タレントとしての活動はもちろん、政治経済やビジネスにも興味を広げ、幅広い分野で活躍する田村淳。そんな田村が娘たちに向けてInstagramで書きためた“遺書”を1冊にまとめた本『20代の君へ。働き始める前に読んでほしい父からのメッセージ』(すばる舎)を出版しました。発売日である4月24日(金)には東京・紀伊國屋書店新宿本店でトークショー&お渡し会を開催。イベント前の囲み取材にも応じ、娘たちへの思いや、これまでの人生で得てきた教訓、自身の考えなどを巧みな語り口で披露しました。

母の死をきっかけに言葉を遺すことを意識
淳が2人の愛娘たちのために普段から書き続けているInstagramでのメッセージが、現代を生きるすべての若者に響く内容であることから書籍化された本書。発売前に重版が決定したほど、多くの注目と期待を集めています。
淳は「娘はまだ10歳と5歳なので、読んだ感想は聞けていないですけど」と言いつつ、「彼女たちが大人になり、社会に出るときにこの本に触れて、『あぁ、パパはこんなことを思っていたのか』と読む姿を想像すると、いい本ができあがったなと感じます」と笑顔を見せます。

娘たちへの思いを聞かれると父親の顔になり、「自分で問題や課題を見つけ、クリアできる大人になってほしいし、他人と比べたり、合わせたりするのではなく“私はこう生きたい、こうしたい”と自分らしく生きられるといい」と語りました。
まだ50代の淳が、なぜ娘たちに言葉を遺すことを意識したのか。それには、淳が2020年に母親を亡くしたことが大きく影響したと明かしました。
「母ちゃんはガンで亡くなったんですけど、僕が20歳になった瞬間から、『淳、誕生日おめでとう。私はこれから毎年、あなたの誕生日にこのメッセージを伝えます。延命治療はしないでほしい』って、ずっと言われてきたんです。20歳のときには、どうしてこんなことを言うのかピンとこなかったんですけど、ガンが発覚して、治療方針について家族会議をしたときに、(このメッセージがあったことで)延命治療をしないでほしいという彼女の尊厳を守ろうという話ができました。
他の家庭ではなかなかこんな話し合いはできないんじゃないかと思ったときに、“遺書”に興味を持って、研究のために大学院に行きました。それで、思考もちゃんと働く元気なうちにメッセージを残すほうが、娘たちの役に立つと思ったんですよね」

しかし、先の長い人生の中で、考えが変わってしまうこともあるのでは? と問われた淳は、「それでいいと思っているんですよ」と即答。その理由を、こう説明しました。
「母ちゃんが毎年、“延命治療はしないでほしい”という言葉の履歴を残したことで、僕はそれを“一貫性のあるメッセージ”として受けとめました。僕は芸能以外の仕事もしていて、コロコロと(考えが)変わるから、今回は52歳の田村淳が娘に綴った(遺書の)第1弾。今後、絶対に変わるから、(出版元の)すばる舎には第2弾を検討してほしいです(笑)。でも、第2弾にも第1弾と変わらないメッセージがあるとしたら、“パパはよほどこれを言いたかったんだな”ということが伝わるから、遺書の履歴って必要だなと思うんです。何度も書くべき」
狩野英孝がついついしゃべってしまう淳の“聞く力”
これまでの人生経験を踏まえ、淳が娘たちに“これは経験しておけ”と思うことについて質問されると、MC力が高い淳らしい答えが語られました。
「人は1人では生きていけないので、どうやったら人とコミュニケ―ションをとれるかと考えたときに、“聞く力”を持っている人がいちばん強いなと思っていて。話を引き出す力こそコミュニケーション能力だと気づいたので、それをこの本でも訴えています」
「みんなが話をするのが上手いわけではなくて、初対面の人に思ったことをバーッとしゃべれる人のほうが少ないと思うんですよ。だけど、相づちの仕方とか、どの言葉を復唱するかとか、相手が気持ちよく話せる聞き方ができると、思いもよらぬ情報が聞き出せる。僕は番組でMCをするときに、“淳の聞き方だとついつい話しちゃうよね”ってなるよう心がけていて、他の番組では出さないけど、僕の番組ではポロポロっとしゃべっちゃったということがあると嬉しいです。狩野英孝さんとか、それでよくしゃべってくれるんですけど(笑)」

