東京国立博物館の展覧会『150年後の国宝展』に、吉本興業が150年後の国宝候補として「漫才」を出展。その特別企画として11月20日(日)、中田カウスらによる『漫才のDENDO』と、NON STYLE・石田明らが講師を務める『漫才ワークショップ』が同博物館 平成館大講堂で開かれました。芸人による漫才の披露や、子どもたちによる漫才の実演で、伝統ある博物館に笑いがこだましました。
「150年後の国宝候補」(11月2日~2023年1月29日)は、東京国立博物館ができた明治5年(1872年)から150年を記念した公募型展覧会で、個人や企業から集められた“ワタシの宝物”を展示しています。
カウスが見取り図・盛山にムチャぶり!?
東京国立博物館・平成館大講堂で開かれたこの日のイベント。
「劇場というのは、こうしてお客様に入っていただいて初めて魂が宿ります。今後ともよろしくお願いします」
そんな中田カウスの挨拶とともに、カウス主宰の本格漫才寄席『漫才のDENDO』がスタートします。
プラス・マイナス(兼光タカシ、岩橋良昌)と見取り図(盛山晋太郎、リリー)、2組の漫才は圧巻! もはやベテランの域に達しつつあるプラス・マイナスは、兼光のモノマネと岩橋のパワフルなツッコミが冴えわたるネタで会場を爆笑に。若手の雄・見取り図は、2人にしか出せない空気感と一つひとつのやりとりのおもしろさで、確実に笑わせました。
漫才のあとはカウスと見取り図のトーク。見取り図の2人の出会いに関する話題になると、こんなエピソードも飛び出します。
盛山はNSC(吉本総合芸能学院)時代、相方を選ぶのに、自分と似た身長で、かつ、自身に清潔感がないため「シュッとした相方がいい」との思いからリリーを選んだと言います。ところが、「ウソついています!」とリリーから物言いが。「相方は僕の見た目がタイプだったらしくて、性的な意味で好きだったみたいです」と言い出すリリーに、盛山は「キモイねん!」と否定していました。
一方のカウスは、「(吉本興業は)110年続いている会社です。その会社に18歳で入って、今年で73歳。50年以上お世話になっていまして、僕は実家みたいなところだと思っています」と吉本愛を語ったかと思えば、「(会社に)なんにも言うことはありませんが、盛山くん……吉本に対しての不満をどうぞ!」と急なムチャぶり。「何を言うてるんですか!」と慌てふためいた様子でツッコむ盛山に笑いが起こりました。
このほかにも、見取り図が参加した今年の『M-1グランプリ』予選の話、盛山が若手時代に職務質問をされた話、SNSでのマル秘話など、エピソードトークで大盛り上がり。最後はリリーの暴走に盛山が怒って、カウスを挟んで追いかけ回すという事態になり、館内は笑いに包まれました。
「漫才ってこんなに簡単なんだ」
続いて、『よしもと放課後クラブ 漫才ワークショップ』がスタート。小学、中学、高校生を対象に、子どもたちが放課後の時間を利用してエンタメなどを楽しく学べるクラブ活動「よしもと放課後クラブ」を体験してもらう、という企画です。
今回のワークショップでは、来場した参加者同士でコンビを結成。ところどころが穴埋めになっている「遠足」と「運動会」の台本のどちらかを選び、穴埋めを完成させてネタを披露してもらいます。講師としてNON STYLE・石田に加えて、漫才作家でNSC講師の藤田曜氏、アシスタントとしてイシバシハザマ・ハザマ陽平、天狗・川田哲志が参加しました。
藤田氏は台本の説明をしつつ、「作家目線では“普通”を考えて、そこから“常識”(の枠)を外していく」とネタの作り方をアドバイス。石田は「オモロい顔して、大きい声で言うたら、だいたいオモロいです」とプレイヤーとしての心得を伝授しました。
それから、参加者たちはネタづくり。石田、藤田氏、ハザマ、川田らが参加者たちのもとを順に回り、コミュニケーションを取りながらアドバイスをしていました。
そしていよいよ即席コンビによるネタ披露です。中高生と小学生の凸凹コンビ、ネタ中にしり上がりに調子を上げるコンビ、独特の世界観を発揮する小学生コンビなど、9組がネタを披露。全組がしっかり笑いを取っていました。
こうしてネタの披露を終えた参加者は、口々に「楽しかった」「もう1回やりたい!」と漫才の楽しさを体感できた様子。そんななか、参加した子どもの1人から「けっこうラクちんで。漫才ってこんなに簡単なんだと思いました」と驚きの発言が飛び出し、「天才が現れた!」と石田。「吉本は早くマークしてください」と呼びかける姿に、爆笑が起こりました。
『150年後の国宝展―ワタシの宝物、ミライの宝物』の公式サイトはこちらから。