昭和の名番組「花王名人劇場」がBSよしもとで毎週土曜に無料放送中! 西川のりお・上方よしおが当時を語る!【2月の放送予定紹介】

現在、BSよしもとで放送されている、よしもとプレミアムアワー「花王名人劇場」は1979年から1990年に関西テレビ系列でオンエアされていた番組。実は1980年初期に起こった漫才ブームはこの番組がきっかけのひとつでした。
そこで今回は、その渦中にいた西川のりお・上方よしおに、当時の番組のことを、その周辺で起こった出来事などを聞きました。

――「花王名人劇場」の中で放送された漫才番組に数多く出てられていましたが。

のりお　正直、どれに出たとか全部は覚えてないねんけど、当時僕らは27～28歳くらいかな。

よしお　せやったね。とはいえ、この枠に出た影響は大きかったね。それこそ今の「M-1グランプリ」で優勝したら一夜にして人生が変わるっていうような極端なことはなかったけど、視聴率が高かった分、放送された翌日、電車に乗ってたら二度見されるくらいやったかな（笑）。

のりお　ギャラは全然上がらんかったけどね。

よしお　それは見事に（笑）。

のりお　ただ、仕事は一気に増えたね。「花王名人劇場」の他にフジテレビで「THE MANZAI」って番組もはじまって一気に漫才ブームに火がついてね。

よしお　けど、東京発信の番組やったから、大阪にはちょっと逆輸入みたいな感じやった。新大阪着いたら「お帰りなさい」って声かけられたり、反対に東京のホテルマンに「お帰りなさい」と言われたり。

のりお　そうそう。東京に住んでると思われてる感じやった。でも当時は、劇場出番がメインの時代やったから、劇場の支配人からも「劇場に出てくれよ」って圧をかけられてた（笑）。

よしお　僕らも劇場は出るもんやって思ってたから、いくらテレビにスケジュールは取られても（劇場に）出てたけどやっぱりギリギリになったりしてね。

のりお　携帯がない頃やから。もう、支配人とか社員が劇場の表でイライラして僕らとかを待ってるねん（笑）。よくスケジュールの管理ができたなって思うわ。そういや東京の夜8時からの生放送に出るためになんばの劇場に出た後、飛び出しで伊丹空港から飛行機に乗って……。その番組は松田聖子と漫才するって企画でね、もうリハもできないままいきなり本番、聖子ちゃんオロオロしてたがな（笑）。で、終わったらすぐ飛び出しで帰るという。司会のうつみ宮土理さんも「吉本さん無茶苦茶よ！」って呆れてはった。

よしお　そういうのが通ってた時代やから恐ろしいな。

のりお　今みたいにパソコンとかないから紙のスケジュール表で鉛筆で線かいてな。

よしお　机の上ではこれいけるやろってなもんやけど、実際は時間の調整無茶苦茶やったりしたから、ダブルブッキング、トリプルブッキングは当たり前で、社員さんから「お前、病気になっとけ」とか言われたもん。

――それだけ忙しければ当然、新幹線もグリーン車にすぐになりましたか？

よしお　なるかいな。1年ぐらい座席指定やったな。顔さしまくりの中で、乗ってました。

のりお　けど、修学旅行に向かう学生たちと一緒になった時のウワーってなったのを経験した時に流石に言いにいったわ。

よしお　それでやったな、やっと紳介竜介とかみんな一斉にグリーン席にしてもらったんかな。

のりお　その時も「わかったわ、しゃあないな」って（笑）。そんな言い方ある？

――数多く出演した「花王名人劇場」の中ではどんな企画モノを覚えてらっしゃいますか？

のりお　タイトルは忘れたけど、立川談志師匠、上岡龍太郎師匠、藤原弘達（政治評論家）さん、横山ノック師匠、ジャイアント馬場さんで、司会が板東英二さんで毒舌がテーマの番組の回は覚えてるなぁ。

よしお　そやそや。

のりお　まず談志師匠が「俺がなんで素人に紹介されなきゃいけねえんだ」って、板東さんに言い出したら気にし出して、「もう帰らせてもらうわ」って言い出してね、それでワチャワチャし出した時にふっとプロデューサーで演出してはった澤田隆治さんを見たら、当時肩ぐらいまで髪の毛あってね、椅子に座って出演者のその光景を見ながら、スタッフにブラッシングされてんねん（笑）。

よしお　そやったそやった！　もう意味わからんかったな（笑）。

のりお　とにかくそのときは無茶苦茶やったから記憶に残ってるし、そんなメンバーの中に入ってたわ。けど、談志師匠の出番で、とにかく最初はもう絶対オンエアされへんことを言うてるねん。さすがに澤田さんから、もっぺんやり直してくれってなって。談志師匠が「テレビなんてどうでもいい、今ここにきてる200人を笑わせたいんだ」って言うたら、会場がウォーって盛り上がって、あとは談志劇場。その時、袖で見ててすごい人やなって感心したわ。

よしお　あれは鳥肌立ったね。芸人やなぁって思った。未だにあの時の空気感忘れられへん。

のりお　劇場からの中継もあったし。とにかく“芸”を幅広く紹介してくれたのは自分らも勉強になったしな。やっぱり漫才で出演するときは気合入ったし。新ネタをせなあかんから。あの時代のことは今もやっぱり舞台立つ上ではふと思いだしたりするね。