7月4日(日)、東京渋谷のセンター街にある吉本の劇場『ヨシモト∞ホール』で、同劇場所属の看板芸人と、その下のクラスから勝ち上がった1組でNo.1を決めるムゲンダイチャンピオンシップが開催された。
優勝者には賞金30万円と吉本が運営するFANYでの特番が約束されている。「優勝者には金一封」は何度もあったが、吉本が実際の金額を提示することは一度もなかった。これは大会がガチであることの証明であり、それほどのメンバーが今の無限大には揃っているのである。今回はその大会の楽屋の様子をレポートさせて頂く。
歴代で最も実力派揃い!
無限大ホールがどういう劇場か知らない人も多いであろう。この劇場は、今年15周年を迎える東京吉本の若手芸人が所属する劇場で、ほぼ休まず365日お笑いを届けている渋谷の人気スポットだ。過去にピースさん、平成ノブシコブシさん、ジャングルポケットさん、ニューヨークなど、多くのテレビスターが看板を背負った劇場でもある。
そんな多くのスターを輩出してきた無限大ホールは今が一番面白い。その理由は看板芸人の一覧を見れば一目瞭然だ。アイロンヘッド、うるとらブギーズ、オズワルド、蛙亭、空気階段、コットン、ZAZY、サンシャイン、スパイク、そいつどいつ、大自然、ダイタク、ダイヤモンド、男性ブランコ、ダンビラムーチョ、TEAM BANANA、ネルソンズ、やさしいズ、ゆにばーす、レインボー。どうだろう?
名前を聞いたことのある芸人が何組もいるのではないだろうか?
15年目の無限大ホールのレギュラーメンバーは、すでにテレビマンからも実力が買われメディア露出を増やしているメンバーばかりなのだ。過去の無限大レギュラーメンバーで、これほど凄いメンバーが揃ったことはない。
そんな折り紙付きの実力を有するレギュラーメンバーと、同日の夕方に行われた下のクラスの大会を勝ち上がった、東京吉本のカリスマ的存在であるかたつむりさんを加えての21組で、チャンピオンを決めるのがムゲンダイチャンピオンシップなのだ。
本番前の楽屋は穏やかムード?
チャンピオンシップの開演一時間前の楽屋は穏やかだった。出場者は各々自由にその時間を過ごしリラックスしている雰囲気。劇場の公式インスタグラムでは、本番前の楽屋の様子を生配信しており、楽屋にいた芸人達に大会への意気込みや優勝予想などを聞いてまわる。
談笑している出演者たち。この中から一番が決まる。
本番を前に準備してるスタッフさん。
楽屋入りするスパイク・松浦氏。
虎視眈々と王者の座を狙うサンシャイン・坂田、そいつどいつ・松本。
前室にはレインボー・池田がいました。探偵ナイトスクープ必見。
ファイナリスト対談中のZAZY、オズワルド・伊藤も。
トップバッターのアイロンヘッドはすでにネタ合わせ。
静かにその時を待つセンターマイク。
トップバッターから大ウケ! 大会が始まるとそこは真剣勝負そのもの!
キクチウソツカナイ。さんが登場して大会の説明が始まると、先ほどまでの穏やかムードはどこへやら。楽屋には先ほどまでにはなかった緊張感が。いや、もしかしたら潜在的にはあったのかもしれない。それを隠すように全員明るくふるまっていたのか。トップバッターのアイロンヘッドが大会の前途を占うような大ウケをかっさらい、その時の前室モニターにはこれだけの芸人が集まっていた。
この後全員が大爆笑に。
袖に行けば、ここにもこんなに芸人が。
高校球児いるやん。
メイクに余念がない3人。岸が真ん中。
やはり、こういった大会は最後にはみんな真剣モードに。楽屋では川瀬が「音や照明を使えるコントと漫才を同じように競わせることがおかしい」と吠えまくる。これぞ本気のぶつかり合い。
吠える名人。穏やかなモグラ。冷静にモニターを見つめる中野くん。
のぶきよはどこでものぶきよ。
そんな中、廊下で始まる各コンビのネタ合わせ。
大爆笑の前半ブロック! 有宗の予想は”そいつどいつ”。
本番中に楽屋を忙しなく歩いていると、ネタをちゃんと観られないと言うことで、袖には全幅の信頼を寄せるキンボシ・有宗を配置。有宗先生に前半の会場の様子を聞いてみる。
(※ここからは2人の会話です)
有宗 そいつどいつがやばいですね。めちゃめちゃウケてました。イチウケはそいつどいつですね。(会場が)割れてました。ニウケはアイロンさん。大自然さん。サンシャインもめっちゃよかったです。
──みんなコントやな?
