ぼる塾を面白くする“第5のメンバー”作家・みよしゆうすけのお仕事…SP対談【芸人と、作家と①】

芸人と、作家と

ネタ作り、ライブ、テレビ、YouTube……さまざまなシーンで、芸人たちを支える“作家”。芸人たちは、どのように作家と仕事をしているのでしょうか。芸人×作家のスペシャル対談シリーズ

ネタ作り、ライブ、テレビ、YouTube……さまざまなシーンで、芸人たちを支える“作家”。芸人たちは、...

ネタ作り、ライブ、テレビ、YouTube……さまざまなシーンで、芸人たちを陰で支えている“作家”と呼ばれる職業の人たちがいます。第一線で活躍する芸人たちは、どのように作家と仕事をしているのでしょうか。芸人×作家のスペシャル対談シリーズ『芸人と、作家と』。記念すべき第1回は、初の5大都市ツアーが始まったばかりのぼる塾(あんり、きりやはるか、田辺智加、酒寄希望)と、彼女たちを支える作家・みよしゆうすけが登場し、その舞台裏について赤裸々に話します。

出典: FANY マガジン
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「猫塾」時代の運命の「出会い」

――ぼる塾とみよしさんの出会いはいつごろですか?

みよし 僕が通っていたYCC(よしもとクリエイティブカレッジ=現YCA:よしもとクリエイティブアカデミー、吉本興業が運営する作家・スタッフ養成所)で、先輩芸人とネタ作りをする授業があり、その芸人さんの中に田辺さんと酒寄さんの前のコンビ「猫塾」さんがいました。僕を含めたYCC生3人と猫塾さんで一緒ににネタ作りをすることになったのですが、5分くらいでネタの話が終わって、あとはずっと雑談していましたね(笑)。

田辺 とにかく自分たちのことを知ってもらおうと思って、ネタ作りというよりは、2人の日々の日常を聞いてもらっていました。まわりからは真剣な話が聞こえてくるんですけど、私たちは「この町中華にハマっている」とか、そんな話ばっかり。でも、みよしくんは、私たちの雑談をすごく聞いてくれて(笑)。

――ネタはどうなったんですか?

田辺 みよしくんがネタをまとめてコントを作ってくれたんですけど、そのとき、めちゃくちゃ相性がいいと思ったし、すごく面白かった。私と酒寄さんが“この子はヤバい”って目をつけたんですよ。ほかの芸人さんに見つからないようにかくまっていました(笑)。

みよし 僕がYCCを卒業した日、急に「今度、私たち単独ライブをやるから作家として入ってくれないか」ってLINEがきて。めちゃくちゃ嬉しかったです。

出典: FANY マガジン
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――みよしさんには、どんな魅力があったんでしょう?

田辺 聞き上手なので、調子に乗ってついペラペラおしゃべりしちゃうんですよ。いまでも、それは変わらずです。猫塾の単独ライブでは、お世話になっている作家さんに「とにかく面白いから」って、みよしくんが書いてくれたネタを見せたら一発合格。実際に単独ライブでそのネタもやりました。

みよし でもそのネタも、授業の雑談で田辺さんと酒寄さんという人間を知り、もともと面白い2人をうまくネタに変換しただけなんで。たいしたことはしていないというか……。

――その後、あんりさんとはるかさんのコンビ「しんぼる」と合流して2019年に「ぼる塾」が結成されました。

あんり ぼる塾でYouTubeを始めるとなったとき、編集ができる人として猫塾さんから「私たちが知っている作家は1人しかいない。絶対2人(あんり、はるか)も気にいるから」って紹介されました。

田辺 当時、勝手にみよしくんが編集できると思って頼んじゃったんですけど、じつは初心者だったらしくて……申し訳なかったです。

――あんりさんとはるかさんは、初めてみよしさんと会ったとき、どんな印象を持ちましたか?

あんり 3人目の猫塾さんのような感じで、2人の空気とすごく合っていたんですよ。初めて会った気がしないし、猫塾さんと喋っている延長で話せました。なんの違和感もなかったです。“あ、猫塾にもこんな人いたんだ”くらいの感覚で(笑)。

はるか すごく聞き上手で、おだやかで、一緒にいて落ち着くんですよね。今日起きたことも自然と喋っちゃう。

出典: FANY マガジン
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4人に平等に接するという「秘密ルール」

――みよしさんが作家を目指したきっかけは? 

