ロングコートダディ堂前が“好きな子”から借りたラーメンズのDVD【あなたは誰に憧れ芸人に?④】

あなたは誰に憧れ芸人に?

芸人を志したきっかけや憧れた芸人、そして芸人になるまでの道のりなどを語り尽くしてもらうインタビュー
(イラスト:ネゴシックス)

芸人を志したきっかけや憧れた芸人、そして芸人になるまでの道のりなどを語り尽くしてもらうインタビュー
(イラスト:ネゴシックス)

いまをときめく芸人たち……周囲から一目置かれる存在になった彼らにも、かつて「こんなふうになりたい!」という憧れの存在があったはず。そんな売れっ子たちに、芸人を志したきっかけや憧れた芸人、そして芸人になるまでの道のりなどを語ってもらうインタビューシリーズ『あなたは誰に憧れ芸人に?』。今回は、大阪・よしもと漫才劇場を代表するコント師で、『M-1グランプリ2021』ファイナリストとして一気にお茶の間の知名度を上げたロングコートダディ(堂前透、兎)です。

出典: FANY マガジン
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楽しそうにしているなあ

──おふたりは、誰に憧れて「芸人になろう」と思ったんですか? 

 僕はさまぁ〜ずの三村(マサカズ)さんですね。

──三村さんを知ったきっかけは?

 意識するようになったのは『内村プロデュース』(テレビ朝日系)です。なんか、ずっと楽しそうにしてるなあと。言ってることもすごいおもしろくて好きだったんで、「こんな人になりたいな」「三村さんみたいな芸人になりたいな」と思うようになりました。中学2~3年のころですね。『内村プロデュース』は本当に大好きで、毎回、リアルタイムで見てました。

──堂前さんは?

堂前 ラーメンズさんです。中学か高校のとき、『オンバト』(爆笑オンエアバトル/NHK)で見たか、誰かからビデオやDVDを借りて知ったのかは覚えてませんが、「面白いな」と思いました。好きだった女の子からビデオを借りた記憶があるんですけど、それが最初じゃない気もするんですよね……。いや、でも「好きな子から借りた」のほうがいいか(笑)。仲がよくて、後に彼女になった子です。

──もしや、ラーメンズさんがきっかけで彼女と付き合うことに!?

堂前 そういうわけではなかったんですけど、CDとかもいろいろ貸してくれてましたね。

出典: FANY マガジン
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──兎さんは三村さん、堂前さんはラーメンズさんがきっかけで芸人を志したということですが、それより前、たとえば子どものころに好きだったお笑い番組は?

 僕は岡山出身なんですけど、あんまりお笑いの文化がないんで、そういう番組を見ないんですよ。子どものとき、テレビではアニメくらいしか見てなくて……。中学になって、ようやくバラエティ番組を見るようになりました。だから、最初に好きになった人が三村さんだったという。

──岡山では、関西圏のお笑い番組はあまり放送されていなかったんですか?

 そんなに見たことなかったですね。本当に、こっち(大阪)に来るまで、当時でいうと千鳥さんとか笑い飯さん、モンスターエンジンさん、天竺鼠さんとか、大阪でブイブイ言わせてる先輩たちは、ほぼ知りませんでした。もちろん見たらすぐ「おもろ!」ってなりましたけど。

堂前 僕は『ウッチャンナンチャンの炎のチャレンジャー これができたら100万円!!』(テレビ朝日系)ですね。“電流イライラ棒”とか「楽しそうやな」って思ってました。

 あれはチャレンジ企画とちゃうの?

堂前 チャレンジもバラエティやで(笑)

 イライラ棒は、僕も記憶にありますね。『筋肉番付』シリーズ(TBS系)とかもすごい記憶に残ってる。高校のときは『リチャードホール』(フジテレビ系)にめちゃくちゃハマりました。

出典: FANY マガジン
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堂前 僕は、(地元の福井県で)関西のネタ番組もけっこう放送されてたんで見てましたよ。(吉本)新喜劇はもちろん、漫才番組みたいなのもあって、ネタに触れるチャンスは関西圏と同じぐらい多かったです。そこから『オンバト』とかに行って、深夜のコント系の番組、『はねるのトびら』(フジテレビ系)とか『リチャードホール』とか、リアルタイムじゃないけど『ダウンタウンのごっつええ感じ』(フジテレビ系)のDVDをみんなで回し見たりもしてました。

「美容師の道」を断念した本当の理由

──NSC(吉本総合芸能学院)に入ったきっかけは何だったんですか?

