吉本興業×東京大学×Google「AIイベント」で桂文枝が“AI落語”披露! 藤井総長「研究対象としてとても興味深くやりがいのある研究」

落語家の桂文枝が、5月30日(金)に東京大学・安田講堂で開催された人工知能(AI)のイベントに出席しました。「知と革新のフロンティア共創 – AI・起業・グローバルが織りなす未来創造セッション supported by Google-」と題されたイベントで、文枝はGoogleの生成 AI「Gemini(ジェミニ)」と一緒に作り上げた落語を披露。イベント終了後には東大の藤井輝夫総長との特別対談も行い、科学やAIの可能性について語りました。

出典: FANY マガジン
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落語のオチを“文Gemi”と相談して決定

今回のイベントは「東大の変革」をテーマに、東大卒業生の起業家やGoogle、吉本興業がコラボレーションしたものです。特別企画として文枝が、スーパーマーケットの社長が専務に「AI社長を作った」と持ちかけるところから始まる創作落語「リーダーシップ」を披露しました。

この創作落語は、昨年のGoogle主催のイベントのために作られたもので、文枝から「桂文Gemi(かつらぶんじぇみ)」という高座名も与えられた「Gemini」が台本作りを担当し、文枝が監修・口演を担いました。

アイデアを投げては、ダメ出しをする「師匠と弟子」のような対話を約1カ月半繰り返し、完成させた「リーダーシップ」。一般に披露するのは、今回が初めてです。

高座に上がった文枝は、今回のイベントをやることになった経緯を話しつつ、「ずいぶん前にやっただけなので、ほとんど(台本の中身を)忘れました」と話して笑わせます。

出典: FANY マガジン
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自身に弟子入りした“文Gemi”について、「人間の弟子だったら姿が見えるんですけど、いったい文Gemiはどこにいるのか……。実はここにいるんです」とスマホを取り出します。

実際にスマホで操作しながら、ユーモアのある挨拶をするよう命令。そして、“文Gemi”が超スピードで提案した挨拶を代読しますが、文枝のお眼鏡にかなわなかったのか「なんのこっちゃ!」とツッコんで笑いが起きました。

続いて披露された創作落語は、文枝が監修した“文Gemi”の台本に、文枝自身が命を吹き込んで、上質な落語へと進化。今回は新たな試みとして、落語中にスマホを取り出してGeminiとやりとりする一幕もありました。

「スーパーマーケットで売り出す新商品の名前を200個考えて」、「売り上げが芳しくない売り場を盛り上げる方法」といった要望をその場で入力し、Geminiが提案したアイデアを文枝がアドリブを交えて紹介。さらに噺のオチをどうするかまでGeminiに問いかけ、AI×落語の可能性を広げました。

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文枝「頭脳を活かして次のかたちを」

落語を披露したあとは、文枝と東大の藤井輝夫総⻑との特別対談が行われました。「AI技術」のことや、藤井総長が研究してきた「深海を調査するための海中ロボット」のことなど、話題は多岐にわたります。

「落語って生ものですからね。時代を切り取って喋ったり、お客さんと駆け引きをしたり、お客さんの雰囲気をうまく掴んでいくものなんです。なので、AIではなかなか難しい」

AI×落語について文枝が率直な感想を語ると、藤井総長は「研究対象としてはとても興味深く、やりがいのある研究だと思います」と応じます。

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吉本と東大は、2021年から「笑う東大、学ぶ吉本プロジェクト」を立ち上げ、さまざまな取り組みを行ってきました。藤井総長は、学生が吉本に出向いて漫才を作ったり、ココリコ・田中直樹とともに魚がテーマの授業をしたりと、多くのコラボレーションをしてきたと言及。吉本とのコラボに、こう期待しました。

「研究したものを発表するときや、大学の取り組みを世の中にお伝えするときに、どうしても固くなってわかりにくくなるわけです。その点、吉本さんは『言葉で人に伝える』ことが、いちばんの得意ジャンル。そういう意味でも、コラボレーションをさせていただき、新しいものを作り、みなさんに知っていただく機会にしたいです」

これを聞いた文枝は、吉本には医者をしながら活動をしている芸人もいることに触れながら、「お役に立てればと思います。(芸人のなかには)高学歴の人もいるので、頭脳を活かして、次なるかたちを作ってもらえたらと思いますね」と語りました。

出典: FANY マガジン
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最後に藤井総長は「これからも吉本さん、文枝師匠とも、ぜひご一緒させていただければと思います」と挨拶。文枝は「吉本としてもありがたいですし、今後ともいろいろと教えていただきたいです。なにより(東大とのコラボは吉本の)イメージがよくなりますね」と語って笑いを誘いました。

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