吉本新喜劇の座長・酒井藍が手がける舞台『末成歌劇団特別公演~はじまりのとき~』が11月16日(日)、17日(月)の2日間、大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TTホールで開催されました。男役も娘役も女性座員たちが演じ、シェークスピアの名作『ロミオとジュリエット』に挑戦。宝塚歌劇団出身のゲストも日替わりで登場し、華やかなステージになりました。FANYマガジンでは、その2日目公演の模様をレポートします!

笑いとミュージカルの融合!
「末成歌劇団」は、酒井が手がける新喜劇のシリーズで、代表の末成映薫を中心に女性座員のみで編成された歌劇団が活躍します。日本特有の“女性だけの歌劇”文化にも通じ、吉本新喜劇の面白さにミュージカルの華やかさを加えた独自の世界観で人気です。
今回の特別公演には、酒井と末成のほか、島田珠代、金原早苗、森田まりこ、松浦景子、重谷ほたる、たかおみゆき、岡田直子、前田まみ、服部ひで子、吉岡友見、大塚澪、小林ゆう、浅香あき恵、そして唯一の男性キャストである吉田裕が出演。
ロミオを「末成歌劇団」トップスターの金原、ジュリエットを娘役トップの松浦が務めます。加えて、初日には彩羽真矢、2日目は紅ゆずるという宝塚歌劇団出身のゲストが出演しました。


物語は歌劇団の舞台裏からスタート。存続の危機に瀕した歌劇団が、新作公演『ロミオとジュリエット』の初日を迎える場面では、さっそく座員たちが得意技やギャグを披露して、個性豊かな才能が躍動します。
そこにゲストの紅が颯爽と登場すると、一段と大きな拍手が沸き起こり、紅も座員に負けない‟お笑い力“で会場を沸かせました。そして、吉田はツッコミ役として、自由奔放にボケる女性座員たちを鮮やかにさばいていきます。

劇中劇の『ロミオとジュリエット』では、座員たちが‟歌劇メイク“をばっちり決めて、本格的な衣装で登場。ミュージカルだけに歌唱シーンも多く、それぞれに歌声を響かせるなか、なんばグランド花月の本公演でもソプラノを響かせている大塚が活躍しました。
一方、前田は大好きな演歌調で存在感を発揮。さらに、ロミオとジュリエットが教会で永遠の愛を誓うシーンで歌われる名曲『エメ』では、金原と松浦が美しいハーモニーで魅了しました。



紅ゆずるが「末成歌劇団」に正式入団!?
終演後に末成、酒井、そして紅を直撃しました!
――公演を終えた感想をお願いします。
紅 まず、吉本新喜劇さんに出演させていただけること自体が、めちゃくちゃうれしかったです。いまをときめく座員の皆さんがたくさん出ていらして。私、映薫姉さんのカツラに憧れて、宝塚歌劇に在団中、同じようなカツラを作って宝塚の舞台に出たことがあるんですよ。
――あの円盤のカツラですか!?
紅 はい。いまだに宝塚のカツラ屋さんに飾ってあります。今日は「夢って叶うんやな」と思いました。(出演の)お話をいただいたときも、「出演させてくださいです!」とすぐにお返事させていただきました。ありがたいです。とってもうれしかったです。
――今後、「末成歌劇団に」入団する可能性は……?
紅 入れてくださるんやったら、ぜひ(笑)。
酒井 待ってください! そんなおこがましいこと! ゆずるさんは『ロミオとジュリエット』で何役もされてきた方ですから……。こっちはうれしいですけど(笑)。

――末成さんは、今日はどうでしたか?
末成 本当に稽古が少ないなかで、みんなようやりしたなというのが、まずいちばんの感想です。吉本新喜劇の女優陣と、今回は吉田(裕)くんという男性もひとり入ってくれていましたけど、やっぱりスゴいなと。こんな劇団は世界中、探してもどこにもないと思うんですよ。
あれだけ少ない稽古でこれだけやれるというのが、みんなの自信にもつながって、これから一歩一歩、もっともっとレベルアップした末成歌劇団を目指していきたいなと思っています。前はなんばグランド花月の本公演でやらせてもらいましたが、別の劇場でやるとなると構え方が違ってくるし、キリッとしたものも出てきて、気合も違います。
「失敗したくない」と誰しもが思うんですけど、その“失敗”さえも笑いに変えたりするのが我々ですから。そういうところもお客さんが期待されているんだなと思いました。

紅「客席がめちゃくちゃ温かい」
酒井 昨日は彩羽真矢さんが出てくださって、今日は紅ゆずるさん。「まさか……!」という気持ちで緊張していたのですが、(紅さんは)ほんまに大阪のコテコテの笑いが全部入っています。
だから稽古時間も本当に15分やったんです。15分だけで本番に行くのは戸惑うと思うんですけど、ご自分の出番までにしっかり仕上げてくれはりましたから、「さすがやな」と思いました。
元タカラジェンヌ、しかもトップスターの方にゲストで出ていただくなんて、本当に夢みたいでしたし、これからもっと末成歌劇団でいろんな公演をしていきたいなと、彩羽さんと紅さんが出てくださったことで夢が広がりました。あと、「こんなに違うんや!」って思いました。スタイルが。
末成 ねえ? 違うでしょう?
酒井 びっくりしました。以前、別のお仕事でご一緒させていただいたときも「おきれいな方やなぁ」と思っていましたけど、そのときは共演が私ひとりだけで、自分の姿は見えていないじゃないですか。
今回、仲間全員が舞台上に並んでいる中に紅さんが登場された瞬間、「こんなに違うんだ!」って(笑)。みんなちょっとだけ姿勢をよくしたと思います。ありがたい舞台でした。ありがとうございました。

――紅さんのボケもウケていましたね。
酒井 さすがトップスターですし、いろんな舞台をされているので、お芝居の面でもすごく勉強になりました。
末成 大阪で育ってはるから、間(ま)が全然違いましたね。「お見事やな」と思いました。
――紅さんが生き生きしているように見えました。
紅 出演のお話をいただいてから、笑いのプロフェッショナルの方々の中に入らせていただくわけですから、外から見ているときは「楽しいなぁ」と言っていられるんですけど、いざ自分が出演させていただくとなると「いや、これは笑ってられへんな」と。
台本ができあがるのもギリギリやなと思いながら(笑)、「皆さんも、このギリギリの中でされてるんやろうな」と思って。これはもう足を引っ張らないようにと思って、心して挑ませていただきました。あと、客席がめちゃくちゃ温かい。久しぶりに、温かい客席の舞台に立たせていただいたな、と感じました。
酒井 不思議だったのが、ゆずるさんのファンの方もたくさん来てくださっていて、新喜劇ファンの方も来てくださっているなかで、ゆずるさんが出てきてくださった瞬間はもちろんわ~!となるんですけど、ネタが始まったら新喜劇座員を見るときと同じ目で見てくださっていたんですよ。それがめっちゃうれしかったです。

――紅さんから新喜劇メンバーにアドバイスはありますか。
紅 もし機会があれば、歌劇メイクの講習をぜひさせていただきたいです。皆さんも絶対似合うと思いますし、メイク方法を知ったら、もっともっと映えると思いますよ。
酒井 ありがとうございます! 私は絶対に受けたほうがいいです。みんなも喜ぶと思います!
