吉本興業の創業110周年を記念して4月2日(土)、3日(日)に開催された特別公演『伝説の一日』。さまざまな“伝説”が生まれるなか、明石家さんま、今田耕司、ナインティナイン・岡村隆史を中心に、大御所から若手まで豪華な顔ぶれが一堂に会した『さんまの駐在さん』も大きな注目を集めました。そこで今回は、若手としてそのステージに立ち、会場を爆笑の渦に巻き込んだ空気階段(水川かたまり、鈴木もぐら)を直撃! “稽古さえスゴかった”という舞台裏をたっぷり語ってもらいました。
マヂラブと出番前に「どうしよう…」
————初日、千穐楽ともに4回目公演で行われた『さんまの駐在さん』の舞台では、ベテランに囲まれて奮闘していましたね。
水川 いや〜、本当に怖かったですよ。だって、始まってからずーっと大爆笑が続いているなかで僕らが舞台に出ていって。何をやるかもまったく決まっていない状態だったので。
————おふたりが登場したシーンは、さんまさんや今田さんが矢継ぎ早にお題を出して、即興大喜利のような展開になっていました。
鈴木 僕らが登場したのは若手が出るブロックの、3ブロック目でした。それまでのブロックは、集団で道具を使ってモノボケをする、という感じだったのが、僕らのブロックは稽古のときからモノすらなくて……。
水川 とりあえずその場でさんまさん、今田さんに振られたことをやるっていう感じでした。
————稽古のときからそう伝えられていたんですか?
鈴木 稽古のときからフリースタイルでした。だから、あらかじめ何かを考えておくということもできなくて。
水川 本番では、舞台袖で客席から聞こえてくる大爆笑を聞きながら震えるということしかできませんでした(笑)。
————だからこそ、あの臨場感たっぷりのヒリヒリする空気感が会場に伝わったのかもしれませんね。
鈴木 そうでしたか! あの舞台に立てたということは、素直にうれしかったんですよ。
————マヂカルラブリー(野田クリスタル、村上)と一緒に登場していましたが、同じ東京の芸人ということで心強かったのでは?
鈴木 それはありましたね。東京の先輩ですし。
水川 出る前に「これはヒリつくなぁ。どうしよう……」という会話はしましたが、かといってただただ“ヒリつく”と話すだけで、なにも決まっていないからお互い作戦の立てようもなかったです(笑)。
鈴木 だけど、せっかく打席をいただいたからには打率を上げたいという気持ちはありました。
稽古中のさんまのトークは「最上級の“まかない”」
————稽古の時点ですでにヒリヒリは感じていたんですか?
水川 稽古は、最初は東京だったんですが、顔ぶれがまさに「こんなすごいメンバーが集まるんだ!」というくらい勢ぞろいで、思わず笑ってしまうほどでした。
鈴木 大ベテランの方々も基本的には全員集まっていましたし、力を抜いてやる人は誰もいなかったです。それが、芸歴11年目の僕らからすると本当に贅沢で。まるでテレビを見ている側のような、「この舞台をおカネを払って見るとしたら、いったいいくらくらいになるんだろう……ていうか、チケット取れないだろうな」なんて思いながら参加していました。
————実際のところ、プレミアチケット化していましたからね。
鈴木 ですよね。だから、ヒリヒリする代償として、この様子を近距離で見させていただいた、という良い思いもしました。
水川 僕らも芸人ですが、いまだに感覚は“さんまさん”というよりは、「うわ、明石家さんまだ!」だし、「今田耕司だ!」「岡村隆史がいる!」なんですよね。それくらい、テレビで見ている光景が目の前に広がっていて。
そのうえ、台本ではたった1行で「さんまさん、オープニングトーク」と書かれているブロックでも、さんまさんはお客さんがいない稽古の段階から毎回しゃべって、そこにいる芸人たちを盛り上げてくれて。本当にすごかったです。
————稽古の段階から、その都度、オープニングトークが違ったんですか?
水川 そうです。2回お稽古がある日でも、いつも違うオープニングトークを繰り広げていらっしゃいました。
鈴木 あれは、僕らだけしか聞けないオープニングトークでしたね!
————出演者ならではの“贅沢”ですね。
鈴木 最上級の“まかない”でした。「まかない、こんなにうめーんだ」と(笑)。
次回も出演させてもらえるならマシンガン級の武器が必要
————大阪のベテランと一緒のステージは新鮮だったのでは?
鈴木 僕はよく喫煙所にいたんですが、(オール)阪神師匠による “怪談ショー”が繰り広げられていました。喫煙所に入った瞬間、「空気がすげー重いな」と思ったら、阪神師匠が怖い話をしていて、それが本当にめっちゃくちゃ怖かったんですよ。なので、初日の公演はものすごい怖い思いを抱きながら出演していました(笑)。
————ホッと一息つけるはずの喫煙所でそんなことが(笑)。水川さんはどうでしたか?
水川 僕らはふだん若手の劇場をメインとしているので、師匠とお会いできることってめったになくて、まず師匠という存在に「うわー!」という感じでした。エンディングで、これまでのヒットメドレーを全員で歌ったんですが、稽古のときに演出家の方が「ここで皆さん、足踏みしてください」と言ったとき、皆さん全然できなくて(笑)。足並みがそろわず、めちゃめちゃで「ようわからんわ〜」とおっしゃっていました。
鈴木 芸歴50年の方々になってくると、いつだってコミカルなんだなと思いましたね(笑)。私服とかめちゃくちゃカッコいいのにコミカルな空気が漂っていて、僕らも芸歴50年のころにはそうなっていたいです。
————ちなみに今回、椿鬼奴さんと森三中の黒沢かずこさんは、自ら志願して出演したと聞きました。
鈴木 えっ!? そうなんですか! もちろん僕らも憧れはありましたが、志願までは……。稽古を見ていて鬼奴さんと黒沢さんは適役というか、役柄にぴったりハマっていたので「きっと呼ばれて入ったんだろうな」と思っていました。
僕らはキングオブコントで優勝したから出演させてもらえたと思うんですが、もし次も出演させてもらえるなら、やっぱりお客さんに喜んでいただける何かを引っさげないとダメだなと感じましたね。ギャグなり何なり、なにかお客さんが喜んでくれるものがないと。でないと太刀打ちできないです(笑)。
水川 マシンガンくらいの武器を携えないと(笑)。出てきたときの盛り上がりと、お客さんから湧き上がる「待ってました!」の雰囲気とね。
鈴木 だって、本当に皆さんスゴいんですもん!
————もし、次回の『さんまの駐在さん』が“挙手制”だったらどうしますか?
鈴木 それこそ本当に“武器の仕上がり次第”ですよね。
水川 皆さん、これまで研いできた最強の武器をお持ちなので、僕らも「これがあれば!」という武器が確実に研げたら、ぜひ出たいです。
とにかく豪華メンバーが集結した『伝説の一日』は、2日間で8公演実施。その模様は4月11日(月)12:00までオンラインで見逃し視聴できます(チケット販売は4月10日23:59まで)。
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