「あの時こうしておけばよかった……！」「生放送中にあんなことを言ってしまったけど、撤回したい！」など、芸人だれしも、もう1回やり直したい局面があるはず！ ということで、「もし3回だけタイムリープできるとしたら、いつのどの場面をやり直す？」というテーマでトークしてもらう新企画、その名も「芸歴3（スリー）タイムリープ」！ 第2回目となる今回は、ミキ（亜生、昴生）の2人に血の気が引いたあの時や、悔し涙を流したこの時を挙げてもらいました。彼らの“芸人リベンジャーズ”とは！？
【1】『天才！志村どうぶつ園』でのボケ
猫好きの亜生を主役とした企画で、『天才！志村どうぶつ園』（日本テレビ系）のスタジオにミキが出演。そこで、飼っている犬と一緒になって寝ている昴生の写真が紹介されることに。コロナ禍前で、スタジオには観覧のお客さんがいっぱい。温かい空気のなか、昴生が意を決して立ち上がったのですが……。
昴生 打ち合わせの段階で、“僕が前に出ていけるのはここしかない”というのはわかっていました。
亜生 僕には密着VTRがあったり、猫について喋ったりして出シロがあるなか、「お兄ちゃんは、なんで来たの？」っていうフリがあっての写真紹介なので、確かに出られるのはあそこしかなかった。
昴生 モニターに僕と犬の写真が出た瞬間、“ここや！”と思って「どっちが僕でしょうか？」ってボケたんですよ。そしたらスタジオがシーンとなって……。“ヤバッ！”と思いつつ、志村（けん）さんのほうを見たら、見たことない顔してました（笑）。かなり引きつりましたね。
亜生 そのとき、スタジオの音がゼロになったんですよ。お兄ちゃんは絶対にウケる想定で前に出てるから、次のボケを考えてなかったし、僕が何かやっても共倒れになっちゃうから何も言えなくて。
昴生 収録前にエレベーターに乗ろうと思ったら、志村さんがいらっしゃったんですよ。志村さんが僕の脇腹をトントン触って「兄ちゃん元気か？」「ありがとうございます」っていうやりとりがあって、めっちゃええ空気。“志村さん優しくて最高！”と思ってたら、本番であんな顔させてしまって……。
亜生 観覧のお客さんは親子連れもいて、絶対に笑う空気。それまで何を言っても笑う感じだったのに、時が止まったよな。
昴生 あのときの相葉（雅紀）さんの言葉が忘れられないですね。「（心配そうに）お兄ちゃん、今日どうしたの？」って（笑）。
――タイムリープするなら、どうやり直しますか。
昴生 だまって写真を見ておきます。『志村どうぶつ園』はバラエティじゃなくて、動物番組やから、思い切ってボケなくていいんですよ。めったにないことなんですけど、本番前、局の偉いさんが挨拶に来られたのもあって、“頑張らんとアカン”と思ったのか……。あんな行動しちゃいました。
【2】『もってる!? モテるくん』最終回収録でのひとコマ
2012年から2015年に放送された南海キャンディーズ・山里亮太がMCを務める『もってる!? モテるくん』（読売テレビ）。ミキにとってもテレビ初レギュラーでした。その最終回の収録で、またもや昴生が……。
亜生 劇場のトップになると出られる番組だったんですけど、いかんせん僕らキャラがないので、コーナーを持たせてもらわれへん。ひな壇にずっと座っているだけ。
昴生 作家、ディレクター、芸人、いろんな方向からいろんなこと言われるから、もうがんじがらめ（笑）。
亜生 毎回の収録がイヤでイヤで仕方なかったなぁ。
昴生 収録の前日、行くのがイヤで寝れないんですよ。
亜生 劇場のトップになれて嬉しかったのに、テレビに出るってこんなに苦しいのかって思ってましたね。そんななかで、とうとう最終回。当時、番組ではコロコロチキチキペッパーズのナダルさんの“ヤバさ”が見つかったころで、いろんなドッキリに引っ掛かっていました。最終回では、ナダルさんがムチャブリでMCをやらされるというドッキリのあと、山里さんとナダルさん、どっちのMCが良かったか、ひな壇にいる芸人14人でジャッジすることに。
こんなん絶対に山里さんの札を上げるのが正解じゃないですか。でも、お兄ちゃんは、テレビ出演でパニックになっているから、1人だけ「ナダル」って書かれた札を上げて、13対1ってなったんですよ。0票やったらナダルさんもおいしかったのに、1票入ってるから絶妙の空気……これは地獄！
昴生 そのあと、「なんで昴生はナダルを選んだん？」って振られて、ワーッて盛り上がったらいいですけど、当時はそんなポジションでもなかったし、返しもないって思われているから、スルー……。
