芸歴10年以内の若手芸人たちが競う『カーネクストPresents 第43回ABCお笑いグランプリ』が7月10日(日)に行われ、カベポスター(永見大吾、浜田順平)が優勝しました。4年連続決勝進出、昨年は準優勝と苦杯を舐めてきた2人は感激もひとしお。永見はガッツポーズのあと「優勝できるんかい!」と絶叫し、浜田も「マジでうれしい!」と笑顔を見せて喜びを爆発させました。
「賞レースは部活だと思う」
カベポスターはNSC(吉本総合芸能学院)大阪36期生で、昨年のTHE W王者・オダウエダや、早くからブレイクした8.6秒バズーカーらが同期。今年3月の「第11回 ytv漫才新人賞」で悲願の賞レース初優勝を果たした勢いのまま、今回は“4度目の正直”で優勝となりました。
優勝が決まって、会見場に姿を現したカベポスターの2人。浜田は、準優勝に終わった昨年の大会から「立ち直れないかもと思ってしまった」と振り返りつつ、「本当にうれしい」と笑顔を見せます。
永見も「4年間、報われなかった気持ちが報われた」と話し、「賞レースは部活だと思う」とポツリ。永見自身は学生時代にとくに部活動はしていなかったものの、「大会で優勝したらうれしいやろな、と傍から見ていた」とのことで、今回の優勝で「その当事者になった気分。本当にうれしい」とこちらも笑顔を見せました。
「ABCお笑いグランプリ」は漫才、コント、ピン芸となんでもありの異種格闘技戦。歴代優勝者にはダウンタウンやナインティナイン、フットボールアワー、かまいたちなどの人気コンビがズラリ。昨年はオズワルド(伊藤俊介、畠中悠)が優勝し、人気芸人への登竜門になっています。
今年は608組がエントリーし、この日の決勝に駒を進めたのは青色1号、かが屋、カベポスター、こたけ正義感、Gパンパンダ、ダウ90000、天才ピアニスト、ドーナツ・ピーナツ、ハノーバー、フランスピアノ、ヨネダ2000、令和ロマンの12組でした。審査員は兵動大樹(矢野・兵動)、陣内智則、岩尾望(フットボールアワー)、小沢一敬(スピードワゴン)、濱口優(よゐこ)、山内健司(かまいたち)、ユースケ(ダイアン)という7人。MCは山里亮太(南海キャンディーズ)、ABCアナウンサーの鷲尾千尋が担当しました。
「去年はオズワルドさんがズルして…」
決勝はまずA、B、Cの3つのブロックで4組ずつ対決。それぞれのブロックを勝ち上がった3組がファイナルステージに進みます。Aブロックはドーナツ・ピーナツ、こたけ正義感、青色1号、かが屋の順でネタを披露。決勝に進んだのは現役弁護士で、法律をおもしろおかしくフリップ芸で見せたこたけ正義感でした。こたけを1位に選んだ陣内はネタについて、ピンは戦うスタイルが狭いが彼にしかできないやり方だったと称賛。山内もこたけを1位にチョイスし、「勉強になる系(のネタ)はへーで終わることが多いのに、さらにウケていた」と評価しました。
Bブロックは令和ロマン、ハノーバー、ダウ90000、天才ピアニストという順番。決勝にコマを進めたのは令和ロマンでした。このブロックはバラエティに富んだネタが多く1組に絞り込むのが難航したようで、小沢は「本当に難しかった」と話し、ユースケも「悩み過ぎて(ジャッジのボタンを)押すのが遅くなった」と明かしました。そのなかで選ばれた令和ロマンについて岩尾は「落ち着いて、安定していた」と評しました。
過去の決勝進出コンビが2組入ったCブロックは、フランスピアノ、ヨネダ2000、Gパンパンダ、カベポスターの順でネタ披露。カベポスターは、審査員7人中6人が1位に選ぶという圧倒的強さで勝ち抜けました。兵動はカベポスターについて「決められた時間のなかでボケをがっつきにいかない、そして後半にしっかり畳み掛ける、素晴らしい」と絶賛。山内も「スローテンポの漫才のはずが後半はスピード感が出て、ボケ数も増える」と高評価でした。
ファイナルステージはカベポスター、令和ロマン、こたけ正義感の順でネタを披露。審査員1人100点の700点満点での審査の結果、優勝は675点を獲得したカベポスターに決定しました。トロフィーや賞金100万円などが手渡されたあと、永見は「優勝できるんかい!」と4年越しの悲願達成に絶叫。浜田は「去年、オズワルドさんがズルして取っていったので、取り返しました!」とボケます。兵動は大会全体を振り返りつつ、「カベポスターの決勝のネタがスゴすぎた」と称賛を惜しみませんでした。
「いまはM-1のことは考えない」
この日、カベポスターが披露したネタ2本のうち、ファイナルのネタは最近できたばかりで「かなり自信を持っていた」とのこと。4〜5年前にできていたという1本目のネタも、最近になって客席の反応がついてきたそうで、浜田は「このネタに見合った動きができるようになってきた」と明かしました。
今回、ファイナルステージに残った3組のうち、カベポスター以外は東京勢。大阪を背負っていたという気持ちがあったのか――と問われた浜田は、「大阪はないけど、マンゲキ(よしもと漫才劇場)を背負っていた感じはありました。マンゲキに熱い想いはある」と語ります。
一方、永見は「賞レースで優勝したい気持ちから、あまり仲間意識を持たないようにしていた」と話しますが、ファイナルステージではやはり「勝たないと」と思ったそうで、「漫才劇場の支配人の笑顔が浮かんだ」と振り返りました。
さらに、次の目標について聞かれると「M-1グランプリのことはまったく考えていない」と永見。今回、自信のあるネタで優勝を勝ち取った直後だけに、まずは「これから酔いつぶれて起き上がるまでは何も考えない」と宣言します。浜田も「出し切ってしまったので、これからどうやって作っていくか……」と口にしながら、こちらは「M-1決勝に行きたいですね」と力を込めました。
一方、この日の喜びを伝えたい相手について質問が及ぶと、浜田が「めっちゃいる」と言いながら、親、おじいちゃん、おばあちゃん、弟、妹……と、身内からこれまでお世話になった人たちを列挙。永見は親や、先輩である霜降り明星の粗品を挙げたあと、「僕のことを芸人って知らないで担当している美容師さんに言ってみようかな」とひとボケしました。
賞金の使い道については、永見が「iPad Pro」と即答。浜田は細かい“ほしいもの”をたくさん挙げたあと、「コウテイの下田(真生)さんと30万くらいで(競馬の)WIN5しようかな」と破天荒な一面も見せました。