平成ノブシコブシ・吉村崇を発起人とした『吉村崇の勝手にシリーズ ~祝!東京NSC30周年「決起集会」〜第一夜〜』が3月15日(土)、オールナイト公演で開催されました。2025年3月末に閉館となる東京・渋谷のヨシモト∞ホールの19年の歴史を総括する意味も込められた一大イベント。集結したNSC(吉本総合芸能学院)東京校出身の芸人たちはゲームコーナーや先輩・後輩入り混じったシャッフルネタ、ともに切磋琢磨した過去を振り返るトークコーナーなどで会場を盛り上げました。

圧巻の歴代卒業生勢揃い
今回のイベントは、商業ビル「渋谷BEAM」地下1階のヨシモト∞ホールを「令和ステージ」、同ビルの7階に2018年にオープンし、今年5月末で閉鎖となるヨシモト∞ドームのステージⅠを「平成ステージ」、ステージⅡを「昭和ステージ」と銘打って3会場同時に行われました。
午後10時のイベント開始と同時に、赤いふんどし姿の吉村が令和ステージに登場。客席を練り歩き、ステージで開会を宣言しました。

令和ステージのオープニングコーナーは「KING OF 東京NSCは俺だ!」と題し、NSC東京1期生の品川庄司(品川祐、庄司智春)をMCに迎え、1期から29期の卒業生が次々とステージに登壇!
錚々たるメンバーの登場シーンでしたが、“丸刈り率”高めのベテラン勢に、品川は「ちょっと待って、ハゲ多くない? そろそろ髪の毛のある人が見たいんだけど」と、さっそくツッコんでました。


29期分の出演芸人を一気に紹介したため、呼び込みだけで1時間弱が経過。27期生の青木マッチョと赤木細マッチョによる肉体派コンビ・かけおちの登場を待たずして、庄司は思わず自身のマッチョ姿を披露。2人の真ん中に立つと、まるでトリオのように馴染んでいました。

今回のイベントにはベテラン勢だけでなく、∞ホールや東京・神保町よしもと漫才劇場で活動する若手芸人たちも多数参加しました。品川庄司や平成ノブシコブシなどテレビで活躍する先輩芸人たちと舞台上で絡むのはほとんど初めてという面々が多く、序盤はどこか様子をうかがうようなムードが漂います。
そんな空気を打開したのは、「キングオブやんちゃ足ツボ」で誰よりも率先してトップバッターに名乗り出た8期生のパンサー・尾形貴弘。先輩の威厳をかなぐり捨てて足ツボマットに挑んだ47歳の体当たり芸によって、ステージのボルテージが上昇していきます。

百戦錬磨の先輩たちに囲まれながらも果敢に前に出ては“惨敗”する若手が続くなか、23期生の世界クジラ(村田優斗、和泉壮)が吉村や品川庄司に絡んで爪痕を残す一幕も。

「NSC入学願書の写真を使って一言」では、相席スタート・山添寛の願書写真に対して「すべての受け子」「妹に腕相撲で負けました」など、名フレーズが次々と飛び出します。

その後も東京吉本の伝統芸とも言えるモノボケコーナーなどが続き、ここから朝までノンストップで突っ走る予兆を感じさせます。別フロアの「昭和ステージ」や「平成ステージ」で開催中のコーナーに出演する芸人たちと中継を繋ぐ一幕もあり、お祭りムードが高まっていきました。

続々飛び出すNSC東京の「怖い」エピソード
午前0時を過ぎると、各ステージはよりディープなコーナーへ突入していきます。
「昭和ステージ」では、ニューヨーク(嶋佐和也、屋敷裕政)のMCによる「嘘か本当か分からないNSC怖い話」が開催。

参加したメンバーはグランジ・五明拓弥、囲碁将棋・文田大介、フルーツポンチ・亘健太郎、カゲヤマ・タバやん。、きっと君はくるさ・カルビ、サンシャイン(坂田光、のぶきよ)、やさしいズ・タイ、くらげ・杉昇、そいつどいつ(市川刺身、松本竹馬)、3時のヒロイン・かなで、ボブのコーラ(とあ、本田たかお)。
ホラー調の怪しげな照明に、屋敷が「稲川淳二やん」と指摘すると、嶋佐の返しは「(関)暁夫のほうです」。屋敷が「都市伝説の?」と応じると、会場は笑いに包まれました。
ここでは参加者たちが、各々が体験したNSCでの「怖い」エピソードを披露していきます。フリップに挙げられたキーワードは「同期とけんか」「クビ」「アシスタント大激怒」など、気になるものばかり。そいつどいつがNSC卒業後も養成所の授業に呼ばれていたエピソードなど、数々の秘話が飛び出します。

