パンサー向井にTBSラジオ「朝の顔」就任を決心させたピース又吉とオードリー若林の言葉

パンサー・向井慧がパーソナリティを務める『パンサー向井の#ふらっと』(TBSラジオ、毎週月~木8:30~11:00)が、3月28日(月)からスタートしました。TBSラジオ伝統の朝の帯番組を託されたのは、トリオはもちろん、個人としてもテレビやラジオで活躍する向井。月曜に滝沢カレン、火曜にココリコ・田中直樹、水曜に三田寛子、木曜に髙橋ひかるという強力な曜日パートナーを迎え、全国の朝を元気にしていきます。いよいよ放送開始をひかえる向井を直撃しました!

出典: FANY マガジン
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向井が頼った2人の先輩芸人

――放送開始まであとわずかです。いまの心境を聞かせてください。

正直なところ、日々変わっていますね。めっちゃ楽しみって気持ちがありながらも、ふと伝統ある朝の帯をやるんだなっていうことに“大丈夫?”って押し潰される感覚もあります。

――今回のオファーが来たときは、どんな心境でしたか?

昨年11月にお話をいただいたとき、“え、そんなお話を僕にいただけるんですか”っていう驚きと光栄の感情がありつつも、やっぱりいちばん大きかったのは“無理です”っていう気持ちでした。

――いったん持ち帰ったそうですが、どのタイミングで受けようと思ったのですか?

「ちょっと考えてみてください」って言われた当日、割合でいうと7割くらい断る気持ちに傾いていました。でも、正直、最終的にやりたいお仕事のひとつだったんですよ。50、60歳になったとき、地元・名古屋とかで帯のラジオをやりたいな……って漠然と思っていたところ、“それがこのタイミングできちゃうんだ”って。
もちろん1人では決められず、ピースの又吉(直樹)さん、オードリー・若林(正恭)さん、それぞれに相談させてもらいました。そのときにおふたりから「やっぱり大変だろうし、簡単なものではないだろうね」っていう心配な部分と、でもいま僕が帯をやるとなったときのいいところを言っていただきました。

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――若林さんは、向井さんから相談があったときのやりとりをラジオで話していましたね。

そうですね。若林さんからの「朝の帯をやるということで、ラジオってキャラがつくし、もし短命で終わったとしても『すぐにラジオ終わったな』ってイジリになるだろうし、それはオモシロのタネだから」っていう言葉は大きかったかもしれないです。又吉さんも含め、おふたりの言葉を自分なりに噛み砕きました。
最終的にやろうってなったのは、この打席が回ってきたこと自体が奇跡というなか、そのボールを見逃していいのかっていう気持ちが湧いたからですね。めちゃめちゃ三振か、ホームランかくらいか振ってみてもいいんじゃないか、っていうのが、いちばん大きかったです。

――やはり、向井さんのなかで2人の存在は大きいですか?

又吉さんは、僕がNSC(吉本総合芸能学院)に通っていたころから声をかけていただき、そのころからずっと気にしていただいています。一緒に住んでいたこともあるくらい近い先輩で信頼しきっている方なのでお話を聞きたかったですし、自分の好きなラジオ『オードリーのオールナイトニッポン』(ニッポン放送)をやられている若林さんの話もやっぱり聞いてみたかったんですよね。

――向井さんはほかにもラジオをやっていますが、朝の帯はまた違ったカラーの番組になりますよね。

朝のラジオって、どうしても僕より年齢が高い方が聴いているイメージがあって。もちろんその方たちの大事な生活習慣のひとつなので、そこはしっかり守りたいという気持ちがあります。でも、ラジオっていくらコロナ禍になって音声コンテンツが注目されていると言えど、そこまで広がっていないなって思うんですよ。
やっぱり、若いラジオリスナーを増やしていかないと先細ってしまうので、若い子が朝にラジオ聴くのが当たり前になるようなお手伝いができないか、というところから、カレンちゃんやひかるちゃんの力を貸していただくことになりました。
本当に全員に聴いてほしいんですよ。全パーソナリティが思うことなんでしょうけど、1回そこを目指してみようっていう気持ちが大きいです。

出典: FANY マガジン
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曜日パートナーへの思い

――曜日パートナーの印象や楽しみにしていることを教えてください。

【月曜】滝沢カレン
自分の考えをしっかり持っていて感性もすごく面白い方。生放送でどんな球が飛んでくるのかわからないですけど、カレンちゃんの話を毎週生で、しかも間近で聞けることにすごくワクワクしています。

【火曜】ココリコ・田中直樹
大先輩。僕が名古屋にいたときに聴いていて、イベントに行くくらい好きだったラジオ番組『快楽シャワー王国』(CBCラジオ)をやっていた方と、まさか一緒にラジオができるなんてとても嬉しいです。

【水曜】三田寛子
母親を亡くしていることもあってか、母親世代の方と喋る機会が本当になく……でも、常にお話ししたい気持ちはあったんですよ。三田さんとは1年間、テレビのレギュラーでご一緒させていただいたことがあるんですが、そのとき勝手ながら、母親的なものを感じていて、もっとお喋りしたいと思っていたので、とても楽しみです。

【木曜】髙橋ひかる
朝のラジオで20歳の子がレギュラーになるって、いままでなかったと思うんですよ。朝、若い子に番組を聴いてもらうチャレンジをするうえで、ピッタリの方だなって思うので、いまからすごくワクワクしています。

――帯ではありますが、曜日によってそれぞれ違う表情の番組になりそうですね。

そうですね。いくつも入り口を作りたいっていう思いがあります。曜日パートナーが本当に家族みたいな構成なんですよ。三田さんと田中さんが両親、僕と、カレンちゃん、ひかるちゃんが兄妹で。どの年代の方も、誰かに自分を重ねて聴いていただけるといいのかなって思います。

出典: FANY マガジン
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――ゲストも楽しみです。番組に呼んで、話を聞いてみたい人はいますか?

