「笑いの殿堂」満員御礼のニッポンの社長、年明け単独ライブはコント封印!?

9月の『キングオブコント2020』で鮮烈な印象を残し、一躍お茶の間にその名を知らしめたお笑いコンビ・ニッポンの社長（辻、ケツ）。この12月には、“笑いの殿堂”である大阪・なんばグランド花月での初単独ライブ「墓場の社長」もチケット完売の大盛況となり、ますます勢いに乗る２人が、きたる2021年１月22日（金）に東京・ルミネtheよしもとに上陸します！

ファニマガでは、そんな彼らに直撃インタビュー。こちらも初単独となるルミネ公演の見どころやコント・漫才への思い、来年に向けた目標まで、たっぷりとお届けします。

やっと「芸人です」と言えるように

──2020年は『ytv漫才新人賞』準優勝（8月）、『キングオブコント2020』決勝進出（9月）と、充実した1年だったんじゃないでしょうか。

辻　『ytv漫才新人賞』で負けちゃった時に、より一層、「キングオブコント（決勝に）行かなヤバイ」「もうほかはないぞ」ってなりましたね。もし『キングオブコント』の決勝に行けなかったら……と考えたらホンマに怖くて、準決勝の日が来てほしくないぐらいでした。優勝はできなかったし、それはショックやったんですけど、決勝に行けたことでホッとしたし、その後、いろんな先輩が褒めてくださったので。もし（決勝に）行けてなかったら、いまごろやめてたかもしれない、それぐらいの気持ちでした。

ケツ　僕ら結成して7、8年ですけど、当初からコント中心にやってきて、『キングオブコント』を目指してたんです。あともうちょっとで手が届きそうなんかなっていう状況でもあったので、今年は絶対に（決勝に）行きたかった。欲を言えば、勢いに乗って『M-1グランプリ2020』でも決勝に行きたかったですけど。そうなったら文句なしでした。

辻　今年は漫才のほうが（ネタをたくさん）作ってましたからね。そこがちょっと計算違いだったので、点数を付けるなら70点、80点ぐらいかな。

ケツ　（キングオブコント）決勝に行けたのは報われましたよね。

辻　やっと「芸人やってます」って言えるような気がします。

なんばグランド花月の単独は「自信になる」

──12月13日（日）に開催された、なんばグランド花月での初単独ライブは、もともと3月の予定だったんですよね。

ケツ　３月13日（金）に決まってたのが（新型コロナウイルス感染拡大防止のため）中止になってしまって……。

辻　「中止になるかもしれない」と聞いた段階で、（ブリッジ）映像はほとんど撮り終わってました。あとは、いまから5つの設定をもとにネタを詰めていこう、となった時に「あれ？　なんか怪しいぞ？」みたいな。

ケツ　複雑な状況やったよな。

辻　単独ライブの時はいつも死にそうになるぐらい頑張るんですけど、「中止って言われるかも」と考えたら頭が働かなくなって、２人で「どうなるんやろうな」ってボーッとしてました。

ケツ　でも、結果的にその時のネタも今回ちゃんと（観客の前で）できたし、前にはなかった配信チケットが導入されたから、より多くの人に観てもらえた。延期になってよかった部分もありました。

──なんばグランド花月というのは、やはり特別な場所ですか？

辻　「やりたい」と言っても、ふつうはやらせてもらえるところではないから、失敗か成功かは別にして「やった」っていうのはすごい自信になると思います。

ケツ　うん、格式があるというか。

辻　ふだんは観光客の人なんかもたくさん見に来られる劇場やから、そこで僕らが単独をするとなったら、場所と内容のギャップで、ネタがもっと面白く見えそうな気もしましたね。

小道具に手こずり当日まで練習できず

──当日は、劇場チケットは完売、配信チケットも非常に多く売り上げ、グッズも先行販売で完売するなど大盛況でした。観客の行列などを目の当たりにした時の気持ちは？

辻　僕はぜんぜん目の当たりにできなかったんです。というのも、当日の朝までコントに使うドラゴン（の小道具）をずーっと作ってて。体感でトータル40時間ぐらいかかったんですけど、それに手こずりすぎて、前日まで練習が1回もできなかったという（笑）。

