「牧野省三賞」を大林宣彦監督が、「三船敏郎賞」は小林稔侍が受賞!

今年も10月15日(木)から18日(日)までの4日間、映画、アート、笑いを集結させた『京都国際映画祭2020』を開催中。
今年は初のオンラインでの開催となっています。
10月17日(土)、よしもと祇園花月にて京都国際映画祭2020「牧野省三賞」「三船敏郎賞」「クリエイターズ・ファクトリー」の授賞式が行われ、ライブ配信されました。
今回も才能あふれる方々を表彰し、その功績を称えます。司会は木村祐一、佐々木ひろみが務めました。

兄弟3人の作品がグランプリに

出典: FANY マガジン
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まずは「クリエイターズ・ファクトリー」の授賞式。
「クリエイターズ・ファクトリー」とは、“次世代を担う人材、才能”を発掘する公募型のプロジェクトです。映像、アートの分野から幅広いジャンルのクリエイターの皆様の参加を募り、表現できる場を作り、才能あるクリエイターの発掘、育成を目指し、世界に発信していきます。

「エンターテインメント映像部門」の授賞式は、司会は門脇佳奈子が務め、東京からお届けしました。
予選を通過した17作品から優秀賞に5作品が選出され、その中から1作品、グランプリが選ばれます。グランプリ受賞者には、賞金100万円と盾が贈られます。
審査員長の春日太一をはじめ、武田梨奈、トミヤマユキコ、上木則安、古賀俊輔、松崎健夫、天明晃太郎が審査を担当。
まずは審査員特別賞の発表が行われ、甲斐郁斗監督の「SHUKKA」が選ばれました。
甲斐監督は、「ひとりだけ場違いかなと思いましたが、選ばれてうれしいです」と語りました。

続いて、優秀賞5作品の発表が行われました。
1作品目は山元環監督の『ブラック』。
山元監督は「なかなか映画祭にひっかからず、やっと引っかかったのが京都国際映画祭だったので嬉しい気持ちでいっぱいです」と語りました。

2作品目は、渡部健人監督の『ZACO』。
渡部監督は「この作品もかなりの映画祭に落ち続けたので、うれしいです」と喜びを露わにしました。

3作品目は、シーズン野田監督の『外郎女』。
野田監督は「この作品はコンペに出したのは初めてで、どんな反応があるのかわからなくて不安でしたが、春日先生がちょっと笑ってくれたのがうれしかったです」と語りました。

4作品目は、野本梢監督の『アルム』。
野本監督は「3回目の京都国際映画祭だったので、作るときには審査員の皆さんの顔が浮かぶほどで。期待に応える作品を作らなきゃと思っていたので選んでいただけて嬉しいです」とにっこり。

5作品目は、碧嵐澄士監督の『LOVE WATER FIRE』。
碧嵐監督は「これからエンタメ作り続けます!」と宣言しました。

この優秀賞5作品の中からグランプリが選ばれます。
審査員長の春日は「とにかく大激戦で、どれがグランプリを獲ってもおかしくないというよりは、17作品がすごかった。そこで勝ち抜いた1作品です」と絶賛。
グランプリに選ばれたのは、山元監督の『ブラック』でした。
春日は「手作りの良さもよかったけど、2人のお芝居がよかった。最後はいいハッピーエンドで、ラストカットまでよかったので全員満点評価です」と賞賛。
改めて山元監督は「僕ら兄弟3人、コロナがきっかけで3人でやっと一緒にモノがつくれる時間ができたので、暇ではなく自粛期間中も忙しかったです。世の中的にはネガティブな流れになりましたが、自分たちはポジティブに動け、原動力としてはすごく未来が明るいんじゃないかなという気がしていたので、今回グランプリをいただけて本当によかったと思います」と想いを語りました。
春日は総評を「とにかくハイレベルな争いになり、だからこそ劇場で改めて今日の作品を観てみたいという気持ちになりました。と同時に、こういう状況下でも熱意を持って映画をつくっている監督がたくさんいるんだと励まされました。すごくいい時間を過ごさせてもらいました。作品を送ってくださったすべての方にありがとうございましたと伝えたいです」と語りました。

「アート部門」は2回目の受賞

出典: FANY マガジン
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舞台をよしもと祇園花月に戻し、続いては「アート部門」の授賞式です。アート部門では、絵画、工芸、写真、立体造形など、幅広いジャンルを対象とし、アーティストの中から審査員による選考を行ない 「クリエイターズ・ファクトリー 優秀賞」を選出。受賞者に賞金50万円を授与します。
プレゼンターは、京都国際映画祭アートプランナー・おかけんた、ニッポン画家であり、京都芸術大学准教授である山本太郎が務めました。
今回は「本当に大接戦だった」とおかけんたが熱く語ります。

