80歳を迎える桂文枝が「大谷翔平選手を見習って…」 創作落語500作目指し7月に傘寿記念落語会

落語家の桂文枝が、今年7月16日(日)に80歳を迎えます。この誕生日に、なんばグランド花月(NGK)で『桂文枝 傘寿記念落語会』を開催することが決まりました。当日は、交友のある三遊亭好楽もお祝いにかけつけ、落語を披露することが決定。4月11日(火)には、文枝の思い出の場所という大阪天満宮を11人の弟子とともに参拝し、落語会への意気込みを語りました。

出典: FANY マガジン
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80歳になってもどんどん攻めて行きたい

厳かな雰囲気のなか、本殿で行われた成功祈願の終了後に、文枝は「7月16日までは元気に長生きしたいなと思います」と語り、これまでの芸能人生を振り返りました。

「いま成功祈願を受けながら、よくここまで来れたなと振り返っておりました。ここまで来られたのは、なによりも先代の五代目文枝が弟子に取ってくれたから。それが23歳のときですから、いまから57年前のことになります。そういう意味では師匠に感謝しております。その翌年に吉本興業の方から『入れへんか』と言われて、(吉本興業の創業)110年のうち55年、吉本興業にお世話になりました。そして深夜番組から始まったんですけども、長いこと応援していただいた皆様方に本当に感謝しておりますし、家族にもたいへん感謝いたしております」

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そして、「世のため、人のため、特に落語会のために自分にできることを一生懸命やっていきたいなと。それが、いちばんの恩返しだと思います」と意気込みました。

また、母親のおかげで元気な体があると感謝しながら、大リーガー・大谷翔平ばりの“健康法”を語ります。

「朝、ちょっと早くに起きたもんですから、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の大谷さんのことをテレビで見ました。大谷さんは自分で健康管理をしていると。そういうことを聞いて、今日は朝からご飯を炊いて、納豆を買いに行ってきました。これからも本当に健康に気をつけて頑張りたいと思います」

出典: FANY マガジン
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今回の『傘寿記念落語会』のビジュアルデザインを手掛けたのは、R-1王者の佐久間一行です。傘寿の傘、飛躍を意味するウサギ、そして幸せの青い鳥など、縁起物づくしの可愛らしいデザインになっています。そのなかに描かれたトンボは、文枝の願いだったと話します。

「佐久間さんに描いていただくと聞いて、トンボを入れてほしいなと思っていたんです。トンボはまっすぐシュッと進むことから、“勝ち虫”といって戦国武将も兜の前立てによくつけたそうです。これからも守りに入らずに、新しい落語を作って80歳になってもどんどん攻めて行きたいなと思います」

「これからもボケてたまるか」

今回の落語会に出演する三遊亭好楽については、こう期待を寄せました。

「好楽師匠も奥さまを亡くされまして、僕もですので。やもめの会の東の会長が好楽師匠で、西の会長が私ということで、会長同士で落語をやると。本当に仲良くやっておりますので、僕も公演を楽しみにしております」

出典: FANY マガジン
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公演当日の演目は、自身の創作である『ロンググッドバイ -言葉は虹の彼方に-』を予定しています。その理由について、文枝は次のように明かします。

「『惚けてたまるか!』という落語があるんですが、これはもともと、『ロンググッドバイ』という落語でした。久しぶりにフルバージョンでやりたいと思います。“ロンググッドバイ”とは英語で“認知症”という意味もあるそうで、決して“ロンググッドバイ”にはなれへんぞという思いを込めています。これからもボケてたまるかと一生懸命、元気でやりたいので」

創作落語への意欲は衰えず

質疑応答では、桂米朝との思い出話も披露しました。

「私が60歳になったときに、米朝師匠に“60歳になりました”と言ったら、“落語家としてはこれからやで”とおっしゃってくださって。それから上方落語協会の会長をやったり、天満天神繁昌亭を作ったり、いろいろしました。一生懸命、あんなことをやりたい、こんなことをやりたいと頑張ってきたら、知らない間に80歳になっていました。自分でも80歳になるつもりはなかったですし、自分が80歳やという思いはまったく持っていないんです。逆に、老けた弟子のことを“けっこう年やな”と思ったりするんですけれども、全然、頑張っています」

出典: FANY マガジン
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これまでに314作以上の創作落語を世に送り出した文枝は、新作への意欲も衰えておらず、500の大台を狙いたいと意気込みました。

「今年も大阪市福島区の落語とか何作か作りましたけれども、できるだけ違うネタをやりたいなと思っています。新しく作るよりも、思い出すほうがものすごく大変なんですね。根気と、忘れっぽくなっているのと。それと戦いながら、これから頑張っていかないといけないなと思っています。ネタの作り方は昔と変わったことはないんですけれども、やっぱり身の回りのことの落語にするので、つまずいた話とか、聴力検査で耳鼻科に行った話とか、そういうことが少しは多くなっていると思いますね。20代、30代のときには、そういうことはなかったなと思います」

公演概要

『桂文枝 傘寿記念 落語会』
日時:7月16日(日) 開場17:30 開演18:00
場所:なんばグランド花月
チケット:1階指定席前売5500円 2階指定席前売5000円

FANYチケットはこちらから。