2023年の大注目トリオ・イノシカチョウが語る『オールザッツ』優勝秘話! 「僕らやっぱり夜中が合ってるかも…」

昨年末のMBS『オールザッツ漫才2022』(12月29日放送)の名物ネタバトル「FootCutバトル」で見事、優勝を勝ち取ったイノシカチョウ(関本、高田、ムギ)。今回はそれを記念して、2023年のネクストブレイク芸人として注目度急上昇中の3人の特別インタビューをお届けします。三人三様のキャラが光るトークは必読! 放送当日のウラ話からこれまでのこと、これからのことなど、たっぷりと聞いてきました。

出典: FANY マガジン
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タクシーつかまらず、あわや欠場の危機!

──まずは、優勝が決まった瞬間の気持ちから聞かせてください。

関本 ただただビックリしてました。あとからTVerで見返してみましたけど、ちゃんとビックリした顔してましたね。

高田 僕はネタをやってるとき、ぜんぜん緊張してなくて。感覚的に言えば、ふつうのライブで勝ったな、みたいな感じでした。

ムギ 確かに、そうやな。

関本 3人とも緊張はしてなかったんじゃない? 『オールザッツ』の次の日が単独ライブだったので、脳内のどこかにはずっとそれがあって。

高田 単独でやるネタのセリフとかね。

関本 忘れようとしても、ずっと(頭の中に)おるんですよ。

ムギ おかげで、気持ちが紛れた感じはありました。

関本 ゴリゴリに緊張してたら、もしかしたらダメだったかも……。

高田 あと、僕ら(高田とムギ)は芸歴1、2年目のときにコンビ(シュークリーマーズ)で1回出てるんですけど、そのときは(千原)ジュニアさんとか小籔(千豊)さんとか、見たこともないような人らに見られてる感じで、むちゃくちゃ緊張したんですよ。でも、こないだはアインシュタイン(稲田直樹、河井ゆずる)さんとか劇場でかかわりがあった方々がMCだったので、めっちゃふつうの感じでいけました。

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関本 そもそも間に合うかどうか、みたいな状況もあったんです。あの日は単独のリハが(深夜)12時半ぐらいに終わって、そっからタクシーでMBSに移動してくださいって言われたんですけど、年末だからタクシーが全然つかまらなくて。手を上げてもまったく止まってくれないし、タクシー会社に電話しても30件待ちですって言われて、1時間ぐらい探してたよね。

高田 うん、それぐらいかかった。

関本 最後はなんとかマネージャーが(タクシーを)つかまえてくれて……ギリギリやった。

ムギ 出番30分前ぐらいに着いて、「白塗り(1本目のネタでジョーカー役を演じた)する時間あるかな」とか言ってたもんな(笑)。

関本 もう、タクシーで(メイク)やるしかないんじゃないかぐらいの(笑)。

「自信がある3本」で心をつかんだ

──準決勝、決勝とネタを重ねていくなかで、手応えは感じていましたか? 

高田 まわりからは「1本目がハマれば、あるんちゃうか」みたいなことはけっこう言われてて。前回、優勝のヘンダーソンさんも「1回戦を乗り越えたら、お前らめっちゃあるんちゃう」って言ってくれてはったので、「ホンマにあるんかもな」とは思ってました。

ムギ ただ、番組開始からスタジオにいたわけじゃないんで、1回戦は自分たちの点数が高いのか低いのかもわからなかったです(笑)。

──決勝はマユリカ、『オールザッツ漫才2022 真夏のゴールデンSP』で爪痕を残したソマオ・ミートボールと強敵が揃うなか、見事に優勝しました。

関本 まあでも、夜中だから勝てたんじゃないですか。

ムギ テンション的に。

高田 スタジオやテレビの前で見てる方も、ずっと見すぎておかしなってたんかもしれないですね(笑)。

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──何か特別な戦略は考えましたか?

関本 1本目にやるネタは決まってたんで、あとはできそうだなっていうやつを言っていったってだけですね。

ムギ ネタを書いてるのが関本なんですけど、1回戦通過したらこれしますか、決勝行ったらこれしますかみたいな感じで聞かれたのが、僕がやりたかったネタとまったく一緒やったんで、自信がある3本ではあったんかなっていう気がします。

──その3本が、観客、視聴者の心をガッチリつかんだわけですね。

高田 ありがたいです。

ムギ お笑いやってて、心をつかんだことがなかったんで(笑)。優勝とかが、ホンマになかったんです。劇場でやってるライブでも、3位とかはあるんですけど、優勝っていうのがなくて……。なんで、最後の結果発表のときは「ないやろうな」ぐらいに思ってました。

関本 ウケたけど、まあ2位とかで終わるパターンだろうな、みたいなね。

ムギ ソマオもマユリカさんも、めちゃくちゃウケてたんで、優勝はないやろうなと。

イノシカチョウは高田とムギのラブストーリー!?

