笑いの殿堂・なんばグランド花月(NGK)の未来を支える芸人たちを集めた寄席イベント『Top of Namba Grand Kagez』が2月11日(木・祝)、大阪・なんばグランド花月(NGK)で開かれました。海原やすよ ともこが「将来、NGKの本公演を背負っていくメンバー」を選出し、演出も担当するこの公演も、今回で3回目。劇場の「看板」に就任してから初めての開催に、東西の人気芸人たちが集結した充実の内容となりました。
M-1ファイナリストたちが続々
海原やすよ ともこが演出を務める『Top of Namba Grand Kagez』は、未来のなんばグランド花月を支えるメンバーを集めて2部構成でお届けする“漫才のみ”の寄席公演で、海原やすよ ともこが中川家とともに「漫才」や「なんばグランド花月」への熱い思いを込めて、2018年に立ち上げました。
前半と後半に分けた2部構成のそれぞれのトリは、昨年3月によしもと常設劇場の通常公演でトリを務める「看板」になった海原やすよ ともこと中川家が担います。まさに、観客に”未来のNGK本公演”を2日分、楽しんでもらうというコンセプトです。
トップバッターは祇園(木﨑太郎、櫻井健一朗)。恒例のお手振りタイムから始まり、“コンプライアンスにのっとったおとぎ話”のネタで沸かせました。東京からはオズワルド(畠中悠、伊藤俊介)も出演し、摩訶不思議な畠中ワールドへと引き込みます。
続いて、見取り図(盛山晋太郎、リリー)。舞台に登場すると拍手の音がより大きくなり、観客の期待値が跳ね上がります。傍若無人なリリーに振り回される盛山、最後まで笑いが絶えませんでした。
ミルクボーイ(駒場孝、内海崇)の漫才は、催事の「北海道展」ネタ。北海道展か、そうじゃないかを問ううちに、いつしか内海が「北海道展」と自分自身を重ね合わせて……という“おなじみ”の展開に会場は大爆笑です。
次はとろサーモン(村田秀亮、久保田かずのぶ)と、『M-1グランプリ』ファイナリストが続きます。ローテンションから始まった漫才は、次第にカオスの世界に。
そして前半のトリ、海原やすよ ともこが登場すると、出囃子に合わせて手拍子が自然発生。「いま、お客さんから拍手をいただきました」と、ミルクボーイの定番のツカミネタで沸かせます。姉妹ならではの息の合った掛け合いで、“少女”と”大阪のおばちゃん“が混在したような漫才をたっぷり聞かせてくれました。
ラフ次元が「初出演」
後半の先陣を切ったのは、このイベント初登場のラフ次元(空道太郎、梅村賢太郎)です。緊張のあまり、「初出演」と言うところで噛んだ空は、「温かい目で見てやってください」と挨拶し、歌ネタで盛り上げました。
続いてロングコートダディ(堂前透、兎)も登場。飄々とした風貌の堂前が「こう見えて気合入ってます」と意気込みながら、落ち着いたテンションで怪談ネタを披露します。
令和喜多みな実(野村尚平、河野良祐)は、野村が少し駆け足で舞台へ。実は「メッセンジャー・黒田有の登場の仕方」のマネだったとか。ネタでは、河野の個人情報を次々と漏らす野村に、河野の悲痛な叫びが響き渡りました。
続いては和牛(水田信二、川西賢志郎)。流ちょうに話を進める川西ですが、気がつけば水田のペースに飲み込まれ……。解釈の違いから齟齬を生むしゃべくり漫才で魅了します。そして、得意のモノマネも披露したのはプラス・マイナス(兼光タカシ、岩橋良昌)。“嗜好の変化”を題材にした漫才は、劇場に足を運んだからこそ楽しめる内容でした。
後半のトリは中川家(剛、礼二)。人気のテレビ番組に物申しつつ、話題は2020年の振り返りへ。情景がありありと浮かび上がる細かな模写で盛り上げ、最後は「グルメレポ」のネタを楽しませてくれました。
エンディングはわずか2分!
若手の熱演でエンディングトークに残された時間は、わずか2分。海原やすよ ともこと中川家が登場し、駆け足で舞台を振り返りました。
『Top of Namba Grand Kagez』は2018年12月に「将来、なんばグランド花月の看板になるために」という思いで始めた公演。2019年10月に第2回が開催された後の2020年3月、2組は正真正銘の「看板」となりました。
「そう思って始めて、2回でなれたね(笑)」と無邪気に話すともこに、「たまたまです、たまたま」と礼二。最後は、やすよが「すごいメンバーがたくさん出る劇場になればいいなと思うので、皆さんの力でこれからも盛り上げていただければ」と呼びかけて、イベントは幕を閉じました。