画編集やサムネイル作りができる技術があると、非常に助かるときがあります!」と話しました。確かにいまの時代、SNSでの告知や配信公演へと繋がる”入口”として、動画コンテンツの重要性は高まっていますね。

2人はチャンネル登録者数19万人を超える『天才ピアニスト公式チャンネル』を始めた経緯を交えながら、”企画の出し方”について話しました。

出典: FANY マガジン
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2017年に開設したこのチャンネルは、当初はいまのような形式ではなく“ますみの恋愛格言”を投稿するチャンネルだったのだとか(笑)。当時、どのような投稿していたかをじゅんぺいさんが尋ねると、ますみは人を好きになることついて「触れてみたいし、触れられたい」と格言を放ち、教室には大きな笑いが起こりました。

当時はこのテイストで、登録者50人ほどで運営していましたが、コロナ禍で舞台がなくなったことをきっかけにYouTube活動を本格化することを決め、チャンネルの方向性も変えたそうです。

ヒット企画「看護師あるある」が生まれた理由

この時期、ますみの看護師経験を活かした”看護師あるある”の動画を投稿することを竹内が提案し、登録者数も右肩上がりで増加していきました。

この方向転換の理由について竹内は、芸人のYouTubeでは“知名度のある芸人の動画”と“知名度がない芸人の動画”では視聴者のニーズに違いがあるという分析を語ります。

知名度のある芸人は、流行しているコンテンツや、その芸人の“ニン”が出るようなトークやゲーム配信に需要があります。しかし、知名度がない芸人は同じ企画をやってもなかなか視聴されません。そこで、当時は現在ほどの知名度がなかった天才ピアニストとして“いま流行っていないもの”や、動画のジャンルとして“圧倒的に強い人がいないもの”を探求すべきと考えたと話しました。

そして、“芸人でなくても再生数を見込める企画”、なおかつ“天才ピアニストの2人がいちばんおもしろくできるであろうコンテンツ”を考えた結果、「看護師あるある」にたどり着いたのだといいます。

す、すごい……! めちゃくちゃ考えられている! しかもそこから実際、登録者数は爆増していったわけですから、しっかりと根拠に基づいた裏づけがされていますね。え、ファニマガさん、こんな有益な情報を記事に書いてしまって大丈夫なのでしょうか?(笑)

「全国の看護師」という明確なターゲット

ますみは併せて、“視聴者のターゲットを絞る”ことの重要性について話しました。

「看護師あるある」はますみの強みを活かした動画ですが、それと同時に日本に存在する“約140万人の看護師”という明確なターゲットを見据えていました。その結果、登録者数は1日に1000人、次の日にまた1000人と増え続け、すぐに10万人を突破したのだとか。天才ピアニストの計算、恐るべし……!

2人は受講者が今後、まだ知名度があまりない芸人さんとタッグを組む場合は「まだ手がつけられてないジャンル、かつ、その人が得意なジャンルの企画にしてみては」とアドバイスを送りました。

出典: FANY マガジン
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わたしは取材としてこの講習会に参加しましたが、芸人にとってもタメになる話ばかりで、すっかり受講者になった気持ちでうなずきとペンが止まりませんでした。メモメモ……!

芸人が動画スタッフに求めることとは?

天才ピアニストは「看護師あるある」のほかに、多数の芸人たちを招いて演じる「医療あるあるドラマ」もYouTubeに投稿しています。

このドラマの台本を竹内がすべて手掛けていることを明かすと、MCのじゅんぺぇさんは「え、全部?!」と仰天。さらに「でも竹内は看護師の経験はないわけやん? どうやってんの?」と質問すると、竹内は「医療あるあるをやりすぎて、ちょっとわかってきた」と話し、教室から驚き混じりの笑いが起こりました。

これには看護師経験のあるますみも「看護学生よりも、へんに知識はあるかも」と太鼓判を押していました。

出典: FANY マガジン
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この「医療あるあるドラマ」の撮影は、作家1人がカメラを担当。竹内は台本作成に加え、カット割まで自ら考えているそうです。そして、ますみがスタジオの予約と演者のスケジュール調整を行なっています。そんな“何でもこなしてしまう”天才ピアニストが、動画スタッフに求めることは何なのでしょうか?