──先ほどの話にも出ましたが、ネタはすべて関本さんが書いているんですね。

関本 はい。とりあえずぜんぶ書いて、合わせるときにまた3人で考えながら。

高田 僕は、あんまりやったらあんまりって正直に言うようにしてます。申し訳ないですけど。

関本 これがね、悲しいんですよ。

高田 でも、それは本人もわかってると思うんで。よかったらいいって言いますし。

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ムギ 僕が加入したのは3、4年前なんですが、それまではネタを書いてたんですよ。だから、誰かが持ってきたものをやるってことがあんまりなかった。まあ、関本のネタはおもしろいので、「こういうとこ、ちょっと雑いな」とか「こういうとこ、あんまり伝わらんかもな」みたいなところは声かけして。

関本 ぶん投げてるというか、2人の表現力がすごいので、「ここは2人に任せようかな」というときは確かにありますよね。

ムギ あと、決勝でやった“ギネスの女”のネタじゃないですけど、なんかその……アカンこととかもたまにあるので(笑)。

高田 僕と関本が「ええやん、ええやん」ってなってるのを、ムギが止める感じですね。

関本 高田はふつうのネタを「あんまり」って言ったりするくせに、そういう下ネタとかだと「ええやん、ええやん」って(笑)。

高田 “ギネスの女”は以前、テレビ局のオーディションに持っていったら「できるか!」って言われて……苦い思い出です(笑)。ゴールデンのネタ番組やったんですよ。だから僕ら、やっぱり夜中が合ってるかもしれないです。

──そもそも、どういう経緯でトリオになったんですか?

高田 まず、僕とムギがシュークリーマーズというコンビを組んで、それを解散して、次に関本くんとピュアピュアズを組んで。その4年後ぐらいにムギが加入してイノシカチョウになりました。

関本 もっと早く入れてればよかったんですけどねえ。

ムギ 僕は2年目のときに純吉(高田)と解散して、いろいろユニットとかやってたんですけど、そんなに結果も出ず、地獄のような生活を味わっておりました(笑)。

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──結果的に、高田さんがモテているという図式になっていますね。

ムギ 認めたくはないですけど、そうなっちゃいますよね。

──ムギさんは、解散してから改めて高田さんの良さに気付いた、みたいな感じだったんですか?

関本 だからね、イノシカチョウって実はここ2人(高田とムギ)のラブストーリーなのかなと。

ムギ やめてくれよ(笑)。

高田 まあ、僕も「あいつもよかったな」って思ったから。

関本 僕は、そのラブストーリーが完結したときに、イノシカチョウは売れるんじゃないかなと思ってます。

ムギ それ、どうなったら完結になるんですか(笑)。

ムギが「戻りたい」あのころとは……?

──ムギさんは学生時代、人気者のブラジル人クラスメイトを押さえて“おもしろい人1位”に選ばれたことがあるとか。

ムギ Wikipediaには「高校のアルバム」でって書いてありますけど、ホンマは小学生のときなんです。マルコスくんはハチャメチャ男というか……鉄棒の上をぶわーって走ったりできる子で、みんな「わー! すごい!」みたいな。でも僕も当時から、人を笑かすことが好きやったんで、プールの時間、先生の「今日はこれをします」っていう説明中に飛び込むとかやってて。

高田 マルコスくんじゃなくてお前が?

関本 それはもうマルコスくんが基準になってしまってるな。それよりヘンなことしなきゃいけないっていう。

高田 そんなマルコスくんを押さえての1位、すごない?

ムギ そうですねえ。ただ楽しませたかった、笑わせたかったという。

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関本 中学校では?

