アラ還女優3人が“すれ違い会話劇”で伝えたいこと 「生きていたら笑って過ごせる時が来る!」

あめくみちこ・竹内都子・小川菜摘からなるユニット、アオタミナの会が5月10日(水)から14日(日)まで、東京・駅前劇場にて『ふたり、静かに』を上演します。今回は、その舞台稽古に潜入し、主演の3人と作・演出を手掛ける岡部尚子にインタビューを敢行! 舞台直前の心境や作品への思いなどを語ってもらいました。

出典: FANY マガジン
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『ふたり、静かに』は劇団・空晴の岡部尚子が2018年に演劇集団キャラメルボックスの女優3人のユニット「ねこはっしゃ。」に書き下ろした作品です。登場人物の感情が揺れ動く“女優3人芝居”はまたたく間に人気となり、その後何度も再演されてきました。今回はあめく、竹内、小川という人生経験を重ねた3人が、そのお芝居を“アラ還バージョン”にリメイク。深みのある演技で新たな『ふたり、静かに』をつくりだします。

また本公演では、さまざまな日替わりゲストが登場するのも見どころのひとつ。渡辺正行や木村祐一といった芸人から、マギーや福井晶一という俳優らが作品を盛り上げ、上演後は主演の3人とのアフタートークも行われます。

アオタミナの会はこの作品ありきで発足

――まずは、アオタミナの会が発足した経緯について教えてください。

岡部 この舞台の初演と再演を菜摘さんが観てくださっていて、お食事をした時に、「アラ還バージョンで演じてみたい!」と言ってくださったのがきっかけです。その後、3人芝居なので菜摘さん以外の2人はどうしようとなったら、すぐにお2人の名前が出ました。だから作品をやることありきで、会が発足したという経緯です。

小川 すぐに「みちこちゃんと都子ちゃんだ!」ってなったんです。本当に同時に出ました。それで出演を依頼したら、お2人ともこの作品をすでに観ていて「是非!」ということで、ご出演が決まりました。スケジュールも奇跡的に空いていたんですよ。

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――脚本を書いた岡部さんにお伺いしますが、『ふたり、静かに』はどういった作品なのでしょうか?

岡部 1人の女性が自分の部屋で“ある決意”をした夜が舞台です。キャッチコピーにも書かせていただきましたが「カップラーメン麺が出来上がるまでのほんの70分の物語」。その70分の中で女性3人が登場し、恋愛や友情や人生についてそれぞれが生きてきたものを投影した会話が繰り広げられます。

――張り巡らされている伏線の数も驚きました。

岡部 私の作品はすれ違いや誤解をベースにしているんです。お客様はたぶん「これは誰?」「え、何の話?」と考えながら、最後に全部スッキリするようになっていると思います。

小川 べっち(岡部)の作品は、すれ違いでお客さんを巻き込んでいくんですよ。「え? どういうことなの? なんであの人があんなこと言うの? え、え?」となって、最後まで見ると「そうなんだ!」って謎が解けていくんです。私もこの作品を初めて観た時は、まんまとダマされました(笑)。

あめく 私も再演を観たんですけど、菜摘ちゃんと一緒でまんまとダマされました。『ふたり、静かに』というタイトルからは想像もつかない世界が繰り広げられて、あれよあれよという間に70分が過ぎるんですよ。

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――岡部さんがこの作品を通して最も伝えたかったメッセージはなんですか?

岡部 「明日、いいこと起きるかも!」ということですね。今日が、昨日が、どれだけダメだったとしても、明日は何かいいことがあるかもしれない。それをあまり押しつけがましくなく伝えようと思いました。基本的にはコメディーですので、笑ってもらいながら気がつけば明日が楽しみになったり、友人や家族に電話してみようという気持ちになってほしいと思います。

主演の3人はセリフ覚えで頭が爆発中!?

――お三方にもお伺いしますが、演じる上での難しさは何かありますか?

竹内 セリフが多い!