他ジャンルのお仕事をされている方、変わっていると言われる趣味を突き詰めている方など、いろいろな人のお話を聞いてみたいです。知らない世界を教えていただく場所にしたいなって思いますね。
自分自身も36歳で、前任の方たちとくらべたら圧倒的に経験がない。そういう意味でも、いろいろお話を聞いて、徐々に積み重ねていけたらいいなと思います。

――じっくり話してみると、意外な一面がわかることもありますもんね。

こうしてインタビューを受けているときとか、もともと自分の気持ちにはあったことなんだけど、喋っていくうちに「言語化できたな」っていう瞬間があるんですよ。その感覚を僕も引き出せたら、聞き手冥利につきますよね。“しゃべったことないことを話せたな”って思って帰ってもらえたら嬉しいです。

「熱量」を持って向き合う

――向井さんが思うラジオの魅力とは?

いちばん最初は『めちゃ×2イケてるッ!』(フジテレビ系)が好きで、“ナインティナインさんがラジオもやっているらしいぞ”というのでラジオを聴いたのが始まりでした。ラジオでは、テレビで見ているナイナイさんとは違った一面があって……。ラジオには、そんなパーソナリティの人間性を深く知れる魅力があると思います。

――パーソナリティがいま何を考えているのか、何が好きなのかなど、パーソナルな部分も知れます。

そうですね。やっぱりテレビでのエピソードトークは、1、2分でまとめてオチまでスパンと喋るけど、ラジオって寄り道してオチまでいかないときもあるのに面白い。余分な肉付けなんですけど、そこにこそ人間性を感じますね。

――向井さん自身もラジオで“本音”を話すことが多くて、よく話題になっています。

名古屋でやってる『#むかいの喋り方』(CBCラジオ)は、地元で喋っているんですけど、新幹線に乗って“東京から離れた”っていう実感があるからこそ出る言葉があるし、ふだんと選ぶ言葉が違うなって感じることがあります。東京でもパンサーとしてラジオをしたことがありましたが、そのときは感じられなかったものだったので、一概にラジオだから出る、ってわけではないんだなって思いましたね。

出典: FANY マガジン
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――『#むかいの喋り方』では、漫画や映画など自分が見た作品を熱く語る場面もよくありますよね。

やっぱり、本当にいいなと思わないとリスナーさんにバレちゃうんですよね。“喋ることないな。これ喋っとくか”ではダメで、本当の熱量を持って喋らないと伝わっちゃうなって思います。

――向井さんはラジオ好きとしても知られていますが、特に好きなラジオ番組は?

マユリカ(阪本、中谷)の『マユリカのうなげろりん‼︎』(ラジオ関西)ですかね。Podcastで聴いてますけど、やっぱり昔からの付き合い(マユリカは幼馴染コンビ)から出る雰囲気、お互いの信頼の上で成り立つ悪口が面白いです。マユリカのラジオは、(もともと同級生だったり、学生時代からの付き合いだったりする)くりぃむしちゅーさん、ナインティナインさん、オードリーさん、ダイアンさんの流れにあるラジオの感じがします。

――そのあたりのうらやましさはあるものですか?

僕たちパンサーは先輩・後輩バラバラで、それぞれのコンビを解散して組んだトリオなので、知らないことがいっぱいありすぎるんですよね。それは(学生時代からの仲や雰囲気は)出そうと思っても出せるものではないので、うらやましいなとは思います。
ラジオではほかにも、TBSラジオの深夜のJUNKとか、オードリーさんのラジオとか、ハリウッドザコシショウさんの『逆襲ザコシのチョゲチョゲPARK』(AuDee)とか、芸人のラジオをよく聴いていますね。

――今回は向井さんにとっても新たな挑戦ですが、これまでも芸人としてステップが踏めたと思える瞬間はありましたか?

『有吉の壁』(日本テレビ系)で、パンサーでMVPをとらせてもらったときですかね。僕は“芸人である”ということへのコンプレックスが強くあるので、あれだけ面白い芸人さんがたくさんいるなか、有吉(弘行)さんに選んでいただいたときの喜びは大きかったです。

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いまもまた“やっぱり全然ダメだ”の繰り返しではあるんですけど、その日1日だけは、“芸人としてちょっと認められたかもしれない”っていう感じになれましたね。

――最後に『パンサー向井の#ふらっと』​​をどんな番組にしていきたいか教えてください。

ふらっと聴いてほしいという思いがあって「#ふらっと」というタイトルになったので、1人でも多くの方に聴いてほしいです。

取材・文:浜瀬将樹