ムギ おちゃらけてはいました。先生に当てられて、先生のモノマネするとか。高校ではモテたくて、ちょっと落ち着いたんですけど(笑)。で、満を持してNSC(吉本総合芸能学院)大阪に入ったとき、「“楽しい”は“おもしろい”ではない」って気付いて(笑)。なんかみんなセンスあって、ポンとひとことだけ言って笑いとるみたいな感じやったから。

関本 低カロリーのお笑いがカッコいい、みたいなね。

ムギ そこで、もうわからんくなってもうて(笑)。僕も「これおもろいでしょ」って一言だけセンスある感じで出して、とかやってたんですよ。それでも一応、おもしろいって言ってもらえることがあったんで、そこからずっとそのままなんです。ただ、芸歴10年目のいまになって、マルコスくんに勝った時代に戻りたいと思うように……。

関本 (笑)

高田 たとえば芸人水泳大会があったとしても、絶対、率先して飛び込んだりせんもんな。そういうタイプじゃない。

ムギ NSCのときにセンス系な雰囲気出してたヤツが、急に「オレ、行きます!」ってやったらみんなビックリするんちゃうかなとか、いろいろ考えちゃうんですよ。

高田 でも、もともとはそういう子やったってことでしょ?

関本 もとがそういう人間だったら、やれば絶対ウケるんだろうけどね。こうなったら、もうもう1回、マルコスくんと出会うしかない。

高田 ホンマや! あのころのムギを呼び覚ましてもらえよ、マルコスくんに。

ムギ もう、サンパウロに帰ってるって(笑)。

関本 ムギはね、実はこの中でいちばん明るいんですよ。楽屋でも、いちばんしゃべりますし。

高田 いろんな人としゃべってます。

関本 だから、もっと自由にやったら、もっとすごくなると思います。

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──ムギさんの“キャラ変”に注目ですね。関本さんと高田さんは、それぞれルームシェアをしているそうですが……。

関本 僕は同期の20世紀・しげと、侍スライス・門田さん、とくいち・大野さんと。

高田 僕はcacao・たっぺい、例えば炎(タキノルイ、田上)。

──共同生活が、芸人生活に生きることはありますか?

関本 まったくないですね。

高田 オレもないなあ。

関本 たとえば、しげと平場で一緒になったときなら「家でこんなことが……」とか言ったりすることはあるかもしれないですけど。

高田 僕は、めっちゃ後輩と住んでるんです。ふだん、あんまり後輩と接する機会がなかったんで、その部分に関してはいいかなと。6年も8年も後輩やったら、ふつうしゃべることないでしょ。それが「いま誰がおもしろい?」みたいなことも聞けたりとか。

関本 僕はもう出たいなって思ってますけどね。なんか、飽きました。しげとは8年以上、一緒に住んでますし……。ほかの人も、ぜんぶ僕が誘ってるんで、別に自分のことを上げてるとかじゃないんですけど、どうしても発言権が僕のほうにあるというか。

ムギ 最終決定権みたいな。

関本 そうそう。でも、リーダーにはなりたくないですし……。一人暮らしのほうが刺激はあるんだろうなとも思うけど、おカネがあるわけでもないしとか、難しいですね。

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ムギ「いまはネタだけは負けたくない」

──ズバリ、イノシカチョウのいちばんのウリを教えてください。

関本 やっぱ高田のパワーじゃないですか? 『オールザッツ』でも高田の感じがハマってたから、まずは高田がホントにおもしろい人だって思ってもらわないとっていうのはすごいある。

高田 まあ、いちばん目につくのは僕かなとは思いますね。それは自覚あります。

関本 ムギはね、「2人が目立ってくれたら」とか言うことがあるんですけど、僕からしたら、この2人(高田とムギ)が目立ってほしい。ムギがそういう発言するのは、すごいもったいないんですよ。

ムギ (笑)。僕はとりあえず、ネタだけは負けたくないなっていう気持ちがあります。

──トリオだからできること、強みみたいなのもあるのでは?

関本 展開がつけやすいのかなと思いますね。後から1人出てくるだけでも展開ですし、コントとしてはすごく有利なんじゃないかなと。

ムギ 逆に、3人であることを生かせないと宙ぶらりんな感じも……。

高田 それはあるな。ムズさはありますけど。

ムギ そのあたりも、どんどん勉強しつつ。とりあえず、いまはネタで負けたくないです。

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──最後に、2023年の目標を教えてください。

関本 この職業で、ごはん食べられるようになりたいですね。

ムギ まだバイトしてるんで。

高田 3人とも。

関本 あとは『キングオブコント』で決勝に行けたら。

ムギ 去年が準決やったんで、もうひとつ上へ。

高田 4月で芸歴11年目になっちゃうんで、『ABCお笑いグランプリ』と『ytv漫才新人賞』に出られなくなるんです。出られるのは『NHK上方漫才コンテスト』と『NHK新人お笑い大賞』だけになるので、そこも頑張れたらなと思います。

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