11月16日(水)に、なんばグランド花月(NGK)にて「なんばグランド花月 初舞台選手権 2022秋」が開催されました。
当日は、なんばグランド花月の本公演に出演したことのない“芸歴100年目以下”の芸人の中から、全国各地の劇場より推薦された賞レース注目株から大学生芸人までが勢ぞろい! 今年5月に開催された「なんばグランド花月 初舞台選手権 2022春」では、そいつどいつ(市川刺身、松本竹馬)が、「お客さま審査賞」「芸人審査賞」「吉本プロデューサー審査賞」の3賞を総なめ。その後の仕事が増えるなど顕著に影響が出たとのこと。
「NGKだけは雰囲気が全然違う」
「なんばグランド花月 初舞台選手権 2022秋」には、フロントライン、初恋クロマニヨン、マイスイートメモリーズ、ダイヤモンド、ダンビラムーチョ、やさしいズ、20世紀、素敵じゃないか、ドンデコルテ、ダブルヒガシ、丸亀じゃんご、双六人間、ヨネダ2000、タイムキーパー、中村圭太、出目金に加え、関西大学お笑いサークル「関大ストラット」より、木琴アラート、石坂かける・のぼるの計18組が3ブロックに別れて出演しました。
まずはMCのレイザーラモン(HG、RG)が登場し、「「なんばグランド花月 初舞台選手権 2022秋」フォー!」「歴史の証人になるのはあなたたちです!」と宣言。審査員の竹若元博(バッファロー吾郎)、兵動大樹(矢野・兵動)、お~い!久馬(ザ・プラン9)、千葉公平(吉本新喜劇)、武智(スーパーマラドーナ)、吉本興業の劇場プロデューサーたちを紹介します。別の現場で活躍していても、「NGKだけは雰囲気が全然違う」と竹若が語れば、「今日はM-1ですか?」と鉄板のコメントの武智。いよいよ始まる審査に向け盛り上げます。
1ブロック目から大学生芸人が奮闘の大混戦
1ブロック目の一番手はいきなり、関西大学お笑いサークル「関大ストラット」の石坂かける・のぼる(石坂かける、石坂のぼる)からスタート。現役大学生ながら堂々たる漫才で、トップバッターのプレッシャーなど何のそのです。
続く二番手はやさしいズ(佐伯元輝、タイ)。冴えないフリーターとその店長の思わぬ関係性があらわになるコントに会場も大ウケで、冒頭から大混戦の様相です。
沖縄よしもと推薦の初恋クロマニヨン(比嘉憲吾、新本奨、松田しょう)は、息の合ったトリオ・パフォーマンスで笑いを誘います。
丸亀じゃんご(北村敏輝、安場泰介)は、誰もがかつて体験した小学校の終わりの会で、こんがらがっていく恋模様を安定感抜群の話術で届けます。
ダンビラムーチョ(大原優一、原田フニャオ)の“歌しりとり”が、意外な道筋をたどっていくのもさすがです。
1ブロック目の最後は、再び「関大ストラット」から木琴アラート(太田垣仁人、後藤謙斗)。初詣を舞台に細かなズレが笑いを呼ぶ緻密さで観客を引きつけました。
2ブロック目はクセ強ネタの応酬に!
2ブロック目は、広島よしもとよりフロントライン(石原誠、古島拓大)。20年のキャリアにして満を持しての挑戦で、広島弁を駆使した軽妙なやりとりで聞かせます。
昨年の『M-1グランプリ2021』(ABCテレビ・テレビ朝日系)準決勝進出で話題を集め、この春の「初舞台選手権」にも出演したヨネダ2000(誠、愛)は、持ち前の奇天烈ネタでバンバン場を沸かせます。
素敵じゃないか(柏木成彦、吉野晋右)は、恋愛相談という王道のテーマから、日常の“あるある”へとどんどん脱線していきます。
前回は無念の休演となったマイスイートメモリーズ(トランスフォーム福田、花谷豊)は、猫カフェに現れたクセ強のお客さんと店員の丁々発止のコントで、見事リベンジを果たします。
暗転の段階ですでに場内をどよめかせたのは、名古屋よしもとの双六人間(ユーチン、石川ひろし)。やたら乙女なお坊さんと檀家のただならぬ関係で笑わせます。
2ブロック目の最後はタイムキーパー(安土範彦、まついあきら)。肉まん、豚まん、中華まんの差を執拗に熱弁、きっちり客席を温め締めくくりました。
3ブロック目は審査員も認める高レベルな戦い
いよいよ最終コーナーとなる3ブロック目は、数々のブレイク芸人を輩出してきた元旦の人気番組『ぐるナイおもしろ荘2021』(日本テレビ系)優勝のダイヤモンド(野澤輸出、小野竜輔)から。屁理屈が“なるほど”に変わっていく言葉の魔術に笑いが絶えません。
20世紀(しげ、木本悠斗)は、幼なじみとのよくある再会を描くと思いきや、まさかの展開に笑いと感動が巻き起こる!
そして、春に引き続きの出演となったダブルヒガシ(大東翔生、東良介)は、誰も聞いていないラジオ番組に誰も知らないゲストが来るのを再現する、くだらなさとシュールの極みに悶絶です。
福岡よしもとの出目金(橋本康平、あつし)は、NGKの大舞台で真に迫った赤ちゃんのモノマネというカオスを生み出します。
ドンデコルテ(小橋共作、渡辺銀次)は、面倒くさい絡みがしっかり笑いの連鎖を生んでいく光景を確かな手腕で見せつけます。
ラストは、今回唯一のピン芸人となった福岡よしもとの中村圭太。NGKを使っためくるめく一人遊びならぬ一人三役で最後を飾りました。
一票で明暗が別れる熾烈な争いの結末は?
投票タイムには、ゲストとしてアキナが笑っていいとき/悪いときの際どい話、ビスケットブラザーズが冥王の使いを魔窟から救い出そうとするネタを披露し、ついに結果発表へ。
「吉本プロデューサー審査賞」はマイスイートメモリーズ、「お客さま審査賞」「芸人審査賞」は20世紀が2冠を達成! 「芸人審査賞」は実は2組が同点で、決戦投票にまでもつれ込んでいたという接戦に。久馬が「同点以外の組も一点差とか」と付け加え、兵動も「みんな通常公演でもおかしくないレベル」と太鼓判を押します。こうして2時間半にわたる熾烈な争いは幕を閉じました。なお、来春には第3回目を開催予定とのことなので注目です!
取材・文/奥“ボウイ”昌史