バッドボーイズ佐田が“役者”として「ひとり芝居」に挑戦するワケ 「芸人である以上、これはモノにせんと!」

バッドボーイズ・佐田正樹の公演『ひとり芝居4』が、10月20日(水)~24日(日)まで東京・テアトルBONBONで開催されます。今回は、迫る公演に向けて、ひとり稽古に励む佐田を直撃! お笑い芸人である自分が“本気”で芝居に取り組む理由やその苦労について語ってもらいました。

出典: FANY マガジン

2016年から行われている佐田の1人芝居公演。昨年は新型コロナの影響で延期となりましたが、今年は満を持しての開催が決定しました。演出・脚本を務めるのは、脚本家の木下半太、ますもとたくや、ニシオカ・ト・ニールという豪華な面々。数々の舞台で役者として参加し、俳優としての経験値も積み上げている佐田と3人のクリエイターが、どんな化学反応を起こすのか――。

「ひとり芝居」は筋トレと一緒

――コロナの影響もあって2年ぶりの「ひとり芝居」です。いまの心境を聞かせてください。

1年に1回でもドキドキするんですけど、2年空いたので、さらにドキドキがありますね。続けるから慣れるものなのに、空きすぎると感覚がわからなくなるというか。
ふつうの舞台だと、自分の持ち場じゃないときは下がれるじゃないですか。この舞台は1時間半を1人でやるので、セリフ量も違う。誰かのせいにできないんですよ。この2年のブランクはデカいですね。

――それでも「ひとり芝居」は楽しいんじゃないですか?

終わったあとの達成感はありますけど、稽古は楽しくないんですよ。

出典: FANY マガジン

――(笑)。その達成感に突き動かされるわけですね。

初めて「ひとり芝居」をしたとき、人生でいちばん緊張して。当たり前ですけど、全員がオレを見ているじゃないですか。笑いの舞台だと、最初に笑いを起こして安心できる部分があるけど、「ひとり芝居」は10分くらいフリがあって、そこから笑いがある内容だったので、その間の“無”の時間、“きっかけはオレ、飛ばしたら終わり”って考えていたら、体の水分がぜんぶ飛んで、ツバが出なくなって……。そんな状況、生きてきたなかで一度もなかったので、だったらこれを緊張せずにできるまで成長せんと、やった意味がないって思いましたね。
あと、これを続けていると、芸人としての筋肉もつくし、漫才とかコントにも活かせると思ったんですよ。芸人である以上、これはモノにせんと! 年に1回必ずやるって決めたので、そこは逃げずに向かっています。正直、おカネにもならんけど、後輩にいつまでも“カッコいい”と思われたいし。

――(笑)

ドラッグみたいなもので、そのためにしんどいこともやらんと快感は得られない。これをやっていると、同級生とか友達にも(演技を通して)「頑張っているか?」って言えるし、おちゃらけているところだけではない部分も見せられますしね。

――佐田さんの違う面を見せたいというのもあるんですね。

演じるわけですから、ふだんの僕とは違うし、いままで見たことがない一面を見せられますよね。稽古はやっていて楽しくないし、しんどいし、時間も取られるし、遊べないし、でも責任感だけで、ちゃんとしたパフォーマンスができるまで自分を追い込む。筋トレと一緒ですね。

出典: FANY マガジン

悔しさをバネに“俳優道”を追求

――「ひとり芝居」をやろうと思ったきっかけはなんですか?

