平成ノブシコブシの吉村崇が企画した『御馬鹿会議presents 東京お笑いライブ in Korea』が、9月1日(日)に韓国ソウルの繁華街・弘大(ホンデ)の劇場「メタコメディクラブ弘大」で開催されました。当日は吉村のほか、日本の芸人5組と韓国の芸人3組が出演。ネタだけでなくコーナー企画でも盛り上がり、言語や国籍の壁を越えた爆笑イベントになりました。終演直後の興奮冷めやらぬ吉村のインタビューとともに、その模様をお届けします!
「吹き替え」方式でネタ披露
「御馬鹿会議」は、平成ノブシコブシ・吉村が主宰するオンラインサロンです。今回のライブは「御馬鹿会議」内で企画され、「海外で日本のお笑いが通用するかを試したい!」という吉村の熱い思いが実現しました。
日本からはハイキングウォーキング(鈴木Q太郎、松田洋昌)、5GAP(クボケン、トモ)、ライス(田所仁、関町知弘)、ネルソンズ(和田まんじゅう、青山フォール勝ち、岸健之助)、エルフ(荒川、はる)が乗り込み、韓国代表の芸人としてメタコメディクラブ所属のYoo’s desk、Plus Minus、MSDが出演。また、韓国でのアイドル活動経験もあるブルーレディ・田中凌が通訳を務めました。
ライブが始まると、まずは吉村が「サランヘヨー!」と元気よく登場し、韓国のお笑いファンの心をつかみます。その後は、両国の芸人たちが自らのネタを披露しました。
通常、日本の芸人が海外でネタを披露する際は、モニターに字幕を表示するのが一般的。しかし、今回は吉村の発案で、事前に収録した韓国語の音声を流す「吹き替え」が採用されました。
トップバッターのネルソンズのコントでは、観客がボケのたびに手を叩いて大笑いし、日本のお笑いが韓国でも受け入れられることがさっそく証明されます。
「この場でもう一度やりたい」
続いて登場したエルフは、吹き替えではなく韓国語で漫才を披露。実は荒川は、YouTubeチャンネル「エルフのギャルJAPAN」の動画で発した言葉が韓国で大ウケし、“人間合格ギャルネキ”としてバズリ中です。
「太宰治は人間失格って言うけど、私は今日、人にやさしくできたで! 人間ごうかーく!」
今回の漫才にもこのセリフを盛り込み、爆笑をさらいました。
さらに5GAP、ハイキングウォーキング、ライスもしっかりと笑いをとって、日本のコントのレベルの高さを見せつけます。
5GAPはネタ中に人間テーブルクロス引きを、ハイキングウォーキングは「韓国のサイダーを一気飲みし、ゲップをせずにソウル25区を言い切る」という“お約束ネタ”にチャレンジし、客席は大爆笑。
ネタ終了後の企画コーナーでは、吉村と日本の芸人たちが、韓国の芸人とジェスチャーゲームなどを行い、ステージを盛り上げます。
ライブの最後に吉村が「日本のお笑いのネタはどうでしたか? また来てくれますか?」と客席に尋ねると、観客が一斉に「ネ!(はい)」と返事。吉村はこう挨拶して、韓国でのライブを締めくくりました。
「本当にお客さんが優しくて、こんなにウケると思っていなかったんで、感謝でございます。この場でもう一度やりたい、何度でもやりたい。そういう場所でございましたので、ぜひ長い付き合いをよろしくお願いいたします!」
日本よりも愛されていた!?
イベント終了後の吉村に、この日の手応えを聞きました。
――ライブが終了して、率直な感想を教えてください。
いやー、大成功だったと思います。想像以上でしたね。吹き替えのネタがウケるかどうかの不安はあったんですけど、そこの懸念もクリアできました。たくさん悩んだかいがありました。
――韓国の劇場の雰囲気はどうでしたか?
お客さんがピュアで、すごく良かったです。本当に笑いを楽しみに来ている感じがしました。「さあ、笑かして見ろよ」という感じではなく、しっかり観てくれて、ピュアに笑ってくれる。おかげで芸人もどんどん乗っていきました。
――ネタも企画コーナーも大盛り上がりでしたね。
それと私の平場の強さですよね(笑)。これはもう、申し訳ない。国境を飛び越えちゃいましたね。びっくりしました。
――確かに、MCの吉村さんがしゃべるたびに、手を叩いて大笑いしている人がたくさんいました。
日本よりも愛されていたかもしれませんね(笑)。
――出演した日本の芸人はどうでしたか?
