1959年3月1日にスタートした吉本新喜劇が、3月1日(日)に大阪・なんばグランド花月(NGK)で特別公演を開催しました。この日の『吉本新喜劇記念日2026~新喜劇67周年、今日からスタート~』は、アイドルユニット・秘蔵っ子のステージや、2月によしもと道頓堀シアターにて開催された『寛平GM杯争奪ネタバトル』で好成績をおさめた座員たちによるネタ披露もある盛りだくさんの内容。スペシャルゲストとして藤井隆も登場し、ここでしか見ることのできない特別なステージとなりました。

秘蔵っ子や座員たちのネタ披露も大盛り上がり
オープニングアクトを務めたのは、若手座員6人によるアイドルユニット・秘蔵っ子(小林ゆう、咲方響、沖ひなた、野呂桃花、きだななみ、おはる)です。咲方手づくりのドレスに身を包んで3rdシングルの『マドンナ』を歌い始めると、いつしか大きな手拍子が広がりました。

続いて、間寛平GM(ゼネラルマネージャー)とレイチェルがMCを務め、『寛平GM杯争奪ネタバトル』を勝ち抜いた座員たちによるネタコーナーへ。
出演したのは、ツインビルダーズ(太田芳伸、生瀬行人)、清ちゃん音ちゃん(清水啓之、音羽一憲)、べたーず(佐藤武志、のぶよし)、玉置ひろゆき・谷川ゆり、高関優、目玉メガネ(佐藤太一郎、菅野智義)、ひびゆう(小林ゆう、咲方響)、ちゃんばら日本(平山昌雄、太田芳伸、仲澤秀朗)という8組です。
漫才ありコントありピン芸ありで客席は大盛り上がり。全組終了後、寛平GMは「全員よかったと思います!」と絶賛し、「またこういう機会を作って、どんどんやっていきたい。みんな頑張ってください」と座員たちを鼓舞しました。


寛平GM、珠代、藤井の“三つ巴ボケ”に辻本もタジタジ
休憩を挟んで、後半はいよいよ新喜劇が開幕。舞台は若くして夫を亡くした島田珠代が、女将として切り盛りする花月旅館です。アルバイトのすち子(すっちー)、アキ助(アキ)、珠代の小学生の娘・酒井藍、番頭の清水けんじが登場。珠代はかつてミュージカル女優として活躍していたものの、旅館を継ぐため夢を諦めました。
ある日、懐かしい劇団の同期たちと集まることになり、藤井隆、森田まりこ、松浦真也、野崎塁がやってきますが、“ある事件”で袂を分かった吉田裕まで現れ、何やら怪しい雲行きに……。そのうえ、借金取りや旅館の土地を狙う不動産会社も入り乱れ、物語が加速していきます。

4人の座長たちは、それぞれの持ち味全開。いきなり風呂上がりのバスタオル姿で現れたすっちーは、傍若無人な言動で旅館を引っ掻き回します。酒井は、天真爛漫な少女と見せかけ、チラリと毒っけをのぞかせる絶妙のさじ加減で沸かせました。
アキは「……なに?」から始まるギャグの連打で存在感を見せつけます。吉田は出てくるなりイジられキャラの本領を発揮して、慣れないダンスネタにも必死で食らいつきました。
ひときわ観客を喜ばせたのは、珠代と藤井の予測不能な絡み。久々の再会という設定で「たまちゃん」「たかぴ」と呼び合う2人は、突如始まる歌とダンスで息の合ったところを披露します。
清水が「始まって15分しか経ってないぞ!」と叫ぶなか、止まらないコンビ芸が“ペア版”パンティーテックスへと突入し、藤井が酒井のスカートに一緒に入ったり、森田、松浦、野崎まで巻き込んだミュージカルに発展したりと、ほかの座員たちも巻き込んで盛り上がります。

もうひとつの見どころは、珠代の祖父役の寛平GMと、借金取り役・辻本茂雄の一騎討ち。寛平GMのしつこいノリに加え、途中から珠代、藤井まで乱入するカオス状態となり、終わらないボケ合戦に百戦錬磨の辻本も疲労困憊です!?
ほかにも見事な肉体美で驚かせた不動産会社社長役の西川忠志や、警察官役で天然ぶりを発揮した山田花子、ファースト写真集のPRに余念のないミニスカポリス役の小寺真理、劇団員役でコンビ芸を連発した森田&松浦と、濃いキャラクターが続々登場しました。

