お笑いカルテット・ぼる塾(きりやはるか、あんり、酒寄希望、田辺智加)の酒寄による待望の第2弾エッセイ『酒寄さんのぼる塾生活』(ヨシモトブックス)の出版を記念して、3月2日(木)に都内でトークイベント&サイン会が開催されました。イベントには著者である酒寄と、ぼる塾結成以前のコンビ“猫塾”時代からの相方である田辺が登壇。はじめは少し緊張気味の2人でしたが、だんだんとエッセイの中にあるような、ほっこりトークを展開して会場をあたたかな笑いで包みました。
事件が起こりすぎて2冊目をスピード出版
『酒寄さんのぼる塾生活』は、育休をとりながらぼる塾の活動を陰でサポートしてきた酒寄が、メンバー3人とのエピソードをユニークに綴った投稿サイト「note」の連載エッセイの書籍化第2弾。本書のための書きおろしやスペシャル企画も収録され、ぼる塾の魅力が詰まった1冊です。
2人そろって舞台に登場して田辺が第一声を発したところで、さっそくマイクのスイッチを入れ忘れるというミスが……。客席からくすくすと笑い声が漏れるなか、スイッチが入ったことを確認した田辺が「あ、入った、入った、アッハッハ」と豪快に笑うと、客席の笑いも爆笑へと変わりました。
笑顔の客席を見渡した田辺は、「前回(書籍第1弾『酒寄さんのぼる塾日記』出版記念イベント)もこの会場でやらせてもらったんですけど、あのときは配信だけだったじゃない? それが、いまは目の前に……」と感慨深げ。一方の酒寄は「来てくださって本当に嬉しいです。本を読んでくださっている方が実在するんだなって」としみじみ語ります。
田辺は「こんなに早く2冊目が出版されるなんて……って、別に私が言うことじゃないか」と著者気分で切り出し、会場を笑わせます。実際の著者である酒寄は、「1冊目が出せただけで夢のようだったのですが、2冊目まで出せるなんて、読んでくださっている皆さんのおかげです。ありがとうございます」と感謝しました。
新著の見どころについて、酒寄がこう語ります。
「田辺さんとあんりちゃんとはるちゃんが、本当にびっくりするくらい毎回、事件を起こしてくれます。2冊目出版のスピードが速かった理由はそこにあって、そんな3人のおもしろさが見どころですね」
ネタ元でもある田辺は、「この本を酒寄さんからのラブレターだと受け取って読んでいます」と仲のよさが垣間見える賛辞を送りました。
酒寄には、この1年を振り返りながら本を制作する過程で、さまざまな気づきがあったそうです。
「掲載するエピソードを選んでいるときに、出版担当の方に『この1年であんりさんとはるかさんの思い出がすごく増えていますね』って言われて、初めて2人との距離が大きく変わったことに気づきました。第1弾では田辺さんにベッタリだった時期が長かったのですが、はるちゃん、あんりちゃんとめちゃくちゃ普通に馴染んでいるというか、田辺さんと同じくらい一緒にいるようになりました」
ドラマ化のときの田辺役はあの人!?
その後、2人は集まったファンの方々からの質問に答えました。
――『ぼる塾日記』『ぼる塾生活』がドラマ化されたときに、どの俳優さんに自分の役を演じてほしいですか?
田辺 まさに! 本が出版されたときに、ドラマ化をしたいと考えていました。
酒寄 あるとき田辺さんから電話がかかってきて、「いま3人でいるんだけど、困っている」と。なにかと思ったら、まさにその話で、私役が深津絵里さん、はるちゃん役が上野樹里さん、あんりちゃん役が貫地谷しほりさんというところまでは決まったんだけど、田辺さん役がなかなか決まらないって……。
田辺 私は深田恭子さんがいいって言ったんだけど、あんりが、私の肩が開いた衣装は深田さんにはセクシーすぎちゃうって。じゃあ、私だけ田辺のままでいくしかないなと。
酒寄 私は、田辺さんの品のよさを演じられるのは、松嶋菜々子さんなんじゃないかって。
田辺 松嶋菜々子さんとは身長が一緒だ!ってなりました(笑)。
――ほかのメンバーの好きなところはどこですか?