有宗 コント師が爆発してます。
──漫才師はどう?
有宗 素晴らしいパフォーマンスは見せてるんですけど、コントの勢いがちょっとすごい。
──なるほど
有宗 みんなめちゃめちゃ面白いです。何がすごいって、まじでみんな見たことのないネタをめちゃめちゃやってるんですよ。
──まじか。
有宗 俺が見てないだけなんでしょうか?
──有宗?
有宗 結構見てる方なんですけど。でも見たことないネタがめっちゃ多い。
──そんな有宗が見たことないってことは……みんなこの大会に向けて隠してた可能性ある?
有宗 あるんじゃないですか?
──じゃあみんなゴリゴリ30万と番組狙いにきてるってことや?
有宗 完全に取りに来てます。一人一人漏れなく。
──誰も力抜いていない?
有宗 誰も抜いてないです。極上のお笑いです。
──すごい大会?
有宗 すごい大会です。これチケット48,000円ですか?
──配信1,440円らしい
有宗 まじっすか!? やす!! 安すぎますね。
──コントが優勢か。
有宗 実は1ブロック目はコントだけで、まだ漫才はダイヤモンドさんとTEAM BANANAさんだけですね。
──まじか。
有宗 しかし現場は良ネタばかりで素晴らしい空気になっています。漫才の2組も素晴らしいパフォーマンスだったことは伝えさせてください。
──わかった。じゃあ後半もそのまま袖で現場レポート頼む。
有宗 わかりました。
引き続き後半ブロックを見守る有宗氏。
全コンビが拍手笑いを起こす後半突入!
大体こういった大会は、前半盛り上がると後半は失速する。それはどんなに良いネタでも避けられない運命である。
しかし、この日は違った。おそらく各コンビに聞けば、そのネタの最高の形ではないと答えるかもしれない。しかし、それでも全ての出演者のネタが拍手笑いをとっていたのだ。こんなことは本当に稀なこと。
コロナ禍においてお客さんも心から笑える時を待っていたのかもしれない。そんな気持ちを芸人達が100%の熱で答えたのだ。全組爆笑の中で、楽屋では出番を終えた芸人達が静かにモニターでネタを見守っていた。
ZAZYのネタを全員で見守る大楽屋。
集中する佐々木さん。
俺たちのカリスマかたつむりさんの貴重なネタ合わせショット
最後のオズワルド。
全ネタが終了! 有宗先生の予想は?
全ての芸人がネタを終え、これより集計タイム。その間に有宗に後半の舞台での様子と大会の優勝者予想をしてもらう。
有宗 (まずは)いくらなんでも極上すぎます。感動すらあります。
──全員に拍手か。大会として完璧だった?
有宗 まじで全賞レースの優勝者はこの中から出ます。
──今年!?
有宗 はい。本当にそれを思わせるぐらいすごかったですね。贅沢すぎました。
──じゃあ後半ブロックで有宗が思う組はどこ?
有宗 シンプルなウケの量だったらゆにばーすが割れてましたね。オズワルドもすごかった。みんな同じぐらいなんですよ。本当に。
──横一線?
有宗 正直、全組横一線なんですよ。
──全組!?
有宗 はい。いやぁ……これはなんと難しい。審査員の人は(審査無理で)帰ってると思いますよ。
──ここでゆにばーす川瀬乱入──
川瀬 (優勝)誰?
──ほんま横一線らしい。
川瀬 モニターの感じやとうるブギさん、アイロンさんの2強。あと大自然さんです。
──そうなんや。現場の声は横一線らしいで。
有宗 前半はそいつどいつが一つ抜けていた感じもありましたね。
川瀬 うるブギさんは?
有宗 うるブギさんもやばかった。めちゃめちゃよかった。
──じゃあ総合の1位は誰?