 時間があり余ってたというか。高校を卒業後、美容師の専門学校に入学したんですけど、2カ月ぐらいでやめちゃいまして……。バイトしながら趣味でバンドをやって、友だちと遊んで、みたいにダラダラ過ごしてたんですよ。そんなときに姉が「中学校のころ、芸人になりたいみたいに言ってたやん」ってNSCの願書を持ってきて、「ダラダラしてるぐらいやったら行ってみたら」って言ってくれたんです。だから、そのダラダラしてる時間がなかったら、芸人にはなってない。美容師になってたかもしれないし。

──確か、ハサミを盗まれたから専門学校をやめたんですよね。

 ホントのことを言うと、ちょっとだけ話が違うんです。骨折してしばらく入院することになり、学校を休んでたんですけど、久しぶりに行ったときに、ハサミの小指を置くところあるじゃないですか、あれが折れてたんですよ。「あれ? 折れてなかったはずやけど……」と思ってたら、クラスの女の子が「私の使ってたハサミが折れたから、来てなかったし交換させてもらったわ」って(笑)。「ごめんな」「全然、全然」みたいな感じで終わって、それでやめました。盗まれたというよりも、勝手に使われてたんです。

堂前 「返してよ」って言わんかったん?

 もう使っちゃってるしね。弱肉強食というか、やっぱ弱いヤツは淘汰されていくのかなと思って。

堂前 (笑)

 実は中学のときに仲よかったヤツが、東京のお笑い養成所みたいなところに行ってたんですよ。僕と遊んでるときは別にボケもせず、はしゃぎもしないようなおとなしいヤツが行ってたんで、姉から願書を渡されてすぐ電話して、どんな感じなのかいろいろ聞きました。それで何となくイメージできたので、行こうかなと。

出典: FANY マガジン
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──ということは、東京も視野に?

 最初は「やっぱり吉本やろうな」ってなって、あと人力舎さんに好きな芸人さんが多かったので、どっちかと思ってました。でも「東京は遠いなあ」ということで、「大阪の吉本にしようかな」っていう感じに。

──堂前さんの場合はどんな感じだったんですか?

堂前 ふつうにしっかり受験勉強してたんですけど、行きたい大学が決まらなくて。そんなとき、何かの雑誌にNSCの広告が載ってて、お笑いはずっと好きだったんで「これが、いちばんしっくりきたわ」と。東京(のNSC)に行くことは頭になかったですね。ちょくちょく遊びに行ったりしてなじみもあったし、近いですから、迷わず大阪へ。

──おふたりとも、どちらかというと偶然の巡り合わせで……。

堂前 そうですね。

 決めたのは何月ころやったん?

堂前 12月ころかな。

 ギリギリやん。

堂前 もうちょっと前かな。でも一応、センター試験は受けましたし……。ホンマにギリギリで進路変更しました。

──先生や友だちにも驚かれたでしょうね。

堂前 そうですね。進学クラスではありましたし、まわりはみんな大学に行くってなってたんで。

 じゃあ、タイミング的には一緒ぐらいやな。ずっと学校行ってなかったけど、正式にやめたのは9月で、姉ちゃんが願書持ってきたのが11月やから……。

堂前 オレは10月とかやったかもしれん、もしかしたら。

 ちょっと待って(笑)。そんなときにセンター試験ないやん。

堂前 受験勉強してたから、センター試験は受けるだけ受けとこうと思って。だから決めたのは10月ですかね、僕は。

 じゃあ、僕は9月です。

堂前 ええ〜!?(笑)

出典: FANY マガジン
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周平魂の「笑いを言語化」するセンス

──NSCを経て芸人になってから、特に影響を受けたり、「面白いな」と思った先輩芸人は誰ですか?