一同 (笑)

竹内 私も再演を観て、すごく面白いから出たかったんですけど、観てる時はあんまりわからなかったんです。演ってみたらセリフが多くて多くて、今頭がパーンってなっています。

あめく 私も頭がパーンってなってます。爆裂です(笑)。

竹内 意外と3人ともセリフ覚えはいい方なんですよ。でも今回は3人とも「ああぁぁ~!」となっています(笑)。

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小川 べっちの脚本って実は難しいんですよね。言葉にしている事と、心の中で思っていることが役の中で合致していない部分があるから、ポンポン出てこないんですよ。

あめく そうそう。それに3人が全く違う思考をしながら、でも会話としては成立していたりしますからね。すれ違いの連続なので、60歳の脳がパンパンになるんですよね。

小川 それで都子ちゃんが記憶力を良くする豆を持ってきてくれたんです。それをいま食べているんですけど、何粒食べても無理かもしれません…(笑)。

一同 (笑)

あめく みんなで食べたよね。

竹内 まずいんですよ、それが(笑)。

小川 味もしゃしゃりも無いんだよね(笑)。

――岡部さんは今まで30代、40代の役者とつくってきた作品を、新たにアラ還の皆さんが演じることでの発見はありますか?

岡部 そうですね。昨日もあめくさんから質問をもらって「あ、それは考えたことがなかったけど、じゃあ変更しましょう」となった部分がありました。やっぱり3人の解釈が私の想像よりも面白くて、次々と新しい提案をいただくので、こちらもついていくのに必死です。30代40代の女優とやった時とは、また違った刺激や面白さがありますね。

出典: FANY マガジン
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――全員でアラ還バージョンをつくり上げているんですね。台本も付け加えた部分があるのでしょうか?

岡部 ありますね。例えば「終活」という言葉が出てくるんですけど、30代が思う終活と60代が思う終活は少し違う。恋愛にしたって、30代と60代では考え方が違うと思います。年齢を重ねることで変化する部分は、今回プラスで書き加えさせていただきました。だから、30代40代バージョンを見た人も楽しめると思います。

3人だからこそつくりだせる日本的生け花の美しさ

――お三方は演じるうえで気を付けていることはありますか?

竹内 最初の本読みの時に、「年齢的な雰囲気やリズム感を意識した方がいいですか?」と、べっちに聞いたんです。そしたら「意識しなくてもいいですよ」と言われました。それくらい私たちはナチュラルなアラ還なんですよ。立ち振る舞いや所作、すべてがアラ還なんです(笑)。

小川 わざわざ意識して作りこまなくても醸し出すんだよね。観ているお客様は「ああ、アラ還だな」っていう。

あめく そこだけは自信ありますよね。

竹内 だから若い子がやっているものとは自然に違いが出ると思う。若い子の舞台は今の季節の新緑のようなエネルギーやオーラが舞台から発せられるけど、私たちはそうではないので。

小川 あははは(笑)。

あめく 枯れ葉? 枯れ葉まではいかないか(笑)。

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竹内 でも、生け花ってあるじゃないですか。外国の生け花は、綺麗に咲いているものを飾って「どうや!」って見せるんですけど、日本の生け花は枝や枯れ葉なんかも美とするんですって。だから私たちは生け花なんです。バーンとしたフラワーアレンジメントではないけれど。

あめく わびさび?

竹内 そう! そういうものを見て、「枯れかけもええなあ」みたいなね。年を重ねることを否定したり悲しんだりするだけではなくて、「それもええで」という作品が出来上がればいいなと思ってます。

小川 必要よね! バーンっとしたものだけじゃなくってね。

終わった後にも楽しんでほしい

――今回の日替わりゲストについても教えてください。ゲストは『ふたり、静かに』にも一部出演し、その後はお三方とアフタートークを行うとのことですが。

小川 今回8人も来てくださることになっていて。そこも見どころのひとつというか、私たちもすごく楽しみにしているんですよ。

――渡辺正行さんや木村祐一さん、石塚英彦(ホンジャマカ)さんなど豪華なメンバーですね。

小川 豪華ですよね。役者さんもいれば、芸人さんもいれば…。来てくれるゲストさんによって、そこのお芝居のシーンも全然変わると思います。渡辺正行さんなんて、私と都子ちゃんは22、3歳の時に、渡辺さんが主宰していた劇団七曜日に出ていて。都子ちゃんはそこの劇団員で、私は客演でした。しかも、その時も今回の駅前劇場だったんですよ。

あめく そうなんだ! その作品の時も駅前劇場だったんだ。

竹内 そう、駅前だった。

小川 私はその舞台に立った後26年間、結婚や出産で演劇を休んだんです。そこから本当に30年以上ぶりの共演でリーダー(渡辺さん)が来てくれるなんて、もう私、泣いちゃうかもしれないね。

竹内 本当だね。

あめく いや楽しみだね。

――他にも劇以外のアピールポイントはありますか?