田辺 はるちゃんはずっと機嫌がいいところですね。人はどうしても気持ちの浮き沈みがあるものだけど、はるちゃんは一定してずっと明るいところがすばらしい。あんりは本当に仲間想いで、この人が味方なら最強だなって思います。あと、食の趣味が合う! 酒寄さんは11年くらい一緒にいますが、私のことをよくわかっていて、もう酒寄さんが田辺さんなんじゃないかと思います(笑)。
酒寄 はるちゃんは、あきらめずに私にぐいぐいきてくれて、私の心を溶かしてくれました。何度も体当たりしてくれるのが、はるちゃんのありがたいところだと思います。あんりちゃんは安心感がハンパない。一度、あんりちゃんがライブを休んだときは大パニックになりました。田辺さんは、大人になって現れたドラえもんみたい(笑)。もう生まれてくれたことが、いちばんありがたいかもしれないです。
別居したことで仲よくなれた
イベント終了後の囲み取材では、昨年11月に酒寄が産休から舞台復帰し、4人体制となったぼる塾の関係の変化や今後の活動に関する質疑がありました。
――多忙な日々のなかで、酒寄の舞台復帰があり、ぼる塾にとって激動の1年でした。振り返ってみた感想は?
田辺 私たちが活動の拠点にしている神保町(神保町よしもと漫才劇場)」の舞台に4人で立ったことが、私のなかではけっこう大きくて。3人のときは、ネタで行き詰ったときに、(ネタ作成者の)あんりの話を聞いてあげることしかできませんでしたが、(4人に戻ってからは)舞台終わりにあんりと(もう1人のネタ作成者の)酒寄さんがパパッと「ここをこうしよう」と直してくれて、次の舞台にはそれを活かせる。酒寄さんがいてよかったと思いましたね。
酒寄 結成当初はあんりちゃんやはるちゃんも大切な相方だと思いながら、“田辺さんを取られてしまった”という感覚が強かったです。だけど4人で過ごす時間が増え、あんりちゃんと2人、はるちゃんと2人で過ごすことが増えると、結成直後から2人は私を含めてぼる塾だと思って接してくれていたんだなと、時間はかかりましたが気付けるようになりました。また、私の息子が成長して話せるようになったので、3人とおしゃべりする姿を見ても絆を感じるようになりました。
田辺 (以前は)はるちゃんと一緒に住んでいましたが、別居したことで、むしろ関係性がよくなりましたね。もうしばらくしたら一緒に海外旅行に行く予定です。一緒に居続けすぎてしまったので、ちょっと離れたほうが仲良くなるんだなと思いました。あんりとは、仕事終わりによく肉を食べに行くようになりました。
酒寄「舞台復帰で3人との力の差を痛感」
――4人で舞台に立つようになって、いまの心境は?
酒寄 自分の力不足をすごく痛感しました。3人がテレビなどで活躍していることで、実力差が開いていることは頭では理解していたのですが、4人で通常公演に出たときに、こんなにも力の差が開いてしまっているのかと。「4人目が楽しみ」とファンの皆さんが期待してくれたので、私は華々しく登場できると勝手に思っていましたが、なんと甘い考えだったのかと痛感するようになりました。でも落ち込んだときには、3人が「(酒寄は)いまスタート地点に立ったのだから、なにも焦ることはない。一緒に頑張っていこう」と言ってくれたので、それに救われて、ここから頑張って3人についていこうと思っています。
田辺 私たちからすると、酒寄さんってやっぱりスゴいなと思っています。私とコンビのときは、先輩から振られるのを後ろで待っていたタイプだったのですが、最近の酒寄さんは自ら前に出ていく。私たちに負けないようにという積極性が出てきて、私たち3人は、酒寄さんってやっぱりスゴいねと言っています。こんなふうにお互いを認めあって、褒めあえる関係性は素晴らしいと思っています。
いろいろなかたちの“ぼる塾”に
――今後、4人でのテレビ出演などは考えていますか?
酒寄 (今後のことは)田辺さんがすごく考えてくれているので、田辺さんのタイミングで「いまよ!」となったら。
田辺 いまは4人でいろいろな活動の仕方がありますから、まずは劇場からと考えています。
――今後、カルテット・ぼる塾としてはどういうかたちが理想ですか?
酒寄 4人の活動はもちろん、今後は“田辺さんと私”“田辺さんとはるちゃん”“あんりちゃんとはるちゃんと私”のように、その仕事に合ったメンバーが人数に関係なく、いろいろな組み合わせで出られるグループにしていきたいって田辺さんが言ってくれて。始めはピンとこなかったのですが、アイドルグループも常に全員で活動しているわけじゃないでしょと言われたときに「そうか」って思いました。もちろん、4人が揃うかたちも大切にしていきたいと思います。
最後に、本書のお気に入りのエピソードについて聞くと、酒寄は新たに書き下ろした「育休中に相方がめちゃくちゃ売れた」の“あんりちゃん編”“はるちゃん編”の2編をセレクト。
一方の田辺は、仲良くしたいと思いながら0~2歳まで泣かせ続けた酒寄の愛息とのその後のエピソードを楽しみにしてほしいとのことでした!
書籍概要
『酒寄さんのぼる塾生活』
著者:酒寄希望
発売日:2月27日(月)
単行本(ソフトカバー):280ページ
定価:1,485円(税込)
発行:ヨシモトブックス
発売:ワニブックス
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