「撮影してくださるなかで『この部分、こういうカット割とかどうですか?』とか、提案してくれる作家さんはありがたいです。なので、動画をたくさん見ている作家さんはありがたいです」

こう話す竹内はさらに、「YouTubeのなかでも、いろいろな種類の動画を。テレビだとバラエティやロケやドラマなど、いろいろな動画の撮り方をわかっている方が裏方についていると、すごく心強いです」と、さまざまなジャンルで”おもしろい”の引き出しを持っていることの大切さを伝えました。

テロップの入れ方で参考になるチャンネルは?

続いて、話題は動画内でのテロップへ。竹内はさまざまな編集のなかでも「テロップ入るとおもろくなるんですよね」と、その重要性について力説。なかでも「”ツッコミのテロップ”が起こされているときと起こされていないときで、”おもろさの見え方”が全然違う」と強調します。

ツッコミにテロップが入ることで説得力が増し、ボケも引き立ち、動画内のアクセントの役割を果たしてくれるというのです。

出典: FANY マガジン
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身近な参考になるチャンネルとして挙げられたのは、わたしの同期であるイノシカチョウ(純吉、関本、ムギ)の『イノシカチョウch』。「テロップの入れ方がほんまにおもろくて、参考になるので皆さんぜひ見てください」と強く勧められていました。その一方、「内容は野蛮ですけど……」と、本音を漏らす一面も(笑)。

わたしの相方はよく『イノシカチョウch』で散々な目に合っているのですが、先日は収録を終え「お尻が痛い」と悲痛な表情をして帰ってきました(笑)。

詳しい内容は書けませんが、イノシカチョウのYouTubeはおもしろいですし、参考にもなりますので動画編集に興味がある方はぜひ見てみてください!

芸人が重宝するスタッフの「客観性」

講習会もいよいよ終盤。MCであるじゅんぺぇさんから「一緒にYouTubeの仕事をするうえでの、理想のスタッフ像はある?」と、この日の“核”となる質問がされました。

竹内は、企画の立案からスケジューリングまでを自らで行う自分たちが“レアなケース”としたうえで、「アイデアをたくさん出す人」が重宝されると話しました。たしかに、客観性を持ちながら“自分たちに合った企画”を出してくださる方がいると、われわれ芸人は本当にありがたいですね。

ますみは「作りたい動画の最終的な“画”がイメージできる人」と明かし、「こういう動画が撮りたい。だからここで、こう発言してほしい、などはどんどん口に出して言ってほしいです!」と、過去の自分たちのエピソードを交えながら話しました。

わたしはこの話題のなかで頻繁に出てきた「レスポンスの速さ」と「客観性」のワードが印象的でした。

芸人で、しかも長年連れ添ったコンビでも、新ネタや新しい企画を行う際、お互いの持つニュアンスの認識の違いは頻繁に起こります。その認識の違いを早急に埋めるための連絡の「レスポンスの速さ」、そしてやはり芸人は“おもしろい”を最優先で行動してしまいがちなので、誰かが傷つくことはないか、正確な情報に沿った企画なのかなどを見極める「客観性」、この二つは非常に大事であるとわたしも感じます。

最後は参加者からの質問コーナー。「編集者を選ぶことがありますか?」という質問に、ますみは「過去に作ったフライヤーや動画、デザインをインスタなどのSNSにまとめて投稿していると、芸人もアポイントメントやお願いをしやすい」と話しました。

そこから話は漫才劇場など、身の回りで芸人から重宝されるスタッフの話に。結論、動画編集ができるスタッフは、いまや芸人からは欠かせない存在となっており、2人は声をそろえて「動画編集はできたほうがいい! 即戦力!」と熱く伝えました。

こうして講義は大盛況で幕を閉じました。60分が一瞬に感じられるほどのタメになる話の連続で、参加者のノートには大量のメモが書き記されていました。

わたしも取材で訪れた身でありながら、かなり感銘を受け、先日、『茜250ccチャンネル』の企画会議で「爆竹巻いて鬼ごっこするか」と提案した自分を恥じました(笑)。

いかがでしたでしょうか? この日、参加したYCA生たちも大きな刺激を受けたに違いありません。卒業後、どこかで一緒にお仕事ができることを楽しみにしています!

「よしもとクリエイティブアカデミー(YCA)」公式サイト:https://yca.yoshimoto.co.jp/

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