漫才の出囃子でジャズの生演奏…異色ライブにますみ「ここに本物の天才ピアニストが」

関西の老舗ジャズビッグバンド、アロージャズオーケストラを迎え、タカアンドトシ、テンダラー、ミルクボーイら人気芸人の珠玉のネタをおなじみの名曲で彩るという新企画『OWARAI JAZZ SESSION〜ネタとジャズ〜』が、11月15日(水)に大阪・なんばグランド花月(NGK)で開催されました。会場を埋めた観客は、「ジャズライブを見たことがない」お笑い好きから「生のお笑いは初めて」というジャズファンまで、実にさまざま。それぞれが、斬新かつゴージャズなコラボレーションを存分に楽しんでいました。

出典: FANY マガジン
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NGKはカーネギーホールより素晴らしい!?

MCを担当するのは、ピン芸人のkento fukaya。「生のジャズ演奏とネタがセッションする新感覚のネタライブ」と説明しつつ、「NGKなんて、もう守りの姿勢でいいにもかかわらず、すばらしい攻めの内容」と興味津々の様子。「お笑いもジャズも大好きになって帰ってもらえれば」と呼びかけて、いよいよ幕が上がります。

舞台には、昭和のキャバレーのようなネオンきらめく豪華セットが。総勢18人のバンドメンバーが、それぞれの持ち場につき、ジャズのスタンダード・ナンバー『A列車で行こう』を演奏し始めます。なじみのあるメロディに客席から「おおー!」という声が上がり、自然と手拍子が起こりました。

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曲が終わると、kento fukayaによるインタビューも。メンバーを代表してプロデューサーの西田武生さんが、バンドの成り立ちやNGKでライブを行う心境などを語ります。1958年、キタの最高級クラブ「アロー」専属バンドとして誕生したというアロージャズオーケストラ。大阪育ちの西田さんは「ここは、カーネギーホールより、フェスティバルホールより、リンカーンセンターより、どこよりも素晴らしいステージ。ここに上がれたことは最高」と喜びを爆発させました。

ジャズの名曲で芸人が登場!

続いては、お待ちかねの“笑い”との融合、ネタパートに突入。前半は、天才ピアニスト(竹内知咲、ますみ)、ジョイマン(高木晋哉、池谷和志)、囲碁将棋(文田大介、根建太一)、テンダラー(白川悟実、浜本広晃)の4組。各コンビとも、ジャズの名曲を出囃子にして登場します。

天才ピアニストは、映画『007』シリーズの『ジェームズ・ボンドのテーマ』に乗って登場。通常は舞台下手から出ていきますが、今回はセット中央の階段を降りて舞台へと向かう趣向です。

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ますみは、マイクの前に立つやいなや「しびれました!」と絶賛。同時にピアノの石田ヒロアキさんを振り返り、「本物の天才ピアニストがいますけどね!」とイジって笑わせます。ネタでは挨拶がわりに上沼恵美子のモノマネを繰り出したあと、“レンタルおばさん”をテーマした漫才で沸かせました。

ジョイマンの出囃子となったのは、ヘンリー・マンシーニが手掛けた名曲のひとつ、『ピンク・パンサーのテーマ』。ちょっぴりあやしげなメロディに乗せられて、高木が謎の動きをつけながら舞台へと降りてきます。さらに「素敵な演奏、ありがとう、オリゴ糖! ありがとう、脳しんとう!」とギャグでバンドへ感謝! 漫才中には、くるりと後方を振り向いて、バンドにBGMの演奏をリクエストする“”ムチャぶり”もしていました。

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同じくヘンリー・マンシーニによる『ピーター・ガン』とともに現れたのは囲碁将棋。「いつもと違った雰囲気」という2人は、つかみの心理テストネタで、観客の心を一気に引きつけます。漫才本編では、今回のライブにピッタリの、音楽にまつわるネタを披露して、爆笑を巻き起こしました。

テンダラーを呼び込む曲は、音楽の教科書にも載っている名曲『茶色の小瓶』。浜本は、まるで指揮者のように両手を振りながら階段を降り、「めっちゃ気持ちええで!」と大興奮。そこから、新婚生活から運命の出会い、子育て、ブルース・リーに高級レストラン……次々と移り変わる、変幻自在の漫才で圧倒しました。

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名曲『シング・シング・シング』で大盛りあがり!

中締めとして『マンボNo.5』が演奏されると、いったん休憩を挟んでネタパート後半へ。その前に、スウィング・ジャズの巨匠・グレン・ミラーの名曲『ムーンライト・セレナーデ』をしっとりと聴かせます。

後半に登場したのは、フースーヤ(田中ショータイム、谷口理)、ミルクボーイ(駒場孝、内海崇)、タカアンドトシ(タカ、トシ)の3組。フースーヤは、『瀬戸内少年野球団』や『スウィング・ガールズ』など数々の映画・ドラマを彩った『イン・ザ・ムード』とともに軽やかに舞台へ。

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ネタが始まると自己紹介からボケ倒し、ギャグ連発で攻めまくったものの、「あんまりギャグを後ろから見られることないんですよ。めっちゃ恥ずかしい」。最後は“くさかんむり”のギャグをバンドに向かって披露して、メンバーを喜ばせました。

ミルクボーイの出囃子は、ビリー・ジョエル『素顔のままで』のジャズアレンジ。「おかんが好きな」薬、そして動きをテーマに、いつもながらの“行ったり来たり問答”で大きな笑いを起こします。内海はバンドメンバーに拍手を求めたり、西田さんを連れ出して一緒にポーズをとらせたりと、やりたい放題!

出典: FANY マガジン
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トリを飾るタカアンドトシは、これまで数多くの歌手にカバーされてきたスタンダード・ナンバー『君の瞳に恋してる』で登場。「一体感がライブの醍醐味」というタカが、客席、そしてバンドメンバーに声出しを求めるなど、このライブならではの演出もからめながら、幸せな家庭のシミュレーションが、とんでもない方向へと転がっていく怒涛の漫才を繰り広げました。

出典: FANY マガジン
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すべてのネタが終わって、最後は『シング・シング・シング』でフィナーレ。またまた手拍子が沸き起こり、会場はまるでジャズクラブのような雰囲気です。ドラムソロでは、「ヒュー!」と口笛や歓声が上がる盛りあがりを見せていました。

ジャズの魔力に後押しされて、いつも以上に爆笑に次ぐ爆笑となったこの日のライブ。最後にkento fukayaが「また第2回でお会いしましょう!」と挨拶すると、観客から期待を込めた大きな拍手が送られました。

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