大阪・道頓堀のよしもと道頓堀シアターは、食事をしながらお笑いを楽しめる劇場。4月から新たに『よしもとお笑いレストラン吉本新喜劇プラス』(月1回の土曜・日曜)がスタートしました。食事をしながらネタとコーナーに加え、吉本新喜劇も楽しめるという90分の定期公演。4月18日(土)に開催された初公演の様子と、新喜劇の出演者と作・演出を手がけた川畑泰史へのインタビューをお届けします。

フレッシュな演技が光る6人だけの吉本新喜劇
この日は記念すべき『よしもとお笑いレストラン吉本新喜劇プラス』の初日。客席では手ごねハンバーグのロコモコなどを食べているお客さんも多く、天才ピアニスト(竹内知咲、ますみ)は舞台に登場するなり、「めちゃいいニオイがする。ひと口、いただけます?」と笑いを誘います。
芸人たちによるネタやコーナーが終わると、次は吉本新喜劇。10分の休憩時間の間に、うどんの屋台などお馴染みのセットが組まれました。
新喜劇に出演するのは6人の座員。主役のうどん屋店主を諸見里大介が務めます。諸見里は初恋の相手である立花えこへの淡い恋心を叶えるべく、近くの喫茶店の店主・服部ひで子が考えた作戦を実行しようとして……というドタバタ劇です。

うどん屋の客を演じる筒井亜由貴が諸見里に「お店の方ですか?」と質問すると、さっそく活舌ギャグが! 立花の夫・松元政唯が登場し、髭ボーボーの顔面からは想像できないような高い声で急に歌い出した場面では、この日いちばんの大笑いが起きていました。

借金取りの仲澤秀朗が借金のカタに立花を連れ去ろうとする場面では、諸見里が大活躍。「オレの命より大事な人やー!」という男前発言が飛び出したり、店を出すために貯めた200万円で借金を肩代わりしようとしたりするなど、熱演ぶりに思わずホロリとさせられます。
若手の座員が大活躍で、なんばグランド花月で見る吉本新喜劇とは、またひと味違った魅力がありました。
「馴染みのない層にも新喜劇のおもしろさを伝えたい」
終演後、新喜劇の出演者たちにインタビューしました。
諸見里 今日の公演をひとことで表すと“フレッシュ!”ですね。なんばグランド花月の新喜劇だと18人くらいの登場人物がいますが、今日は6人だけ。若手だとオープニングに出て、ひとことセリフ言ったらおしまいですが、人数が少ないので各々が担う役割やセリフも多くて、大変だけど勉強になりました。
普段のお芝居では、二枚目っぽく人を諭す役なんてやらないので緊張もしましたね。なんばグランド花月だとみなさん舞台を食い入るように見ていますが、ここでは食事をしながらのお客さんが多いので、いつもよりゆっくりしたテンポで演じたほうがいいなという気づきもありました。
これから若手もどんどん成長していくと思うので、また足を運んでもらえたら嬉しいです。あと、吉本新喜劇とのコラボメニューで、沖縄出身の僕が好きなスパムスティックを用意したのですが、あまり人気がなかったようで……。次はもっと万人受けするメニューにします!

服部 入団18年目ですが、今回初めて“回し”というポジションの役や、ツッコミを経験しました。ボケを生かすも殺すもツッコミ次第なので、プレシャーがすごかった!
私以外のメンバーも普段と違う役柄をしていますが、こんなふうに挑戦させてもらう機会が増えたら、新喜劇が盛り上がっていくひとつのきっかけになりそう。なんばグランド花月に比べると若い女性のお客さんが多かったですが、私たちに馴染みがない層にも新喜劇っておもしろいよと伝えられるように、今後もがんばっていきたいと改めて思いました。
筒井 道頓堀シアターは、アットホームな感じがしてすごく良いですね。客席との近さを意識して、途中からお客さんに語りかけるようにセリフを言ってみたりしたのですが、そうすると、お客さんの反応も結構いい感じに変わってきたのが嬉しかったですね。
なんか、ゴハンを食べながら新喜劇を観るのも、リラックスできていいですね。僕は群馬出身ですが、大阪の人は土曜日のお昼に、カップラーメンを食べながらテレビの新喜劇を見ていたと聞くので、そんな感じなのかなと。お腹もふくれて、心も身体も満足できる公演ですね。

松元 自分が歌って踊るところで笑っていただけて、本当にありがたかったです。あの場面だけは、新喜劇ではなく、自分のソロコンサートをやっているイメージ、何があってもやり切ることだけを決めて挑みました。でも、本当はめちゃめちゃ緊張していました。
立花 こんなにたくさんセリフがある役も初めてなうえ、憧れのマドンナ役! 私は大学生なのですが、通学電車の中や授業の空きコマでも台本を読みまくりました。ラストの感動的なシーンで、泣いているお客さんの顔が見えたのですが、舞台と客席の距離感が近いからこそ、より引き込まれて観てくださるのかなと思いました。
仲澤 僕は2025年に入団した新人で、いつも先輩のうしろについて回る役が多かったので、ひとりで借金取りを演じるのも初めてで。舞台と客席との距離も近くて、視線を一気に感じるのが、楽しくもあり、恐ろしくもあり。でも、若手の元気さも感じてもらえる、ニュースタイルの新喜劇をお届けできたのではないかなと思います。
川畑泰史が若手のために台本に込めた想い
今回の舞台の作・演出を手掛けた川畑泰史にもインタビューしました。
川畑 今回の新喜劇は、若手の育成の場でもあるという話を聞いたので、座員のみんながちょっと背伸びせんとできんような役をキャスティングしました。
自分も一緒に舞台に出ていたら、若手のちょっと弱いボケなどもツッコミで笑いに持っていけたりするけれど、作・演出だけだと手出しができひん。でも、みんなががんばって演じてくれました。

新喜劇は、お芝居がちょっと特殊なので、演劇の経験があっても通用しないし、先輩に言われないとわからないことも多い。普段は座長がいるので、僕から若手に伝えることはあまりない。でも今回は演出として、個人のネタを各自考えてもらって、「ただ笑わせるだけじゃなく、お客さんの第一印象に残らないとダメ」と注意するとか、「コイツはおもろいと、まわりに思わせる演技を意識する」ことなんかは言わせてもらいました。
僕ももう年老いているからね、ほんまは舞台に出て、カーッてギャグやってはけるだけでギャラをほしいくらい。そのためには、若手にもっと活躍してもらわないといけませんしね。この公演が、若手活躍の場になるといいですね。
公演概要
『よしもとお笑いレストラン吉本新喜劇プラス』
月1回の土曜・日曜に定期開催
次回公演は5月23日(土)、5月24日(日)
ともに第1回公演11時~、第2回公演13時30分~(※開場は各30分前)
チケット:前売・当日3,000円
よしもと道頓堀シアター:https://dotonbori.yoshimoto.co.jp/