NSCでは1期先輩の卒業生が講義のサポートにつく「スタッフ」という制度が伝統となっていますが、ある年次ごろまでは、スタッフの役割を担う先輩たちがとにかく鬼のように厳しかったという話題で一同は大盛り上がり。15期以下の出演者からは、14期の奥村隼也とタバやん。の“暴君エピソード”が次々と証言として上がってきて……。

道にたむろしたらクビ!? 帰り道に振り返ってもクビ!? 口が臭いだけでも……!? と、ウソか本当かわからない「NSC都市伝説」の数々を幅広い世代がそれぞれの視点から語るレアなコーナーになりました。
その証言の数々はぜひ配信でお楽しみください。
去っていった「幻の天才たち」を語る
「昭和ステージ」では、東京吉本芸人の“受け皿”として頼られている作家の山田ナビスコ氏が、全編にわたって構成を担当。終始一貫してディープな企画が目白押しとなりました。
「あいつらのいた世界線〜9期生編〜」ではMCを佐助、“見届け人”役をLLR・福田恵悟とたけうちっちが務め、囲碁将棋・根建太一、トレンディエンジェル(たかし、斎藤司)、とらふぐ(阿部直也、田畑祐一)、ネルソンズ(和田まんじゅう、青山フォール勝ち、岸健之助)、きっと君はくるさ(つづき、カルビ)、ダンビラムーチョ・原田フニャオ、相席スタート・山添らが、この世界を去っていった実力派の同期や個性的な芸人たちの話に花を咲かせました。

このコーナー、壇上に並んだ芸人たちにもコンビを組み直した”再婚”組が多く、元相方のエピソードを話す場面には、客席も思わずグッと来ている様子。
ホワイトボードに羅列される幻の天才たちの名前に、メンバーたちの思い出話が尽きないひと時となりました。

お家芸の「罰ゲーム」は限界ギリギリ
さらに夜の深まる午前2時半から「昭和ステージ」でスタートしたのは「東京吉本バツゲームコレクション」。東京吉本のライブで行われてきたハードな罰ゲームを実体験しながら振り返る、深夜ならではのディープでデンジャラスな企画です。
会場のうしろに救急グッズが用意されるなど不穏な空気が漂うなか、「あっち向いてホイ」に負けたメンバーには過酷な罰ゲームが。深夜のテンションも手伝い、会場は白熱を極めます。
この手の企画で無双しまくるゴング・四角とバビロン・千葉ストロガノフが期待を裏切らない活躍を見せたのも、ライブの醍醐味。アラフィフにして全力プレーで臨んだ5GAP・トモが、あっち向いてホイで首を痛めてしまう一幕もありました。


芸人たちを待ち受ける罰ゲームは、「ワビサビ」「ぼくドラえもん」「キンキンドライヤー」「シュワシュワ」など、不穏なネーミングのものばかり。果たしてその正体とは? おそらく今後、ライブで観ることは叶わないであろう限界ギリギリの体当たり芸を目の当たりにできる、貴重な場となりました。
貴重な即席ユニットネタに会場沸く
深夜の「令和ステージ」では、NSC東京の先輩・後輩が入り乱れたユニットで漫才を披露する「新旧混在!東京NSCシャッフルフィーリング漫才」が会場を沸かせました。
ガリットチュウ・熊谷茶(2期)×カゲヤマ・益田康平(14期)によるコンビ「大盛定食」、竹永よしたか(4期)×相席スタート・山添(14期)による「振り向かないで、今つけられてる」、5GAP・クボケン(5期)×金魚番長・古市勇介(24期)の「金魚総長」、キシモトマイ(5期)×囲碁将棋・根建(9期)による「キシモト根木田」などが登場。
賞レースで活躍する若手たちをクセモノ揃いの先輩勢がこれでもかと振り回し、お祭りイベントならではのスペシャルなステージに。古市は「振り回されるタイプのボケの方と漫才したかったんで楽しかったですけど、クボケンさんみたいな芸人、神保町にはなかなかいないんで大変でした」と感想を語っていました。

“珍味好き”に贈る真夜中の「令和のキュートンオーディション」
時刻は午前3時。「平成ステージ」最後のブロックを飾ったのは「令和のキュートンオーディション」です。
『あらびき団』(TBS系)で一躍脚光を浴びた、言わずと知れた吉本のレジェンドキワモノ芸人5人によるユニット・キュートン。メンバーの椿鬼奴、坂本雅仁、高橋邦彦、キートン、しんじによるオープニングアクトで一気に会場の空気が変わります。

