吉本新喜劇・レイチェルがアフロ&金メッシュのDJだったころ…「音楽がなかったらいまの自分はいない」【エンタメ成分表④】

エンタメ成分表

テレビや劇場で活躍する人気芸人は、ふだん、どんなエンターテインメントに触れているのか? 自身を構成するさまざまなエンタメ要素に迫るインタビュー。

テレビや劇場で活躍する人気芸人は、ふだん、どんなエンターテインメントに触れているのか? 自身を構成するさまざまなエンタメ要素に迫るインタビュー。

テレビや劇場で活躍する人気芸人は、ふだん、どんなエンターテインメントに触れているのでしょうか? テレビ、ラジオ、映画、本、漫画、ネット動画……自分自身を構成するさまざまなエンタメ要素を挙げてもらい、芸人たちの発想のもとをつまびらかにする「エンタメ成分表」。今回、登場するのは、11月19 日(日)に初のなんばグランド花月単独公演を開催する吉本新喜劇のレイチェルです。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

【音楽 40%】

僕には5歳年上のファンキーな兄がいて、僕が高校に上がったときに突然、「DJになるか、サーファーになるか選べ」と言われたんです。兄はサーフィンをやってたので、「じゃあ、オレはDJをやろうかな」って言ったら、1週間後に僕の勉強机の上にDJのセットが置いてあって、「高校に行ったら、DJかサーファーやらないとモテねぇんだよ」と。
そこから兄のスパルタが始まるんですけど、「お前も行って来い」と、兄の友だちのDJに紛れて毎週のようにクラブに通ってDJをやってました。そのころにヒップホップに出会って、そこからラップ、レゲエ……という感じで、高校時代からアングラな感じの音楽にどっぷり漬かっていました。そのころの僕は、アフロヘアで金のメッシュが入っていて、いまでは想像できないくらいファンキーなヤツでした(笑)。

Dragon Ash『Grateful Days』(1999年)
Dragon Ashは、いまはロックのイメージが強いかもしれないですけど、僕にとってヒップホップ入門となった曲です。僕が中学~高校のときは、ヒップホップというジャンルがいまほど市民権を得ていなかったんですけど、『Grateful Days』という曲がヒットして、そこでフィーチャリングしていたのがZeebraさん。この曲で「ヒップホップをもっと深掘りしたい」と思うようになりました。

Zeebra
Dragon Ash『Grateful Days』の有名なフレーズ「悪いヤツはだいたい友だち……」のあの強烈なパンチラインは「うわあ、カッケー!」と思いましたよね。Zeebraさんのアルバム『THE RHYME ANIMAL』(1998年)はめちゃくちゃ聴きました。Zeebraさんは日本のヒップホップ界から初めて『笑っていいとも!』のテレフォンショッキングにも出演したりしていましたし、日本のラップシーンの先駆者と言っていいと思います。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

OZROSAURUS
ヒップホップは東(NY系)と西海岸(LA系)で勢力が分かれていて、LA系はちょっと不良系というかギャングっぽいヒップホップで激ハマりしました。OZROSAURUSはLA系で、一方、ZeebraさんはNY系なんですけど、そんなOZROSAURUSが、Zeebraさんが立ち上げた「GRAND MASTER」というレーベルにいたことがあるんです。カルチャーは違うけど、Zeebraさんが認めるほどOZROSAURUSのスキルがすごかったということだと思います。MC のMACCHOさんのことは、いまも大好きです。

KREVA
いまでこそフリースタイルのMCバトルがめちゃくちゃ流行っていますけど、KREVAさんはMCバトル「B BOY PARK」の初代チャンピオンで、前人未到の3連覇をなしとげた伝説のラッパー。アングラと呼ばれるヒップホップ界のなかで、めちゃくちゃメジャーで成功したラッパーだと思います。KREVAさんのポップスのような曲もすごく好きだし、何よりラップがめちゃくちゃうまい!