川瀬 三連単でやろ。
有宗 袖で見ていた笑いの量で言わせてもらうと……一番はまじでゆにばーす。
川瀬 え!?
──おー!!
有宗 ウケ方が一つ高い笑い声だった。
──おい、有宗。川瀬の顔つき変わったやないか。
川瀬 ほんま。敗者復活思い出すから。
一同 笑。
──これ外れたら結構キレられるかもしれんで。
有宗 ごめん本当に今の忘れて。
川瀬 まぁ3連単やから外れることもある。
──じゃあ2位は?
有宗 2位はうるブギさん。
川瀬 うるブギさん(一つもボケを)外してなかったもんな。
有宗 で3位はそいつどいつ。
──そいつどいつか!
有宗 袖で聞いていたら、正直この3組はほぼずっと拍手笑い。
──まじか。じゃあもう拍手の数勝負になってる?
有宗 なってますね。何回拍手取ったかですね。
──アイロンヘッドもすごくなかった?楽屋の芸人のウケ方はすごかったで。
有宗 アイロンさんは袖でもすごかったです。トップバッターであのウケ方で終わって、凄い大会の始まりだなってなってました。
川瀬 でも僕らもそうですけど、本人たちはそこまでそういう(拍手笑いの連続)感覚はなかったけどな。
有宗 みんな拍手取ってるから。
川瀬 だから拍手の質ですよね。
──そうやな。
川瀬 じゃあお前その3連単にどれぐらい賭けられる? ほんまにはもちろん賭けへんけど、それでお前の予想の本気を推し量る。
有宗 正直それはオッズによるな。
──一同笑い──
川瀬 芸人オッズではうるブギさんが1.2倍。俺らは4番人気ぐらい。アイロンさんもトップバッター差し引いたら1.5倍ぐらい。
有宗 そうなんだ。でも僕の袖での感覚だと拍手の質として一番良かったのはゆにばーすですね。
一同 おぉー。
──じゃあいくらかける?
有宗 わかりました。僕の全財産の17,000円かけましょう。
一同 笑。
──全財産が17,000円っての気になるわ。
有宗 でもこのレースで一番頭いいのは全通り買いですね。もう決められない。本当に全組良すぎた。
──そうか。そろそろ結果も出るからな。ともにこの戦いの最後を見届けよう。
有宗 そうしましょう。
審査は難航を極めまさかの1時間押し!
そこから審査は押しに押してなんと予定よりも1時間オーバー。この間キクチウソツカナイ。さんが怒涛のまわしを披露。こういう大会では恒例の審査の難航だが、もはや演出の可能性もある。そうじゃないとキクチさんのまわしの説明がつかない。各コンビがデザインしたTシャツの話だけでもたせるのは不可能なのだ。
Tシャツの話で審査を待つキクチさんとメンバー
20:00終了の予定が36分すでにオーバー。ここから小川のデザインで広げる剛腕キクチさん。
途方に暮れる一同。
その瞬間はやってきた!
審査待ちのトンネルの先に待っていた結末は、うるとらブギーズの優勝であった。楽屋はうるとらブギーズさんを祝福するムードに。楽屋予想でもうるとらブギーズさんの声が多く一同納得の様子であった。まさにコント師として、そして芸歴的にも一番上として後輩たちに背中を見せてくれた形になった。
全員で優勝者を称える。
歴代最高のレギュラーメンバーで迎えた今大会は、予想通り歴代最高の大会になった。このストレスのたまる時代に、爆笑で全てを忘れさせてくれる芸人は本当にかっこいい。
負けた人間は悔しさもあると思うが、楽屋の隅っこで大会の一部始終を見ていた私は、全員がヒーローに見えた。まだ劇場に足を運んだことのない方は、是非生でお笑いを見にきてください。
最高の時間が過ごせること間違いなしです。
うるとらブギーズさんに直撃インタビュー!!
──お二人優勝おめでとうございます。まずは優勝してのお気持ちを聞かせてください。
八木 嬉しいでしかないですね。
佐々木 嬉しいです。
──ネタをやってる最中から優勝の自信みたいな手応えはあったんですか?
佐々木 お客さんの反応の感じとしては、今日やったネタのいい具合の時の感覚はあったんで、もしかしたらあるかなって思ってましたね。
──楽屋で優勝予想にうるブギさんの名前がかなり上がっていたのはご存知ですか?