みよし 『笑う犬の冒険』(フジテレビ系)、『はねるのトびら』(フジテレビ系)とかコント番組が好きで、吉本の劇場には小学生のときから通っていました。それが作家としての財産にもなっています。
大学のとき、(就職活動で)テレビ局を受けたかったんですけど、体調を崩してしまって丸2年ほど休学したんですよ。そうなると、自分が目指していたキー局に入るのは難しい。そこで、お笑いに関わる仕事を探しているなかで、作家になったら、ダイレクトにお笑いに携われると思って目指すようになりました。大学には2年ほどで戻れるはずだったんですけど、もう1年休学してYCCに入学。YCCを卒業したのち、大学も復学し、作家もやりつつ大学にも通って卒業しました。

――そんなときに、猫塾の2人との出会いがあったんですね。

みよし 「繋がったな」と思いました。(卒業して)1年目って本当に何も仕事がなく、劇場の見習いをするか、吉本の番組でADをやるかくらいで、その先のルートも示されていないんですよ。猫塾さんに拾ってもらったので心強かったですし、本当に感謝しかないです。絶対に裏切れない方たちです。

田辺 こちらも感謝しかないですよ。

――そんなみよしさんから見て、ぼる塾が売れると思ったタイミングは?

みよし 世間的には、ユニットとして出た『M-1グランプリ2019』の予選だと思うんですけど、僕はぼる塾さんのYouTube『ある日のぼる塾』という動画を観て思いました。楽屋で弁当を食べたり、一緒に帰ったりする内容なんですけど、編集しながらその動画を観たときに“いいかも”って思いました。関係性や雰囲気が柔らかいし、面白いし、みんな好きになるだろうなって。僕も改めてファンになりました。

出典: FANY マガジン
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――ぼる塾から見たみよしさんの魅力を教えてください。

はるか みよしくんの魅力は、暑がりなところですね。田辺さんも1年中、「暑い」って言っている人なんですけど、まさかのみよしくんも暑がりで、基本、半袖。素敵なところだと思います(笑)。

あんり 平等なところですね。もともとは別々のコンビということもあって、たとえば、幼馴染の私とはるちゃんの間に、田辺さんが入れない瞬間があるだろうし、酒寄さんと田辺さんの関係性が深すぎて私たちが入れないときもあるだろうし……。この仲良い4人でもいろいろあるのに、みよしくんは一人ひとりに同じだけの愛情をくれるんですよ。

田辺 みよしさんは、芸歴的にはいちばん下ですけど、ちゃんと言うことは言う。注意してくれる人がいるのは(自分たちの)強みだと思います。4人だけだったら何となくなぁなぁにする部分も、外から(俯瞰で)見てくれて、ちゃんと言ってくれるのはありがたいですね。酒寄さんってあまり(注意やアドバイスなど)言われることはないんですけど、みよしくんは酒寄さんにも言ってくれるんですよ。酒寄さんって、自分が言われることが少ないから、目指す場所がわからなくなって、不安になることがあるらしいんですけど、みよしくんが「こうしたほうがいい」「こうしないとダメですよ」って言ってくれるから頑張れるらしいです。

みよし 4人平等に接するというのは、ぼる塾さんが結成されてから自分で決めた「秘密ルール」だったので、言っていただけて嬉しいです。

対等な立場でネタ作り

――みよしさんは、ぼる塾の担当作家として、ふだんはどのようなお仕事をしていますか?

みよし ネタづくり、企画・単独ライブの構成、Youtubeの編集、ほかのお仕事をされたときに意見を求められるのでそれにお答えするなどしています。ネタづくりは、基本的にあんりさん、酒寄さん、ボクが中心になっていて、あんりさんと酒寄さんがネタを考えながら、僕がパソコンにまとめ、客観的に見たり、提案をしたり、細かい作業をしています。

――打ち合わせする際のパワーバランスは?

みよし 僕はズケズケ言うタイプなので、3人平等という感じです。

田辺 あと、演技指導もしてくれます。

出典: FANY マガジン
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みよし 演出含めた見せ方ですね。ネタはめちゃくちゃ面白いんですけど、見せ方の部分が足りずに損していることがたくさんあるので、伝えることがあります。

――具体的にどのようにネタを作るんですか?

あんり 私が“こういうことやりたい”って投げたあと、「じゃあ、こうしましょうか」ってパターンを何個か出してくれて、一緒に考えていく……という感じです。主導権を握らせてはくれていますけど、実際はみよしくんと酒寄さんに任せっきり。形にしてくれるのは2人です。

みよし ネタを作るのはあんりさんと酒寄さんなんですけど、(ネタのもとになる)0から1はどこかって考えると田辺さんなんですよ。田辺さんの日常で面白かったことをみんなで思い出すこともあって、それをどうくだりにできるかを考えます。そこに、あんりさんにしかできないツッコミ、酒寄さんのボケのセンスが加わって、ゆっくりまとまる感じです。
きりやさんについては、ネタが完成して見せたときの「ここがわからない」「嫌い」っていう意見がすごく大事なんですよ。客観的に見ようと思っている僕でも気づかない意見が出るので、とてもありがたいです。『女芸人No.1決定戦 THE W』(日本テレビ系)で披露したネタのひとくだりも、きりやさんがポンと言ってくれた一言で、できたものがある。だから、ネタはぼる塾さん4人で作っているんです。

――ほかの仕事についてのアドバイスというのは、どんなことを言うんですか?

