ジャンポケ斉藤が職場の上司だったら!? YouTubeならではのコントアニメに「監督が僕らを選んだのも理解できる」

今年で最後の開催となった「島ぜんぶでお~きな祭 第16回沖縄国際映画祭」が4月20日(土)、21日(日)に開かれ、16年の歴史に幕を下ろしました。最終日には、那覇市の那覇文化芸術劇場なはーと大スタジオで、よしもと芸人の名作コントなどをアニメ化して発信するYouTubeチャンネル「エンタニメ」から『もしお笑い芸人がボクの上司だったら!?』など3作品が上映。今回は、この作品の中道一将監督(YouTubeアニメ『みっち―のアニメ』)と、そのなかの1編『もしも上司がジャングルポケット斉藤だったら』に声優として参加したジャングルポケット(おたけ、太田博久、斉藤慎二)に、作品づくりの感想や収録時のエピソードなどを聞きました!

出典: FANY マガジン
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今年の映画祭では、国内外を含む25プログラム(31作品)の映画上映と舞台挨拶や制作発表イベントなどを開催。そのほか、お笑いライブや沖縄の未来を考えるソーシャルビジネスコンテスト、そして映画祭を締めくくる音楽ライブ「Laugh&Peace LIVE」など盛りだくさんの内容で最後まで盛り上がりました。

「おたけはふざけちゃうので…」

――今回、斉藤さんはメインの上司役、太田さんは行きつけの店の主人(?)、そしておたけさんは配膳ロボット役で出演していますが、ふだんのコントと違いはありましたか?

太田 監督の作品は、芸人たちがつくる動画と、スピード感や間、テンポがぜんぜん違って、めちゃくちゃ速いんですよ。YouTube用コンテンツの流行らせ方はテレビの編集とぜんぜん違っていて、スピード感がすごいですよね、監督?

中道監督 そうなんです。皆さんもやっぱりそう感じられたんですね。

太田 しかも、編集されたものを観たら、収録時よりさらに間が詰まっていて、スピード感が増していました。

斉藤 ほかで声のお仕事をやらせてもらうこともありますが、あの速いテンポでパッパッと進んでいく経験は、あまりなかったなと感じます。

出典: FANY マガジン
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――ジャングルポケットのキャラクターにピッタリ合っていて、とても面白い作品ですが、3人のネタがもとになっているのですか?

中道監督 いえ、脚本は僕がオリジナルで書いています。今回は、僕が大好きな芸人さんにばかり声をかけさせてもらって、ジャングルポケットさんもその1組。3人のコントをめちゃくちゃよく観ていたので、ボケ方、ツッコみ方は取り入れさせてもらいました。

おたけ 監督にいろいろなキャラを試してほしいと言われて、何個かやったんですけど、どれもぜんぜんハマらずに、結局、最初のテイクが採用されることが多かったなって。

一同 (笑)。

斉藤 おたけは声の仕事でふざけちゃうことがよくあって、間違えることも多々あるというか……。今回はハマらなかったみたいですね。というか、ハマることがほとんどないんですけど。

おたけ 監督のお口に合わなかったっていう……。

太田 おたけも自分なりにいろいろなパターンをつくりあげて収録に臨んだのにね。

中道監督 たまたま今回は最初のテイクがベストだったというだけ。本当にたまたまです!

職場に芸人がいる幸せな世界を表現

――『もしお笑い芸人がボクの上司だったら!?』の魅力や見どころを教えてください。

太田 芸人の発想に似ているようで、僕らにはない発想というか。アニメは自由度が高いので、とくにアインシュタインの稲田(直樹)さんの作品なんかは、アニメならではの設定とシチュエーションにリアルな声が加わるので、舞台などではできない「エンタニメ」のいいところが詰まっている作品だなと感じました。ここでしか見られないコントであり、エンターテインメントですよね。

――今後、どんな笑いをアニメで届けていきたいですか?

中道監督 僕は、仕事って“何をするか”より“誰と働くか”が大事だなって思うんです。だから、観客の皆さんに、自分を笑わせてくれる、一緒にいて楽しいと思う人と働いてほしいという思いを込めて、職場に芸人さんがいたらどんなに幸せかをアニメで表現しました。
今後チャンスがあれば、仕事でのお悩みあるあるを、職場に芸人さんがいることで面白く解決するような作品もつくりたいですね。

出典: FANY マガジン
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――芸人さんとユニークなやりとりをする後輩役は、監督自ら演じていると伺いました。

太田 部下が2人出てくる作品もありますが、1人は監督で、もう1人は誰ですか?

中道監督 もう1人も僕です。

太田 あ、監督なんだ! 部下役もけっこう重要だと思うんですが、淡々としていてやりすぎない、リアルな抜け感が出ていて、監督めちゃくちゃうまいですね。

斉藤 もう少しでおたけを越えるんじゃないかなって。

太田 セリフ量でいうと、僕やおたけより監督のほうがはるかに多いし(笑)。あの後輩の感じが、全体の温度感をつくっている感じがありますよね。

――監督は、今回組んだ皆さん以外で、一緒にやってみたい芸人さんはいますか?

中道監督 せっかくなら、(明石家)さんまさん

太田 いや、(可能性)あるんじゃないですか。

斉藤 でも、おたけも“月島のさんまさん”って言われているから。

太田 本物のさんまさんがいいんだよ! なんで月島のさんまさんでガマンしないといけないんだよ。

――ジャングルポケットの第2弾が決まったら、やってみたい役はありますか?

