ノンスタ石田が東大生に伝授した“笑いのシステム”とは!? 東大×吉本プロジェクトで漫才ワークショップ

お笑いコンビ・NON STYLEの石田明が、2月17日(金)に吉本興行東京本部で、東京大学の学生に向けた漫才ワークショップを開催しました。吉本興業と東京大学がコラボした「笑う東大、学ぶ吉本プロジェクト」の一環で、現役東大生16人が参加。「ウケる漫才とは」「漫才のつくり方」などをテーマに石田が講義をしたほか、東大生に漫才のネタづくりからネタ合わせ、ネタ披露までを体験してもらいました。

出典: FANY マガジン
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「笑う東大、学ぶ吉本プロジェクト」は、学生たちが新たな文化や価値観に触れることで、新しいアイデアや発想を生み出す力を身につけることを目的にした取り組みで、2021年3月にスタート。これまで芸人と学生がコラボした多くの企画が実施されてきましたが、今回は、漫才の体験を通じてコミュニュケーションに関する新しい知見を得てもらうことを目的に漫才ワークショップが行われました。

“面白い”と“ウケる”の違いとは

会場に集まったのは、学年も学部・研究科もバラバラで全員ほぼ初対面という16人の東大生。自己紹介のあと、さっそく石田による漫才の講義が始まりました。

ふだんからNSC(吉本総合芸能学院)で漫才の講義をしている石田。そこで教えているのは「プロになるための漫才」だそう。「劇場で笑いさえとれれば、食いっぱぐれがないので、僕の授業では、まずそこを大事にしている」と言いながら、“面白い”ことと“ウケる”ことの違いについて説明します。

出典: FANY マガジン
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さらに「漫才をつくるのはコミュニケーションと同じで、まずは話題をつくることから」としたうえで、具体例を挙げながら、漫才のつくり方をわかりやすく伝授していきます。

まずは、話したいテーマをひたすら挙げていく作業からネタづくりをスタートさせる。そして、話したいテーマの中からひとつを選び、そこから連想される単語をいくつか考える――「そうして細分化したあとに、ほかのテーマと組み合わせると違和感が生まれるので、それを面白くブラッシュアップしていく」と言います。

出典: FANY マガジン
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次につくっていくのは会話。その際に大事なのは、「好き」「嫌い」など立場をはっきりさせて、どちらかに感情を振ることだといいます。

「お笑いの基本は『常識を裏切ること』。昔話のネタが多いのは、昔話はみんな知ってる(=常識)からで、みんなが知っているものを崩すことが笑いにつながる」

石田の論理的な解説に、学生たちもうなずきながら聞き入っています。

ほかにも、「自分だけがやりやすいほうに持っていくとつまらない。だから僕は、漫才をつくるときは自分を困らせるようにしてる。そうすることで熱もこもるし、会話のうねりが大きくなる」と、自身の経験からくるコツを伝えたり、ボケとツッコミの役割を具体的に解説するなど、とても内容の濃い講義を展開!

ラストは「なんか、ちゃんといい授業ですね〜。どうです?」と自画自賛して学生たちを笑わせるというオチまでつけていました。

出典: FANY マガジン
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ネタ披露の審査で石田が悩む!?

講義のあとは、学生たちがネタづくりと漫才の披露に挑戦します。MCの天狗(川田哲志、横山裕之)が「参考にしてください」と漫才を披露したあとは、即席でコンビを組んだ学生たちのネタづくりとネタ合わせがスタート。石田から学んだ漫才のつくり方を参考にしたり、頭を悩ませて話し込んだりしながら、約2時間半でネタをつくり上げていきます。

そして、いよいよ本番。石田の「声が小さいと届くスピードが遅くなるから、エネルギーだけは遠くまで届けるような気持ちで」というアドバイスのあと、8組のコンビがネタを披露しました。

出典: FANY マガジン
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どのコンビも、講義で習ったことをうまく取り入れつつ、個性を生かしたネタやワードの強いネタ、つかみのギャグで一気に観客を惹きつけるネタなどバラエティ豊かな漫才を披露しました。

「みんな、いろんなよさがあるからなぁ……」と、石田も審査に悩んでいる様子。最終的には、時事ネタなどを押さえながらもライブ感を楽しんでいた「がめ煮セーター」が見事、石田賞を受賞しました!

彼らのネタについて石田は、「がめ煮セーター以降、(漫才が)見やすくなったと思うし、やる側もやりやすくなったと思う。やっぱりライブは1人じゃなくてみんなでやるものなので、起爆剤になったところを評価したい」と話しました。

出典: FANY マガジン
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「自分が変われたんじゃないかと思う」

ワークショップ終了後、この日の感想を聞かれた石田は「単純に面白かったです。発想が面白かった」と東大生の漫才をほめたあと、笑顔でこう語ります。

「はたして僕の講義がみなさんの人生に影響するかどうかはわかりませんが、すごく素直に講義を聞いてくれて、漫才も楽しんでやってくれていた。これがきっかけでコミュニケーション能力が向上したり、みなさんの人生にプラスになればな、と思います」

出典: FANY マガジン
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実際、石田賞を受賞した「がめ煮セーター」の福井卓志さん(教養学部理科一類1年)は“得るもの”があった様子。

「漫才をつくるのはすごく難しくて、芸人さんは大変なことをされているんだなぁと感じました。あと、壇上に立って人前で笑いをとるという経験は、自分でも変われたんじゃないかなと思ういい経験になりました」

相方の石光紀郎さん(法学部4年)も「今日は素敵な賞までいただいて、明日が誕生日なのでいいプレゼントになりました」と話したうえで、「今日が大学で受ける最後の授業。とても思い出に残る授業でした」と感慨深そうにコメントしました。

MCの天狗・横山が「毎回、思うんですけど、石田さんの漫才ワークショップは僕が若手のときにいちばん受けたかったな、って。こんなに笑いのシステムを言葉にしてくれる人って出会ったことがない。なので、東大生にとっても貴重な体験だったんじゃないかなと思います」とコメントすると、相方の川田は「これは自信を持って言えるんですけど、僕たちがいちばん勉強になったと思います」と言い切り、会場を笑いに包みました。

出典: FANY マガジン
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