西川きよしの芸能生活60周年を記念して全国で開催されてきた『西川きよしのプレミアム大感謝祭』が、3月31日(日)に大阪・なんばグランド花月で大千秋楽を迎えました。ステージには、オール阪神・巨人、千原兄弟、ケンドーコバヤシ、ミルクボーイ……などなどベテランから若手まで人気芸人たちが大集結! きよしのパワフルな漫談はもちろん、漫才ありコントありコーナーありの文字通り“プレミアム”な内容で、詰めかけたファンへ感謝の思いを伝えました。
「きよし!」コールに舞台を駆け回る!
きよしは1963年、喜劇役者の石井均に弟子入りし、翌年、吉本新喜劇に入団。1966年に故・横山やすしとコンビを結成し、「やすきよ」の愛称で漫才ブームを牽引する人気者になりました。また1986年には参議院選挙に出馬して当選、3期にわたって政治家として手腕を発揮したあと、現在でもテレビやラジオ、舞台の第一線で活躍しています。
このイベントは昨年7月、きよしの生まれ故郷である高知を皮切りに長野、新潟、宮崎とめぐって、大阪の前日となる3月30日(土)には東京・IMM THEATERで公演。そのエンディングでは明石家さんまが登場し、きよしに花束を贈るサプライズも飛び出しました。
大千秋楽のこの日は、開演を前に長男の吉本新喜劇・西川忠志によるナレーションで、きよしの人生を振り返ったあとは、鉄拳のパラパラ漫画でその歩みを紹介するオープニングVTRへ。おなじみの出囃子「きよしのズンドコ節」に乗ってきよしが登場すると、観客は大きな手拍子と「きよし!」コールで迎えます。
舞台を右へ左へと駆け回り、元気いっぱいに手を振ると、「心新たにこれからも頑張ります!」と挨拶。今年7月に78歳の誕生日を迎えるきよしは、「出会う人がいい方々ばかりで幸せ」としみじみ語り、吉本新喜劇の“通行人A”役だった駆け出し時代、盟友である故・坂田利夫との出会いなど、60年のダイジェストともいえるトークで爆笑を巻き起こしました。
寄席パートには、若手からベテランまで豪華メンバーがズラリ! ダブルヒガシ(大東翔生、東良介)、マヂカルラブリー(野田クリスタル、村上)、アインシュタイン(稲田直樹、河井ゆずる)、ミルクボーイ(駒場孝、内海崇)、千原兄弟(千原ジュニア、千原せいじ)が、とっておきのネタできよしの60周年を祝いました。
ケンコバ「きよし師匠は伝説にまみれている」
コーナーも盛りだくさんです。「西川きよし伝説」では、月亭八方、オール阪神・巨人、大平サブロー、矢野・兵動の兵動大樹、メッセンジャー・黒田有、元NMB48の渋谷凪咲が、きよしにまつわるエピソードを披露します。
進行役を務めるケンドーコバヤシは、「きよし師匠は伝説にまみれている。最初の予定では“被害者の会”だった」とさっそく笑わせますが、当のきよしは中央の玉座に腰掛けながら、なんだか居心地が悪そうで……?
じゃんけんで絶対に勝つ、ロケで雨に降られたことがないなど、その強運ぶりは広く知られていますが、阪神とサブローによると、ゴルフの日に雪が降るも、きよしがグリーンに出ると太陽が出て雪がとけ、気温が28度まで上がった──そんな“魔力”に近い逸話も語られます。
八方は「むちゃくちゃ真面目で、人を愛するときも中途半端には愛さない」とその情熱を称えつつ、途中からまさかの暴露に突入! 巨人らも話に乗っかって、ケンコバが思わずストップをかけるほどの盛り上がりです。
兵動が、よしもと祇園花月の舞台袖で遭遇したきよしの天然エピソードを語れば、黒田は「いま、とれたてのエピソードがある」と、ついさっき楽屋で起きた事件を報告します。きよしとロケをする機会が多いという渋谷も、ペットボトルのキャップを開けたまま手を振って歩いていたなど、おもしろネタ惜しみなく投入。その後もおしゃべりは尽きることなく、きわどい内容にケンコバは「ぜんぶ台本をもとにしゃべってます!」と笑わせていました。
桂文枝による花束贈呈も!
「クイズ! 西川きよし」では、MCを担当する千原ジュニアのもと、千原せいじ、ケンコバ、渋谷、アインシュタイン、ミルクボーイ、ダブルヒガシがきよしにまつわる珍クイズに挑戦しました。
BSよしもとの番組ロケで、どら焼きを試食した際のコメントを推理するクイズなどさまざまな問題が出され、想像の斜め上をいく正解に回答者たちは大爆笑。ジュニアがきよしのおもしろエピソードを語る場面もあり、最後まで“きよしイズム”全開の内容となりました。
さらにイベント中盤には、俳優の松重豊、岡田准一からのお祝いメッセージVTRも上映! 豪華な顔ぶれに、会場がどよめきます。
またエンディングでは、桂文枝がサプライズで駆けつけ、花束を手渡しました。「ご苦労様でした」とねぎらったあと、「ひとつだけ、言うていいですか?」と秘蔵エピソードを繰り出して大いに笑わせます。
最後はきよしが「こんなに恵まれたんですから、これからは世のため人のため、お返しをさせてもらう人生。大きなことはできませんが、小さなことからコツコツと、一隅を照らすような生活が送れたら」と語り、大きな拍手に包まれました。
70周年も「舞台を縦横無尽に」
終演後の囲み会見では、きよしとケンコバ、ミルクボーイが出席しました。2022〜2023年に全国8カ所で行われた『吉本興業110周年感謝祭 西川きよしのコツコツ全国ツアー』、そしてこの『プレミアム大感謝祭』と、2年間にわたって全国に笑いを届けてきたきよしは、「ホッとしてますが、寂しさのほうが強いのかな」と名残惜しそう。
ケンコバは「こんなすばらしい場に立ち合わせていただいて本当にありがたい」と感謝しつつ、「(ツアー中に)“どこかでいいお寿司を食べましょう”と言っていただいたんですが、寿司屋にはもう入れない絶妙な時間に終演しました」と苦情も!? 時間を確認したきよしも「無理やなあ……」とつぶやいて笑いを誘います。
公演のたび、きよしから贈られる手土産について触れたのはミルクボーイ・内海。この日はきよしの健康の源である「高級梅干し」をもらったそうです。駒場は「いつも緊張するけど、師匠のライブに来られるお客さんはやさしい。今日もいい人ばっかりですごいなと思った」と公演の感想を語りました。
今後については、大都市だけでなく、小さな町でも公演を行いたいというきよし。
「お年寄りの方から“もっと奥のほうまで来てもらいたい”という便りをいただくんです。会社と相談しないといけないが、これから恩返しとしてやらせていただきたいなと考えてます」
そして、さらに次なる節目、70周年に向けては「元気な年寄りのひとにぎりになりたい。西川きよしさんみたいに、元気で社会に関わって人生を過ごしたいなと思われるように」と目標を語り、「体を鍛えて、ボイストレーニングをして、舞台を縦横無尽に走り抜けられる芸人でありたい」と力を込めました。