『OZROSAURUS Players’ Player feat. KREVA』(2023年)
(OZROSAURUSの)MACCHOさんはKREVAさんのことを「あいつはポップでメジャーだからダサい」みたいな感じで、ずっと否定してたんです。とはいえ、KREVAさんはすごい方ですし、MACCHOさんもどこかリスペクトしているところがあったと思うんです。そんな2人が今年7月、初めて『OZROSAURUS Players’ Player feat. KREVA』という曲を出したときはシビれましたね~。日本のヒップホップ界に「この2人が一緒にやることがあるなんて!」と激震が走りました。

DOZAN11(三木道三)
まだヒップホップやラップ、レゲエがアングラと呼ばれていた時代に、『Lifetime Respect』(2001年)を発売してミリオンセラーになったというすごい方です。自分の部屋の壁に三木道三さんの新聞の切り抜き記事を貼るくらい、10代のころからリスペクトしていました。その後、僕もいろいろあって、大阪に来ていろんな人と知り合うなかで、ついに三木道三さんと友だちになり、ミュージックビデオに出演させていただきました。三木道三さんの新聞の切り抜きを壁に貼っていたころの自分に教えてやりたいです(笑)。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

【映画 13%】

『最後の恋のはじめ方』(2005年)
僕の映画の始まりはディズニーアニメ『アラジン』で、いまもダントツに好きです。映画は海外のラブコメをよく観ています。基本的にハッピーエンドで終わるから好きなんですよ。『最後の恋のはじめ方』の主演のウィル・スミスはもともとラッパー出身で、元ラッパーの方が出ている映画もよく観ます。ストーリーがもちろんいいんですけど、音楽もすごくいいです。

【バラエティー・ドキュメンタリー番組 13%】

『ぴったり にちようチャップリン』(テレビ東京系)
若手芸人たちのネタバトルや事務所推し企画など、いまもっとも旬なお笑い芸人たちが大集合するバラエティー番組

吉本芸人はもちろんチェックしているんですけど、『チャップリン』は吉本以外のベテランの方や大先輩が出演してネタをしたりするので、まめにチェックしてますね。

『あちこちオードリー』(テレビ東京系)
店の大将・オードリー春日と常連客の若林、そしていま注目の有名人をゲストに迎えて本音トークを展開

いろんな先輩・後輩の深掘りをする番組なので、いまどういうふうに、なにを考えているのかを知ることができて楽しいです。人生を語る系のトーク番組は、ネタに生かすというよりもメンタル系ですね。「こんな人たちでもこんなに悩むんだ。自分の悩みなんてちっぽけすぎるわ」とか思ったりします。

『クレイジージャーニー』(TBSテレビ系)
独自の視点やこだわりを持って世界&日本を巡る人々=“クレイジージャーニー”たちがその特異な体験を語る伝聞型紀行バラエティー番組

僕が生きる世界とはまったく違う世界を突き詰めている人を見るのが、めちゃくちゃ好きです。丸山ゴンザレスさんが好きで、この番組がまだ深夜放送だったころに出演した、ロサンゼルスのギャングチームに属し、そのまま刑務所に入っていたという日本人、HOMIE Keiさんの回もよく覚えています。Keiさんの話は雑誌で読んだことがあったので、「こんな方だったのか!」と興味津々でした。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

【ドラマ 13%】

ドラマ『古畑任三郎』(1994年~/フジテレビ系)
『古畑任三郎』はもちろん毎回、観ていたんですけど、このドラマのスピンオフで『巡査 今泉慎太郎』というのがあって、それがめちゃ好きでしたね。『古畑任三郎』の放送があった日の深夜に10分枠で放送されていて、西村まさ彦さん演じる今泉が、解決した事件のあとにグチを言う内容で、それとセットで楽しみにしていました。

ドラマ『ビーチボーイズ』(1997年~/フジテレビ系)
世代的に、この時代のドラマにハマってました。反町隆史さんも竹野内豊さんも、僕と同じ“海なし県”の埼玉県出身で、海がないのにその2人が『ビーチボーイズ』だというところにも、なんか惹かれていました。

【酒場 11%】

酒を飲むときは、マンゲキ(よしもと漫才劇場)の後輩たちと行くようにしてます。新喜劇メンバーとは入ってくる情報も違うし、それこそ刺激がもらえるんですよね。もも・まもる。くんと、ネイビーズアフロ・はじりくん、ドーナツ・ピーナツのドーナツと4人で飲んでいたとき、「(島田)珠代さんの芸歴35周年記念公演がめちゃくちゃおもしろいらしいぞ」「観たいなあ」という話になって、深夜に解散したあとに翌日の朝イチでNGK(なんばグランド花月)に集合して、4人で立ち見したこともあります(笑)。

【YouTube 5%】

ジムでウォーキングしているときに“ながら見”してます。よく見るのは西野亮廣さんの公式YouTubeチャンネル。めちゃくちゃ勉強になることをよく話してくださるのでチェックしますね。あとお笑い系はよく見ます。インパルス・堤下(敦)さんの『堤下食堂』、極楽とんぼ・山本(圭壱)さんの『けいちょんチャンネル』、千原ジュニアさんのYouTubeも、めちゃ見てます。