太田 今回は斉藤が上司役でしたが、僕らもクセのある上司をやらせてもらえると嬉しいです。気づいたら、最近の僕らのネタは、いちばん濃いキャラクターをおたけがやることが増えているんですよ。僕はそんなにキャラが強い感じでは書いていなくて、勝手におたけが濃くしてくるんですけどね。でも、そんな濃いキャラのおたけもアリかもしれないですね。
あと、3人とも上司みたいな、大人数の設定もいい。

出典: FANY マガジン
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背中ジャンプでレッドカーペットが渋滞

――皆さんは、最終日に那覇市の国際通りで行われた恒例の「レッドカーペット」も歩きました。今年も多くの観客が詰めかけて盛り上がりましたが、歩いた感想はいかがですか?

斉藤 以前、天気が悪くて、(ブラックマヨネーズの)小杉(竜一)さんがサンバの格好でスタンバイしていたのに、結局、出られなかったという残念な年があったんですよ。1人ですごく張り切っていたんですけど。

太田 ホテル待機みたいになったんだよね。

斉藤 ホテルの部屋で、「何やねんこの格好!」「どうすればええねん!」「時間かかってんねん!」「重いねん!」って、1人、大きな声でずっと吠えていたんですよ。

一同 (大笑)

斉藤 今年はよく晴れてよかったです。沿道の皆さんのリクエストで、おたけは「サイコッチョー」、僕は「ハーイッ」っていうギャグをやって、太田も背中ジャンプをしたり。

太田 僕だけだいぶ迷惑かかるんですよ。灼熱のレッドカーペットで背中ジャンプやってくれって言われて(笑)。2人のギャグはその場ですぐにできますけど、背中ジャンプは寝転がらないといけないので、やるたびに順番が詰まりますし。

斉藤 あまりにも僕らの人気がすごすぎて、後ろの人が追い抜いちゃうハプニングもありまして。やっぱり人気って怖いなって思いました。

太田 それ自分で言わないほうがいいよ。

出典: FANY マガジン
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沖縄国際映画祭は僕らの青春

――ジャングルポケットは、これまで何度も沖縄国際映画祭に参加してきました。残念ながら今年で幕を閉じる映画祭に対する思いを聞かせてください。

太田 僕らにとって、映画祭は青春です。若手で番組をやっていたころは、そのロケも込みで、10日間くらい沖縄に来ていたんですよ。みんな若くて、朝まで飲んで……。いまでも沖縄に来て、あの空港の感じとかを見ると胸がキュッとして、センチメンタルな気持ちになるんです。あのころの楽しい思い出もたくさん甦ってきて……。それもすべてこれが最後なんだなって。

斉藤 いや、急に!

太田 吉本の芸人って、みんな本当に映画祭が大好きなんです。楽しいんですよ、沖縄の非日常の感じが。海へ行ったり、チョコプラの長田(庄平)さんが車を借りてくれて、時間があるときにドライブをしたり、いい思い出が詰まっているんです。

斉藤 番組で、もずく酢の酢抜きを食べたり、苦いゴーヤを丸かじりしたり、蛇に鼻をかまれて、出血で結局、放送できなかったり。

太田 ツラい思い出ばかり言うんじゃねぇよ! 楽しかった思い出を言えよ。でも、本当に寂しいです。

「平凡な日常にひとつの花を咲かせたい」

――最後に、作品を楽しみにしているファンの皆さんへメッセージをお願いします。

中道監督 いろいろ試行錯誤していただいた末に、結局、最初のカットが選ばれたおたけさんを楽しみにしてください。本当にたまたまだったんですけど(笑)。

おたけ 声のジャングルポケットって、いつもけっこう評判がいいんですよ。今回もそういう意味で期待していただけたら。映っていないほうが評価が高いときもあるので。僕も修業して、また役を広げたいと思います。

出典: FANY マガジン
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太田 プロのクリエイターの方とよしもと芸人の面白い要素が掛け合わさって、今回はかなりいけるんじゃないかと思っています。ぜひ、皆さんにも観て、拡散していただきたいです。本当に面白いので。

斉藤 そうですね。平凡な日常にひとつの花が咲けばいいなって。

太田 面倒くせえな! でも、いいこというな。

斉藤 毎日、何も変化がないなと思う人にはこの作品を観てもらって、また明日から頑張ろうって思ってもらえれば。

太田 それはもうダサくなってる。最初に言ったのは、ちょっとカッコよかったのに。

斉藤 おたけも言ったとおり、僕らは声の仕事がけっこう好きなんです。コントは動きや表情でお客さんに伝えられることが多いのですが、声だけだとそれができないので、かなりの力量を求められると思うんです。それに応えられる芸人は少ないと思いますから、監督が僕らを選んだのは納得ですね。とにかくひとつの花を咲かせたいなと思っています。

太田 花のくだりに手応え感じすぎだぞ!

作品概要

『もしお笑い芸人がボクの上司だったら!?』
キャスト:ジャングルポケット(おたけ・太田博久・斉藤慎二)、トータルテンボス・藤田憲右、ロバート・秋山竜次、アインシュタイン・稲田、コットン・きょんほか
監督:中道一将
公開年:2024年

開催概要

『島ぜんぶでおーきな祭 第16回沖縄国際映画祭』
(英語表記 16th OKINAWA INTERNATIONAL MOVIE FESTIVAL)
開催期間:2024年 4月20日(土)~21日(日)
開催場所:
那覇市 国際通り/那覇文化芸術劇場なはーと/パレットくもじ前交通広場
北中城村 イオンモール沖縄ライカム 
沖縄市 シアタードーナツ ほか
主催:沖縄国際映画祭実行委員会
運営:株式会社よしもとラフ&ピース
実施コンテンツ:レッドカーペット、映画作品上映、ステージイベント(お笑い、音楽、 ダンス等)、ソーシャルビジネスコンテスト ほか

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