大事な話は“階段の10段目”で
パパになってからも忙しい日々を送る淳ですが、自身が誇れると思う独自の子育て法について問われると、こんなことを明かしました。
「妻より、子どもと一緒にいられる時間が短いので、それをできるだけ濃い時間にすることは心がけています。それで、大事な相談や悩みごととかは、リビングでパッと聞いちゃうんじゃなくて、“階段の10段目”って決めているんです。だから、娘が何か大切な相談ごとがあるときは、『パパ、相談があるから、階段の10段目に来て』って声をかけてくるし、僕が相談をしたいときも同じで、お互いにとって大事な場所をつくって、特別な話をするというのをルールにしています」
「あとは、弁当をつくる時間があるときは、弁当にパパの要素を組み込みたいと思って、手作りベーコンをつくっているんです。手間と時間をかけてつくったベーコンが入っている日と、入っていない日で娘のテンションが違うと聞いたときには、ちゃんと娘とのかかわりが持てているんだなって思いました」
娘の相手に「ナダルとクロちゃんはイヤ」
『20代の君へ。』というタイトルにちなみ、20代の自身へ言いたいことは? という質問が飛ぶと、淳は「あるなぁ……」としみじみ呟き、こう語りました。
「自分の人生だから、自分が思うように生きるべきなのに、(20代のころは)どうしてもまわりを気にしていました。だから、他人と比べるというところを早く脱出したかったな。自分をもっと大事にできていたら、また違ったロンドンブーツ(1号2号)のかたちがあったと思います(笑)」

恋愛観についても語られている本書。記者から、娘の恋愛に望むことを問われた淳は、「パパに気に入られようとして連れてこないでほしい」と言います。
「なぜ、この人が好きなのかをちゃんとプレゼンできるようにしておいてほしいです。あとは、目ではなく、心を奪われる人とお付き合いをしてほしい。ただのイケメンに振り回されるな、とは思っています」
さらに、もし娘が彼氏として芸人を連れてきたら? という質問には、「僕は芸人さんを悲観的には見ていないです(笑)。僕が知っている芸人さんはほとんどいい人なので」と言いつつ、連れてきてほしくない芸人として、「(コロコロチキチキペッパーズの)ナダルはイヤです。(安田大サーカスの)クロちゃんも地味にイヤです」と即答。
それでも娘が惚れたなら尊重すると言いながら、「階段の10段目で『何でこの人なの?』って聞きます」と答えて笑わせました。
若き淳を突き動かした2人のメッセージ
今回の著書は、世の中の20代の若者たちへのメッセージでもあります。淳は、自身が若いころに受け取った人生の先輩からの大切なメッセージを明かしました。
「20代のときに影響を受けたのは、これ記事になるかわからないですけど……(笑)、極楽とんぼの山本(圭壱)さん。山本さんに『なるようになる』っていう言葉をもらったときに、すごくラクになったんですよ。『なるようになるんだから、おまえがやりたいことをやればいいじゃないか』という言葉が、20代の僕を突き動かしてくれました。多少無理なことでも、落ち着くところに落ち着くから、とりあえずやってみろと」

この言葉に背中を押され、起業をしたり、現在も活動を続けるビジュアル系バンドを組んだりと、さまざまなことに挑戦を始めた淳。この自由な活動に対して「お前は何がしたいんだよ」と批判を受けることもあったそうですが、そこで、二つ目の大切なメッセージを受け取ったといいます。
「そのころに出会ったのが、(小説『下町ロケット』のモデルとなった)植松電機の植松努社長。民間で初めてロケットを作って飛ばした人で、テレビ番組でお会いしたときに言ってくれた、『淳くん、両手に抱えきれないくらいの夢を持って、それをたくさんの人に言いなさい。笑う人も、咎める人もいるけど、協力してくれる人が絶対に現れるから』という言葉に救われました。植松さんに出会っていなかったら、いろいろなことに手を出していなかったと思うんですよね。すごく感謝しています」
最後に、この春、社会人になった人々へ向けて、淳がメッセージを贈りました。
「これまではずっと、誰かが教えてくれて、そこに答えがあってと、“答えがある生活”だったと思うんです。でも、これから答えがない“社会”という大海原に出ると、そこには迷いが生じると思います。(本に書かれているのは)娘に綴ったメッセージではありますけど、『淳パパならこういうのか』と、この本によって社会に出る人たちの不安要素を一つでも取り除けたらと思っています」

書籍概要
『20代の君へ。働き始める前に読んでほしい父からのメッセージ』
著者:田村 淳
価格:1650円(税込)
出版社:すばる舎
公式ページ:https://www.subarusya.jp/book/b663220.html