さらに、珠代をめぐる藤井と吉田のバトルが3人の歌とダンスに発展するシーンや、珠代が辻本らに人質に取られるクライマックスまで、見どころたっぷりの90分超。“新喜劇67周年”の始まりを告げる舞台は、大きな拍手に包まれながら幕となりました。
エンディングでは、新たな“吉本新喜劇の顔”に森田&松浦が選ばれたとサプライズ発表が! 森田と松浦は「マジですか!?」「びっくりしました!」と言葉を失います。寛平GMから「今年1年、頑張ってください」と声をかけられた2人は、表情を引き締めました。

新“新喜劇の顔”は「信じられない」「寝耳に水で…」

終演後の囲み会見には、寛平GM、すっちー、酒井、アキ、吉田、藤井、森田、松浦が登壇。寛平GMが、本番の舞台で登場するなり全開だった藤井について触れながら、「(自分も)めっちゃいかなあかんと思って、自分のセリフを全部忘れて、無になって出ていった」と振り返ると、藤井もこう語ります。
「NGKの吉本新喜劇は、出続けないと立たせていただけない舞台。そんななか、呼んでいただいて本当に光栄。珠代お姉さんにたくさん引っ張っていただいて、劇団員の皆さんとこうやってお会いできるのも本当にうれしかったので、緊張しましたが、とっても楽しかったです」
新たな“新喜劇の顔”となった森田と松浦は、「信じられない」「寝耳に水で……」と興奮さめやらぬ様子。森田は「私たちでいいんですか?っていう気持ちはありましたが、本当に光栄です」と声を弾ませます。
選出の理由を聞かれた寛平GMは、こう説明します。
「松浦くんはものすごくネタを作る。一生懸命努力している姿を見て、みんなで決めた。まりこちゃんには、珠代のあとを行ってほしい。そして2人で全国に行ってほしいなと思って」

ただ、2人はこの日の舞台でいずれも悔いの残る部分があったそうで、松浦は「まだ引きずっていて喜べない。まずそこを反省しないと」と複雑な表情。寛平GMによると、森田&松浦の選出は4座長も満場一致だったそうで、すっちーは「だから(“顔”選出を)知った状態で舞台上でスベってるあなたたちを見ていたわけですよ」と種明かしして笑わせました。
藤井は珠代に感服「かなわない」

4座長は、それぞれこの日の舞台の感想を語ります。すっちーが「藤井兄さんと珠代姉さんのパワーが合わさったときのスゴさを、まざまざと見せられた」と語ると、酒井も「藤井兄さんと珠代姉さんの絡みを、初めて生で見られてめっちゃうれしかった」とコメント。
アキは、東京で活動していたころ、ルミネtheよしもとで藤井とともに舞台に立っていたそう。ただ、この日は「僕の見ていた藤井くんとは全然違う、すごいものをいっぱい持ってはる」と感じたそうで、「いっぱいびっくりしました」と熱く語りました。
一方、吉田はこう振り返りました。
「(藤井さんから、吉田のキャラは)うまくやったらあかんから、あんまり練習せんときと言われ、舞台上でめっちゃ下手な感じになった。おかげで清水さんにちゃんとやれよとめっちゃツッコまれ、(頭を叩かれた)振動がまだ残ってる。藤井さんのせいです……」

藤井と珠代の共演は、2023年の珠代の芸歴35周年記念公演以来。藤井はそのとき、1週間公演の最終日にぎっくり腰になってしまい、「パンティーテックスができなくて反省しました」とのこと。
藤井は今回、改めて珠代の“すごみ”に触れたようで、「何回ヒット曲出すんだろう、すごい方だなと思った。本当に尊敬している先輩のおひとり。今日も何の手抜きもなかった。もうかなわないです」としみじみ語ります。
今後の共演も期待する声に藤井は、こう話しました。
「本当に呼んでいただけるのが、まずはありがたくてうれしい。時代が変わって、(自分たちのネタが)いいのかどうか……本当だったらクビなんですけど、寛平GMは器が大きくて呼んでくださる。だからもし、また出させていただくならば、もうちょっとニューバージョンにしなきゃいけないなと思っています」