ケツ　台本は相方が作ってて、もうあったんですけど……。

辻　だから当日は「いまから練習せなアカン！」という状況で、「（グッズ販売に）めっちゃ並んでるらしいで」とか言われても焦ってて様子を見に行けず。で、そのドラゴンのネタはめっちゃスベりました。

ケツ　（笑）。僕は練習の合間に（よしもと）漫才劇場まで物を取りに行って、その時にグッズ販売の行列を見ました。横を通ったんですけど、並んでる人たちは僕を見ても反応ゼロで……そこで1回、心が折れかけて。

辻　（笑）。グッズに夢中やったんですよ、全員。

ケツ　でも、「こんなにも僕らのグッズに並んでくれるんや」ってうれしかったです。

──実際、舞台に立ってみていかがでしたか？

辻　堂々とできたんですけど、ちょっとフワフワもしてましたね。「これ、ホンマに本番なんかな？」みたいな。「やっとこの日を迎えられた」っていう気持ちもありましたし、緊張してるヒマがなかったです。しかも、なんばグランド花月のスタッフさんがめちゃくちゃ頑張ってくれはって。たとえば、ちょっと汚れるコントの後は、バケツとタオルと乾拭きを用意してくださったり。

ケツ　しかもぬくいお湯で（笑）。

辻　僕らのようなコントはちょっと敬遠されるんちゃうかなと思ってたのに、めっちゃ動いてくれはって、アイデアも出してくださったので、僕は勝手に一体感を感じてました。浜崎あゆみさんが「（スタッフも含めて）全員で“あゆ”」みたいなこと言ってましたけど、それがわかりましたね（笑）。

ケツ　僕は小っちゃいころから親と見に行ってた、なんばグランド花月の舞台に立つんやっていうので、ちょっと不思議な気持ちもしてました。あと、男性のお客さんが結構おられたみたいで、それもうれしかったなあ。

ルミネは「漫才中心でいこうと思ってます」

──1月22日（金）には、いよいよ東京・ルミネtheよしもとでの初単独ライブです。

辻　なんばグランド花月の単独は、配信を含めると劇場キャパの何倍もの方々が観てくださったので、ルミネではまったく違う単独、漫才中心でいこうと思ってます。

ケツ　僕ら、いままで単独ライブで1本も漫才をやったことないんですよ。だから“漫才単独”というのは僕らの中では新しいことやし、すごく楽しみですね。

辻　もうドラゴンとか作らんでいいんで、練習できますし（笑）。

ケツ　それは大きいな（笑）。スーツケース１個で（東京に）行けるんで気が楽です。

辻　ただ、新しい漫才には挑戦したいと思ってるので、ドラゴンが出ないとは言えないです。

ケツ　もうええって！（笑）

辻　センターマイクがあれば漫才って言えるから、ドラゴンに乗ってセンターマイクまで行くかもしれません。

──単独ライブで漫才をやったことがないというのは意外でした。やはりコントに比重を置いてきたということでしょうか？

辻　コントばっかりやってる中で、ちょっと思いついた小さい“とっかかり”みたいなもので、「コントは無理やけど、漫才やったらこれ1本でずっとできるな」というのを漫才でやる、という感じやったんですけど、そうしているうちにコントと漫才が8：2ぐらいの比率になってきて。やっぱり漫才でしかできへん笑いもあるし、コントほど小道具もいらんし、いい意味で肩の力が抜ける部分もある。僕らはほかの漫才師みたいに掛け合いとかはうまくないし、間とかテンポも悪いんですけど、「これが味なんで見てください」という気持ちです。

ケツ　僕はもともと『M-1』を見てお笑いをやりたいと思ったんで、漫才をやってる時点で夢が一つ叶ってるというか。

辻　だから、どっちも楽しいですね。漫才は「コイツおもろいヤツやなあ」、コントは「この発想おもろいなあ」と思われる感じで、「おもろい」の角度が違う。だから、コントの単独ライブを既に見てくれた人にも、ルミネのライブはまためっちゃ楽しんでもらえると思います。

ケツ　ただ、コントではまったくしゃべらへんネタとかもあるので、ずっと漫才だけやとバテるかも（笑）。

辻　声とかもな。僕に関しては、（小道具などを着用せず）ずっと顔を出してるっていうのがあんまりないんで（笑）、それも楽しみにしてください。