あんり バラエティ番組に出ると、ツッコミの方がたくさんいるじゃないですか。私のツッコミでは、間もテンポも質も勝てないと相談したことがありました。そのとき言ってくれて嬉しかったのが、2人でタクシーに乗っているとき、ふと「最近、僕テレビ見ているんですけど、あんりさんツッコミ上達していますよね」って言葉。前はイジられたあと、オウム返ししかできないと悩んでいたんですけど、そうじゃなくなっているって言われて……。タクシー降りたあと、泣きそうになっちゃいました(笑)。認められるってこんなに嬉しいんだと思ったし、もう1回、頑張ろうって思えました。みよしくんは、一つひとつの成長を褒めてくれるんですよ。

出典: FANY マガジン
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――精神的にも助けられる部分があるんですね。みよしさんと活動するなかで、印象的だった仕事や出来事はありますか?

あんり 初めての単独ライブですね。猫塾さんは単独を経験しているんですけど、私とはるちゃんは芸人人生で初めての単独ライブ。もちろん稽古中やネタ作り中も支えてくれたんですけど、ライブ当日、私たちが何本もネタができるか不安を抱えていたら、みよしくんがネタを終えるたびに「完璧でした」「最高ですね」って、みんなに声をかけてくれて……。みよしくんに会った瞬間、不安な気持ちが消えたし、より必要性がわかりましたね。

みよし 僕も初単独ですかね。僕がいわゆるチーフ作家で、初めて全部を決める立場になって……。不安もあって大変でしたけど、それ以上に楽しかった記憶があるし、お客さんが笑ってくれたのも嬉しかったです。作家をやっていて好きな瞬間が、芸人さんが、一緒に作ったネタを劇場で披露してくれて、その笑い声をバックヤードで聞いているときなんですよ。

田辺 ぼる塾になってからはもちろんなんですけど、(猫塾のころに)酒寄さんの妊娠があって、いきなり私はピンでやらなくちゃいけなくなったんですよ。あのピン芸人時代を支えてくれたのが大きいです。あのときは本当に絶望で。正直、1人になったときに“舞台に出なくていいかな”って思っていたし、怖かったけど、舞台に立とうと思えたのは、酒寄さんとみよしくんが支えてくれたからです。

はるか 毎回、助けてもらっている気はします。どうしてもみよしくん頼りになっちゃって……。私、YouTubeの個人チャンネルをやっているんですけど、その相談にも乗ってくれて、編集の仕方もぜんぶ教えてくれました。

みよし きりやさんは、去年くらいからピンネタをやっているんですけど、こう見えてプライドの高い女なので、ぼる塾のメンバーには相談したくないし、自分の力でやりたいっておっしゃっていたんですよ。そう言いながら僕に相談するという。

はるか (笑)

あんり やっぱり、はるちゃんを扱えるってすごいですよね。私、幼馴染ですけど扱えないので(笑)。言いすぎちゃってもダメだし、言わなすぎると寂しがっちゃう子だから、それをコントロールしてるってマジですごい。

みよし コントロールできている感は、まったくないですけどね(笑)。

出典: FANY マガジン
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【芸人と、作家と②】は、ぼる塾の4人と作家・みよしゆうすけが成長するきっかけになった“ある会議”での出来事や、4月から始まった5大都市ツアーについて語ります。

公演概要

『ぼる塾初5大都市ツアー~オードブル~』
日程:
4月9日(土)福岡(よしもと福岡 大和証券/CONNECT劇場)  会場17:45 開演18:00 終演19:30【終了】
4月23日(土)名古屋(大須演芸場) 開場17:30 開演18:00 終演19:30
5月14日(土)北海道(サツゲキ) 開場17:30 開演18:00 終演19:30
5月21日(土)大阪(森ノ宮よしもと漫才劇場) 開場18:30 開演19:00 終演20:30
5月27日(金)東京(ルミネtheよしもと) 開場18:30 開演19:00 終演20:30

出演:ぼる塾 ※酒寄の出演は東京公演のみを予定
チケット:配信2,000円 ※会場は全席満席 5月27日の東京公演のみ配信あり

FANYオンラインチケット(配信)はこちらから。

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