人気声優と吉本新喜劇がコラボした舞台『朗読劇ボイコメvol.3~声優×吉本新喜劇~』が、12月14日(土)、15日(日)に大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TTホールで上演されました。朗読劇ボイコメは、脚本を手がける川畑泰史と新喜劇座員、声優たちが台本を片手に独特のステージを作り上げます。第3弾となる今回も豪華声優陣が出演。川畑と今別府直之と森田まりこ、声優の斎賀みつき、笠間淳、高塚智人が出演した初日の模様をお届けします。
声優が新喜劇のズッコケを披露!?
この舞台で演出を担当するのは、関西発のエンターテインメント演劇集団・片岡自動車工業の片岡百萬両。
出演する声優陣は、『村井の恋』の平井役などを演じた石谷春貴、『xxxHOLiC』の壱原侑子役の大原さやか、映画『THE FIRST SLAM DUNK』の三井寿役の笠間淳、『ブラッククローバー』のアスタ役で知られる梶原岳人、『テニスの王子様』のQ・P役などを演じる斎賀みつき、『アイドルマスターSideM』の渡辺みのり役の高塚智人です(石谷、大原、梶原は2日目に出演)。
おなじみの出囃子が鳴ると、ソファが置かれた部屋に川畑が登場。高校の同窓会の幹事になった川畑が、同級生に出欠確認の電話をかけるところから物語が始まりました。
電話の向こうの人物がシルエットだけで映し出されますが、パーティー会場の店員役の斎賀が声色でさまざまなキャラクターを演じ分けます。一方、女性役の今別府はシルエットのみで笑いを起こし、声優とは違ったアプローチで舞台を盛り上げました。
高校時代とはキャラや見た目が変わってしまった同級生の言動に翻弄される川畑。次第にこじれた恋愛関係が発覚します。台本を持ちながらも動きのある芝居で楽しませる同窓会のシーンでは、笠間がアドリブで見事なズッコケを披露する一幕も。
高塚と森田がカラオケで美声を聴かせるシーンもあり、ふだんは見られない声優たちの姿にお客さんも大興奮。恋愛だけにはとどまらない、それぞれの思惑が明らかになっていくラストは驚きでした。
“限界オタク”岡田直子がステージを私物化?
朗読劇終了後、FM大阪のDJ・淡路祐介がMCを務めるトークコーナーに出演者全員が登場。第2弾に出演した新喜劇きっての“アニメ・声優オタク”岡田直子がアシスタントを務めます。
森田は「最高でした。稽古のときから素敵な声にドキドキでした!」と声優たちとの共演を楽しんだ様子。これに岡田は「(声優さんたちと)袖で楽しそうに喋ってて、腹立つぅー!!」と嫉妬を隠せません。
一方、MCの淡路から「もう3回目なので慣れたのでは?」と聞かれた川畑は、「気持ちは慣れたけど、年をとって指がカサカサに。今後は台本を(めくりやすい)安ものの紙にしてほしいわ」と笑わせます。
初日の舞台に登場した声優3人の紹介コーナーでは、岡田が“限界オタク”(=推しへの愛が限界まで達することで語彙力や表現力が欠如してしまい、痛々しい言動を取ってしまうオタク)としての興奮が抑えられません。それぞれの出演作品やプロフィールについて、マシンガンのような早口で解説すると誰も聞き取れない状態に……。今別府から「この場を私物化しないで!」とツッコまれていました。
笠間は、リハーサルではなかった“ズッコケ”を本番で初めて挑戦したそうで、「座員さんの前でできてうれしかったです!」と笑顔。高塚は「リモート打ち合わせのときから緊張していました。本当に夢のようです」と語りました。
後半には、声優陣の過去のインタビューを掘り下げて人柄に迫るコーナーも。「声優にとって大切なもの」「声優に必須なスキル」など3人のプロフェッショナルな一面を知ることができ、ファンにはたまらない時間になりました。
今別府「ほんまに台本覚えてこんでいいよな!?」
終演後、声優陣は舞台を振り返ってそれぞれこう語りました。
「ふだんのお芝居とは一味も二味も違った空気感。川畑さんがしっかりと役の色をつけてくれたので、のびのびと演技できました。新喜劇のみなさんの力で、新しい自分の表現を生み出すことができました」(笠間)
「朗読のようで朗読ではない、新喜劇のようで新喜劇ではない舞台。いままで経験したことがなく、不安でもあり楽しみでもありました。川畑さんとは舞台上で絡むシーンも多く、役の魅力を引き出してくださって感謝です」(斎賀)
「台本をいただいたときからお腹を抱えるぐらい面白くて。いままで朗読や舞台など、いろんなことをやってきたので演じることに集中できました。今日この舞台を経験して、いままでやってきたことは無駄じゃなかったと思いました」(高塚)
脚本を担当した川畑は、「少ない稽古のなか、本番ではよく動くし、笑わせるし、アドリブも飛び出してすごい。終演後も改善点などアイデアをいただきました。毎回、こちらが勉強させてもらっています」と語ります。
初めてのボイコメ出演となった今別府は、「昨日、岡田ちゃんに電話をかけて、ほんまに台本覚えてこんでいいよな!?と確認しました」と内幕を披露。一方、ふだんの新喜劇では動きの多い森田は、台本を持ちながら演技するという慣れないシチュエーションに「声優さんがアドリブでボケをいっぱい入れてくれたのに、わたし1個もアドリブを入れられなかった!」と悔しさをにじませます。
終始、ファン目線だった岡田が「声優・アニメ、新喜劇のどちらも好きになってもらえる素敵なイベントです!」と全力でアピールすると、演出担当の片岡も「ともに瞬発力、発想力、技術が必要とされる声優さんと芸人さんの化学反応が花火のように打ち上がるこのイベント。大阪の名物、風物詩にしていきたい」と続編に意欲を見せました。