大阪のお笑い文化の継承と発展のために、舞台に立つ若手漫才師たちをサポートする「上方漫才協会」(2014年12月1日発足)が、今年で「10周年」を迎えます。それを記念したイベント『上方漫才協会 十周年興行』が、10月20日(日)に東京・有楽町よみうりホールでが開催され、将来の漫才界やお笑い界を引っ張る人気芸人が勢ぞろい! これまでに上方漫才協会大賞を受賞したアインシュタイン、見取り図、ミキ、天才ピアニストをはじめ、文芸部門賞のコットン、特別賞の霜降り明星、劇場賞のもりやすバンバンビガロ、そして東京漫才をけん引するタカアンドトシなど、豪華な顔ぶれがネタを披露しました。
トークコーナーで粗品と亜生がもみ合いに!?
爆笑続きのネタに加えて、イベントのもうひとつの目玉は、上方漫才協会の中田カウス会長と人気芸人のトークコーナー。前半ブロックに登場したのはミキ(昴生、亜生)です。
カウスは、ミキと一緒に仕事となると、いつも昴生が挨拶に来てくれるが、亜生はまったく来ないと指摘。「先輩に挨拶に来ないのが、君(亜生)と粗品(霜降り明星)やな」と明かすと、粗品の後輩である亜生は「あんなヤツと一緒にされたら困る!」と大クレームです!
すると、出番前の粗品がステージに現れてもみ合いになり、さらに、なぜか相方のせいやも飛び出してきて、大盛り上がりとなりました。
後半ブロックに登場したのは、アインシュタイン(稲田直樹、河井ゆずる)。2人はNSC(吉本総合芸能学院)の先輩・後輩で組んだコンビで、稲田は「もともと(河井が)先輩でごはんも連れて行ってくれたし、着なくなった服もくれるので、『こんな最高の相方はいないな』って」と振り返ります。
河井が「首から下がほとんど一緒だったんで、よく服をあげていたんです」と語ると、彼の言わんとしていることが徐々に伝わり、笑いが増幅。稲田は下あごを震わせて「笑うな!」と客席に訴えていました。
「大事なのは足腰を鍛えられる舞台」
大盛況だった公演終了後には、カウス会長、アインシュタイン、もりやす、霜降り明星(粗品、せいや)、コットン(西村真二、きょん)、天才ピアニスト(竹内知咲、ますみ)が参加した囲み取材会が行われました。
上方漫才協会10年の歴史を振り返ってカウス会長は、「コロナ禍も関係なく、次から次へと若い子が育ってきて、各ジャンルで活躍してくれている」としみじみ。「今日、この日を迎えられて、大変うれしい思いですね」と言いつつ、隣にいた河井に向かって「次期会長、よろしくお願いします」と笑わせながら、こう続けました。
「いちばん大事なのは、やはり足腰を鍛えられる舞台ですね。今日のように生のお客さまにあれだけ喜んでいただけて、あれだけの笑いはなかなかテレビを通してはお届けできない。吉本112年の歴史で、劇場があって、お客さまがいて、芸人がいて……というこの関係を崩さずにやってこられたことが嬉しいです。ぜひ応援してください」
2代目会長は“DNAを受け継ぐ”せいや!?
「第一回 上方漫才協会大賞」(2016年)で大賞を受賞したのはアインシュタイン。河井はこう語ります。
「組んで3年目ぐらいのときにこの賞をいただいて、大賞を機に少しずつお仕事をいただけるようになったので感慨深いものがあります。僕たち以降も大賞を獲った後輩がいますけど、負けないようにサボらないように頑張りたいです」
稲田は「第一回目でいただいたおかげで、ほかの賞レースであまり結果が出ていないところがうやむやになって……。すごく助かります」と語って笑いを誘いました。
霜降り明星は、「第四回 上方漫才協会大賞」(2019年)で特別賞を受賞。粗品が熱い思いを語って、カウスをうならせました。
「(2018年に)『M-1グランプリ』で優勝するまでの過程とか、“漫才の成長”は間違いなく上方漫才協会に身を置いていたことと、『よしもと漫才劇場』で、当時の霜降り明星には見合わない舞台数をいただいたことだと思います。そこで漫才を磨かせていただいたおかげでM-1も優勝できて感謝していますし、上方漫才協会やよしもと漫才劇場のことをいつか『実家』と呼べるぐらいになるまで頑張りたいです」
一方、「漫才は人生の原点」というのはせいや。カウスに挨拶した際に言われた「お〜! 中田カウスのDNAを持つ男」という言葉が忘れられず、「宝物のようだ」と語ります。せいやが「2代目会長は(河井ではなく)僕です!」と立候補すると、カウスの口から「それ、みんなに言うてんねん」と衝撃の事実が! せいやは「師匠!」と驚いていました。
コットン・きょんが語る“忘れられない一言”
「第八回 上方漫才協会大賞」(2023年)で大賞を受賞し、現在も「よしもと漫才劇場」に所属している天才ピアニスト。竹内が「(よしもと漫才劇場は)挑戦する場としていただいている場所だと思っているので、上方漫才の伝統を守るとともに、新しいものにも挑みたい」と意気込むと、ますみも「女性漫才師・コント師として、女性にしか出せない漫才のしなやかな筋肉を山盛りつけて、ネタもますみ自身もデカくなっていきたい」と意欲を見せました。
一方、大道芸を中心に活動しているもりやすは、「第八回 上方漫才協会大賞」(2023年)で劇場賞を受賞したことで、「『ボク、いていいんや』って(思えた)」とポツリ。「個人的には師匠みたいに上品なお笑いができるようになりたいですし、師匠みたいに楽屋にお花を生けたいです」と話しました。
「第八回上方漫才協会大賞」(2023年)で文芸部門賞を受賞したコットン。ふだんの劇場ではコントを披露することが多いという彼らですが、「僕らは漫才もやるので相乗効果で高められたら。いつか劇場に恩返しがしたいです」(西村)と意気込みます。
また、せいやの話を受けて「僕も師匠に言われて忘れられない一言がある」ときょんがエピソードを語る一幕も。劇場で女性の恰好をして準備をしていたところ、カウスから「キレイやな」と言われたそうで、「すごく嬉しかった。これからも師匠にハマる女性を研究したい」と、方向性がよくわからない“決意”を語りました。