いやぁ、しかし値段が高いですね。何の? 全部の!
というわけで始まりました。ガクテンソク奥田のGossipTimesです。今回のテーマは『物価高』でございます。今回はゴシップというより解説寄りかもしれませんが、最終的にはなんとかゴシップっぽく出来たらなぁとは思っております。では参りましょう。

物価高は『インフレ』によって起こる現象です。インフレというのは物価が継続的に上昇する状態のことです。物価が上昇することにより、生活費が高くなり、同じ金額で買える商品やサービスの量が減る状態です。 お金の価値が相対的に下がっているといえます。
「あれ? 日本って今まで『デフレ脱却』とか言ってなかった? じゃあインフレになったのはいいことじゃない?」
と思った方はニュース通! 確かに日本は長く『デフレスパイラル』という状態で、
物価が下落する→企業の収益が減少する→働いている人の給料が下がる→安い物しか買えなくなる→さらに物価が下落する→さらに企業の収益が減少、、、
という悪循環が起こっていました。ということは、インフレになればこれが逆回転して好景気になるはずですよね。でも、景気が良くなってるという実感はあまりないと思います。
それは、今のインフレが『良くないインフレ』だからです。インフレには2種類あって、それが起こる理由も別々です。
まず一つが『コスト・プッシュ・インフレ』です。こちらは、原材料費や人件費など、生産コストが上昇することで発生します。
日本の場合は、ロシアとウクライナの戦争によって食料品にかかるコストが大幅にアップしました。小麦、大麦、トウモロコシなどの穀物の生産と輸出が大幅に減少し、パンや麺類などの穀物を原料とする食品の価格上昇、さらに、穀物は家畜の飼料としても使用されるので、肉や乳製品の価格にも影響がありました。
ロシアはエネルギー産出国でもあるので、電気代やガソリン代が上がってしまって、企業の生産コストが上がりました。
あとは円安。1ドル=100円であれば、ドルに両替する時に1万ドルを用意するのに必要なのは100万円です。1ドル=150円で1万ドルを用意するには150万円なければいけません。この状態だと輸入価格が上昇し、コストが上がります。

あとちょっと意外なのが賃金の上昇。賃金の上昇は、もらう側にはいいことですが、払う側の企業としてはコストが増加してます。
企業はこれらのコスト上昇分を価格に転嫁するため、物価が上がってしまうわけです。
大企業なら当然のように価格転嫁できますが、中小企業だとなかなかそうはいきません。価格を上げると売れなくなってしまうこともあるので、コストが上がった分は自分で被るところも多いです。その分売り上げが落ちるので、従業員の給料を減らしたり、普通に倒産してしまったりします。
ね? まさに『良くないインフレ』でしょ? 今の日本で起こっている物価高のほとんどはこちらのインフレによるものです。なので消費税の減税だったり、ガソリン税の減税だったり、企業への補助金を出すか否か?みたいな議論が国会で行われているわけです。
もう一つのインフレは『デマンド・プル・インフレ』です。
「お! じゃあこっちが『良いインフレ』ってことか!」
と思うかもしれませんが、一概に『良い』というよりは、うまく扱えれば良いインフレにもなるって感じです。
これは、需要が供給を大きく上回った場合に発生します。つまり、多くの人が商品を買い求めているのに、企業がそれに対応できないという状況です。 日本の高度経済成長期はまさにこれでした。経済活動が活発となり、企業収益が増加、雇用も増加、給料も上昇などの好循環が生まれる可能性もあります。
こちらの場合は、コストを下げたりすると値段が下がってしまって、余計に物がなくなってしまって、結果的にもっとめちゃくちゃに物価が上がったりするので、減税などではなく適切な『投資』が必要になります。その舵取りを間違えたらすごい速度で物価が上がってしまって、手がつけられなくなったりもするので、あくまで『うまく扱えたら良いインフレ』です。
ずっと政府が言っていた『デフレ脱却』というのは、デマンド・プル・インフレを目指すということでした。しかし、今のインフレのほとんどはコスト・プッシュ・インフレなので、我々の生活が全然良くならないんです。
「なるほどね、、ん? さっきからやたら『ほとんど』って言ってるね? 全部じゃないの?」
良く気づいてくれました! そうなんです。今、国内起こっている物価高の物の中で、デマンド・プル・インフレの物があるんです!
それはお米です。お米に関しては、供給が需要を大きく下回っています。本当は政治でどうにかする問題ですが、政府は長らく『減反政策』というものをしていて、お米の生産量を調整してきました。その政策が、まぁ簡単にいうと大失敗しているわけですが、その責任は取りたくないので、安いカリフォルニア米を仕入れる方向で帳尻を合わすことでしょう。けど、やっぱり国産米って響きが良いですよね。そっちの方が美味しそうだし。

※あくまでも本連載は個人の見解です。