みんなが、それぞれの役割を担ってくれたんですよ。ネルソンズはトップという難しいところを任せたし、エルフは努力して言葉を覚えて、漫才を披露してくれた。5GAPとハイキングウォーキングさんもめちゃくちゃウケて、しっかり繋いでくれました。
あと、いちばん嬉しかったのはライスです。ライスは日本独特の雰囲気のあるコントで勝負したんですけど、あれがウケるなら「これは日本の笑い、かなりいけるぞ!」と自信になりましたね。
――確かに体を使ったネタだけでなく、コントも漫才もすべてのジャンルが通用していましたね。
そうですね。こりゃあ、とんでもない扉を開いちゃったかもしれませんね。
――韓国の芸人さんについては、どう感じましたか。
めちゃめちゃ面白かったですね。レベルが高かったです。聞いたら、年に何回も新宿のルミネtheよしもとなどの日本の劇場に来て、ああだこうだと切磋琢磨しながら研究しているらしいんですよ。そのパワーはすごかったです。
韓国はまだまだお笑いの歴史が浅いと思うので、逆に勢いがあるというか、日本の初期のお笑いや漫才をつくった人たちのような方々と、今日出会えたのかもしれないと思いました。
――企画コーナーも言語が違うのに、韓国の芸人さんと一緒に笑いを作っていました。
平場があんなにウケたことは、今回の副産物です。お客さんが寛容だったのもありましたが、もう少し苦戦すると思いました。これはひょっとしたら、韓国のメディアでもいけるんじゃないかというぐらいウケましたよ。
日本のお笑いや日本の番組が、こっちでも通用するんじゃないかと(思った)。日本には僕よりも平場が強い人はいっぱいいますから、その人たちも余裕で通用するだろうなと夢を見ちゃうぐらい、相性がよかったと思います。
ヨーロッパもアメリカも行きたい
――ネタを吹き替えにしたのは吉村さんの発案ですか?
そうなんですよ。コロナ禍のときに、なかなか外に出られなかったじゃないですか。だから深夜に1人で散歩をしていたら、ある日、「吹き替え、イケるんじゃないか」と思いついたんです。
そこから3年ぐらいずーっと、国をどこにするか考えたり、どうやって笑わせるか考えたり、いろんな人に相談したりしながら企画を練って、ここまできました。
――吹き替えという手法は、ほかの国でも応用できそうな気がします。
「ひょっとしたら、ほかの国でもできるのでは?」という思いは強くなりました。もちろん今日は、そもそも日本のお笑いが好きな方や日本語がわかっている方もいたので、そこは冷静になって分析しないといけませんが……。
せっかくですから、いろんな国でやっていきたいです。今回、いちばん大変なゼロイチを乗り越えられたので、ここからはイチを10にしていくことができると思います。
――吉村さんが、「日本のお笑いを海外に届けたい」と考えたのはなぜですか?
「日本のお笑いが世界一面白い」という、自負があったんですよ。でも確固たる証拠がなかったから、果たしてどうなのかなと、試したくなったんです。あと、日本には面白いネタがたくさんあるんですけど、みんな大会が終わったり、一度テレビでやったりすると、そのネタをやらなくなるんですよ。
使い捨てみたいになっているのがもったいないので、ネタを再利用できないかと思って、世界に出てやってみたいと思いました。
――今回のイベントで、日本の笑いが世界に通用すると確信できましたか。
そうかもしれませんね。意外と言語の壁は、難しく考えなければすぐに超えられるのかもしれません。できない理由ばっかり考えていたような気がするので、思い切って出てしまえば、すんなりいろんなものを飛び越えらえるような気がしましたね。
――今後の海外進出への野望や意気込みを教えてください。
もう若くはないので、あと数年でアジアを何カ所か回って、いろんなルートを開拓します。そして夢としては、ヨーロッパも行きたいし、アメリカも行きたいし、とにかく行けるところは全部行きたい。そしてまた、韓国にも必ず来たいです。
僕に残された時間はそんなに長くないですし、おカネもそんなに多くないですから。いろんな方の協力を得て、いろんな方のスネをかじって(笑)、世界に進出していきたいと思いますので、みなさんもご協力をお願いいたします!
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