『THE MANZAI』(フジテレビ系で2014年まで放送)が終わったとき、それまでネタ作りに時間を費やしてきたんで、燃え尽きたというか。その部分が空くじゃないですか。相方の清人と、芸人として次なる目標を探していたとき、「好きなことやっていきたいね」って話をしたんですよ。
もともと僕は役者志望だったので「ドラマや映画に出たい」とは言ったんですけど、やりたいと思ってできることではないし、地肩がないヤツが出ても仕方がない。芸歴は15年あるかもしれないけど、役者1年生の気持ちでいないとなって思っていました。
そのとき、相方が「役者やるんだったら、一人芝居やってみたら?」って言ってくれたんですよ。当時は、脚本家の知り合いもいなかったので、(1回目は)同期のマンボウやしろ、野生爆弾・くっきーさん、ピース・又吉(直樹)、森三中・黒沢(かずこ)さん、そして相方に書いてもらいました。公演には、吉本の俳優部の方にも来ていただいたんですけど、「コントやな」って言われてしまって……。自分は芝居のつもりでやっていたのに、それがコントとして見られる悔しさがありました。

――その後、脚本家の方々と知り合っていくんですね。

舞台で知り合ったますもとさんが公演を観に来てくれて、「今度やるなら、脚本を書きますよ」っておっしゃってくださったんですよ。なので、2回目からますもとさん、3回目に木下さんに加わってもらいました。これまでの公演は、それに加えて相方がずっと書いてくれていたんですけど、「前回と変わらないのはアレやから、いったんオレが離れて、女性の脚本家に入ってもらったらいいんじゃない?」って言ってくれたので、スタッフづてで知り合ったニシオカさんに僕の思いを伝えて、今回、手伝っていただけることになりました。

出典: FANY マガジン

――「ひとり芝居」は今回で4回目。自分自身で成長を感じる部分はありますか?

「ひとり芝居」を始めるまでは、(吉本以外の)外小屋に1回しか出たことなかったんですよ。なので、(1回目は)マネージャーと2人で、お笑いライブの感覚で始めてしまったので、「場当たり」(ステージ上で立ち位置や動きを確認すること)や「ゲネプロ」(最終の通しリハーサル)をやらず、当日リハのみで公演しました。そういう舞台の常識を知らなくて失敗もあったので、いろんな小屋でお芝居の修行をして、どういう形で舞台をやっているのかを見てきました。いろんな劇団のいいところは吸収して、自分のイベントに反映してきましたね。
気持ちの面だと、“ここまでもっていけば大丈夫”というペース配分がわかるようになって、自信が持てるようになりました。

YouTubeで新しいファンと出会う

――やっぱり生の舞台は、映像とは違った魅力があります。

そうですね。できれば、生の音を感じて、リアルな汗と演技を見てほしいですね。その日のコンディションにもよって違うし、ネタを飛ばすかもしれない。アドリブも入れて、1回見ても2回見ても、また違った(感覚を味わえる)楽しい舞台にしないといけないなって思います。

――佐田さんは、YouTubeチャンネル『SATAbuilder’s』が登録者数70万人超えの人気です。ファン層も広がったのでは?

そうですね。前回、舞台やったときも、違う客層の方がたくさんいらっしゃってくれました。年上の女性のファンが多い印象があります。いままで応援してくれた人はもちろん、新たなファンの方が増えるのはうれしいですね。若いファンは裏切りますけど、年配のおばさんは裏切りませんからね(笑)。おじさんもそうですけど、好きでいてくれるのはありがたいです。

出典: FANY マガジン

――最後に、観に来ようという人たち向けてメッセージをお願いします。

YouTubeで知ったという方もいらっしゃると思うので、おちゃらけているだけではないところを観てほしいです。あと、「芸人なら芸を磨け」っていうアンチもいるんですけど、「いま磨いているから観に来いよ」って伝えたいですね。アンチもファンの方も、「ひとり芝居4」を観て好きになってくれたら嬉しいです。

YouTubeチャンネル『SATAbuilder’s』はこちらから。

公演概要

バッドボーイズ・佐田正樹『ひとり芝居4』
会場:テアトルBONBON
日程:
10月20日(水) 開演13:30/開演18:30
10月21日(木) 開演18:30
10月22日(金) 開演18:30
10月23日(土) 開演13:30/開演18:30
10月24日(日) 開演13:30
※公演終了の翌週以降、オンラインで見逃し配信予定。

FANYチケットはこちらから。