76歳になった吉本新喜劇の末成映薫が主催する、出演者が全員60歳以上の公演『生存確認ライブ・いこいの郷~インガスンガスン~』が12月14日(木)、大阪・なんばグランド花月で開催されました。内場勝則、池乃めだか、やなぎ浩二、島田一の介、佐藤武志、はじめ、未知やすえ、浅香あき恵といったおなじみの新喜劇メンバーに加え、西川きよし・ヘレン、月亭八方、さらに演歌歌手の中村美律子、女優の藤山直美といった豪華ゲスト陣も登場。新喜劇はもちろん、歌謡ステージでも大いに盛り上がりました。
末成「終わりには誰か欠けてるかもしれん」
前説に登場したのは今年座長に就任したアキと吉田裕。さっそく乳首ドリルを始める2人に会場も手拍子で盛り上がります。アキは持ちギャグの「いぃよぉ」を連発し、最後は「生存確認ライブ! いこいの郷!」「インガスンガスン!」のコール&レスポンスで会場をしっかりとあたためました。
公演は、新喜劇からスタート。老人施設「いこいの郷」を舞台に、再婚、借金などのトラブルが次々に入所者たちに降りかかるというストーリーです。90歳の施設最年長の“ドン”を演じた末成は、登場シーンで客席に向かって挨拶すると、この日の出演者が高齢のため、「終わりには誰か欠けてるかもしれん」とボケます。そして「最後までごゆっくりお楽しみください」と話すと「芝居に戻ろ」ときびすを返しました。
末成は90歳のドンだけでなく、その孫娘も演じる1人2役。90歳と16歳のギャップと早着替えに客席は沸きます。
内場&やすえ、佐藤&浅香という“リアル夫婦”2組は、実際に夫婦役で登場。やすえと浅香の女性陣が夫のプライベートを暴露しまくり、内場と佐藤はタジタジです。また、めだかの「見下~げて~ごらん~」や島田の「おじゃましますぅ」といった定番ギャグにも客席は大喜びでした。
ゲスト陣も負けていません。中村は登場するなりボケてウケを取ると、末成とのトークで2人が出会ったころを振り返ります。すっかりリラックスしたトークを繰り広げる2人に、内場が思わず「楽屋やないんやから!」とツッコむ一幕も。
きよしとヘレンはいきなり、浅香いじり。鼻の脂にスベるシーンでは、内場に続き、末成、きよし、ヘレンまで参加します。芸人夫婦3組のトークでは、やはり男性陣がやり込められ、ヘレンのハッスルぶりにきよしは「えらい馬力入ってるな〜」とボヤきました。
八方は登場してすぐに水を飲むシーン。落語家ならではの飲みっぷりで魅せます。そして、おいしそうに水を飲み干すと、「酔うた」とボケてステージの全員をズッコケさせました。
さらに藤山が、末成の代名詞でもある円盤かつらをかぶって登場すると、会場から拍手と歓声が起こります。そして円盤かつらの本家・末成と対峙し、めだかとボケ合戦を繰り広げ、島田へ無茶ブリをして……と八面六臂の大活躍。八方が、藤山の父親である喜劇役者・藤山寛美とのエピソードを思い出すシーンもありました。
夫婦デュエットで大盛り上がり
第2部は歌謡ショー。司会は吉田が務めます。まずは末成、未知、浅香によるチアダンスショー! 会場から驚きの声が上がりますが、チアリーダーの衣装に身を包んだ3人が踊り終えると「かわいい!」の声も飛びました。
続いてステージにギターを抱えためだかが登場し、五木ひろしの『契り』を熱唱。笑いを誘った登場のイメージとは裏腹に、真剣な歌声に会場は拍手に包まれました。
佐藤と浅香は石原裕次郎&牧村旬子の『銀座の恋の物語』を夫婦でデュエット。浅香が真っ白なドレスで歌声を響かせると、会場から大きな拍手が上がりますが、吉田から「なんばグランド花月がカラオケ喫茶に!」とツッコミが入りました。
末成は黒のドレスに身を包んで登場すると、欧陽菲菲の『雨の御堂筋』を披露し、最後はヅラを外して会場を爆笑させます。
内場とやすえは、円広志書き下ろしの夫婦デュエット曲『ちぐはぐ最強夫婦』をおそろいの衣装で歌い上げると、「CD絶賛発売中でございます!」とアピールも忘れません。
きよしとヘレンは『東京ナイト・クラブ』を聴かせます。見つめ合いながら歌う2人に会場からは自然と手拍子が沸き起こり、手を取り合ってダンスも披露するなどノリノリでした。
続いて、第1部の新喜劇で婚約者同士だっためだかと末成で『居酒屋』をデュエット。ブルーのドレスに身を包んだ末成と、おなじみのテカテカスーツのめだかという2人の歌声に会場も聞き惚れます。
トリを務めた中村は『河内おとこ節』を披露。イントロが響くと、これまで以上に大きな手拍子と「みっちゃーん!」というかけ声が飛びます。プロの歌手として、さすがの歌唱力で会場を魅了しました
最後は出演者全員がステージに勢ぞろい! 来年、喜寿(77歳)を迎える末成は、「まだまだこうして皆さんに笑っていただけるようにがんばりますので、どうか皆さんお元気で、来年もお待ちしております!」と呼びかけ、最後は全員で『明日があるさ』を歌って幕が降りました。
藤山直美は58年ぶり、ヘレンは56年ぶりの新喜劇
イベント終了後の囲み取材には、末成、藤山、中村、きよし、ヘレン、八方、めだかが参加。末成は「こんなに素晴らしいレジェンドに来ていただいて、本当に楽しい舞台でした。自分もテンションが上がるし、いい勉強をさせていただいた」と改めて感謝すると、来年以降についても「60歳以上だから、入る人は年々増えていくと思う」と意欲をみせました。
藤山は「1日(円盤かつらを)かぶらせていただいて、ありがとうございました。皆さんと一緒に舞台をさせていただくことができて、楽しませていただいた」と話すと、じつは吉本新喜劇は58年前に子役で出て以来だと明かします。中村も、生存確認ライブと聞いて「おもしろいことしはんねんな」と思ったそうで、「お声掛けいただいて、すごくうれしかったです」と笑顔を見せました。
きよしは、夫婦で呼ばれたことに感謝しながら、「声をかけてもらってから(ヘレンの)空気が変わった、今日までずっと怒られてました」とグチが……。ヘレンは、56年ぶりの新喜劇の舞台ということで「主人と出会ったころのことを思い出していました」と語りました。