亜生 いまでも鮮明に覚えてるんですけど、お兄ちゃんが「ナダル」の札を上げたとき、僕が小さい声で「違う」って声をかけたんですよ。そこで、やっと気づいて札を変えようとしたけど、間に合わず。小さい声で「あれー？」って戸惑うだけ。
昴生 もうね、“どっちが正解や！？”って混乱していましたね。絶対に山里さんやのに、“ナダルって上げたほうが面白いんちゃうん？”って思っちゃったんですよ。もちろん、みんなの様子をうかがったあとで、札を上げてもいいわけじゃないですか。それなのに、誰よりも早く札を上げてしまいました。
――その時に戻れたら、今度はどうしますか？
亜生 あのときは怖くてイジられへんかったけど、「なんでここでナダルさんの札上げんねん！」って強くイジったら、お兄ちゃんの番になるじゃないですか。1個面白いのができたかもしれんのに……。でも、そんなことはできんかった。僕は正直、“テレビ終わった”って思いました。
昴生 もちろんタイムリープできたら、山里さんの札を上げます。もし戻ったのが、札を上げたあとだったとしても、手首をぐりーんって曲げてまで、山里さんの札に変えます。
【3】駆け出し時代に受けた屈辱のシーン
若手芸人の多くがそうであるように、ミキの2人も結成から間もないころは当然、劇場のオーディション組でした。劇場では、オーディションライブが終わったあと、審査員の作家からダメ出しがあるのが通例。若いミキの2人も作家に話を聞きに行きましたが……。
亜生 当時の僕らのスタンスとして、「漫才をやってんのは僕らやから、自分らのやってることを信じよう」っていうのはありつつ、ダメ出しだけは聞きに行ってました。でも、作家さんからダメ出しされても、自分の意見があったら伝えていましたね。
昴生 あるとき、オーディションライブが終わったあと、作家さんから「（ネタの）ここはいらないんじゃないですか？」って指摘をもらったんですけど、僕が、なぜそのくだりを入れたのか理由を伝えたことがあったんですよ。そしたら作家から「ここは口答えいらないんで。ダメ出しやから、そっちの意見はいりません。こっちの言葉を聞いてください」って。しかも、「昴生さん、イタいですよ。（いつも言い返すから）作家陣で“昴生さんがイタい”ってウワサになってますよ」って言われて……。「イタいってどういうことですか？」って聞いたら、「そうやって反抗してくるでしょ？」みたいな。悔しくて2人で泣きながら帰った記憶があります。
亜生 そこでお兄ちゃんが「なんやねん！」って言うと思ったら、ちゃんとショックを受けて帰ってましたから。
昴生 そんなん言われたらショック受けますやん？（笑）
亜生 いつもミキのダメ出しだけ異様に長いんですよ。ほかのインディーズライブのダメ出しでも、「これは見たことあるから、違うのでお願いします」「違うのって、たとえばどんなんですか？」「たとえばこんな感じで」「いや、それも見たことありますよ」っていう流れで1時間（笑）。
昴生 いろいろ言われましたけど、僕らの根本から“アカン”って否定するヤツは、愛がゼロじゃないですか。そんなヤツの意見なんて聞いてられへん。もちろん信頼する作家さんの話は聞いていましたけど。
亜生 でも、「イタい」って意見はちゃんとくらってるっていう。
昴生 （笑）。なんでこっちが意思をもたずに、ガマンせなアカンねんっていう。でも、自分らのやりたいことをやろうって決めてから、いい方向にいきましたね。
――そのダメ出しのシーンに戻ったら、どうしますか？
亜生 「イタいって何か」を問い詰めたいです。「それを芸人に言うことですか？」って。
昴生 それからボク、人にイタいって言わんようになりましたもん。自分がこんなにも傷つくのに、人に言えるわけがない。冗談でも言わんようにしています。思い出すから、それを口にするのもイヤ。
亜生の大喜利DEダンス！
日時：5月13日（金）開場18:30／開演19:00
場所：ルミネtheよしもと
出演者：＜MC＞コットン・西村真二
＜プレイヤー＞ミキ・亜生／霜降り明星せいや／マユリカ・阪本／蛙亭・中野周平／コットン・きょん
チケット：前売 2,300円（税込）／当日 2,800円（税込）／配信 1,500円（税込）
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