「M-1新王者」50歳の錦鯉・長谷川を支えた“松本人志の言葉” 「漫才のおかげで人生が変わった」

プロ・アマ問わずコンビ歴15年まで、“とにかく面白い漫才”が審査基準の漫才頂上決戦『M-1グランプリ』(ABCテレビ・テレビ朝日系)。12月19日(日)に開催された決勝戦で、第17代王者に錦鯉(長谷川雅紀、渡辺隆)が輝きました! 50歳の長谷川と43歳の渡辺という最年長コンビは、直後の優勝会見で「漫才」への思いを熱く語りました。

©M-1グランプリ事務局
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過去最高となる6017組がエントリーした今回の大会。決勝当日は、優勝した錦鯉のほか、モグライダー(芝大輔、ともしげ)、ランジャタイ(伊藤幸司、国崎和也)、ゆにばーす(はら、川瀬名人)、真空ジェシカ(ガク、川北茂澄)、オズワルド(畠中悠、伊藤俊介)、ロングコートダディ(堂前透、兎)、インディアンス(田渕章裕、きむ)、もも(まもる。、せめる。)、そして今年でM-1ラストイヤーとなるハライチ(岩井勇気、澤部佑)が敗者復活戦で最後の1枠をつかみ取り、全10組が渾身の漫才を披露しました。

ラストイヤーは56歳

生放送終了後、会見場に現れた錦鯉。優勝の心境を聞かれた渡辺が、こう語ります。

「夢のようで実感がまだ湧いてない。現実なのかな? という感じです。終わって、(ファイナリストの)みんなにおめでとうと言われて、少し実感が出てきました」

©M-1グランプリ事務局
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今年もMCは今田耕司と上戸彩、審査員は上沼恵美子、松本人志(ダウンタウン)、礼二(中川家)、立川志らく、塙宣之(ナイツ)、富澤たけし(サンドウィッチマン)、オール巨人(オール阪神・巨人)が務めた決勝戦。ファーストラウンドの出番順と得点は下記の通りでした。

1:モグライダー・・・・・・637点
2:ランジャタイ・・・・・・628点
3:ゆにばーす・・・・・・・638点
4:ハライチ(敗者復活)・・ 636点
5:真空ジェシカ・・・・・・638点
6:オズワルド・・・・・・・665点
7:ロングコートダディ・・・649点
8:錦織・・・・・・・・・・655点
9:インディアンス・・・・・655点
10:もも・・・・・・・・・645点

上位3組による最終決戦はインディアンス、錦鯉、オズワルドの順。50歳となる長谷川にとって2年連続2回目の決勝への挑戦となった錦鯉が5票の審査員票を獲得し、17代目王者になりました。

出典: FANY マガジン
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コンビ名が呼ばれたあと、渡辺に抱きしめられた長谷川は大粒の涙をいくつもこぼしながら、「諦めないでやってきてよかったです。ラストイヤーは56歳だったので、今年(優勝を)決められてよかった」と喜びを。そんな長谷川に対して渡辺は「歯がないので何言ってるかわからないですね」とツッコみながら、「長谷川さんとコンビを組めてよかったです!」と言い切りました。

コメントを求められた審査員全員が「審査に悩んだ」と口にした最終決戦。松本も「いままで、こんなに悩んだことはなかった」と明かしつつ、「いちばんバカに入れようと思った」と、錦鯉へ票を入れた理由を語りました。

長谷川が涙を流したワケ

優勝会見では、長谷川が“大粒の涙”について照れくさそうに話しました。

「優勝が決まったとき、抱きついてきた相方に『ありがとう』って言われて。ふだん、ありがとうなんて言う人間じゃないのでね、そりゃあ涙があふれますよ」

©M-1グランプリ事務局
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昨年、初の決勝進出を果たしてから漫才に磨きをかけてきた2人。その間に“気づき”があったと渡辺は言います。

「昨年、松本さんにパチンコをやらないので(ネタが)わからないと言われて。合コンはやってるかなと思ってネタにしたら、いい結果が出たので、わかりやすいネタを作ったほうがいいということを学びました」

今回は、賞レース王者のハリウッドザコシショウ、バイきんぐといった事務所の先輩たちからネタへのアドバイスももらったそうで、長谷川は「本当に感謝してます」としみじみ語りました。

渡辺が優勝の喜びをいちばんに伝えたい人は「一緒に住んでいる父」。一方、「僕は相方の渡辺隆です」と答えた長谷川は、渡辺に「俺は知ってるよ?」と言われながらも「いちばん感謝してるのは、相方の渡辺隆だから」と断言。

「前のコンビを解散して(芸人を)辞めようかなと思ってたとき、渡辺隆に声をかけられて。40歳から(錦鯉を)始めて50歳でこういうかたちになったのは嬉しいです」

こう話す長谷川に、渡辺は「組んでよかった!」と笑顔を見せました。

出典: FANY マガジン
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「魂は歳をとらない」

錦鯉の“芸”を支えるのは、劇場のステージ。コロナ禍の前は、ひと月に25~30公演に出演してきました。長谷川が「年齢も芸歴も違う、ひと回りもふた回りも下の人たちと中野や新宿の劇場で一緒にやってきましたけど、どの会場でも受け入れてくれたことに、感謝の気持ちはあります」と若い世代への思いを語ると、渡辺も「(年齢も芸歴も)同じように扱ってくれてありがたかった」とうなずきました。

M-1優勝によって、2人の芸人人生は大きく変わることになります。

「漫才とは何かと聞かれて、いままでは仕事だと答えていたけど、仕事以上のものになりそう」

渡辺が率直な心境を吐露すると、長谷川も「漫才のおかげで人生が変わったので、ここから先も漫才は続けていきます」と決意を表明。そして「ここからがスタートかもしれない」と呟きながら、漫才への熱い気持ちを語りました。

「ダウンタウンの松本さんの“魂は歳をとらない”という言葉が大好きなんです。おじさんだからとか(言い訳にするような理由は)いろいろとありますけど、体が動かなくなったら言葉で補いながらでも、漫才はやっていきたいです」

©M-1グランプリ事務局
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今年のファイナリストを追った『M-1グランプリ2021アナザーストーリー』は、12月27日(日)23:15からABCテレビ・テレビ朝日で放送予定です。