小川 今回はグッズもつくったんですよ。『ふたり、静かに』のピルケースだったり、チケットケースだったり。あと野性爆弾のくっきー! がお芝居にまつわるキャラクターでキーホルダをつくってくれました。そういう、ここの劇場でしか買えないものも販売するので、楽しみにしてほしいですね。

出典: FANY マガジン
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――ありがとうございます。それでは最後にこの舞台に来る方にお一人ずつメッセージをお願いします。

あめく まずは芝居を楽しんでいただいて、そして帰りに一緒に来た方と、この作品の話で盛り上がって、楽しく一杯飲んでもらえたら嬉しいなと思います。

竹内 そうだね。ここ何年か小劇場はコロナで自粛したり、席を離していたりという期間が長かったんですよ。でもみちこちゃんが言うように「終わってからちょっと飲みに行こう」という時代がやっと戻ってきた感じやもんね。帰りに「ああでもない、こうでもない」とか「あそこでこう思った」みたいな話をしながら、楽しんでいただければと思います。

小川 何人かで見て、観終わった後に「あそこさあ、気がついた?」とかって話すのが楽しい舞台だと思うんですよ。それと、1人で2回観るのも楽しいと思う。2回目に「だからあの時、ああいう顔をしてるんだ」とか「だから、ここでこう言ったんだ」と確認するのも二重三重で楽しいと思いますね。

岡部 そうですね。配信もあるので、生で観て配信で観るというパターンも楽しめると思います。

――そして前向きな気持ちになってほしいと?

岡部 そうですね。作品全体のメッセージとして、「どこかに味方はいる」ということを伝えているので、作品を見て、今日を頑張ってみようという気持ちになってもらえたらいいと思います。

小川 さっきべっちも言っていましたけど、やっぱり「明日になったらいいことあるよ!」って思って生きていかないとね。人生って本当に色んなことがあるけど、生きていくのが一番大事なこと。さんまさんの「生きてるだけで丸儲け」じゃないけど、生きていたら今は泣いていても、明日、明後日、1週間後には笑って過ごせる時が来る。そういう、“生きていく力”をお客さんには持って帰ってもらいたいです。

本作は会場・配信どちらでもご覧いただけます。会場チケットはFANYチケットほかプレイガイドにて絶賛販売中です。なお、オンライン配信は5月14日(日)14:00 公演のみとなります。

【ゲスト一覧 毎公演アフタートーク実施】
5月10日(水)19:00開演 ゲスト:石田剛太&土佐和成(ヨーロッパ企画)
5月11日(木)14:00開演 ゲスト:石塚英彦 
5月11日(木)19:30開演 ゲスト:渡辺正行
5月12日(金)14:00開演 ゲスト:キンタロー。 
5月12日(金)19:30開演 ゲスト:マギー
5月13日(土)14:00開演 ゲスト:福井晶一 
5月13日(土)18:30開演 ゲスト:ねづっち
5月14日(日)14:00開演 ゲスト:木村祐一 ※配信有り

公演概要

アオタミナの会「ふたり、静かに」

出典: FANY マガジン
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日程:
5月10日(水)19:00開演
5月11日(木)14:00開演/19:30開演
5月12日(金)14:00開演/19:30開演
5月13日(土)14:00開演/18:30開演
5月14日(日)14:00開演 ※配信有り

出典: FANY マガジン
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会場:駅前劇場(東京都世田谷区北沢2-11-8 TAROビル3F)  
出演:あめくみちこ、竹内都子、小川菜摘
作・演出:岡部尚子 

【チケット情報】                                  
料金:前売り5,800円/当日券6,000円/学生割引3,000円      
配信:2,500円                                                                  
会場チケット販売:FANYチケット、チケットぴあ、ローチケ
配信チケット販売:FANY Online Ticket(※4月22日(土)10:00発売)

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※FANY Online Ticketは、発売日4月22日(土)10:00以降に表示されます。

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