「アート部門」の優秀賞は、田中良典氏の『国民的再生図』が選ばれました。
田中氏は2017年にも『この波は、あの波とつながっている。』で受賞しており、今回は二度目の受賞。会場に来られなかったため、受賞のメッセージが読み上げられました。「今年の2月に再生をテーマにして、AIなど最先端科学による新しい人間感を描くつもりで制作を進めていましたが、同時期に起こった世界的な感染症の拡大に影響を受け、コロナ禍を超えた先にある新しい生命感という、よりスケールの大きなこれからの世界の再生を描きました。このたびは優秀賞に選んでいただき誠にありがとうございました。二度目の受賞ということは正直ありえないと考えていたため、驚き慌てましたが、この作品に込めた想いが審査員の方々に届いたのだと非常にうれしく感じています」。
おかけんたは「それぞれのコロナという考え方、見せ方が違いました。こういう公募展は、あらゆる挑戦の場だと思います。田中さんでもそうですが、自分を追い込んでさらに挑戦するという精神がよかったと思います」
山本准教授も「コロナ禍というのを、ネガティブなことだけでなく挑戦を作品に盛り込んでいるというアートのあり方が、今回の受賞の理由かなと考えています」と語りました。
田中氏には、楽芸工房の村田紘平による西陣織模様箔パネルタテが贈られました。

「受賞は色彩豊かな5歳の作品」

出典: FANY マガジン
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次は「子ども部門」の授賞式です。
「子ども部門」とは、未来を担う子どもたちから募った多数の作品の中から個性あふれるバラエティに富んだ作品を選出・展示するというもの。
「子ども部門」優秀賞に選ばれたのは、中島そよ『チューリップDJ』。

受賞した中島は5歳。登壇の際、やや緊張の面持ちを見せながらも、「チューリップ、好きなんやな?」とおかけんたに尋ねられると「うん!」と元気いっぱい。
作品は「昨年、子ども向けのダンスイベントに参加した時にミラーボールとDJの方がおられる中で踊ったのが印象に残っていて、それを絵にしたようです」とお母さま談。
中島は優秀賞に選ばれた感想を「楽しかった」と答えました。
山本准教授は「本当に楽しさが溢れ出ている作品で、色彩豊か。それが一番素晴らしいところだと思いました。音楽も好きだということですが、絵を描くことも好きということなので、絵も音楽も楽しんで、いろんなことに挑戦してください」とエールを送ります。
おかけんたは「15歳までと範囲が広いので、すごくうまいお子さんもいるんです。技術面で審査するか、子どもらしさで審査するか、審査する側は基準をどこに持ってこようかと悩んだところです。そよちゃんは5歳らしいところもあるし、チューリップDJという謎めいたところがある。色彩感覚もすごい」と賞賛。
司会の木村が「また描いてくれる?」と尋ねると、中島は「うん!」と笑顔で答えました。

来年は京都の街で

出典: FANY マガジン
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「クリエイターズ・ファクトリー」授賞式の最後には、門川大作京都市長が受賞者にお祝いの言葉を贈りました。
「私も拝見させていただきましたが、素晴らしい力作ばかりです。次世代を育てる主旨が生かされているなと実感しました。このコロナ禍のもとで、素晴らしい作品がいつもより多く出品された、と。これもすごいなと思いますし、大人も子どもも、社会を、そして自然を深く見つめて制作されているなと改めて実感しました。この京都国際映画祭、日本の映画の発祥の地、京都を会場に、夢いっぱいに開かれて来ましたが、コロナ禍でオンライン開催となりました。しかし、オンラインだからこそできることがあるのもわかりました。来年は京都の街で開催したいなと思っています。命を守ることが一番大事であります。しかし、人間がいきいきと生きていく、実感、人との出会い、素晴らしい文化、芸術、映画との出会い、感動を共有してともに生きていこうという芸術のすばらしさを感じている昨今です」と語りました。

