5月14日(土)から大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA WWホールで、5月26日(木)から東京・明治座でミュージカル『ぐれいてすと な 笑まん』が上演されます。このミュージカル、なんと大阪が誇る2大エンターテインメント集団“吉本新喜劇”と“NMB48”のコラボミュージカルなんです。
ブロードウェイ作品でも活躍する玉野和紀氏が演出を手掛ける本気ミュージカルということもあり、ふだんは歌やダンスから縁遠い新喜劇座員は本当に大丈夫なのか……。そんな新喜劇座員の奮闘する姿を、同じく新喜劇座員で芸人ライターの𠮷岡友見が稽古場に潜入してお届けします。先輩方、カッコいい姿、見せてください！
芝居についての討論かと思いきや…
稽古場に一歩、足を踏み入れると、川畑泰史とすっちーの新喜劇ダブル座長がNMBメンバーとのシーンを稽古中。すっちー座長のボケに川畑座長がツッコみ、一緒に芝居をしているNMBメンバーや稽古を見守るスタッフ陣からも笑いが起きています。さすがです、座長。
そんななか、待機している末成映薫・島田珠代・吉田裕は真剣な表情で台本を読み込み、話し合っています。きっと芝居について真面目に討論しているのだろうと聞き耳を立てると――「打ち上げしたいなあ」「もう打ち上げの話してますやん」「僕も誘ってください」と芝居とは関係のない話をしていました。いつもの先輩方で安心です。
これぞ吉本新喜劇とNMB48のコラボ
この日のメインは、クライマックスシーンの稽古。全員で歌って踊るビッグナンバーへと繋げる重要なシーンです。細かく立ち位置をチェックしたり、何度も同じところを繰り返したりと、“稽古は前日のみ”というスタイルの新喜劇とは一味も二味も違います。
島田のパワフルなギャグ、独特の空気感で演技をする今別府直之、すっちー扮するすち子と吉田の絡み、諸見里大介の滑舌悪いノリやズッコケ……など新喜劇でお馴染みのシーンも盛り込まれています。
そんななか、シリアスなシーンを引っ張る末成や西川忠志のさすがの演技力。この日の稽古では、スケジュールの都合により松浦真也、森田まりこは欠席だったのですが、そこに新喜劇の若手座員が代役で入り、臨機応変に対応していました。新喜劇座員は若手もスゴイのです！
芝居のテンポもどんどん良くなって、みるみるうちにシーンが出来上がっていきます。
休憩中も演出の玉野さんが個々に演技指導をしたり、それぞれが鏡に向かってダンスの練習をしたりと見学をしている私にも熱量が伝わります。新喜劇メンバーがNMBメンバーに“笑い”のアドバイスをしている姿、それとは逆にNMBメンバーが新喜劇メンバーに“ダンス”のアドバイスをしている姿はまさに「コラボ」です。
ダンスを簡単にするのならやらない
そして最後にビッグナンバーの稽古です。アップテンポの曲に合わせて、ダンスと歌のプロであるNMBメンバーと、新喜劇メンバーが歌い踊ります。
NMBメンバーの可愛らしさ・キレはもちろんのこと、なによりびっくりしたのは我らが大先輩、末成映薫。75歳とは思えぬ体力です。「私だからといってダンスを簡単に変更したり、役を変えたりするのならやらない」と豪語する末成。常に吸収し、進化する姿勢に頭が上がりません。
そんなダンスが終わりに差しかかると突然、曲が変わって「Happy birthday to you」が流れてきました。2日前、54歳の誕生日だった西川へのサプライズです。
花束を渡され、みんなからのサプライズに「人生でいちばんびっくりした」と叫ぶ西川。あたたかい拍手に包まれて、「今日は、この幸せな感じのまま終わりましょう」と玉野さんの言葉で稽古は終了しました。
とてもハッピーであたたかい、笑いの絶えない稽古場でした！
そして稽古終了後、西川忠志さんと吉田裕さんにインタビューさせていただきました。
できなかったことができるようになる快感
――稽古、お疲れさまでした！ 連日稽古されていますが、どんな感じですか？
吉田 僕は歌もダンスもできないので最初は正直、不安でした。無理かもって。けど、1人じゃなくて、新喜劇のメンバーと一緒に稽古してるのが心強いし、映薫姉さんのような大先輩が一生懸命やってる姿を見て刺激を受けます。そしてNMBメンバーのパワフルさに忘れてたものを思い出させられます。
ちょっとずつでも「できない」って思ってたものができるようになるのが快感になってきています。日々の積み重ねの大切さを感じています。
西川 僕はまだあんまり稽古に参加できていなくて、ご迷惑おかけしているのに誕生日祝っていただいて……。
吉田 いいときに稽古、来ましたよね(笑)。
西川 ほんとうに(笑)。僕は、吉本新喜劇の60年以上の歴史で「新しいことにチャレンジしよう」という企画に参加できたのがすごく嬉しいし、頑張らなあかんなと思っています。
あんな芸人になりたいです
――今回のミュージカルの見どころは？
吉田 新喜劇のメンバーは、ふだんやってないダンスや歌、NMBのメンバーはお芝居やお笑いといった、いつもと違う“ギャップ”が見どころかなあ。いつもと違う一面が見られる。
西川 タイトルの「ぐれいてすと な 笑まん」はミュージカル映画の「グレイテスト・ショーマン」をもじっていて、”show”もあるし“笑い”もある。このタイトルに見どころが詰まっていると思います。
吉田 たまに「わらまん」って言われますが(笑)。あとは、こんな後輩が言うのはなんですが、新喜劇のベテラン勢のがんばりが胸熱くなります。
西川 末成さんは、うちの親と同級生。あの体力は本当にぶったまげます。
――NMB48とのコラボはどうですか？
西川 このコラボができたいちばんの要因は、純粋に川畑さんの「NMBが好き」からのスタートですもんね。
吉田 いままでもNMB×新喜劇というイベントはありましたけど、川畑さんがNMBのファンで、メンバーのキャラを知ってるから配役が適材適所なんです。
西川 川畑さんじゃないと書けない。そして以前から新喜劇と関わりのある、新喜劇の世界観をご存じの玉野さんが演出されるのはベストだと思います。
「笑顔や笑い」をみなさんにお届けできますように
――ワクワクしますね。ぜったい観に行きたいです！
西川 今回は東京の千秋楽（5月29日）にオンラインでの配信があるので、全国どこからでも観られます。生で観に来ていただくのが、いちばんなんですが。
この世の中、世界的にも悲しい、辛い思いをされてる方がいらっしゃると思います。日々生きていかなければならないなかで、ひととき、一瞬でも没頭して楽しい世界に身を置いていただきたいと思います。
吉田 「笑顔や笑いがパワーになる」という歌詞がとても素敵な歌を歌います。その歌詞をみなさんに伝えられるように頑張りたいと思います！
身近な人を笑顔にすること、そしてそれが繋がって、広がって大勢の人を笑顔にする。そんな「笑顔」がテーマのミュージカル。笑顔を作るプロ、「吉本新喜劇」と「NMB48」の手にかかれば、最高の作品になること間違いなしです。
稽古場に潜入し、やっぱり新喜劇の先輩方はカッコいいと改めて思いました。そんな先輩方を皆さんにも、ぜひご覧いただきたいです！
公演日程は、5月14日（土）～22日（日）が大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール、5月26日（木）～29日（日）が東京・明治座の全17公演。詳細は特設サイトで。
特設サイトはこちらから。
