初めまして、芸人ライターの森川やるしかねぇです。今回、7月4日(土)~8月26日(水)に東京・ヒカリエホールで開催されている、日本の女性写真家たちによる展覧会『まなざしの奇跡 日本女性写真家の冒険』へ行って参りました。初めてこうした展覧会へ足を運んでみたのですが、写真から伝わるパワー、想い、奥の深さに腰を抜かしました! こんな素晴らしい展覧会を、ぜひ皆さまにも体感していただきたいと思い、全力でリポートを書かせていただきます!

世界巡回展で14万人を動員!
近年、国際的な注目を大きく集めている日本の写真表現。しかしこれまで、その代表として紹介される写真家は男性に偏りがちでした。そうしたなか、世界が注目する日本の女性写真家総勢30人が渋谷に集結し、「記憶、身体、日常、ジェンダー」など多彩なテーマで紹介するのが今回の展覧会です。
この展覧会は、「大規模世界巡回展」としてフランス・アルル国際写真フェスティバルを皮切りに世界各地で開催されていて、これまでになんと14万人を動員。今回はその拡大版として、待望の日本上陸を果たしました! 渋谷の街と溶け合い、広がり、発信する、ライブ感あふれる祝祭的展覧会です!

いま、世界で注目されている日本の女性写真家30人を一気に知ることができ、その作品に触れることができる、いわば期間限定欲張り大作戦セット! 写真に興味があるなしにかかわらず、この機会を逃すわけにはいかないということです!
キュレーター・竹内万里子氏「ひとまとめにしないでほしい」
展示解説をしてくださった本展キュレーターの竹内万里子氏が、この展覧会への熱い思いをこう語っていました。
「作家の皆さん、一人ひとり複雑で異なるアイデンティティがある。奥深くて、これだけ一人ひとり違う。まとまりではなく、バラバラの個性を伝えたい。(女性であることで)ひとまとめにしないでほしい。自分の感情で自由に見て、展覧会に接してほしい」

その言葉を聞いて僕は「熱い。強い。かっけぇ!」と、心の中で何度も叫びました!
世界にこの素晴らしい日本の女性写真家たちを紹介したいんだ! 世界に伝えたいんだ! という強い想いが言葉に素直に乗っていて、僕の心に突き刺さるものがありました。
この言葉を聞いて、正直、写真について無知だった僕も僕なりに、無知なりに自由な感情で、展覧会の門をくぐろうと決めました。
いざ足を踏み込んでみたら、そこは圧倒される部屋だった
いざ展覧会へ入ってみると、「写真」という枠組みを超え、インスタレーション、コラージュ、映像など、多様なアプローチによる作品約200点が展示されており、その数の多さ、ヒカリエホールの大きさ、そのすべてに力強さのようなものを感じ、素人ながら圧倒されました。

1枚の写真に込められた写真家の想い、伝えたいメッセージ。すべてを理解するのはもちろん難しい。キュレーターの竹内さんが展示解説のときにおっしゃっていた「自由な感情」で見ると決めていたので、あくまで「僕はこの写真を見てこう思った」ということでいいのだろう。そう思いながら展示を回れたのが、とても良かったです!
すべてを理解しようと思って200点の作品を見ていたら、おそらく半年はかかって気絶していたと思います!
それくらい、写真のパワーってすごいんだなと実感できました!
異彩を放っていた写真家・澤田知子
今回、紹介された女性写真家30人の中の1人、澤田知子さんにインタビューしました!
澤田知子さんは、千里金蘭大学に新しくできた日本で唯一文系、アート系AIを学べる映像AIデザインコースを担当し、教えながらアーティストとしても活躍している写真家で現代美術家です。セルフポートレートの手法を用いて主に「内面と外見の関係」をテーマに作品を制作されていて、今回は、自身の外見を変幻自在に変えた作品「ID400」と観客参加型作品として「OMIAI♡」が展示されています。

「ID400」はなんと、1人で400人分の証明写真を実際の証明写真機で撮ったデビュー作。1日に多いときは20回変装をして撮影したとのことで、街のスーパーの立体駐車場にある証明写真機とトイレを往復しまくり、スーパーの警備員さんにトイレから出てくるたびにビックリされたそうです。
入った人と出てくる人がまったく別人――ということが1日に20回なんて、警備員さんも現実か夢かわからなくなったことでしょう(笑)。

澤田さんがテーマにする「内面と外見の関係」とは?
内面と外見の関係を作品のテーマにする澤田さん。その理由を聞いてみました。
「ID400」を展示した際、この400人がすべて澤田さんであるという事実に、作品を見た7割の人が気づかなかったとのこと。これに驚いた澤田さんは「外見には、私が知らない力があるのかな?」と思ったそうです。
外見がもっとも影響する写真は何かと考えたところ、お見合い写真だな、と思いつき、生み出された作品が「OMIAI♡」です。

30人におよぶお見合い写真を男性は一生懸命選ぶけれど、「結局、来るのは全部私だよ」、というのがおもしろい。
外見による個人への社会的評価、例えば制服だったら学生、スーツを着ていたら社会人だと評価される。でも、みんな同じ人間であることには変わらない。
人によっては、外見が変わるとチヤホヤされて中身が変わることもある。そこに矛盾があったり、人によって外見や内面に対する価値観の違いがあったりする。まだ答えがわからないから、作品をつくり続けているとのことです。
最後に、澤田さんはこう言ってくれました。
「展覧会で笑うことってあまりないと思いますが、私の作品を見て笑う人、微笑む人は けっこう多いので、心に反応があったという意味でも笑って楽しんでもらえることは嬉しいです。」

初めて展覧会に接してみて
はじめは写真というものの奥深さが、素人の僕にもちゃんとわかるのか? という不安がありました。しかし実際に触れて、写真家さんたちと話し、竹内さんの言う「自由な感情で見る」という準備ができたことで、「写真家さんたちがその1枚で伝えたい想いはもちろんあるけど、それをどう受け取るかは人それぞれでいいんだ」という考えで自然体で見ることができ、とても深い感動を覚えました!

澤田さんが言う「まだ答えがわからないから、作品をつくり続けている」という言葉からわかる通り、それは完成された1枚ではなく、写真家さんたちも完成に向けて走り続けている途中の1枚。それがまさに、今回の展覧会のテーマにもなっている「日本女性写真家の冒険」なんだと僕は思いました。
その解釈が合っているのか、間違っているのかはどちらでもいいでしょう。なぜなら、誰もが「自由な感情」で受け止めていいのだから。
展覧会概要
『まなざしの奇跡 日本女性写真家の冒険 』
会場:ヒカリエホール(渋谷ヒカリエ9F)
会期:2026年7月4日(土)–8月26日(水) ※会期中無休
開場時間:10:00–19:00(最終入場は18:30まで)
主催:Bunkamura
キュレーター:竹内万里子(日本展担当キュレーター)、ポリーヌ・ヴェルマール、レスリー・A・マーティン
メディアパートナー:J-WAVE
企画:Aperture
企画協力:コンタクト
お問合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)
『まなざしの奇跡 日本女性写真家の冒険』公式ページ:https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/26_kiseki