生涯現役を貫いた大林監督

出典: FANY マガジン
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続いては、「牧野省三賞」の受賞者発表と授与式が行われました。
「牧野省三賞」とは、日本映画の父と呼ばれる京都の映画人・故牧野省三の遺徳を偲び、日本映画の発展に寄与した後進の映画人を表彰するというもの。
選考委員は、中島貞夫、上倉庸敬、大守善久、奥山和由です。
「牧野省三賞」は、大林宣彦監督に贈られました。大林監督は、今年4月に永眠されました。そのため、大林監督作品のプロデューサーであり、63年もの間、大林監督を支えてこられた奥様、大林恭子氏から受賞メッセージをいただきました。「牧野省三さんは監督たちにとって映画の父です。大林に誘われて、昔の牧野さんの古いチャンバラ映画を断片ではありますがたくさん観た記憶がございます。日本映画の続きをやらせていただきましたことを、大変うれしく思っております。このたびは本当にありがとうございました」と感慨深げに語りました。
続いて、京都国際映画祭実行委員会 名誉実行委員長を務める中島貞夫から、受賞理由が述べられました。「映画ができて半世紀の間、映画監督になろうとすれば、まず撮影所に入り、修練を積まねばなりませんでした。しかしその道が閉ざされた時、大林宣彦は自ら自主映画を制作し、上映することに挑みました。1977年、7人の少女が一軒の家に食べられてしまうという映画『HOUSE(ハウス)』を公開した時、監督の道が自由に開かれることになりました。大林宣彦の作品群は、敗戦後の経験に根を下ろしており、昨年の遺作『海辺の映画館ーキネマの玉手箱』でも、戦争に明け暮れた過去をふり返り、日本の現在を見つめ続けていました。生涯現役を貫いた大林宣彦こそ、今年度の牧野省三賞にふさわしい。それが理由でございます」と大林監督の功績を称えました。
大林監督に贈られたトロフィーは、紅村窯の林侑子による、土鋏菊花高杯というもの。陰影で様々な表情を見せる高杯です。

佇まいや存在感で表す、優しさ

出典: FANY マガジン
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最後は「三船敏郎賞」受賞者の発表です。戦後の日本映画界を代表する大スターである三船敏郎のように世界に誇れる大俳優を応援するべく増設されたこの賞。
選考を務めたのは、野上照代、三船力也、奥山和由です。
奥山より、「三船敏郎賞」は、小林稔侍氏に贈られることが発表されました。緊張の面持ちで登壇する小林。
奥山は、「大林監督の『海辺の映画館ーキネマの玉手箱』。この中での小林稔侍さんの存在感は素晴らしかったです。寂れた尾道の映画館で、最後の上映をする映写技術士の役を演じていただきましたが、いぶし銀の優しさ、強さに裏打ちされた優しさ。それが、セリフよりも佇まいや存在感で表すことができる。これは日本映画本来の男優さんが昔から持っていたものですが、なかなか最近見当たらない。三船敏郎さんは今年生誕100年ですが、これは三船敏郎という偉大な俳優を原点に、本来引き継がれたものだと思うんです。この佇まい、存在感のすばらしさに、今年は三船敏郎賞をぜひ受け取っていただきたいと思っております。おめでとうございます」と称えました。

小林は「お褒めの言葉をいただいて恐縮しております。思えば、昭和36年の10月末に、この京都に初めて仕事として通い始めて、今日この映画の聖地、映画の都で行われる京都国際映画祭で皆さまのご厚意で大林組の船に乗せていただいて連れてきていただきました。今日のこの想い、感動、感謝を忘れることなく、世界の三船様の冠の賞を、これからの俳優生活の糧にさせていただきます。ありがとうございました」と喜びの気持ちを述べました。
トロフィーと目録を贈られた小林さんは感無量の表情を見せ、両手を広げてガッツポーズで「ありがとうございました」と感謝の言葉を。

日本全国、世界へ発信できるオンライン開催

出典: FANY マガジン
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最後に、京都国際映画祭実行委員会 実行委員長 中村伊知哉より総括が。
「今年は全部オンラインでやらせていただいております。今日の京都は寒く雨も降っていて、外国人観光客もいずちょっとさみしいんですが、この向かい、八坂神社の本殿が国宝に。いいこともあります。京都は大変でして、夏の祇園祭でコロナのクラスターになってはいけないということで、山鉾巡行はなしになりましたが、神事は行われたそうです。8月の大文字山の送り火もはしっこの6つだけ灯した。その灯した、ということが大事です。私たちもできることをしようということで、オンラインで開催しました。そしたら思いのほか、日本全国、そして世界の方にもたくさんの方にご覧いただいています。
映画もアートもさまざまな、コロナ禍だからできたというコンテンツもたくさんあります。今日からもっとコンテンツも出てきますからぜひオンラインで楽しんでほしいと思います」と語り、さらに「今回、映画祭のテーマソングができたんです。『KYOTO踊ろう ASHITATO歌おう』という、とてもポップな曲でして、これもウェブサイトでお楽しみいただけますので、どうかご覧いただきたいです。そんなこんなのてんこ盛りであと1日。明日もあります。突っ走っていきますので、ぜひオンラインもいい天気になりますように。楽しんでいただけますように。どうぞよろしゅうにおたのもうします、おおきに」と締めくくり、「京都国際映画祭2020 牧野省三賞・三船敏郎賞・クリエイターズ・ファクトリー授賞式」は幕を閉じました。

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