お笑い界の歴史にまた新たな1ページが刻まれます。
今回、上方漫才協会会長・中田カウス監修のもと、粗品(霜降り明星)が劇場の“新ブランド”となるプロジェクトを始動。その名も『よしもと粗品劇場』ーー。
はたしてどんなプロジェクトなのか。このたび会見が開かれ、カウスと粗品がその想いを述べました。

カウスと粗品の関係性は?
事前情報がないなか開催された本会見。カウスは開口一番「私が粗品の教育者です」と挨拶し、笑いを誘います。続けて「粗品は、芸人が持っておかないといけない『狂気』と『愛嬌』、この2つを持っております。『狂気』と『愛嬌』がぶつかり合って化学反応を起こし、こうしたスタイルの芸人が誕生するのではないのか、と僕は最近思っておりますね。粗品は誰にも被らない個性を持った芸人ですし、そういうところはあまり見せないのですが、相当勉強もしております」と紹介。

そんな粗品とは、よしもと漫才劇場をきっかけに親交を深め、今でも連絡を取り合う仲だと言います。また、カウスが昔住んでいたマンションの隣のマンションで、粗品が生まれ育ったという縁のあるエピソードも披露。そこでカウスが「小学校に上がったとき、粗品が僕の車にいたずら書きをした」と言えば、粗品も「してないです。大ごとになります」とツッコミを入れるなど、巧みなかけあいも見せました。
後進育成と“客席”との距離を縮める
気になるのが今回の新ブランド立ち上げの経緯です。カウスは今回のプロジェクトについて「劇場というのは、芸人が出てきて一方的に喋り、お客様は受け身でワッと笑うだけ。それは伝統でもある」と前置きをしつつ、こんな草案を語りました。

「高座は上からお客様を見下ろす。そこで上下関係ができるけど、目線が一緒やったらフラットですからね。そうすれば、お客様とともに演出、企画もできるし、一緒に進めていける。例えば、皆さんが知らない売れそうな雰囲気のある若手を呼んで、皆さんに名前をつけてもらう、衣装を決めてもらう、ネタも何本かもらって本人たちが考える。粗品がアドバイスをしながら2カ月後その子たちが登場する。これはみんなが育てたことになる。みんなで売っていくわけです。みんなで芸人を育てていく、共有する。劇場は大きなコミュニティですから」

そんな熱いカウスの胸中を聞いた粗品は、霜降り明星、相方、漫才、劇場、上方漫才協会、吉本興業が「大好き」だとしたうえで、「漫才のことを何も分からなかった自分が、人としてもお笑い芸人としても成長できたのは、よしもと漫才劇場のおかげ。漫才劇場に育てていただいた感覚がある」と言います。
『M-1グランプリ』優勝後、テレビやYouTubeなどでも活躍していますが、舞台は決して降りなかった霜降り明星。現在でも毎月のように劇場に立ち続けており「一つひとつの舞台に手を抜いたことはございません」と断言します。そんな劇場愛のある粗品が、今回のプロジェクトについてこう吐露しました。
「我ながら、芸歴15年目の芸人にしては、なかなかの影響力、発信力、異質さが備わってきたなと思います。この発信力を、いよいよ劇場や吉本興業に還元したい、恩返ししたいなという思いはあります。『よしもと粗品劇場』としては、後進の育成。後輩の方たちにとにかく得をしてほしい。自分の影響力を後輩が得するように使いたい。一緒に学んでいきたいし、若い世代のお客様をより劇場に呼びたいと思っております。
インターネットの時代で、配信チケットの時代で、家からもお笑いを楽しめる、そんな素敵な時代にはなりましたが、今一度、劇場というところに身を置き、お客様と近い距離感で何か新しいことができたらなと思います。非常に楽しみにしております」

また、今回の具体的な取り組みとしては、「よしもと漫才劇場の後輩芸人を数組呼んで、一緒にステージに立ちたいなと思っています。あとは師匠のお話からヒントを得まして、我々吉本興業としても、もちろんお客様に育てていただいた感覚があるのですが、また新しいかたちで、もしかするとより密接にお客様と一緒に成長できたらなって、そんなステージができたら素敵やなと思っています」と意気込みを述べました。
粗品「こんな素敵な年の取り方をしたい」
会見中、記者からは、カウスと粗品の「共通点」について質問が投げかけられました。
カウスは「人を楽しませることが自分の喜び」という面が共通している、と言います。
続けて「どちらも劇場が大好きです。誰よりもお客様に喜んでいただきたい。何かを見て芸人になりたい(と思った)とかじゃなしに、持って生まれたものもあるんじゃないのかな。共通している『人を楽しませることが好き』の部分だけで(ふたりで)何時間も喋れる」とコメント。最後に「それ以外、粗品は僕のことあまり尊敬していない」とオチをつけました。
一方、粗品は「よしもと漫才劇場」が立ち上がった際、カウスがその想いを若手たちにぶつけたことがあったと回顧。本会見中にもカウスが話していた若手時代にGパン、Tシャツで漫才をし、出囃子を伝統あるものから洋楽にした話、喫茶店で女子高生にネタを試していた話など、当時も語っていたとのこと。そうしたカウスの想いに粗品は「シビれた」と表現します。

「時代への抗い方、お笑いを前に進めた話、あとはお客様への向き合い方など、めっちゃいいなと思ったんです。僭越ながら近しい理念があるのかな、あればいいなと思ったし、すごく大切なことを言っているなと思いました。それが時を経て、こうした節目の晴れの舞台でまた同じ話が聞けて、自分も成長したなか、間違ってなかったんやなって思えたのが嬉しくて。お客様への向き合いや、若い方に向けて新しいことをしたいという理念。僭越ながら、そこが共通しているのかなと思います」と語りました。
粗品の“カウス愛”は止まりません。尊敬している点については、「シンプルに面白い方やなって思うんです。口が過ぎて申し訳ないんですけど、分かりやすく言うと、若い感性を持っている」と紹介。賞レースでの感想を聞いても、指摘が鋭いと言います。
「自分も正直、去年からお笑いの審査員を務めさせていただき、お笑いに対する解像度が高く、言語化もうまいと自負しているんですけど、数倍凌駕する熱量で『あそこのあれはこう』、『あそこのコントのカメラワークはいけない』とか、この年齢でアンテナやばいなって思っています。話術もえぐいし、お話の吸引力がすごいんで、めっちゃ引き込まれる。僕もこんな素敵な年の取り方をしたいなって思っています」と語っていました。

『よしもと粗品劇場』初公演は、渋谷よしもと漫才劇場で6月21日(日)に開催されます。
公演概要
よしもと粗品劇場
日時:2026年6月21日(日)20:15開場/20:30開演
会場:渋谷よしもと漫才劇場
出演:粗品(霜降り明星) 他
<チケット情報>
料金:前売2,500円
先行受付:5月19日(火)10:00~5月22日(金)10:00
当落発表:5月23日(土)18:00
※プレミアム・ID共通