八木 それは知ってたけど、でもそれの感じを出したら恥ずかしいから、ちょっとカッコつけてたよね。ホクホク感は出さないように。
──そうなんですか? ネタ出番終えて楽屋に戻ってきた時の2人が、通常のネタ出番を終えた時のような温度感でしたよ。
八木 そこ完全に押さえていた。内心はめちゃめちゃ浮かれてた。
──それは騙されました! まさかホクホクしてたなんて。ゆにばーすのネタはご覧になられてましたか?
佐々木 みてたよ。一つ前だったからね。めちゃめちゃウケてたよね。
──ではゆにばーすと残った時は全然まだ気は抜けなかった?
佐々木 まじでわからなかったよ。
八木 ゆにばーすと並んだ時に、俺ら無いかなとも思ってた。
──八木さんはそっちの感情だったんですか。
八木 俺ら今回も2位で終わるかもなと。
──では優勝の名前が呼ばれた瞬間というのはどうでしたか?
佐々木 優勝するときってこんな感じなんだって思った。
──うるブギさんが無限大ホールのこういった大会で勝つイメージはなかったので驚きでした。表現は難しいですが、KOCの方が勝てるイメージができるというか。
佐々木 本当に嘘みたい。何を足掻いても勝てないって感じがあったね。
──無限大で勝つにはフレッシュ感も大事だったりするのかなってところで、うるブギさんはいぶし銀のタイプに分類されるので。
八木 今年の4月から衣装も新しくはしてたのよ。
──え? じゃあもう4月から戦いは始まっていた?
八木 このネタはCHANGEの時にやっていたネタだから、俺はその時からこのムゲンダイチャンピオンシップを視野に入れて叩いていたね。
佐々木 このライブ想定してたの!?
──絶対なんでやねんですよ(笑)。FANYで番組をできるということですが、どのような番組を考えていたりしますか?
八木 やっぱりDJやってるんで。HipHopを世に広めたい。
──もう広まってるんすよ! メンツ誰呼ぶんですか?
八木 呂布カルマさんとか。
──FANY来てくれるわけないでしょ!
佐々木 とりあえず番組のオープニング曲とエンディング曲は用意しておきたいね。
──Takahiro出てきた!
八木 そうだな、あとやりたいで言ったらガチガチのコント番組やりたい。
──めっちゃいいですね!
八木 コント番組出るの夢だったんだ。やれるのかな?!
──できるんじゃないですか? そこから逆に番組に持って行ったりとか?
八木 めっちゃいいね!
佐々木 人選が大事よ。
八木 やっぱり男性ブランコ。空気階段。ピンタンパン。
──まだ先に上がるメンバーいるでしょ!
佐々木 ピンタンパンで助かる時は来そうだけど。
──賞金30万はどうします?
佐々木 もう本当に言われるがままに使おうと思ってる。集られたら集られたで。
──誰らへんにやられそうですか?
佐々木 サンシャイン、やさしいズ。あと意外とアイロンヘッドも入ってくるんだよ。
──そうなんですね(笑)。
八木 そもそもの配分も20対10かもしれないですしね。
──どっちか20ですか?
八木 それは僕がネタ書いてるから20で。
──まぁ絶対そうですよね。
佐々木 そんな相談もなしに普通に……まぁ良いんだけど。
一同 笑。
──では最後にムゲンダイチャンピオンシップを取って、KOCに向けても一言お願いします!
佐々木 こうやって無限大のトップにもなったんで、無限大の……無限大に……メンバーにも……無限大から……。
──グダグダやな!! 改めておめでとうございます! 番組も楽しみにしています。
二人 ありがとうございます!
イベント概要
ムゲンダイチャンピオンシップ
開催日:7月4日(日)
出演者:
うるとらブギーズ、アイロンヘッド、TEAM BANANA、スパイク、ダイタク、ネルソンズ、ダイヤモンド、大自然、ZAZY、サンシャイン、ダンビラムーチョ、やさしいズ、ゆにばーす、男性ブランコ、オズワルド、コットン、蛙亭、空気階段、そいつどいつ、レインボー、レギュラー昇格者1組(かたつむり)
※見逃し視聴は7月11日(日)18:00まで
※チケットの販売は7月11日(日)12:00まで