吉本新喜劇の座長・すっちーらが出演するお化け屋敷を題材にした舞台『すち子のお化け屋敷大作戦』が、夏休み真っただ中の8月5日(水)〜7日(金)、大阪・なんばグランド花月で上演されました。すっちーのほか、浅香あき恵、千葉公平、ヤンシー&マリコンヌ(松浦真也、森田まりこ)らが、3夜限りの“爆笑&最恐”新喜劇を展開。FANYマガジンでは、超満員となった千秋楽と終演後の囲み会見の模様をお届けします。(撮影は芸人カメラマンの吉本新喜劇・おやどまりが担当しました)

悲鳴と笑いが交錯する“恐怖の舞台”!?
この日のなんばグランド花月のエントランスにはお化け屋敷ののれんが下がり、ロビーには墓場のセット、売店では怖そうなスペシャルメニューが販売されていました。客席に一歩入ると照明は薄暗く、おどろおどろしいBGMが……。

いつもの新喜劇とはまったく違う雰囲気が、開演前から観客を圧倒します。男性の低い声による場内アナウンスがさらなる恐怖をあおり、やがて客席通路に怪しい3人の人影が!?
幕が上がると、舞台上には荒屋に井戸、墓地と、お化け屋敷に欠かせないセットが並んでいます。袖からふらりと現れたのは、ちいさな灯りを手にした謎の老人(すっちー)。“呪われた空き家の番人”らしく、「興味本位でこの空き家に入ろうなどとは決して思わないでください」と、この家にまつわる惨劇を語り始めました。
客席がしんと静まり返るなか、先ほどの3つの人影がゆらりゆらりと舞台へ。座員たちが浮遊霊に扮しているかと思いきや、そのうちの1人、松元政唯は、なんとただの設備修理業者でした!? 緩急を効かせた展開で、早くも大きな笑いが生まれます。

本編が始まる前には、すっちーによるプレゼント大会がスタート。客席から3人を選び、舞台に上げてよしもとグッズを進呈するというお楽しみコーナーです。箱を開けるとそこには生首!? という怖〜いサプライズも用意され、会場は悲鳴と笑いに包まれました。
「また誰か来たようでございます……」とつぶやいて去る老人と入れ替わるように、信濃岳夫と川本眞優がお化け屋敷の客として登場。2人が本格的なセットに震え上がったのもつかの間、タイミングも演技もダメダメなお化けたちにすっかり興味を失ってしまいます。

実はここは、イベント会社を経営する清水けんじが手がける、ショッピングモール内のアトラクション。お化けに扮する役者の卵たち(千葉、金原早苗、諸見里大介、カバ、いがわゆり蚊、けんたくん)とともに奮闘しているものの、なかなかうまくいかず客足は遠のくばかりです。
そんななか、“お化けプロデューサー”を名乗るすち子(すっちー)をネットで見つけ、大刷新を依頼することになりました。撤退の瀬戸際に立つお化け屋敷を一発逆転に導くことができるのか? 清水と金原の秘めた恋も絡み、物語が進みます。

「うらめしやー!」でエンディング
すち子は登場するなり“飴ちゃん”を客席にまきまくる大サービス! 傍若無人なふるまいで舞台を引っかき回す一方、ふとしたミスには清水や千葉から鋭いツッコミが入り、座員たちとの息の合ったやりとりで笑わせます。
この日は千秋楽とあって、自由奔放なアドリブはいつにも増してヒートアップ。諸見里らお化け役との絡みでは、一人ひとりの持ち味をしっかり引き出すことも忘れません。

そんなすっちーの“振り”に応えるべく、お化け役たちも全力でボケます。ときにはツッコミ役にも回って沸かせた千葉、持ちギャグ「ヤバいね!」で七変化を見せた諸見里、体型を生かして笑いを誘ったカバ、迫真の演技ですち子から「怖すぎるのよ!」と謎のダメ出しをくらったいがわ、天然キャラが随所に炸裂したけんたくん……。
回し役となった清水は、暴れるすち子をサポートしながら、私生活をネタにイジられたり、体を張ったボケを見せたりと大活躍。金原は清水とのラブラブシーンから迫力のキレ演技まで、幅広い魅力を発揮します。
お化け屋敷を窮地に追い込むショッピングモール店長役である佐藤太一郎は、すっちーからモノマネされ続けるおなじみのくだりで爆笑をさらいました。



街の警官役は、 “吉本新喜劇の顔”を務めるヤンシー&マリコンヌです。おなじみの歌とダンスに加え、好評配信中の新曲『DEMASSE!』も生披露。森田が白装束でお化けになり、コミカルに歌い踊る姿で爆笑をさらいました。
そして、ショッピングモール社長で、金原の結婚に反対している母親役が浅香です。笑いはもちろん、クライマックスではゾクリとさせるセリフ回しも披露して、さすがの演技を見せました。
すち子を中心に、お化け屋敷のメンバーたちは徐々に団結します。途中、逃走中の強盗(伊丹祐貴)の乱入もありつつ、最後はやっぱりハッピーエンドと笑いが……と安心させたところで、舞台に突然、生首が落下!? まさかの仕掛けで観客の度肝を抜き、どよめきと絶叫と笑いが三つ巴のエンディングとなりました。

カーテンコールですっちーは「おもしろかったですか?」ではなく「怖かったですか?」と客席に問いかけます。大きな拍手が返ってくると、「すごくいいリアクションをしていただきました」と感謝。最後は劇中にも登場した「うらめしやー!」の掛け声を観客と合わせて舞台を締めくくりました。
企画のきっかけは「夏っぽいことやりませんか」
終演後の囲み会見で、すっちーは「ホッとしました」と笑顔を見せました。今回の公演は、劇場から「夏っぽいことをやりませんか」と提案されたことがきっかけで始まったそうです。海の家や夏祭りなどの案が出るなか、最終的に決まったのがお化け屋敷の設定。
「怖がらせることをちゃんとしよう」ということで、劇場をまるごとお化け屋敷に変身させました。ただしすっちーは、「笑わせることは毎日やっているのでコツがわかりますが、驚かせる、ビビらせるのは初めての経験で難しかった」と振り返ります。

一方で、「怖さをやると、今度逆にそれが振りになって笑いも倍増する」という新たな発見もあったようです。
今回の公演で手応えを感じたようで、すっちーは、「(来年やるとすれば)もっと“お化け屋敷”にしたい。(ロビーの)照明は暗くすることができないが、次回は明るいままでもっと怖い雰囲気を作る方法を考えたい」と熱く語りました。
また、すっちーは「子どもが笑うツボみたいなのを、まだまだわかってなかった」と語ります。そのうえで、「ちびっ子が『怖い怖い』と言いながら楽しんでくれるものにしたい。夏休みの絵日記に書いてもらえるようなイベントを来年もできたら」と目標を掲げました。
ちなみに、すっちー自身は「幽霊を信じない派」だそうですが、怖がらないからこそ“怖いもの・こと”を冷静に見極められると自己分析。「そんな人でも、夜の病院が怖いとか、お墓の横を通るときは怖いとかがある。これって刷り込みだと思うので、そのあたりをもっと研究したい」と意気込みました。

