「現段階で完成度が高い」「グッズ展開もできそう」…人気芸人らの出版プレゼンにプロ絶賛

吉本興業には、自分の本を出したいと本気で考えているタレントがたくさんいます。そしてその夢をかなえようというのが、ベストセラー編集者・高橋朋宏氏が主宰する株式会社ブックオリティと吉本興業がタッグを組んだ『出版チャレンジ塾』。6月28日(水)には、「本を出したい」というタレントが、自分の企画を出版社に売り込む「出版プレゼン大会」が都内で開催され、吉田ヒロ、福島善成(ガリットチュウ)ら30人が参加。果たして、出版のチャンスをつかんだタレントは!?

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

出版実現に向けた30人の熱い戦い

高橋氏は、日米両国で100万部超えの大ベストセラーとなった片付けコンサルタント・近藤麻理恵(こんまり)さんの『人生がときめく片づけの魔法』(サンマーク出版)をはじめ、数多くの大ヒット書籍を手がけてきた伝説の編集者です。

昨年の『作家育成プロジェクト』(出版チャレンジ塾の前身)では、230人がエントリーして、10人が実際に本を出版しました。今回も、タレント自身が「これぞ!」と思う本の企画を提出。企画が通った合格者たちが、本作りのイロハが学べる出版セミナーでプロット作成や執筆の指導を受けてきました。

そして今回、30人のタレントが、出版実現への切符をかけて、オブザーバーの板尾創路のほか、講談社、小学館、ワニブックス、新潮社、KADOKAWAなど出版社17社から23人の編集者が審査員として参加した「出版プレゼン大会」に登壇しました。

プレゼンテーションでは、参加者が1人10分の持ち時間で、企画書や原稿の一部などを用いて、「自分が出したい本」を出版関係者に向けて説明。質疑応答を経て、最後に出版社側から出版を検討したい企画を挙げてもらいます。

いったいどんな企画があったのか、プレゼンの一部を紹介しましょう。

「柔術」から「特別養子縁組」まで企画続々

福島善成(ガリットチュウ)
タイトル『心と体、ライフスタイルがみるみる変わる! 柔術、はじめませんか?』

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

【概要】
柔術世界大会3位、約30キロのダイエットにも成功した自身の体験をもとに、柔術の基礎知識や、心と体に効くトレーニング法を解説。柔術の面白さがわかり、護身術も身についてしまう自伝的柔術入門書。

船越英一郎のモノマネで笑いをさらった福島は、米電気自動車(EV)大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)、米IT大手Meta(旧Facebook)のマーク・ザッカーバーグCEO、さらには日本の人気俳優やタレントなど、数多くの人が柔術にハマっていると紹介しつつ、「柔術はすべての競技において、いちばん効率がいいんです!」とアピール。

柔術は対人はもちろん、1人でもできるとのことで、「(柔術の動きを会得すれば)関節痛とか腰痛も改善します。ダイエット効果もめちゃくちゃあります!」と力説しました。

武内由紀子(元大阪パフォーマンスドール)
タイトル『産めなかったけど母になれたよ~特別養子縁組で結ばれた2つの命~』

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

【概要】
不妊治療を経て、特別養子縁組で2人の子どもの母になった武内の“特別ではない”ふつうの子育てに追われる毎日を綴ったエッセイ。

武内は特別養子縁組をした理由について、「子どもを産むことは諦められたんですけど、育てることを諦められなかった」「産んだという事実がないので、父親と同じ感覚なんです。夫婦で研修を受けている期間が妊娠期間という感じ」と思いを語ります。

特別養子縁組制度を利用したからこそ感じたことや、戸惑ったことなど、当事者ならではのエピソードも書けると武内。彼女の言葉に感銘を受けた編集者もいたようでした。

木下貴信(パタパタママ)
タイトル『来世もきっと清掃員』

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

【概要】
アルバイトから突然、清掃会社の取締役に出世した清掃芸人が綴る清掃界の事件簿。

「(芸人として売れたかったので)こんなはずじゃなかったんですけど、清掃員になってしまった芸人の話を書きたいと思いました!」

プレゼンでこう語る木下。清掃業界は慢性的な人手不足で、年間200人面接していたと話します。喫茶店で面接をした際に「なんでも注文してください」と促したところ、ケーキセットを頼む人、ナポリタンを食べる人など、パンチの効いた人たちと接してきた……と明かし、面白エピソードで会場を笑わせました。

吉田ヒロ(吉本新喜劇)
タイトル『僕のママは、おばあちゃん』

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

【概要】
吉田の生まれ育ったハチャメチャな環境と、母親のように育ててくれたおばあちゃんとのエピソードを書いた本。

リモートで参加した吉田は、自身の半生を知っている芸人仲間から「本を出したら?」「ドラマ化できるで」と言われてきたと言います。昨年、母親が亡くなったこと、芸歴40年を迎えたことなどをきっかけに本を書くことを決意。祖母を「ママ」だと思っていた幼少期、そんな祖母から深い愛を受けて育ったこと、そして実の母親のことを綴りたいと語りました。

そんな真面目なプレゼンをしながら、「まゆげボーン!」のギャグも披露。笑いも忘れていませんでした。

高橋氏「吉本は才能の宝庫」

『板尾日記』(リトルモア)などの著書があり、『火花』(文藝春秋)などの書籍を原作とした映画作品の監督経験もあるオブザーバーの板尾は、こう総評しました。

「みなさんのプレゼンは興味深いものばかりで、『さすが、ここまで来られている人たちだな』と思いました。ぜんぶ書籍化できそうで『これは本にはできないだろう』というものはなかったです。皆さん気合いが入っていて、“できあがっている”感じがしました」

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

終盤には審査員として参加した編集者が、気になった企画ベスト5をそれぞれ発表。名前が呼ばれたタレントは、笑顔を見せたり、ガッツポーズをしたりするなど喜びを爆発させていました。

山﨑おしるこ(ムームー大陸)がプレゼンした絵本『だんごむしまつり』については、「タイトルが素晴らしい」「イラストが上手で、現段階で完成度が高い」「グッズ展開もできそう」との声が。

一方、レンタル彼氏を利用して人生が動き出したという茜チーフの『レンタル彼氏で人生変わった』については、「(レンタル彼氏の世界は)未知だけど知りたいと思う人が多くいると思う」「読み物として面白いものになる」など、絶賛の声が多くありました。

ほかにも、まるいるいのYouTubeでバズった父と娘の愛情あふれるエピソードエッセイや、寺内ゆうき(ランパンプス)の将棋を観ることを楽しむための実用書、アシダヒモビッチの百人一首の教養本などが高評価を得ました。

イベント終了後、高橋氏がこうコメントしました。

出典: FANY マガジン
出典: FANY マガジン

「みなさん本番に強くて、自分が持っている力を存分に発揮していただいたと思います。吉本さんとご一緒させていただくたびに思うのですが、吉本さんは才能の宝庫。今日のプレゼン大会で、その眠っている才能の一端が、各出版社の編集者さんに伝わったんじゃないかなと思います」

今回のプレゼン大会で、出版を検討したいと声がかかったメンバーは、出版決定に向けて詰めの作業が進んでいきます。果たして、ここからベストセラーが……!?

関連記事

関連ライブ配信

関連ライブ