堂前 ツートライブの周平魂さん。お笑いの難しいニュアンスとか、そういうのを言語化して話し合ってくれるというか……。お笑いの話をしてて楽しいですね。一度、一緒にカツ丼を食べに行ったとき、僕が箸をちょっと置いたときにぐっと(カツ丼の)中に入ってしまったんですね。で、箸にソースがついたのを、ティッシュでふいてそのまま使ってたんですけど、お店を出たところで「ずっと箸ベタベタしとったやろ」って言われて。「何を見てんの、この人」と(笑)。

──観察眼がすごい(笑)。

堂前 なんか、嫌なとこというか、細かいとこを見てるんですよ(笑)。

 周平さんは、心情の動きとかも見てます。「隠してるけど、内心ちょっと恥ずかしい」みたいなのはしっかり見られてますね。

堂前 お笑いに関しても、影響は受けてると思います。わりと早い段階で、周平さんから「おもろいな」みたいに目をつけてもらえてたんで、ネタの内容もそうですし、笑いの考え方とかも学んでる気がします。

出典: FANY マガジン
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──兎さんはいかがでしょう。

 身近なところで言うと、後輩なんですけどニゲルベのつーこは、前は週6ぐらいでゴハンに行くほど仲よくて。つーこは発想が自由ですし、行動も大胆というか、思いきったことをやったりするんですね。三村さんじゃないですけどすごく楽しそうで、自分に対して素直に生きてるから、「こんな人間になりたいな」って思うひとりですね。

──「楽しそう」というのは、兎さんにとってのキーワードなんですね。

 無理してない感じ、仕事じゃなくて普通に好きでやってますよ、くらいの感じが楽しそうでいいですね。

堂前 じゃあ、「無理してるな〜」って人もおるん?

 そりゃあ、おるやろ。

堂前 誰? みんなわりと楽しそうやけどな。

 え〜……デヴィ夫人とか?

堂前 めっちゃ自由にやってはると思うで(笑)。

 いや、「楽しめてはるのかな」と思って(笑)。

出典: FANY マガジン
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小籔の“スピード”に脱帽

──テレビなどで共演してみて「すごいな」と感じた芸人は?

堂前 そういえば、マヂカルラブリーの野田(クリスタル)さんが、こないだお会いしたら仏みたいな目になってました。すごいオーラが出ていて、どっしりしてる。M-1チャンピオン、R-1チャンピオンの自信がしみ込んできたのかな。

 それで言うと、(相方の)村上さんもしみ込んでると感じたわ。チャンピオンが板についてるというか。

堂前 ただ疲れてただけかもしれませんけど(笑)、僕の目には仏に見えました。もう、和室が歩いてるみたいな(笑)。だから一緒にいると落ち着くし居心地がいいですね。

 めちゃくちゃうれしいな、「歩く和室ですね」って言われたら(笑)。僕はこの前、小籔(千豊)さんとご一緒したんですけど、「よくそんなに芯を突いた言葉が出てくるな」ってなって。テレビで見てても「すごいな」と思ってたけど、間近でリアルタイムに見てたら、「よくそんなスピードで出てくるな」と改めて驚きました。核心を突くこと、図星なことを言って相手を黙らせたり、それでいて何かおもしろいものに例えて笑わせたり、「いま、どっちの脳みそを働かせてるんや?」っていうぐらいズバズバ出てきてすごかったです。

──ちなみに、憧れの三村さん、ラーメンズさんに実際に会ったことはあるんですか?

 まだないんですよ。『キングオブコント2020』の決勝に行ったとき、審査はしてもらってますけど、ちゃんとお話ししたことはない。審査員の方と顔を合わせて挨拶する、とかもなかったんで……。

堂前 僕もラーメンズさんに会ったことはないですね。

出典: FANY マガジン
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──会うチャンスがあったら聞いてみたいこと、一緒にやってみたいことは?

 「どの時代がいちばん楽しかったですか?」っていうのを聞いてみたいですね。いつも楽しそうなんですけど、その中でもいちばん楽しかったのはどこですかと。お話しするだけで、すごい楽しそうですよね。

堂前 僕は「会いたい」は正直、あまりないんです。気持ちとしては半々くらい。好きな人って、好きやからこそ、直接会うのはちょっと恐いですよね。聞きたいことと言っても、変な質問して迷惑をかけたくないし、自分の評価が下がってしまうのもイヤやし……。

 そんなこと考えんでええやろ。

堂前 じゃあ……「最近の好きな食べ物」とかにしときましょうか(笑)。

 うん、それはオレも普通に聞きたいわ(笑)。

出典: FANY マガジン
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