本を愛する芸人たちが、芸人の本を読んで感想文を書く新企画『芸人読書感想文』。
第2回目の「課題図書」は、相席スタート・山崎ケイの最新作『ちょうどいい結婚のカタチ』（ヨシモトブックス）。『ちょうどいいブスのススメ』での独自の恋愛メソッドが話題となった、山崎ケイ待望の最新作のテーマは「結婚」。Webメディア「andGIRL web」での人気連載が、犬山紙子や横澤夏子との対談、結婚相談所へのインタビューなどの新たな企画も加わり書籍化！ 結婚に悩むすべての女性へ、一歩踏み出す勇気が出るアドバイス満載の恋愛・婚活エッセイとなっております。
毎度人気公演『独身ブラザーズ』でも、デートプランや結婚相手の条件など幅広い恋愛トークを繰り広げているコットン・西村真二が、今回は敢えて男性目線で感想文を書きます。
それはタイムラインを無気力にスワイプする僕の目にいきなり飛び込んできた。
「昨日、ずっと好きだった人と結婚することが出来ました。」
幾度も舞台を共にしてきた先輩の吉報。
弁舌に優れた男の真っ直ぐな喜びの言葉に感動しながら、全身全霊のおめでとうを人差し指に込めて「いいね」を押そうとした瞬間、僕はスマホの前で石化した。
「大江さんと……ケ、ケ、ケイさん？？？！！！」
驚愕が祝福を一瞬で抜き去った。
交際していたことすら知らなかった先輩同士のゴールイン。
ケイさんの最新本『ちょうどいい結婚のカタチ』の第1章はその極秘交際の馴れ初めから始まる。
“1ミリも好きじゃなかった男に気づいたら私からプロポーズをした”というトレンディドラマのような恋模様。
あまりにも赤裸々に綴られているため、両者を知る後輩としては読み進めながら袋とじを開けるような高揚感があった。
この旦那の？ シンデレラストーリーを元に、第2章では「ちょうどいい結婚のタイミング」、第3章では「ちょうどいい婚活のススメ」、そして第4章では「ちょうどいい結婚生活」へと続いていく。
第2章で特筆したいのはケイさんが結婚を決めた3つの理由の一つである。
それは「一人でも生きていけるから」というもの。
普通はこの言葉は“なかなか結婚が出来ない人”に向けて他人から放たれたり、当人が強がりで発したりする言葉。この頭に浮かんだ疑問符がケイさんならではの解釈によって回収されたとき、独身の僕自身も結婚というボヤけていたものの輪郭が少しだけクッキリしたように思えた。
婚活のススメが書かれた第3章では自分に向いている婚活の方法がケイさんの実体験やコンパなどの失敗談を元に面白く紹介されている。
特に「30代が褒められる場所」や「自分がチヤホヤされる場所」を探すことの重要性を説いてる内容は男性の観点からでも大変に興味深かった。
また婚活が「堅苦しく億劫なもの」という捉え方が変わっただけでなく、ケイさんのメンタルの保ち方や人付き合いの方法は、職場や学校での人間関係にも応用できると感じた。
結婚をしなくても幸せなカタチは様々ある、それでも結婚を選んだことで得る幸せが上回ったと著述するケイさん。
第4章ではそんな幸せな結婚生活が書かれているわけだが、無論それだけではないのが本書の面白い点だ。
とりわけ結婚してからの価値観のズレには納得する事柄が多々あった。
例えば「家事は気がついた方がやる」というスタンス。
僕も将来の伴侶とこのルールを共にするのが理想だ。
しかし、実際には「気づいた方」というフレーズに落とし穴がある事に深く納得した。
また妊活についても事細かに書かれていて、女性はもちろん男性も読むべき“文献”だと確信した。
その他後半ではベテラン結婚相談員や犬山紙子さん、横澤夏子さんとの対談も載っていて、特に“歯に絹着せぬ女芸人の恋バナ”は最後まで余す事がなく堪能できた。
まだ結婚はしなくていいという方やこれから婚活を始めようとしている方、あるいは既に結婚されている方。
この『ちょうどいい結婚のカタチ』は老若男女問わず、ちょうどよく心に刺さるフレーズや考え方がたくさん散りばめられている。僕も“近い将来”の結婚に向けたバイブルにしたいと思う。
最後に他人から借りるお金のことを「絆」と呼んでいる相方の山添さんには、特にこの本を聖書にして本当の「絆」について学んで欲しいと思いながら、お筆置かせて頂きます。
（コットン・西村真二）
書籍概要
『ちょうどいい結婚のカタチ』
相席スタート・山崎ケイ著
発売日：2月22日（火）全国発売
四六版並製（ソフトカバー）
定価：1,540円（税込）
