吉本新喜劇の座長・アキによるプロジェクト公演『時が来た』が、3月14日(金)~16日(日)に大阪・近鉄アート館で開催されています。関西を拠点に活動する劇団「STAR☆JACKS」のドヰタイジを演出に迎え、コンビの相方・ケンも出演する舞台でアキは、演技だけでなく東映太秦撮影所時代に培った殺陣も披露。初日の本番前にゲネプロが行われ、その場でアキやドヰが今回の舞台の見どころについて語りました。

相方のケンとの殺陣シーンは必見!
アキは、これまで『oy!Joy!エンタメ新喜劇』や『台本のないコメディー』など、ダンスと笑いを融合した舞台公演を行ってきました。今回はアキの原点ともいうべき時代劇をモチーフにした本格的舞台です。
かつて京都・東映太秦撮影所の門を叩き、そこでスタントマンとして修行、経験したことが今に繋がっていると語るアキが温めてきたのが、本格的な時代劇でした。
アキは、芸人になってから仕事などで太秦を訪れるたびに、時代劇が撮影される機会が減り、役者がいなくなっていくことを寂しく感じていたそう。そのため、座長になった暁には必ず自分の原点にある時代劇の舞台をやってみたいと考えていました。そして実現したのが今回の公演です。

舞台は幕末の土佐藩――。武士が“上士”と“郷士”という階級に分けられ、虐げられてきた郷士の鬱屈した思いが、ある事件をきっかけに爆発します。そんな時代の波に翻弄された4人の若者たちを中心に描いたストーリーです。
アキは郷士から上士になった千屋虎之助を演じます。幼馴染みの郷士である岡田以蔵や坂本竜馬らと変わらぬ親交を深めながら、揺れ動く複雑な役どころです。
水玉れっぷう隊の相方・ケンが演じるのは岡田以蔵。これについてアキは、こう語ります。
「彼(ケン)が以前、演じた岡田以蔵がスゴいとウワサになったんです。それでちょこっと仕事が増えたり、以後、減ったりしてますけど(笑)、今回はどうしてもまた岡田以蔵を演じてほしいとお願いして叶いました。ケンのスケジュールありきで今回の公演日程を決めたくらいなんです」
コンビだけあってアキとケンの息はピッタリ。クライマックスの壮絶な殺陣のシーン、長台詞のやり取りは、酸いも甘いも嚙み分けてきたコンビならでは。55歳を迎えた2人の身体能力の良さとキレは必見です!

アキではなく“荒木良明”として
今回、坂本竜馬を演じ、演出も担当するドヰは、水玉れっぷう隊の2人について次のように話します。
「水玉れっぷう隊をテレビや劇場で見てきた世代には、おふたりのキレのいい動きはずっと意識下にあったので、正面の舞台をフラットにしたのも、上士が上で、郷士は下という階級を表しつつ、アキさんやケンさんを中心にした役者の動きを近くで感じてほしいと思ったセットにしました。思った以上に臨場感を感じてもらえることができると思います」

今回の舞台では、吉本新喜劇の西川忠志、伊賀健二、太田芳伸、佐藤太一郎が適材適所のキャラクターを演じています。郷士たちのリーダー、武市半平太を演じる西川についてドヰは「エキセントリックさを求めて、それ以上のキャラクターになりました」と絶賛。これにアキも同意しつつ、ドヰについてこう話しました。
「吉本新喜劇のメンバー以外のキャスティングはドヰさんにお願いしたんですが、これほど実力のある方々をよう集めてくれはったなと。稽古中ずっとワクワクしてましたし、結果、新しい出会いや繋がりもできて、それだけでも今回の公演をやることができて良かったと思います。それぞれのキャラクターが立っている群像劇としても素晴らしいものになったと思います」
さらにアキは、今回の舞台で“吉本新喜劇色”を排除したと話します。
「この舞台ではアキではなく、撮影所時代に使っていた本名の荒木良明として稽古から向き合いました。だから演出のドヰタイジさんが、稽古中に“いぃよぉ~”を入れましょかって言われたときも断ったんです。吉本新喜劇でやってるキャラやギャグを入れれば笑いが取れるとは思いますけど、それをやると意味合いが変わるので……」
最後にアキは、この舞台に込めた思いをこう語りました。
「昨年から話題になっている映画『侍タイムスリッパー』を見たんですけど、自分がかつていた撮影所の思い出の場所や、お世話になってる方たちが出演していたりして、本当に懐かしいだけやなく、いろんな思いや記憶が頭の中に甦って号泣しながら見たんです。で、そうやってかつて過ごした場所を舞台にした映画が注目され、自分も原点である時代劇を舞台にして公演できる。そしてストーリーにも共通する部分も偶然あって……。これを機会に、またぜひこのアキプロジェクトの第2弾、第3弾を続けたいと思います」

取材・文/仲谷暢之(アラスカ社)
公演概要
吉本新喜劇アキプロジェクト公演『時が来た』

■2025年3月14日(金)
19:00開場/19:30開演
■2025年3月15日(土)
①13:30開場/14:00開演
②17:30開場/18:00開演
■2025年3月16日(日)
①10:30開場/11:00開演
②15:00開場/15:30開演
会場:近鉄アート館
(大阪市阿倍野区阿倍野筋1-1-43 あべのハルカス近鉄本店ウイング館8階)
チケット料金:
SS席 前売 9,500円/当日 10,000円
S席 前売 8,500円/当日 9,000円
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