【本5%】

小説は読まないですけど、雑誌はよく目を通します。ちょっとギャル男時代もあったので、『Fine』とかファッション雑誌系はめちゃくちゃ読んでましたね。いまはもうなくなっちゃったんですけど、いまだに不定期で発売されるギャル雑誌『egg』はちゃんとチェックしています。“ギャルが好き”というのもあるんですけど、いちばんは最新のギャル文化を知りたいから。「いまギャルに何がウケているんだろう?」っていうアンテナを張ってる感じですかね。

まだまだあるレイチェルを構成するエンタメ成分は……

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

【アニメ】

『スラムダンク』を読んで、バスケを始めました。(主要キャラクターの)宮城リョータはポジションが同じだったので好きでしたね。あとは『シティーハンター』です。ストーリーが絶対に裏切らないというか。(主人公の冴羽)獠ちゃんが「もっこり」だのと下ネタを言って、(ヒロインの槇村香に)何トンって書かれたハンマーで殴られながらも、カッコいいところを見せて結局、事件が解決して、最後にTM NETWORKの『Get Wild』が流れるという。もちろん『劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)」』も観にいきました。

【お笑いライブ】

『POISON吉田が5人と漫才』
POISON GIRL BAND・吉田大吾が毎回5人の違う相方を迎えて漫才を披露するライブ

POISON吉田さんが、ぜんぶネタを考えて、そのときの相方に渡して当日漫才をするんです。基本的にはルミネtheよしもとでやっているライブだと思うんですけど、「おもしろい」というウワサを聞いて「観てみたい!」と思ってNGK公演を観ました。すっちーさんとか5人以上とやっていて、めちゃくちゃおもしろかったです。「こういうイベントがあるのか!」と刺激的でした。

【CM】

やっぱり音楽が好きなんで、頭に残るCMの曲はずっと覚えていますよね。たとえば『燃焼系』の「燃焼系~燃焼系~ア~ミノ式~♪」とか、武富士のCMとか(笑)。よく考えたらそういう頭に残るCMソングって少なくなりましたねえ。

【気になるネットニュース】

「熊、出没」系
ネットニュースを開いたら、いつもどこかで熊が出ていますね。特に秋田県は僕の父方の故郷で、ばあちゃんの家もあるし、親戚もいるから、「大丈夫かな?」と気になってます。ニュースを見ていると、知っている場所とか映っていて、かなり山から降りてきてるぞっていうのがわかるから、「え!? こんなところにも出るの?」って、びっくりしますよ。

【最近気になる吉本関連ニュース】

大阪・関西万博の吉本興業がパビリオン
パビリオン、めちゃくちゃかわいいじゃないですか! でもあの球体でいったい何ができるのか、何が行われるのかわからないですけど……。資料館みたいになるのか、展示が行われるのか、それこそ劇場になるのかな……? 続報を待ちたいです。

インパルス・堤下敦が活動再開
めちゃめちゃうれしいですね! 堤下さんは一度、『未来の今日』という舞台でご一緒したことがあって、それから僕が東京に行くときには、ごはんをごちそうしていただいたり……。すごく、よくしてくださいます。だから先日、復帰のニュースを見たときは、その日のうちに「また、一緒にお仕事できる日が来ることを願っています!」と連絡しました。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

音楽がなかったら、いまの自分がいないっていうのは、ずっと思っています。ボイスパーカッションも、僕が高校生のころは、いまみたいにスマホで曲を流すこともできなかったので、仲間で集まってラップをやるときにボイパで音を出していただけなんですけど、それが新喜劇のネタになったりとか。ラップも生きてますし、DJをやっていたおかげで音楽関係の方々とつながることができて、人脈も広がりました。音楽、楽しいですよ!

公演概要

吉本新喜劇レイチェル初なんばグランド花月単独公演「FOREVER PARTY PEOPLE!!」

出典: FANY マガジン

日時:11月19日(日) 開場19:00 開演19:30
場所:なんばグランド花月
出演:レイチェル、吉田裕、烏川耕一、今別府直之、太田芳伸、タックルながい。、信濃岳夫、松浦真也、大黒笑けいけい、多和田上人、伊丹祐貴、ジャボリ、生瀬行人、酒井藍、島田珠代、岡田直子、金原早苗、鮫島幸恵、川筋ライラ、咲方響、小林ゆう
チケット:前売3,000円 当日3,500円
 ※前売チケットは完売、当日立ち見席の販売あり

関連記事

関連ライブ