このコーナーの目的は、昨今、賞レースの盛り上がりによってネタの実力者が多数輩出される令和のお笑い界のなかにおいても、我が道を突き進むキュートンのようなキワモノ芸人たちを発掘してスポットを当てていこうというもの。
審査員のキュートンメンバーを前にネタを披露するのは、デンゼル(遠藤逸人、とべまーし)、ゴスケ、2人のトイボックス(くらっさん、いけちゃん)、バチョフ、アゲノ勘太、こがだんごくん、とん汁無料、イチゴ(イクト、木原優一)、ヒゲヅラマンボウ、伝説の一人っ子リクといった面々。

レジェンドたちをも困惑させる芸の数々が舞台上で繰り広げられるなか、椿鬼奴が「イチゴは、ここにいるにはもったいないくらいネタがちゃんとしてるよね?」と指摘する一幕も。

参加者たちは『あらびき団』でお馴染みのポージング芸にもチャレンジ。ただならぬ空気が会場を包む”珍味好き”には見逃せない企画で、ステージの幕を閉じました。

ライブ終わりのノブコブ吉村らに突撃取材
どの会場、どのブロックでもNSC東京の30年で培われた芸人たちのパワーが随所で発揮され、ミラクルの連鎖が止まらないまま、朝4時半にイベントは終了。翌週に控える「第二夜」への期待もますます高まる一夜となりました。
イベント終了後、この日の出演者である平成ノブシコブシ・吉村、かけおち・青木マッチョ、LLR・福田、からそれぞれコメントをもらいました。
吉村「とにかく野蛮で下品で、笑いすぎて頭痛いです。人気があって忙しいメンバーはもっと仕事っぽい感じで来るのかなと思いましたけど、みんな楽しくなっちゃって、いい意味での内輪ノリみたいな空気になっていってくれて、お客さんも笑ってくれてて。
品庄さんがMCをやってくれた『KING OF 東京NSC』のコーナーなんかは、僕自身、先輩たちに圧倒されて全然前に出られなかった3、4年目を思い出しましたしね。エモいと言いますか。
∞ホールっていう場所がそうさせたのもあるんでしょうけど。東京吉本を好きでいてくれてたお客さんそれぞれにエモい部分は違うでしょうから、自分の好きなところだけでも配信で買って観てくれたら面白いんじゃないですかね。女性芸人のブロックとか、黒沢(かずこ)さんが引っ張ってってくれてエネルギッシュで面白かったしオススメですね。ただまぁあ『昭和ステージ』は買っちゃダメです、あんなんR指定です、観ないでください」
青木マッチョ「『KING OF東京NSC』『じゃんけん世界一決定戦!』『口喧嘩コンビ最強決定戦』『バツゲームコレクション』に出演させてもらったんですけど、NSCひと桁台の先輩方とは一緒にライブに出ることも初めてで。
先輩たちの舞台上での立ち振る舞いを見て、『こんなに自分たちの世代と差があるんだ』ってめちゃくちゃ勉強になりました。たとえば、『口喧嘩』のときのバビロン・千葉さんとか、千葉さんをイジるまわりの芸人さんたちとか、もうとんでもなかったんですよ。ふつうに笑っちゃって。
どれだけ面白くてもテレビに出られなかったり、芸人辞めちゃう人もいるっていうのは、みなさんも知ってると思うんですけど、ライブにはこんなに面白い人がいっぱいいるんだって改めて感じさせてくれるイベントだったので、来れなかった方にも配信で観てもらいたいですね」
福田「20年くらい前にやってた『真夜中のワッショイ祭り』っていうオールナイトライブを再現したいって言われて、今回、僕はドームⅡの『昭和ステージ』に出ずっぱりで主のようにやらせてもらいました。
最初に声かけてもらったときは、僕らももう年だしって思ってたけど、やったらめちゃくちゃ楽しかったですね。『昭和ステージ』だけ、大喜利もネタも何もやってないんですよ(笑)。ずっとふざけてるだけなのに、こんだけ芸人が集まるとなんとか面白くなるんだなっていう執念みたいなものを感じて、『あー(昔も)こういう感じだったな!』って久々に思い出しましたね。
”往年のお笑い”をやってるんで、『AGE AGE LIVE』を学生のころに観に来てた方とかは楽しんでもらえると思います!」
公演概要
『吉村崇の勝手にシリーズ ~祝!東京NSC30周年「決起集会」第二夜』
日程:3月22日(土)開場21:45/開演22:00/終演29:00
※途中休憩が何度かございます
場所:ヨシモト∞ホール/ヨシモト∞ドームⅠ/ヨシモト∞ドームⅡ
料金:各日通し券のみ
in ホール 前売8,000円/当日8,500円
in ドームⅠ 前売6,000円/当日6,500円
in ドームⅡ 前売4,000円/当日4,500円
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